恋愛クラッシャーな私とその深層心理
なぜか彼や彼女といい関係になると壊したくなる(別れたくなる)というご相談をいただくことがありますよ。
例えば「何故か私から関係を壊してしまうんです。本当は長く関係を維持したいと思っているんですが、自分から相手をふってしまうんです。」
「彼(彼女)との関係が長く続いていくと思うと、途端に『キモい』『もう無理だ』って思っちゃうんです。一度そう思っちゃうともう本当に無理で。もう別れたい、今すぐ関係を切りたいって思っちゃうんです。」
ただ、「別れたあとで後悔するんですけどね、いつも」という言葉も伺うわけですけどね。
確かに、心では結婚もしたいし、恋愛も長く続けたいと思うのに、自分から関係を壊してしまう人っていらっしゃるんですよね。
悩ましいのは自分でも「なぜそうしてしまうのか分からない」からでしょうか。
意図的に関係を壊すなら実にわかりやすい話なのですが、いつもなぜか「壊したくなる」とするならば、自分でもなかなか気持ちをコントロールできないでいるのかもしれません。
他人目線で見ると「それってワガママなんじゃないの?」「悲劇のヒロインぶりたいんじゃないの?」なんて思える話ですが、そういったみなさんの深層心理をじっく〜り見つめていくと、「いや、そうとも限らんぜよ」「本当に自分でもコントロールできずにいる可能性が高いぜよ」なんて僕には思えたりするのです。
ということで、今回は「恋愛クラッシャーな私の心理」について簡単にまとめておきまする。
さて、のっけから質問です。
さて。
もし、僕たちは破壊的な行動を取るならば(今回は自己破壊的とも言えますが)それなりの理由があると思いませんか?
とかく「自分にとって大切なもの」をぶっ壊したくなるとしたら、それなりの事情がない限りそんな行動に出ないと思いません?
では、人が破壊的になる時ってどんな時でしょうか。
人が大切なものを壊してしまいたくなる時って、どんなときだと思います?
・・・。
はい、そうですね。
「怖い」ときですよね。
多く恋愛クラッシャーなみなさんは、その心の内で抱えきれない「怖れ」「不安」を抱えているものだ、と僕は見ています。
誰しもまぁ大切なものは大切にしようと思うでしょうからね。まずぶっ壊したいとは思わないはずなのです。
さて、更に質問です。
では、「どのような怖れ」を感じていると思います?
大切なものを自らぶっ壊したくなるとしたら、どんな怖れを感じていると思います?
・・・。
まぁ、この答えはきっと一つじゃないと思うんですけどね。
僕が知る限り、最も多いケースは「大切なものが壊れてしまう怖れ」なんですよ。
恋愛で言えば「関係が破綻してしまうのではないか」とか「相手が私をふるんじゃないか?」といった怖れです。
その恐れを感じていることが耐え難いときに、自ら膨らんだ風船を割るかのごとく関係をぶっ壊してしまうんですな。
そうすることで「自分の目の前で大切なもの(関係)が壊れていくさまを見ずに済む」というわけです。
そもそも大切なものがなければ、壊れるさまを見ることはない、というわけですね。
だから、いくらパートナーのことを好きで長く付き合いたくて、もちろん相手を傷つけたくなかったとしても、自分が傷つくことに比べたらそのほうがマシ、と考えてしまう人がいらっしゃるわけですな。
言い換えるなら、それぐらい「私は幸せになれない」とか「私の幸せは終わってしまう・壊れてしまう」といった自己概念(観念・感覚)などを持っている可能性があるのかもね、という話なんです、ハイ。
もう二度とこんな思いはしたくないという気持ち
人は「私に何の非もないのにひどい目にあったり、悲しい思いをすると、なぜそんな事が起きたのかを考える前に、二度とそんな思いはしたくない」と思うことがあります。
とかく自分に非がない、自分に全く悪意などない状況で、しかし悲しい現実と向き合うことになったとしたら、まぁ何を信じていいか分からなくなってしまっても不思議ではありませんよね。
とかく恋愛クラッシャーな方って、その過去でこのような経験をされていることが少なくないのかもしれません。
例えば、自分に全く悪意などないし、愛情しかなかったのに、突然彼に(彼女に)フラれたことがある、とかね。
例えば、自分はただ親のことが大好きだっただけなのに、親の事情で強く拒絶された、こっぴどく否定された、一緒に過ごすことができなかった、とかね。
いいか悪いかという話ではなく、そういった「自分の意志だけではどうにも回避することができない」ような、悲しい出来事、辛い出来事を経験していたり、自分の好意がけんもほろろに否定されるような出来事を経験した、なんてことがあるのかもしれません。
すると、そんな自分自身のことを肯定できなくなっちゃうんですよ。
愛されるとか、愛してもらえるとか、自分の気持が相手に伝わってちゃんと影響力を持っていることがわかる、とか、そういった感覚がぶっ飛んじゃうんです。
その深層心理にはハートブレイク、自分への疑い、自己嫌悪が見て取れることも少なくないのです。
いわばそれぐらい傷ついた経験があった、ということです。
だから、いつも「今の私じゃ大切な人やモノとの関係は維持できないんじゃないか」って感じてしまうわけですよ。
ただ、なかなかそういった不安を人に話すことも避けたいと思う人が少なくないのも事実。
だからでしょうか、子供のことから長い間、たった一人でそういった気持を抱えておられる方も多くて、人生で初めてこの話をした相手がカウンセラーだった、なんてケースも少なくないようです。
もちろん多くの場合、そのご本人さまも必死で努力されている事が多いんです。
「今の私じゃ大切な人やモノとの関係は維持できないんじゃないか」と嘆いているだけじゃなくて、ちゃんと自分を磨いたり、キャリアを積んだり、人一倍見た目を気にしたり、勉強や仕事を必死で頑張ったり、努力されているんです。
そういった努力が「自分を肯定する要素」になっていくならば、おそらく恋愛クラッシャーにはならないんです。
が、どれだけ努力しても「本当に私で大丈夫なの?」とい疑いが残っちゃうと、どうしても自分が向き合っている人やモノが「大切で大切で絶対に失いたくないと思うもの=本当に好きなもの」になればなるほど、「また失うんじゃないの?」「関係を維持できなくなるんじゃないの?」といった不安を感じやすくなってしまうものなのですよ。
ホント厄介なのは「どーでもいいものと向き合っているだけでは感じない怖れ」だということなんです。
だから、普段はそういった怖れを感じにくいんです。
なぜか、大切なものや人と向き合った途端に湧き出してくるんです。
多くの恋愛クラッシャーな皆さんって、本当に恋愛や結婚に夢や希望を持っていたり、大切な人と深い関係を培うことを心から望んでいらっしゃる方が多いと僕は思っています。
が、その本当に手に入れたいものを目の前にすると、人一倍怖くなっちゃうんですよね。
また失う、また壊れてしまう、といった思いが吹き出してくるんです。
その恐れに耐えられなくなって、今の関係を壊してしまう=安心しようとする、ということが起きるわけですね。
つまり「後で後悔する」ってのは、怖れに耐えきれず自ら怖れを回避しようとしてしまったことへの後悔なんです。
相手のこと、嫌いになったわけじゃないならなおさら、ですよね。
ただ、いくら後悔しても、なぜこんな風に壊してしまうのか(怖いのか)の理由はなかなか見えてこないことも少なくないのかも?と僕は思っていたりします。
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ということで、実際のカウンセリングでは「その方にとってのハートブレイク(傷ついた経験)」にフォーカスして癒やしを進めたり、そもそも自分が何を恐れているのかに気づいていただくようなアプローチを用いることが少なくないんです。
このようなお悩みを抱えている方に「大丈夫だよ、あなたには魅力も素晴らしさもあるし」とお伝えしても、「それでもぶっ壊れたんですよ、大切なものが」と思われる可能性が大なのですよ。
だから、いわゆる好きなことをするとか、自分らしさを見つめ直す、といったプロセスは後に回すことが多いんです。
それぐらい「怖れ」について見つめていったほうがいい、と僕は考えているわけでございますね。もちろん怖れという感情って手強いので、焦らずじっくりと、になるんですけど。
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また、特に今まで何度も関係を壊してきた、という経験をされている方は、悪意がないにせよ、その時付き合っていた人との関係を切り離したという罪悪感も抱えやすいんです。
そういった経験を積めば積むほど、罪悪感の補償として、何故か自分が苦労したり、自分にメリットのない関係(そんなの好きではない人と付き合うなど)を持とうとすることも多くて、なかなか恋愛や結婚に対する悩みが深まってしまうこともあるようです。
もし、あなたがつい大切な人との関係を壊してしまうなら、一度このように考えてみていただくといいのかもしれません。
私は、自分の意志とは関係のないところで大切な人との関係が壊れることを恐れているのかもしれない、と。
だから壊してしまう、というパターンを、その怖れは「相手のことを本当に大切に思っている証」と変換できればいいですね。
そもそ相手のことをも大切だと思わなければ、そこまで怖れることもないでしょうからね。
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