浅野先生に質問です。
私と彼で心地いい親密感が違うときはどうしたらいいですか。
私は物質的な距離と心の距離が連動してしまうので、彼とくっつくと心地いいと感じるし、彼に触れていたいし、密着する時間やセックスはなお幸せだと感じます。
が、彼は人に触れられるのが苦手だと自分でも言っていますが、私との物理的な距離が遠く感じます。彼に合わせるようにはしていますが、私は少し寂しいです。
たまにハグしたいと伝えると、嫌がりはしませんがなるべく早く離れようとしたり、セックスがとても心地いいことを伝えると、セックスのことばかり考えて、とイヤな顔をされたりもします。彼とは月に一度あるかどうか、だし、そのことばかり考えてもいないのですが。。。
彼が私を愛してくれてるのはわかってるし、大事にしてくれてるとも思うのですが、親密感のバランスが合わない時はどうしたらうまくいくでしょうか。
あと、彼がセックスに対してあまり肯定的に思わないのはどうしてなのでしょうか。体の関係を汚いと思っているような節もあります。
ネタ募集ネーム:まるさん
まるさん、大変おまたせしましたm(_ _)m
今日はあなたのご質問にお答えしますね。
さて、今日のご質問は「私と彼で心地いい親密感が違うときはどうしたらいいですか」ですね。
では早速回答編へ!
お互いが「相手のためになることを考えている」と解釈してみると、新しい視点に気づけます
私は物質的な距離と心の距離が連動してしまうので、彼とくっつくと心地いいと感じるし、彼に触れていたいし、密着する時間やセックスはなお幸せだと感じます。
が、彼は人に触れられるのが苦手だと自分でも言っていますが、私との物理的な距離が遠く感じます。彼に合わせるようにはしていますが、私は少し寂しいです。
なるほど。あなたと彼では随分と親密感に関する観念が違うようですね。
スキンシップがとても重要に感じているあなたと、スキンシップが苦手な彼。
こうなると二人の観念が対立しているように見えちゃいますよね。
ただ、ここでどちらが正しいのか、といった観念を持ち込むと、まぁ揉めますし、一緒にいて気分が良くなくなります。
もちろん相手の価値観に合わせて我慢し続けることも、あまり良い結果を生み出しません。
では、こんなときどう考えたらいいのかですが、僕はいつもこのようにお伝えしています。
あなたと彼、どちらも自分なりに「相手のためになることを考えている」と解釈してみると、どうでしょう。
言い換えるなら、お互いに苦手なことを避け、相手の要求を突っぱねていたとしても「それでも相手のためになることを、今の自分にできることの中で考えているから、自分の価値観からおりないんだ」と解釈して見る感じです。
*
そもそも「親密感に対する観念は人によって違って普通」です。お互いが育った文化的背景、環境、人などの影響も違うでしょうし、その人それぞれの経験も違うでしょうから、ビタッと一致する人もなかなかいないし、いれば最高ですけど、やはりどれだけ愛し合っていても価値観の相違があるものです。
ここで、自分の価値観を相手に押し付けたり、相手の価値観を変えようとしたり、どちらが優れている価値観かを争ったところで、どちらかが勝ち、どちらかが負けることになるので、このように考えて振る舞うこと自体、僕はあまりおすすめしてはいません。
また、このような衝突の際に生じる不満は、後になって吹き出してくることが多く、いわば「お互いの心の地下部分」に潜っちゃうことも多いんです。だから、今ではなくこの先揉める要因になっちゃうと思うんですよ。
だから、僕はあなたと彼、どちらも自分なりに「相手のためになることを考えている」と解釈してみることをおすすめしています。
例えば、彼はスキンシップがあまり得意じゃないのですよね。
それは彼の問題とか、罪悪感云々がという話も間違っていないのですが、今の僕は「そんな罪悪感を感じている彼だから、関わらないほうが相手のためになると考えているんじゃないのかな?」と見つめます。
その方が「自分にとっても相手にとってもいいことだ」と考えているのではないか、と。
この彼の観念がどのように心理的な影響を受けているかどうかを考えるなら「彼は罪悪感が強いのか、コンプレックスがあるのか」となるのです。
が、「万が一、罪悪感やコンプレックスを抱えている彼が、一番親密な人に対して(今回の場合はまるさんね)どのように関わるとお互いのためになるのか」を考えた結果が「スキンシップじゃなく別の形で繋がりたい」ということならば、それがあなたの気持ちを満たす正解かどうかは別にして、しかし「彼なりの思いがそこにあるのではないか」と扱って、一旦受け止めておかれる方が、二人の信頼関係につながるのではないか、と僕は思うのです。
きっとまるさんも同じじゃないでしょうか。
好きな人とのスキンシップを通じて、お互いが良い気分になったり、信頼し合えるようになっていきたいと思われているから、スキンシップを大切にしている部分ってないでしょうか。
もちろん自分自身がスキンシップを望むからそうお考えなのでしょうが、それだけならばそこまで悩まないと僕は思うのですよ。
「多くの人が、その人の今の状態において、お互いにとってメリットのあることはなにかを考えているもの」
長くカウンセリングさせていただいて、僕はこのように思うようになっています。だから「自分の望むもの、価値観を譲る気になれない人」がたくさんいるのではないか、と。
僕のカウンセリングにお越しになるみなさんって(きっとブログをお読みいただいている方もそうだと思うのですが)「ただ、自分さえ思い通りになればいい」といった考え方をされている人のほうが稀、のように感じています。
(でなければ、僕のブログをご覧になったり、カウンセリングをご利用にならないと思うんです。そんな話ばかり書いていますからね、僕は。なにかあなたの心に引っかかったから、こんな40歳超えたおっさんのブログを探して、選んで、忙しい毎日の中で時間を使って読んでくださっているのでしょう?(号泣&深謝))
つまり、多くの人が「自分なりの感じ方という制限の中ではあるにせよ、お互いのために何がベストか」を考えているものではないでしょうか。
もちろん、そのご本人が「自分は誰かの幸せについて考えていたんだ」と気づけるぐらい、自分を深く見つめたり、大切にお認めになっているかどうかは別の話なのですけどね。
その視点で見れば、彼は「苦手なことに手を突っ込んで、あなたにがっかりされたくない」とか「得意じゃないことを引き受けて失敗して失望させたくない」とか、まぁ考え方としてはネガティブかもしれませんが、そんな事を考えている可能性はゼロじゃないと思いますよ。
ここを引っ張り出して、伝えて「あなたなりに私のことを考えてくれているんだね」と伝えることは、いわゆる「彼の自己拡大欲求」を刺激することになるので、そこまで悪い方法ではないと思うのですが、いかがでしょうか。
自己拡大欲求とは
心理学では「自己認知欲求」と呼ばれるものがあり、これは2種類あると言われています。
一つは「自己確認欲求」。
もう一つが「自己拡大欲求」。
「自己確認欲求」は「自分が知っている自分を確認したい」という欲求のことですね。
例えば、自分の見た目、性格、長所、美点から、欠点、コンプレックスなど、今の自分が知っている自分について確認したいわけです。
「自己拡大欲求」は「自分が知らない自分を見つけたい」という欲求のことです。
例えば、自分はクールでドライな人間だと思っていたけど、すごく温かいねと言われて、気付いていなかった新たな自分の一面を知れた、といった感じ。
どちらかというと、人は「自己拡大欲求」を満たしてくれる人に好感を抱きやすいんですよ。そりゃそうですよね、見たまんまの自分しか見てくれない人と、新しい一面を知らせてくれる人なら、後者のほうに好感を抱きますよね。
僕はあなたと彼、どちらも自分なりに「相手のためになることを考えている」と解釈してみることをおすすめさせてもらっているんです。
逆に言えば、今の彼のあり方を見たまんま捉え、意見するとしたら、彼は今の自分しか確認できない、ってことになるんですよ。だから「僕は昔からこうなんだ」と頑なな態度を取り続けるかもしれませんしね。
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ちなみに、このような愛し方・視点を持つために最も手軽な方法が「自分自身をちゃんと見てもらう経験を積むこと」でしょうね。
「自分のことは自分が一番良く知っている」と思い込まず、人の意見や、自分の知らない一面を見出してくれる人と出会い、コミュニケーションすることなのでしょうね。
すると、このやり方にどれだけの破壊力があるか、もとい、相手に対していい効果をもたらすかが実感できるでしょう。
二人の気持ちを合わせるには「相手のあり方の承認」から始めよう
これが「彼が私を愛してくれてるのはわかってるし、大事にしてくれてるとも思うのですが、親密感のバランスが合わない時はどうしたらうまくいくでしょうか」というまるさんののご質問への僕なりの回答ですよ。
そもそも二人の観念、気持ちなどのバランスが合わないときに無理やり合わせようとしても歪みが生じます。
まぁ恋愛でも結婚生活でも、二人が違う人間である以上、そこに歪みは生じるのですけど、たとえ歪んだとしても「二人の価値観を作り、そこにお互いの合意がある」ならば、その歪は「違いを認め合う」という「愛し合い」に変わります。
お互いの関係の中で生じる価値観の相違、歪み、その客観的事実は何も変わりません。
が、お互いがその違いについてどのように捉えているか(否定しているか、認めあっているか)で、二人の関係は変わってしまうものなんです。
これが人の素晴らしさだと僕は思うんですよ。
違っているのに、自分には合わない部分をも認め合える、愛し合える。
そのあたり、ちょーっと考えて立ち回ってみると、いいことあるかもしれませんよ。
あと、彼にとってのセックスも同じじゃないでしょうか。得意じゃない、苦手、プレッシャーを感じる、といった考えだけではなく、なにか「彼は積極的に関わらないほうがより相手にいい結果を導くと考えていることがあるのではないか」と考えてみるんです。
例えば、セックスに関する嫌悪感についても、セックスを嫌悪すると言うより、いわばお互いが嫌な思いをしない、嫌なところが見せ合わない方がお互いの気持ちが整うのではないか、と考えている人もいます。
それも一つの自己嫌悪やセックスという概念にくっついた罪悪感から生じるものですけど、その制限の中で「お互いが気分良く過ごせる方法を考えている人」も少なくないと僕は思うのです。
そのような彼の気持ちを「あなたが知っていて彼女でいてくれていると彼が認知している」のか、それとも「あなたは何も知らずにいる」と認知しているのか。
この違いで、その次の二人の態度、コミュニケーションが変わってくるんですよ。
お互いに苦手にしていることはきっとあるはずです。その中で相手のために、と考えていることがある、とこちらが見つめることができるかどうか。
例えば、まるさんの場合は「彼と触れ合えない寂しさ」とか苦手じゃないでしょうか。
でも、彼がスキンシップを苦手にしている素振りを見せているとき、きっとあなたは寂しさが苦手でも受け止めているでしょう?
それって、あなたの愛情じゃないでしょうか?とても大切な思いやりじゃないでしょうか。
そういった部分が彼にもあるんじゃないか、と考えて見る感じです。
逆に、まるさんが寂しさに耐えていることを、ただの我慢とか犠牲としか捉えないと「自分がやってることの価値」が下がっちゃうと思いませんか?
これが「パートナーと揉めるための発想」だろうと僕は考えています。
僕たちの世界では「パートナーは自分の鏡」といいます。
ならば、たしかにパートナーは自分の嫌なところも見せてくれますけど(激痛)、自分の良いところも見せてくれるはず。(この良い部分を実感するために自分を認めて癒やして受け取れる自分になることが重要なのですよ〜。自分の価値を認めていないと、相手が見せてくれる素晴らしさも見えなくなっちゃうんです。)
もしそうだとしたら、「彼にとっての私に対する思いってなんだろう?」という視点を彼に向けてみる感じがいいんじゃないでしょうか。
このように考えておけば、少なからず正面突破して揉めるなんてことは少なくなるでしょうし、相互理解のプロセスがあればあるほど、お互いに言いにくいことも伝えやすくなるのではないでしょうか。
まとめると、『二人の気持ちを合わせるには「相手のあり方の承認」から始めてみてはいかがでしょう』といった感じです。
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