「愛されることが怖い」という難解な問題について扱います
「愛されることが怖い」と聞くと、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか。
「えーそんなことってあるの?」と思われるでしょうか。
それとも
「わ、分かる。分かりすぎる。あたし、人から好意を向けられたり愛されそうになるだけで悪寒が。ときにはうげげ〜って吐き気を感じるんです」
「愛しているときはいいんだけど、愛されるかも?と思うだけで逃げたくなります・・・」
「相手の好意を感じると、自分から先に嫌われようとしてしまいます」
「まさか、私が愛されることを怖がっていたから、ダメ男ばかり追いかけていたってこと?」
なんて思われるでしょうか。
実はこの「愛されることが怖い」という問題は、自立された方、人を愛そうとしている方にみられる現象でございます。
この「愛されることが怖い」という問題は、いわば大人の恋愛や対人関係における
「なぜか幸せなパートナーシップにたどり着けない素敵なオトナ問題」
を作るものといえます。
また、この問題を解決するポイントは「愛されることがなぜ怖いのか」という部分にあるわけですが、まー分かりにくい話でもありますね。
実はこの心理は、ロックマン好きな女性、愛してくれない男性が好きな女性に多く見られものでもあるんですよ。
ということで、今日は「愛されることが怖い」と感じる理由と、乗り越える方法についてまとめてみます。
Index
なぜ「愛されることが怖い」と感じるのか
さて、今回のテーマ「愛されることが怖いと感じる理由」は
自分の中に「愛されることへの禁止(タブー)」が存在するからです。
そもそも僕たちは禁止(タブー)を破ることを悪いこと、怖いことと認識します。
よって、『愛されることを禁止』している人ほど、怖い、キモい、嫌だと感じるのです。
この「愛されることへの禁止(タブー)」が存在する限り、自ら愛されない方へ、愛されない方へ、と動いてしまうのです。
こんな様子を例えて「愛され恐怖症」なんて呼ぶ場合もあるのでしょう。
が、心理学では「防衛」とか「人と関わり、愛されることからの回避行動」と表現するほうがしっくり来るかもしれません。
要は「愛されることを回避したりタブーとすること」によって、より感じたくない気持ちを感じないようにしている、とも言えるのです。
「愛されることが怖い」人が陥る罠、その具体例
また、「愛されることが怖い」という人が陥りやすい罠は、心理学でいうところの「ゲーム」という言葉で表現することもできるんですね。
「ゲーム」とは「相手を自分の都合よく扱い、結果的に後味が悪いものになるコミュニケーション」とご理解いただくとわかりやすいでしょうか。
例えば、「愛されることが怖い」と感じる人に多く見られる
「愛されることが怖いから、あまり愛してくれなそうな男性に魅力を感じ尽くすけど振り向いてくれない(でも諦めきれない)」
なんてパターン。
このような方の中には、「こんなに一生懸命彼のために頑張っているのに!」という怒りや強い虚しさを抱えておられる方も多いのです。
その根っこでは「愛されることへの禁止」があり、結果「相手の要望に答えようと頑張りすぎてしまう」のです。
が、ここには「愛されることへの禁止」があるからこそ、「愛してくれなそうな男性と関わる」というゲーム的要素(自分の事情から相手を選んでいる部分)があるわけですけど、なかなかそこが見えないわけですよ。
気持ちとしては「その彼が好き」と感じているわけですし。
実際に「一生懸命尽くして愛している私」がいるわけで、そこは多くの方にとって「否定されるべきではないよね」と感じる部分なのですね。
なので、周囲からは「好きならしょうがないよね」とか「あなたなりに頑張って愛しているじゃない」とも言われることがあるでしょう。
ときには「そんなに頑張っても振り向いてくれない人、選ばないほうがいいんじゃない?」とも言われるでしょう。
が、当のご本人は「こんなに一生懸命やってるのにどうして!」という虚しさが込み上げてやりきれなくなりつつ、諦めきれないわけです。
なぜなら未だ「愛されてはいけない」というタブーが存在するからなのです。
つまり、愛されることが怖いままなので、「愛すること」しか選択肢がない状態なのです。
「愛されることが怖い」と感じはじめる理由
さて、では「どうして愛されることが怖い」とか「愛されることへの禁止(タブー)」が必要になるのでしょうか。
ここでは様々なことが考えられますが、代表的な事例が「愛着の不足」です。
要は「愛着を求めるな」「愛着を感じないほうが楽だ」と思う必要がある状態があった、という場合ですね。
例えば、「いい子」ほど「親に迷惑をかけないために欲しがらない」と思うでしょうし。
本当は親の愛情がほしい時にもらえなかった、放っておかれた、厳しく扱われた、といった、愛着形成が不十分な場合。
子供は「親からの愛を求める気持ちを持ち続けることが辛いので、封印してしまう」ことがあるのです。
これが「愛されることへの禁止(タブー)」のルーツであった、という場合って少なくないんですよね。
つまり「愛されることを求めると良いことがない」という経験をしている、ともいえます。
「愛されることが怖い」まま大人になると生じる現象
また、愛されることへの怖れを感じているということは
「怖れの影響から、現状を維持することが続く」
ということでもあるんです。
怖れの効果は、ビビるという部分にあるだけでなく
現状維持、つまり何も変えない・変わらない、という部分にもあるんですよね。
だから、愛されることが怖いと感じていれば、どんどん気持ちの面で消耗していく毎日を過ごすことにもなります。
例えるならば、ガソリンを入れずに走り続けている車、のような状態になるんですね。
すると、大人になる過程で自分のエネルギーを補給するために
「愛する側、人の役に立つ側に回ろう」
という結構硬派な意識が強くなる場合も少なくないんです。
僕たちは与えること、愛することでも喜びを感じますからね。
このような態度は基本的に承認されることが多いんですよ。
真面目だね、しっかりしてるね、努力家だね、とかね。
(逆に、「私ってかわいくない」「受け取りベタで可愛げがない」といったコンプレックスを形成することもあるわけですが・・・。)
すると、ますます「私の選択は間違っていない」と思い込み、「愛されることへの禁止(タブー)」は強化されちゃう、なんて話もあります。
その分だけ、愛されること、特に「依存心」をめちゃめちゃ激しく嫌うようになる方もいます。
なので自分にも他人にも
「依存したいなんてありえない!」
「依存してくる男なんて気持ち悪い!」
「頑張れないなんてただの甘えだー!」
「うまくいかないのは、気合と根性と愛が足りんのだー!」
などと思いこむようにもなりかねないわけです。
その結果、大人になっても自立して与える側から降りられなくなったり(頑張りすぎて燃えつきそう)
恋愛では、全く甘えてこないロックマンを好きになったり
愛してくれなそうな人(自分が依存しなくていい)をパートナーに選ぶなどの状態にもなるのです。
もちろんそうなることが悪いという話ではありません。
そうなるべき理由があるという話であって、いい悪いという話ではありませんから。
ただ、この状態を継続すると「愛されることが怖いまま」となるわけです。
「愛されることが怖い」を改善する方法
では、どのようにすれば「愛されることが怖い」を改善することができるのでしょうか。
ここではいくつかの方法やそのプロセスについてまとめておきますね。
「愛されることが怖いと感じているんだ」と自覚すること
第一のプロセスは「自分自身が愛されることが怖いと感じている」と自覚することです。
かつ、「愛されることが怖いと感じている自分を、そのまま認めてあげる感じ」です。
愛されることが怖いと感じる理由、「禁止」をいきなり紐解くことは難しいのです。
なぜなら、多くの方が「意識では愛されることを望んでいる」からなのです。
だからこそ「愛されることを禁止しているだなんて気づかない」わけですし。
逆に「好きになった人(ロックマンなど)に愛してもらえないことで傷つく」のです。
ただ、ここで恋愛などで傷つき続けたり、頑張り続けて燃え尽きると、いわば二次被害のような別の問題を作りかねないんですよね。
だから、まず気づくこと。
「愛されることが怖いと感じている自分がいる」と知り
その状態が悪いわけではない、と理解することが重要なのです。
愛されることへの禁止を強化するパターンに気づく
次に重要なことは、当たり前のように考える「愛されることへの禁止を強化するパターンに気づくこと」です。
例えば、「今、私寂しいかも」と感じたとき
「誰かに愛されたいかも、誰か(友達や恋人、家族などと)関わりたいかも」となる人は、あまり愛されることへの禁止が強くないタイプなのです。
一方、
「もっと頑張れば誰かに認めてもらえる」
「ちゃんとしなくちゃ。ちゃんとしていればきっと報われる」
「自分次第でなんとかなるし、しんどいけど今頑張っていれば大丈夫」
そう感じやすい人って、ある意味人との関わりを求めていないんですよね。
つまり、人とのつながり、絆、愛情などを求めない行動パターンを持っているともいえるのです。
ここに「愛されることへの禁止」の一端を見ることもできるんですよね。
更に次のパターンが重要なポイント
ただ、この次がもっと重要なパターンなのです。
もし「頑張っているのにそれでも寂しさが埋まらない」ときに、
「私は愛してもらえないんだ。そんな存在じゃないんだ。だから愛情を求めちゃいけないんだ」
そんな風に思うとしたら、これは確実に「愛されることへの禁止」を強めているってことになります。
ここで「愛されることへの禁止」を強めているのだと気づくことが重要です。
あまりに当たり前、長年付き合ってきたパターンなので自然すぎて違和感を感じないかもしれませんが
「それな!」
と気づけるかどうかが「愛されることが怖い」から抜け出すポイントになります。
もっと言うならば
「甘えちゃだめ」
「他人に頼っちゃだめ」
「ちゃんとしなくちゃ」
「もういい大人なんだからしっかりしなくちゃ」
そんな思いも「愛されることへの禁止」だったんだ、と気づけるかどうか、です。
ね、そんな風に思うことが当たり前になっていません?
そんな人間にだけはなりたくないわ〜!って長い間戦ってきましたよね?
でも、愛されることを自分に許可している人は
自分が子供だろうが大人だろうが、ちゃんとしていなかろうか
人に関わり、愛を求める許可が出ているんです。
ここに気づけるかどうか、ってすごく大きなポイントなんですよ。
愛されることに慣れる、求めてみる
ここまで気づけたら
自分の中で素直に「自分は人からの愛情が欲しいと感じているんだ」と認めてみることです。
それは恥ずかしいことでもなんでもありません。
そして、今まで禁止してきた自分を恥に思うこともありません。
大人なのにそんなこともできないなんて、なんて思う必要はビタ一文ありません!
愛されることから遠ざかったにもそれなりの理由があるのだから、自分を責める必要もありません。
*
で、そのあとは実践のみ(笑)
実際に、自分から人と関わってみることがいいでしょうね。
自分にとって優しそうな人、受け入れてくれそうな人、話を聞いてくれそうな人、認めてくれそうな人を選んで、関わってみること。
まぁ僕なんて存在は皆さんのリハビリ?の相手として存在しているようなものですけども。
愛されることを禁止してきた方ほど、人からの「愛情」って大きすぎて受け取りきれないものかもしれません。
遠慮深さも愛されることへの怖れかも
実際カウンセリングの中でも
「浅野さんに頼りっぱなしで申し訳なくて」
なんてお伝えくださる方もいるんです。
これもまた「愛されることへの怖れ」。
だけど、なかなかね、遠慮しちゃうことも少なくないのかなと思いますよ。
特に子供の頃から人の愛を受け取った経験が少ないと、そう感じるものです。
ただ、これは経験、実践、実感が物を言う部分なのです。
実際に、人の愛に触れてみる、人の思いに触れてみる。
少しつづでいいから、今受け取れる部分だけでいいから、感じてみる。
そしてその相手に感謝の気持を持っておく。
それだけでいいんです。
最後に
この「愛を受け取る」ってハードルが高いと感じる方も少なくありません。
そもそも僕たちは愛されないことも怖れますけど、愛されることも非常に怖れるものなんですよ。
だから、受け取らず自立を強め、与える側に回り続け
愛されるたびに「私はいいですから」と言い続けてしまうのですよ。
そんなときなこんな風に考えてみてください。
「愛を受け取ることは、相手の愛情を肯定することにもなる」と。
だから、怖いけど、めっちゃ恥ずいし、キモし、時に吐きそうだけど(^^;
あなたのペースでゆっくりとそのハートを開いて、人の愛を受け取ってみてください。
大丈夫。
あなたが100回人の愛から逃げても
101回チャレンジしたら良いだけですからね( ̄ー ̄)ニヤリ
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