夫婦のための心理学

夫婦関係が悪化する理由の一つ「我慢するクセ」を心理する

腕組みして向き合う男女
我慢が募ると夫婦関係が悪化する

夫婦生活を営んでいれば「自分の気持ちを我慢すること」なんて日常茶飯事と言えるのかもしれません。

もちろん、仕事、対人関係でも同じかもしれませんけれど。

ただ、実は「あなたの我慢が募ること」で夫婦関係ってたしかに良くない方向に進む可能性があるんです。

もちろん「我慢することが悪い」という話ではないんです。

僕もカウンセリングの中で「我慢を手放すようにしていきましょう」とご提案することがありますし、

実際、僕のようなどこの馬の骨ともわからないカウンセラーにそんなことを言われた日には

「我慢しないでどうやって生きていけるんだ!」

と突っ込みたくなること請け合いなのかもしれません。

ただ、実は

あなたの「つらいことがあっても我慢しよう」というお気持ちに問題はなくとも

あなたが我慢を募らせることで、あなたの心の反応が夫婦関係を良くない方向に進めてしまうなんてことが起きる、といいますかね。

ここでのポイントは「我慢ばかり」という表現にあります。

毎日、必死こいて我慢して、清濁ぐっと飲み込んで頑張ってきた方に対して

「そのやり方はあかんで、間違ってるで、問題やで」

なんて言葉をかけたいわけじゃないんです。

その生き様に僕は強さを感じるのです。

しかし、我慢が募るとあなたの心に(パートナーの心に)ある反応が見られるようになるんです。

それが、夫婦関係、特に、二人の絆や情緒的なつながりを分断してしまうのですよ。

我慢が募ることで夫婦関係が悪化する理由

我慢が募ることで夫婦関係が悪化する理由とは

自分自身の心と体が我慢することでストレスを抱え込んでしまうことにあります。

結果、「パートナーと戦うか、逃げるか」という反応が強くなっていき

イライラすることが増えていき、ケンカが増えたり、パートナーへ関心を向けることが難しくなるからだ、と考えることができます。

我慢は長く続けると、やはり大きなストレスの要因になるんですね。

そのストレスの要因に負けないよう、僕たちの心と体は「戦うモード」

いわば「エネルギーを高めて抵抗しようとする」のです。

もしくは

そのストレスの要因から逃げたくなり、パートナーと関わりたくなくなるんです。

ここでのポイントは、我慢が募ることでこのように心と体が反応する、という部分。

いわゆる「自分には愛がない」だとか「相手は私を愛していない」といったお気持ちの問題とは別の視点からみた解釈なんです。

我慢が募るとパートナーを関われなくなる

我慢が募るとパートナーを関われなくなるなっていきやすい、といえます。

パートナー関わるときに「戦う」か「逃げる」か、といった反応を見せるので、穏便に、対話的に関わることが難しくなるのです。

言い換えれば、ケンカするか、無視するか、みたいなもの、といえますね。

それは「相手のことを愛しているのか」とか「大切に思っていないのか」というお気持ちの問題というより

「自分の心と体が反応する」ということなんです。

むしろ、その自分の反応を見て

「あぁ、僕は私はパートナーを愛していないのかもしれない」

と認識する人も少なくないでしょう。

また、ここでの我慢は、パートナーに対する我慢であっても、それとは全く違う仕事や対人関係上の我慢でも同じように作用する場合があります。

もしくは、幼少期などからの満たされていないニーズが心のなかに隠れている場合も「我慢していること」になるのです。

なので、なぜか問題を起こしていないパートナーに文句を言いたくなる、もしくは、無視をするなんてことも起こり得る話ですね。

また、このような我慢の問題は

どちらか一方が募らせる、というケースもあれば、お互いに我慢が募りすぎている、というケースもあります。

場合によっては、今まで特段夫婦関係に問題がなかったとしても

仕事上の問題、対人関係の問題から我慢が募ると、どうしてもパートナーシップの質が落ちてしまうこともありえます。

我慢が募るとパートナーの影響を引き受けられなくなる

また、同様の理由で

「我慢が募るとパートナーの影響を引き受けられなくなる」という現実もかなり問題を深刻化させます。

僕たちは「愛する人、パートナーとの情緒的なつながり」をもって「絆」を感じている側面があります。

つまり、相手と関わり、相手の影響を引き受けることでつながりを感じ、愛情を示していることが多いわけですよ。

例えば

相手が仕事で辛そうにしていたら、その気持ちに寄り添ってあげたい。

相手が寂しそうにしていたら、そばにいて寄り添ってあげたい。

何か困っていることがあったなら、支えたいし手伝ってあげたい。

ただ、自分自身の我慢が募り、戦うか、逃げるかという反応が強くなっているなら、これがうまく表現できなくなるんです。

すると、そんな自分に「僕って私って愛がない、愛することができない人間だ」と認知しちゃうんですよ。

これは「自己否定の気持ち」にとなっていくわけです。

だから、自尊感情も低下するし、自己嫌悪も強くなるし、自分自身にがっかりするし、といった状態にもなる。

人によっては

「こんな私が今この人と別れても、いい人と出会えるわけがない」

と思いこんじゃって、更に我慢を続けている場合もありますよ。

そんなときに、そばにいるパートナーとの関係が冷めていたとしたら

もう「泣きっ面に蜂に塩レモン塗り込んでヤスリで擦った」みたいな状態になっちゃうわけですよね。

我慢を続けるより丁寧な心のケアに目を向けましょう

我慢が募ることで夫婦関係が悪化する前に、自分自身の心と体のケアに意識を向け取り組むこと。

これは夫婦円満の秘訣、といえます。

とかく僕たちは「真実の愛さえあれば愛し抜ける」という、精神論?感情論?のようなものを信じている部分がある、ともいえます。

もちろん心から相手を愛するという気持ちは素晴らしいものですし、その気持ちが相手を異愛しぬく意欲になることは間違いないと思います。

が、いくらそうであっても

ストレスから生じる心理的・身体的な反応に抵抗できるか、というとそうではないだろう、といえそうなんです。

そもそも「自立の問題」「我慢の問題」とはそういうものだ、と言えそうです。

※ここでの「自立」とは「いつも一人で頑張る」「いかに傷つかないかを考えた態度」という意味ですが、詳しくは次の記事にまとめていますのでよろしければご覧くださいね。

心理学講座のシンボル
自立と依存 〜心の成長プロセスの解説〜自立と依存 〜心の成長プロセス〜 「自立と依存」とは、「今の自分の心の状態を示す言葉」で「自分の成長プロセスと課題を示す指標」です...

我慢が募るときの具体的なケアの方法

具体的に日常で行えることとしては

  • 一人で我慢せず信頼できる人に相談する(つらい体験・気持ちを人と共有する)
  • 気持ちの整理をする(自分の気持ちをノートに書き出す)
  • 今、できることに集中する(毎朝、おはようの挨拶するなど)
  • 気分転換する時間を取り入れる(散歩、軽い運動、)
  • 生活のリズムを整える

などが挙げられます。

また、あまりに強い我慢が続いている場合は、一時的に一人になる時間をとってもいい場合があります。

また、カウンセリングなどで丁寧に感情を癒やすアプローチも有効に作用することが多いです。

これらは「パートナーと関わることができる自分」に立ち戻るためという目的に元に行うといいと思います。

また、我慢が募るときほど刺激を求めたくなりますが、あまりに強い刺激は逆に負担になることが多いので、そのあたりは注意が必要ですね。

我慢するクセを手放して夫婦関係を良い方向へ

いかがでしたでしょうか。

このような我慢の問題は常に「無意味さ」の戦いでもあるんです。

どれだけ我慢しても

自分がパートナーにいい影響を与えられないこと

パートナーに関わり、影響を引き受けて支えてられなくなること

そんな自分に意味や価値を見出せず、つらくなってしまうのです。

だから、我慢が募っている人がパートナーから優しくされると

「私の気持ちもわからないくせに」と痛みが吹き出し

人が支えてくれることを知ると「そんなこと望んでいない」と突っぱね

こちらの労をねぎらってくれても「何を今更」と否定するわけです。

それは全て、自分自身に(パートナーとしての)意味を感じられていない、という部分から生じていることが多いのではないでしょうか。

でも、それはほんとうのあなたの姿ではない、と思いませんか?

「パートナーにいい影響を与えたい、できることを与えたい、支えたい」

そう思うからこそあなたはそばに愛する人をおいたのではないでしょうか?

そんな本来の自分に戻るために、自分自身のケアを優先させてみてはいかがでしょうか。

それが夫婦関係の改善につながることも多いものなんですよね。

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