「自分のせいだ」とすぐ思ってしまうあなたへ 〜“自分を大事に”がなぜか効かない理由〜
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は、何かあると、つい「私が悪いのかな」と思ってしまう。
そういう心理についてのコラムです。
たとえば、職場で。
上司の機嫌が、なんだか悪い。理由なんて、たぶん自分と関係ないみたい。
でも、なぜか「私、何かしたかな」と、胸がざわつく。
誰かがため息をついただけで、自分のせいな気がして、先回りして「すみません」が出てしまう。
たとえば、恋愛で。
返信がそっけない。それだけで、「重かったかな」「なんか言っちゃったかな」と、自分の落ち度を探しはじめる。相手が不機嫌だと、まず「私が悪いのかも」から入る。
たとえば、夫婦で。
夫が黙り込む。理由は分からない。
でも、気づけば「私の何がいけなかったんだろう」と、自分を見てる。
相手を責める前に、もう自分を責め終わってることもあって・・・いつも私が悪い気がしてしまう。
……こういう感覚、感じたことがある方いらっしゃるかもしれないですね。
何が起きても、マイナスの矢印が自分に向く。
しかも、それを何年もやってきたから、もう反射みたいになっていて、自分では止められない。
そんなご相談をいただくこと、ありますよ。
Index
「自分を大事に」が有効ではないことがある
この手の悩みに対しての答えって、たとえば・・・
「自己肯定感を上げましょう」
「もっと自分を大事に」
「自分をほめてあげましょう」
「周りの人の(相手の)評価を受け取りましょう」。
こういったものが多いのかもしれないですね。
そして、この答え、間違っていないんです。
ただ、僕はカウンセラーなので、こうも思います。
どうしても自分を責めてしまう人に「自分をほめて」と言うと、どうなる?という話。
・・・「それすら、ちゃんとできない」と、また責める理由を作りかねないんですよね。
「自分を大事にできてない私、やっぱりダメなんだ」って。
アドバイスは正解なんですが、なぜかそれが新しい自責の材料になる、という。
だから、今日は、そういう話ではない部分のお話をしたいと思うのです。
「こうやって直しましょう」も、あまり出てきません。
まずは「そもそも、なぜそんなに自分に矢印が向くのか」という話からはじめたいと思います。
それ、性格でも、考え方のクセでもなくて
ここからは、僕の長く積み上げてきた見立て、その一つを書きます。
すぐ自分を責めてしまうのは・・・
そうやって生きるしかなかった時期が、どこかにあったからかもしれません。
ちょっと想像してみてほしいんです。
まわりに、機嫌の読めない人がいた。
理不尽に怒られることが多かった。
自分の気持ちを言っても、誰にも聞いてもらえなかった。
そういった状況で、自分自身の心が安全を感じながら生きる方法って何だと思います?
いろいろ答えはあるんですが・・・
そのなかん一つに「先に、自分を悪者にしておく」という方法があります。
*
嫌なことがあった、辛いことがあった。
だから、自分の気持ちを誰かに受け止めてもらいたい。聞いてほしい。
特に子供時代に、こういった気持ちになるのはきっと自然なことです。
ただ、それがうまくいかない、となったとき。
子供の心は危機を迎えます。そのままでいることが辛いのです。
だから、「自分が悪かった」という答えを出す。
すると、嫌な事実、辛い現実(自分の外側)と、自分が悪いという答え(自分の内側)が、一致するんですよね。
この「一致する」は、心が内と外のバランスを崩さない、ということを意味します。
辛くないわけではないけれど、心のバランスは取れる。
だから、自分が悪かったという答えを出すほうが、誰かに何かを期待するより楽だった。
そんなケースって結構あるんですよね。
場合によっては、こちらが悪くもないのに謝って、その場を収めたほうが安全と感じたり。
自分さえ我慢すれば、波風は立たないと思ったり。
自分を責めることで、その場をしのいできた。
いわば、生きるための知恵だったのかもしれないんですよね。
だから、自分を認める、許す、大切にする、ということは、生き延びる方法と真逆の行為になってしまい、なかなか取り組めなくなったりするわけです。
そして、今も、何かある、反射でその反応が出るのかもしれない。
上司が不機嫌なだけで、返信がそっけないだけで、夫が黙るだけで、「私が悪い」のスイッチが勝手に入るのは・・・自分を守ってきた方法だったから、かもしれない。
断定的に描いていないのは、あくまでその可能性はありそうだ、という話なので。
もちろん個別のご事情はお聞きするしかないんですけどね。
「自分を責める」が「上手に収める」とつながるとき
あと、「自分を責める」という行為自体、ある意味、いちばん角が立たない収め方となることがありますよね。
相手を責めれば、揉める。
状況を責めても、何も変わらないし虚しい。
でも、自分を責めれば、少なくとも、その場は丸く収まる。
誰も傷つけずに、話が終わる。
自分が悪いという漠然とした答えのようなものが見つかった気すらする。
だから、「自分を責める」を選んでしまう。
自分以外の誰かを傷つけない道でもあるので。
自分を責める癖を手放す方向へ
さて、つい自分を責めてしまうという事実。
これを手放す方法はいくつかありますよ。
まずは頭の隅に置いておくくらいの気持ちで読んでくださいね。
自分を責めているとき、責めそうになるとき、不安になったときの対処
一回、深呼吸をする。その場を離れる。「あ、また私自分を責めたい気持ちになってるな」と気づく。
大事なことは、自分の中で起きる反応に気づくこと。
そして、過剰に問題視しないことかな、と。
そういった反応が起きること自体を問題にすると、凄まじく気持ちが落ち込みませんか?
・・・ここが、今日いちばんお伝えしたいところなんですけど。
「自分を責める」というテーマは、事実がどうこう以上に、「気持ち」の問題が大きいことが多いんですよ。
責めても辛い。
責めてしまう自分を見つけても辛い。
気持ちの置き場所がとにかくないように感じやすいんです。
だから、本当は誰かに、どこかに、気持ちの置き場所を見つけたいんだけど、これも自分を責めることで封じてしまう。
こんな悩みを話して、相手は迷惑なんじゃないか、とか。
こんな相談、相手も困るんじゃないか、とか。
これも一つの昔からの癖(誰かに自分が迷惑をかけちゃうことへの怖れ・関わることへの怖れ)かもしれない。
このような、いわば理屈だけでは片づかない部分が残りやすいんですよ。
だから、丁寧な対話の中で気づいていく、手放していく、という方法が有効なんですよね。
信頼できる人に相談する。気持ちを話してみる。
自分の頭のなかだけで「私が悪いんだ」をぐるぐる回していると、マイナス思考が加速すします。そういった仕組みになってるんですよね、僕たちって。
だから、話す、気持ちを安全な場所で外に出してみることです。
自分を責めがちな人って、外側に気持ちの置き場所を作ることがちょっと苦手だったりするのかもしれない。
話したいことがあっても、「話したい・・・けど、今はいいか」と抑え込んでしまう、というか。
これも過去の学習の結果というか、下手に気持ちの置き場所を求めて失望したり、相手に嫌がられたらしんどいわ、というイメージから来ているかもしれないですよ。
だから、あなたが「この人だったら」と思える人、できれば最初は日常の生活に関わることがない安全な人、との間で話すといいと思うんですね。
いくら優しそうな同僚や仲間でも、話すとマズいかもと思うなら、その人とは後で話す。まずは話す、気持ちの置き場所を作ることに慣れてみるのもありかな、と思いますよ。
自分の考え方そのものを、見つめてみる
心理学に、認知再構成法という考え方があります。
「私が悪い」と反射的に浮かんだとき、それって本当にそうだったかな、他の見方はできないかな、と、自分の受け取り方を、一回ゆっくり点検してみる方法ですね。
これも有効な手立てです。
このように、自分を責めない方向に持っていく方法はあります。
最後に
ひとつだけ、気づいてもらえたらと思うことがあります。
それは、あなたの「反応の強さ」のことです。
自分を責めること自体は、おそらく誰にでも起こり得ること。
ちょっと失敗して、「あー、やってもうた」と落ち込む。
それは、ごく普通のこと。
でも、責めるクセが強い人の追い込み方って、けっこう強い事が多いですよ。
たった一つのミスから、自分の存在ぜんぶを否定するところまで、ひと息に行ってしまう。
もし、ちょっと心当たりがあるなら。
その”強さ”は、たぶん、あなたひとりの気合いや意志で、どうにかしようとするには、少し手強いです。
なぜならその自分責めの強さって、客観的に推し量れるものじゃないので。
*
最後に個人的な意見を書かせてもらうと・・・
自分を責めている人って、誰かを責めたい人じゃないんですよね。できればそんなことはしたくないという意思を抱いている人が多いようです。
でも、自分を責めてしまうと、つい誰かを責める前に、自分が限界を感じてしまう。
その姿を誰かが見ることで、その誰かの気持ちがマイナスの方向に進んでしまうこともある。
・・・もうどうすりゃいいのよ、って話なんですよね。
自分を責めてもダメ、自分が落ち込んでいてもダメ。
でもね、あなたが誰かを傷つけたくないという思いは真っ当な気持ちなんです。
そこを「自分に負荷をかけすぎずに実現する方法」も考えてみてもいいかもしれないですね。
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ここまで読んでくれたあなたへ。
「期待しないほうが楽なのかな」「職場にいづらいな」「私って人と違うのかな」
そんなことを、なんとなく考えながら読んでいた方もいるかもしれませんね。
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