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私の前に現れる「キャスト」とは
僕たちの世界では以前から「リハビリくん」「リハビリさん」という言葉があるんですよ。
どのように使用される言葉かといいますと
「その人との関係はあなた(の恋愛)にとってのリハビリ相手なのかもしれませんね」
という感じですね。
例えば「今、カレがいるのだけれど、元カレとの別れの影響を多大に受けていて、イマイチ気持ちが盛り上がらない」なんて場合
別れたという事実が大きく、今のカレに気持ちが乗らず、いわば本来の私らしくない状態で選んだカレがいるなんてこともあるわけですね。
意識としては一緒にいたい、ちゃんと恋愛したいと思うのでしょう。
そして、そばにいて嫌な気持ちになるわけでもない。
しかし、すごく幸せ、未来が見えるような感覚も感じない。
こういった状態にある相手を、もしかしてリハビリくん?(彼女の場合はリハビリさん?)なんて表現を使う場合があるわけです。
私の人生に必要な「キャスト」の意味とは
ちなみに僕の場合、このような相手を総称して「キャスト」と表現することがあるわけです。
「今のあなたにとって必要なキャストなのかも」とかね。
ときには「いいか悪いか別にして、あなたが自分の状態に巻き込んだキャストかも」なんて表現をするのです。
今の自分に必要な演者という意味から考えれば、今そばにいることもまた必然なのかな、みたいに考えることもできますね。
こういった「キャスト」は、これから二人が作り上げる未来志向のストーリーのために存在しているというよりは
「今の自分の心理状態が紡ぎあげた物語の中に必要な演者」
という意味合いが強くなるんです。
だから、キャストの存在には一定の意味があると僕は思うのですが
むしろ「自分自身の心理状態を示すシンボル」として機能していると考えると、いろいろな自分の事情が見えてくることがありますね。
また「キャスト」があまりに頻繁に登場する状態にあるならば
「なにかしら自分自身の中に癒やしたい感情があるのかもね」
と見ることもできるのです。(あくまで目安ね、目安。)
キャストの種類について考える
さて、このキャストなんですが、いくつかの種類に分かれるように僕は思うのです。
これは心理学的に云々という話ではなく、僕の経験と学びの中で導き出した僕なりの分類なのですけどね。
どのキャストが自分の目の前にいるのかを見つめることで、実は自分の状態を知ることができるのです。
そこで恋愛カウンセリングの中で登場しやすい代表的な「4つのキャスト」をご紹介します。
恋愛のリハビリ相手
これはいわゆる「リハビリくん(さん)」のこと。
例えば、過去の恋愛で深く傷つきリカバリーできていない状態であったり、恋愛経験が少なくてぎこちない自分に合わせてくれる、そんな意味合いのキャストです。
このリハビリ相手との関係を通じて、恋愛にまた馴染んでいったり、パートナーがいない状態ではない、という事実がちょっぴり自信を回復できたり。
そんなことが起こりやすいですね。
新しい視点・価値観を教えてくれる相手
これは自分にはない新しい視点、価値観を教えてくれる相手です。
キャストとしては人生の先生・先輩・お兄さん・お姉さんといった意味合いを持ちますし、自分自身の視野を広げるために出会ったであろう人、という意味にもなります。
だからでしょうか。
このタイプのキャストと出会うと、相手に執着しやすくなるようです。
要は自分にないものを持っている人(その時点で自分との心理面でのバランスが取れていないことも少なくないわけですが)だから、失いたくないと感じやすいのでしょう。
ただ、たとえ別れたとしても、執着を手放して時間がある程度経過すると「あの人との出会いには深い意味があったな。出会えてよかった」と感じやすくなる、そんな側面もあるようですよ。
ま、人は悪い記憶から忘れるものなので、思い出は常に美しくなりやすいものですけどね。
ただ、そういった出会いにも意味があったと思えるなら、それもまたステキなことなのかもしれませんよね。
自分の犠牲や自己否定を示してくれる相手
例えば恋愛で「今までなら好きにならなかった人を好きになりこと」ってありえますよね。
もちろん、その選択の理由が「自分の価値観や包容力が広がったことによるもの」であるならば、きっと問題はないのでしょう。
が、実は一人が寂しすぎるとか、誰かを好きでいないと不安、恋愛していないと不安といった個人的な事情から「今までならば選ばなかった人をパートナーに迎える場合」もあるわけですよ。
このとき、実は心の憶測で気づいている人もいるのではないでしょうか。
なんとなーく感じている違和感、異質感のようなもの。
「自分(もしくは相手)が無理をしているような感じ」をね。
この場合、相手は「自分が無理や犠牲をして付き合っているということに気づかせてくれるキャスト」となることがあります。
ただ、どこか自分の中に違和感があったとしても、例えば一人は寂しすぎるとか、誰かを好きでいないと不安といった事情があるならば。
おそらく自分が感じるであろう違和感などは自ら否定することになるでしょう。
だから、そのキャストが必要になるのです。
いわば
犠牲や、自分を否定的に見すぎてりる事実、無理を続けている事実などに
あなたが気づいて学ぶまで、そのキャストは必要になる
ってことです。
ちなみに、このタイプのキャストを選ぶ人の内面には、かなり極端な考え・発想をもたらす何か(例えばハートが傷ついた自分)が存在することも少なくないのです。
が、まぁややこしい話なのでそれはそれとして置いておきましょう。
実は「私をキャストとして扱っている相手」
これも非常にややこしく分かりにくいですが、超重要な意味合いを持つキャストです。
これは「相手があなたのことをキャスト(リハビリ相手・新しい価値観を学ぶ相手・犠牲や自己否定に気づく相手)として迎え入れている」という状態を意味します。
つまり、「私が相手のためのキャストを担っている」ということに気づかせてくれるという意味での「自分にとってのキャスト」なのです。
よくあるケースとしては、「めっちゃ人が良くて何でも受け入れちゃうタイプ(尽くすタイプ)」に見られるケースです。
例えば
「私と付き合う男性はどんどん成功したり元気になる。
しかし、相手が元気になったり成功すると別れることになっちゃう」
なんてケースが典型例です。
いわば、自分自身の生き方が「誰かの役に立つという大義名分のもと、誰かにとってのキャストを担う」という形になりすぎている可能性があるわけです。
この「誰かにとってのキャストばかりになっている私」に気づかせてくれる、という意味で
「相手が成功したり元気になると私から離れていく」というキャストが必要になるってことなんです。
つまり、いつまでも人の事ばかり考えていないで、自分のことを考えてね、というメッセージを理解するまで、このようなキャストを「自分が選ぶ(恋愛相手として迎え入れる)」わけです。
いわば「自分の価値を受け取って、対等な関係性を作る」という課題がある、という感じなんですね。
キャストは愛を与えられない相手?
さて、そもそもの話。
僕が「キャスト」という言葉を使うにはそれなりの理由があるんです。
その理由の中で最も大きな意味は
「キャストは愛を与えられない相手となりやすい」
ということなのです。
もちろんすべてそうなるとは僕も思いません。
出会った当初はキャストとの恋愛だったとしても、愛や絆を学び、真実の関係になることだってあり得るでしょう。
ただ、カウンセリングの現場にいるとこう思うことが多いんです。
例えば、あなたが犠牲ばかり続けていたり、過去の恋愛のダメージを隠しているとしたら、なかなか積極的に自分を表現することは難しくなりますよね。
時には自分を偽ったり、孤独や不安のために誰かを必要とすることもありえるわけです。
こういった事実が悪いということではないのです。
が、自分がこのような状態であればあるほど、自分も喜べませんし、相手に深い興味を持ったり、対等さや絆を感じることはあまりないのかもしれません。
だからキャストとの恋愛ほど、不安や孤独感を感じることが多くなるのだろうと僕は見ています。
その理由はやはり絆を感じにくいから。
どこか相手との特別な関係を喜べる状態ではないからなのでしょう。
逆に言えば
今の恋愛はキャストとの関係なのだけど
「自分が何も変わっていない・気づいていない」という状態が続くと
うまくいかないことが増えるのかもしれません。
いわゆる「受け取り不足」ってことなのかもしれませんね。
逆に、自分自身が常にキャストを必要としていたり、今の恋愛が楽しめないことで悩むとしたら。
誰よりも絆や相手との特別な関係を心から望んでいるのは自分なのでしょうね。
ただ、そう願ってもうまくいかない状態だから、キャストばかり選ぶとか。
時には相手をキャストとして巻き込んでしまうこともあるのかな、と思うのです。
私の恋愛相手はキャストなの?と思ったら
ここからは「もしあなたが今日のコラムを読んでなにか引っかかるならば」の話です。
もしひっかかるならば
「自分の気持ち(恋愛や結婚・パートナーシップに対する観念)を見つめてみる」
といいでしょう。
例えば
- あなたにとって恋愛、好きな人との関係はどのようなものだと感じているのか。
- 安定した絆を手に入れるためには何が必要だと思っているのか。
- 対等さ、絆ってどのようなイメージがあるのか、などなど。
このあたりのあなたの観念がパートナーシップの中身に影響していることは多々あります。
もし無理をしすぎていたり、ネガティヴに考え込みすぎているなら、その価値観を否定せず、しかし新しい価値観を取り入れてみてもいいでしょう。
どうしたら新しい価値観を取り込めるか、そこに気づくかどうかがポイントになるでしょうね。
ヒントは「まぁもうちょっと人の気持ちを受け取ってみたらどうでしょう」ってことなんですけど、分かりにくいですかねぇ?
最後に
また、今日のコラムを読んで
「え?私の彼はキャストなの?」と考え込む必要はありません、
むしろ、今あなたのそばにいる相手をそんな目で見ないであげてください。
なぜなら
キャストはあなたが必要とし、それに応えてくれている相手なのですから。
今あなたのそばに相手がいるなら
「私のプロセスに付き合ってくれてありがとう」
と感謝するべき相手だということはぜひご理解くださいね。
ここが理解できれば、もしあなたが誰かにとってのキャストを担ったとしても、それがネガティヴなことではないと理解できると思いますよ。
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