日常に使える心理学

劣等感・コンプレックスで深く悩んでしまう心理

劣等感・コンプレックスで深く悩んでしまう心理

劣等感やコンプレックスを感じて悩む女性

一般的に、等感・コンプレックスで深く悩んでしまう理由は

「劣等感やコンプレックスの原因となっている要素を受け容れられない」ことによるものなんです。

僕たちはどこかで「劣等感やコンプレックスで悩む理由」を

「劣等感やコンプレックスを感じる要素をなくせない、克服できないから悩む」

ように感じますが、実は逆なのです。

むしろ、受け入れられない時間が続くことで苦しみや葛藤が続くのです。

ただ、自分を受け容れられないものこそ、劣等感やコンプレックスですよね。

だから、この劣等感やコンプレックスを受け容れて悩みを解決するには、それなりの学びと時間が必要となる場合も少なくないんですね。

ということで今日は「劣等感・コンプレックスで深く悩んでしまう心理」について、事例を使って解説したいと思います。

劣等感・コンプレックスが気になって仕方ない女性の話

その女性は子供時代にできた体の傷をずっと気にされていました。

もちろん今ではその傷をメイクなどで隠すことはできるのです。

が、今でも、自分は劣っているのではないか、不十分なのではないか、といった思いが消えず、今でもその傷がバレることを怖れてしまっていました。

それが恋愛面や仕事の対人関係のストレスの原因になっていたのです。もちろん自己肯定感にも影響していました。

彼女はかつて、特に同性の人たちから「どうしてそんな傷があるの?」「なんでそんなことになっているの?」と面と向かって何度も言われたことがあったそうです。

その影響で彼女は女性が苦手・怖いと思うようになりましたし、今でも女性が苦手でしょうがない、といいます。「自分は他の女性と比較して劣っている」「魅力がない」「絶対に勝てない」とどこかで感じていたのです。

かつ、自分の気にしていることをズゲズケと話す女性たちに「怖れ」を感じるようにもなりました。どこかマウントする女性が嫌いで敵意すら持つようにもなっていたのです。

しかし、この問題を解決していきたいと考えた彼女は、勇気を振り絞ってカウンセリングの中で相談してくださった、というケースです。

 

劣等感・コンプレックスは扱い方が難しい問題でもある

さて、このような劣等感・コンプレックスの問題はとても繊細な問題だからこそ、僕も丁寧に扱わせていただいているところです。

ご本人にとってはまさに「これが理由で恋愛や対人関係、自分の人生がうまくいかないのだ」と感じやすいことでもあり、また強い怖れや苦しみ感じやすい要素だからこそ、焦って扱うと空振ることが多いんですね。

だから、焦らずじっくり扱わせていただくことになりますし、クライエント様にもある程度の時間を見ていただくようにお願いすることが少なくありません。

また、このような問題って「自分を過剰に特別扱い」しても解決できるとは限りませんし、しかし「そのようなな悩み誰にだってあるものだよ」と考えてもしんどくなるものだと思うのです。

このような自分操縦術のバランスはとても難しいので、クライエント様ご自身も「どう自分と向き合っていったらいいか分からない」とおっしゃる方が少なくないんですよね。

例えば、自分を嫌いだと思いたくはない。けれど、どうすれば今の自分をいいとは感じることができない。だから、自分の扱い方に困惑されてしまい、結果、今までと同じように日常を過ごすことになって、疲れ果ててしまう、なんてことはよく起きることだと言えます。

また、劣等感・コンプレックスの問題は、共感のよって癒やされる場合もあれば、逆にダメージを受ける可能性も否定できない、という難しい側面があります。

例えば「失恋直後の友達の気持ちをわかってあげようとする」とか「仕事で悩んでいる彼の気持ちを理解しようと積極的に関わろうとする」と、何故か相手から反発される、なんてことに似ていると思いますよ。

触れてほしいし、愛してほしいけど、それが苦しいし嫌だと感じることもある。

そんな相反する感情を抱きやすいからこそ、劣等感やコンプレックスの問題を抱えると、人との関わりに置いての問題を抱えやすくなりますし、必要以上に人から分離し、孤独になりやすいとも言えます。

だから、更に自分次第でなんとかなるとも思えない問題でもあり、なかなか悩ましい問題になることが多いようですね。

だからこそ、僕としましては、あまりに深いお悩みの場合、信頼できる誰か・専門家などにご相談されることをオススメいたしますが、ある程度自分で向き合っていく方法もあると考えています。

今日はその考え方について少しご紹介したいと思います。

まずは自分の長所を見つめることから始めよう

カウンセリングはまず、彼女か抱えているお気持ち、葛藤などを僕なりに受け止めさせていただきながら、進めさせていただきましたよね。

多くの方が「相談する」という行為自体に抵抗感を感じやすいものだと僕は思うのです。自分の弱さや悩みについて話すということはやはり勇気のいることですから。

だからこそ、その彼女の思いを大切にさせていただきながら、いくつかの日常でできる提案を交えて、カウンセリングを進めていきます。

 

さて、実際にお話させていただいたその彼女には、大変なすばらしさがありました。

彼女は実直、誠実、努力家、なにより優しさと繊細さを持ち合わせていた、と僕は感じておりました。

その長所を見て、知って、感じて、受け容れ、認めていくプロセスはやはり欠かせないものですし、僕がものすごく大切にしていることです。

どんなに劣等感やコンプレックスを意識して悩んでいても、自分の長所や強さ、魅力は消えることはありません。

が、あまりにネガティヴな気持ちが強くなると、それを意識する余裕がなくなってしまうのです。

だから、無理のない程度からコツコツとこのプロセスを彼女には進めていただきまたよね。

まぁ僕のカウンセリングなんてものは、基本そんな話がメインといえばそうなんですよ(^^;

人は必ず素晴らしさを持っている。僕はそう信じていますしね。

その見方を曲げることはありません。(だから、あえてご自分を大切に扱わないようにしているときは、その状況は理解しながらも、若干手厳しいことも申し上げることもあります。)

そして、ある程度カウンセリングを重ねていく中で、次のようなことはお伝えさせてもらったんです。

それが「怒りの扱い方」と「取引」についての話なのです。

 

怒りと取引に着目して自分を見つめていく方法

劣等感・コンプレックスが気になって仕方ないときほど、実は(見えない・自覚のない)怒りの感情が伴っていることが少なくありません。

今回の事例ならば「体に傷がある」という事実やその自分に対して、責める気持ちがあると考えることができるんです。

もちろん正面から体の傷について指摘した過去の女性に対しても怒りを感じていても不思議ではないわけですよね。

いわば、受け容れられない自分の一部を攻撃しているイメージですよね。これは辛いですよ、本当に。

ただ、実際怒りを向けているのは「自分が自分に対して」なのですよ。

「自分が受け入れたくない部分」だけでなく、「自分の素晴らしい部分」に対しても「そんなにすごくないかも・大したことないかも」なんて怒りが向き、責めている状態になりやすいんです。

そして、自分が自分を責めている度合いだけ「人も(自分と同じように)責めるのではないか、嫌うのではないか、受け入れてくれないのではないか」と感じやすくなるんですよね。

ただ、ここで冷静に考えてみると、どうでしょう。

やはり劣等感やコンプレックスによって、一番苦しい思いをしているのは、きっとその彼女ご自身でしょう。大切に扱いたい自分を扱えないことで苦しまれているのはきっとそのご本人なのです。

このとき、やはり自分を責めるより、癒やしの目を向けたり、その要素を受け容れる方向に進むほうが自分の気持ちも楽になりやすいんです。

が、自分を受け容れられず嫌っている状態にあれば、どうしたって受け容れられず、責めてしまうものなんですよねぇ。それはもう僕個人の経験としても痛感しています。

(※ちなみに、僕が抱えていた重度アトピーによる身体的コンプレックスをどう扱ってきたかの話は、神戸メンタルサービスのYou Tubeチャンネルの動画の中にあるようなので、もしご興味があれば探してみてください。)

このときのポイントは、怒りを「責める」という形にするのではなく、「今、自分が怒りを感じているんだなぁ」と感じる方向にシフトすることでしょう。

これ、ちょっとした違いのように思えるものですけど、実際はかなり違いますよ。

怒りに飲み込まれるのではなく、「怒っているんだ」と気づくことですからね。

また、溜まっている怒りが自覚できるならノートなどにまとめて書き出す(吐き出すこと)も有効です。もちろん信頼できる人に話を聞いてもらうでもありですよ。

大切なことは「今、怒りを感じているのは自分なんだなぁ」という感じ方・意識の持ち方と、実際に怒りを自分や他人にぶつけないこと。怒りをぶつけてしまうと(そうなっちゃうこともありえるし、それもまたしゃーないことなのだろうと思いますが)余計に罪悪感を感じてしまい、より自分を責めやすい状況ができる可能性が高いのでね。

また、これもすごく大切な要素なのですが「取引」についてしっかり考えておく必要があります。

ここでの「取引」とは、いわば別世界、パラレルワールドに存在する自分のようなイメージとも言えます。

どこかで「もし、私が〇〇でなかったら」とか「もし、私が△△であったなら」と思う気持ちのことです。

時には「神様にお願いする」ようなイメージになることもあるかもしれません。

今回の事例で言えば「もし私の体に傷がなかったら」という思いです。

もちろんこの思い自体、僕は否定的に見ることはありません。

逆に、ものすごく辛いときに、感情の緊急避難先になりえるものですから、実際にそう思わざるを得ないこともありえると思うのです。

ただ、これが長く続き、現実とは違う自分を想像しつづけていても、なかなか自分の劣等感やコンプレックスを扱うことは難しくなることが多い、ということなんですね。

そもそも自分の劣等感やコンプレックスには、それを深く理解することや、受け容れることが求められている事が少なくないんです。

だから僕は「もし、私が〇〇でなかったら」と思うよりは、「それでも自分なりに対処しながら今まで過ごしてきた自分」を見て、認めていただくほうがいいのではないかな、と考えていますし、そういつも願っているところなのです。

 

また、人はこのような「取引」を続けていると、以下のようなことが起こりやすいんです。

たとえば、自分の味方や周囲のオトナな人々が「大丈夫。そんな、気にしなくていいよ、私は気にならないし」という意見を受けたときに、相手の優しさだと理解しつつも、しかし怒りを感じやすくなります。

なぜか「私の気持ちを分かりもしないのにそんなこと言うなんて」と感じやすくなる、というわけです。

もちろんそんなことを思いたくて思う人は稀だと思うのです。

ただ、取引を続けている時というのは、実際の自分ではない、なにか別の自分のあり方をイメージしている状態でもありますからね。

自分に向けられた言葉や視線が他人から「優しさ」「愛情」だと理解していても、一気に現実に引き戻されることが嫌だと感じ、怖れを感じやすいんですね。

だから、たとえ周囲の共感や勇気づけが愛から出るものだったとしても、逆の意味合いとして作用してしまうことがあるのです。

これが「人の好意や応援、愛情を受け取れない」という状況を作り、更に「自分と人は違う」という分離感を強める理由にもなっていきかねない、というわけです。

なので、ここでは「取引」よりも、「今までの自分を肯定する意識」が持てるといいですよね、といつもお伝えしているところです。

要は「苦しいながらも頑張ってこられたのは彼女ご自身」なのです。

それは紛れもない事実のはずですよね。そこ、ちょっと意識して受け止めてみませんか?というご提案なのです。

また、もしあなたの身近にこのような状態にある人がいたとしたら、「その方の今までを理解して肯定する視点」で接してみるといいかもしれませんね。

 

実際の癒やしに取り組むいくつかの視点について

これは余談になりますけど、僕自身もひどいアトピーによる劣等感やコンプレックスが消えずに苦しんだ時期があります。実は、今でも人目を過剰に気にしてしまいそうになり、不安や怖れを感じることがありますよ。(なかなか信じてもらえないことも増えましたが(^^;)

ただ、こんなときほど先程書いたことを意識して、立ち戻るんです。

「あぁ、今、自分は怖いって感じているんだなぁ」
「まだ、自分がどう見られているか、気にしているんだなぁ」
「どこか作り上げた理想の自分にならなきゃって感じているんだなぁ」

そう淡々と意識して感じるようにもしています。そのように自分の感じていることを認める意識することで、自分を責めなくなるものですし、自分に戻ってこれるんですよ。

もちろん今回取り上げたクライエント様にも同じようなご提案をさせていただいたところです。一緒に頑張っていきましょーとね。

そもそも自分は自分でいいわけですし、今思う自分が幸せや成功を得ることに大変な価値があると思うのです。(それは競争心や復讐心によってではなく、今ココにいる自分で、という意味です。)

「今の自分が幸せになることができる」なら、それもまた深い許しや感謝を実感できることではないでしょうか。

 

また、「劣等感」や「コンプレックス」を癒やせば「才能」「愛」「優しさ」になります。

こんなにも自分を苦しめてきたものが、実は人を理解し、愛し、優しさを向けるために使える要素になるというわけです。

そもそも私たちの問題、痛み、コンプレックスは自分の中だけに存在している時は、デメリットとしてしか作用しません。が、それを理解や愛、優しさに変えることができるなら、きっと自分をもっと好きになり、本当に表現したかった自分に近づくと思いません?

そのような「自分」をヴィジョンとして、一歩一歩自分とどう合っていくかを一緒になって取り組んでいきましょう、なんてお話をさせてもらうのです。

そして、劣等感やコンプレックスを扱う時ほど、その方自身のヴィジョン・目標の話もさせてもらうんです。

人は人の痛みを理解し、優しさを向ける力を持っています。(自分自身に心の余裕がないときは除く)

ただ、その優しさにはいろんな形があると思うんですよ。

例えば、相手の悩みやコンプレックスに対して

「えー私にはそうは見えないよ〜」と自分の主観から励ましてくれる人。

「何があったの?何で困ってるの?話を聞くよ」と事情を理解しようと関わる人。

「そうだったんだね。でも私はあなたの友達をやめないよ。できることがあったらサポートするよ」と伝え、実際にそう行動してくれる人。

もちろんこの違いにいい悪いということはありません。

ただ、自分自身がどんな自分でありたいか、考えてみてもいいかもしれませんね、と。

そして、最も心動くものが「自分のヴィジョン・目的」になるでしょうね。

このようなヴィジョン・目的を見失っていると、なかなか劣等感やコンプレックスは扱い方が分からず、どこまで扱えばいいのか分からなくなるものではないでしょうか。

ここでのポイントは「本当になりたい自分」をしっかり設定することなんだろうと僕は思うのです。

もし、あなたは今、劣等感やコンプレックスを理解や優しさに変えるとしたら、どんな人になりたいでしょうか。

それもまた大切な癒やしの一つの道標になるものだと僕は思うのです。

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