浅野先生に質問です。
私は彼と一緒に仕事をしているのですが、普段はとても雰囲気が良く、2人で事務所を切り盛りしています。
ただ一旦ケンカになってしまうと彼はバリアを張ってしまい、仲直りどころか会話もなくトゲトゲした雰囲気が2日くらい続きます。
仕事上の必要な会話が少しずつ出てきて、いつの間にか普通に会話をしている、という状態でいつも終わるのですが、私にはその時間がとてつもなくしんどい時間です。
できれば仲直りをしたいのに、私の伝えたいことを伝えているだけでますます彼はヒートアップしてしまって、彼を怒らせるばかりで仲直りなんてできたことがないんです。
何かわかって欲しいことがあってケンカになってしまってるのに、そこが解決しないばかりか、私が責められて怒られて仲直りすらできず、その後の辛い数日間が待っていると思うと、ケンカにならないようにと思って過ごしてしまいます。
彼も、よく『あなたと揉めるつもりはない』と言ってくれはするので、彼にとってもしんどい時間なのだろうとも思います。
先日も彼の小さな言葉に反応して私が悲しくなってしまったら、どれだけ自分が間違っていないか説明しだし、私が納得できずにいるとその後怒り始めてしまいました。
悲しいのは私なのになぜ怒られるのかが私にはわからず、この後のトゲトゲ時間を想像するとやりきれなくなってしまい、その日にやらなければいけないことをした後はお昼前に帰ってきてしまいました。
少し落ち着いて彼に、仲良くしていきたいこと、私がどんな時に悲しくなるのか知ってほしいこと、彼がなぜ怒ったのか知りたいことをLINEをすると、夜になって長文返事が来たのですが
①彼の言葉で、私が彼に信じてもらえてないと思ってしまうのは大袈裟だ
②悪意はない
③悲しくなって帰るとなると仕事のスタンスが彼とは違う。近くにいれば対話はあったはずなのに、私が離れることを選んだから対話ができない。
という内容で、文面からは仕事の面で1番私を責めたい印象を受けました。
彼はいったい、何を伝えたいのでしょうか。
仕事のスタンスが違うから直せ?それとも一緒に仕事ができない?
文章の最後には呆れているという一言もあり、それも含めてどう受け止めていいのかまったくわからないのです。
彼がどうして怒り出したのかすらわからない私をどうぞお助けください。
よろしくお願い致します。
ネタ募集ネーム:ふうこさん
ふうこさん、ネタのご協力ありがとうございますm(_ _)m
なるほどと思いながらご質問読ませていただきましたよ。普段は仲が良いのに、ケンカになると彼が心を閉ざしてしまうんですね。それは切ないお話です。
きっと風子さんからも歩み寄ろうとされているのでしょうが、トゲトゲとした雰囲気の中であれこれ考えて行動しても、なんだかうまくいかないなぁ、上手に気持ちを伝えられないなぁ、なんてことが起こるのかもしれませんね。
それでもなんとか彼を理解しようとされ、僕に質問をくださったふうこさんに、僕は優しさや愛情を感じます。
が、さてご自身ではいかがでしょうか。
しれっと書いてますけれど、ここが結構重要なポイントなんですよね。
先にヒントだけ書かせていただくと、僕が見る限り今回のケースは、お互いが「自分は相手のために何もできていないのではないか」という観念・モノの見方を持っていて、それで自分自身を縛り付けているから起きるトラブルのように見えています。
こういった事例はとかく「人と争いたくない」「できれば穏便に済ませたい」といった平和主義的発想が強い人に多い案件とも言えますが、さてはていかがでしょうね。
では、本編でまいります。
一つづつ解説していきますので、よろしければご覧くださいね。
Index
ケンカになると黙り込む・心を閉ざす彼の心理
さて、今回は男性側の心理についてのご質問についてお答えしましょう。
ただ、僕は彼という人と合っているわけではないので、今回のご質問から読み取れる内容について書かせていただくこと、まずはご了承くださいね。
僕の臨床経験上、この手のタイプの男性っていわゆる「平和主義者」の傾向があると思います。
男性ですから、どうしても競争心や自立心が強まってしまう傾向も見えるかと思いますが、できれば「不要な争いは避けたい」と考えているようです。
この視点でご質問を読むとすれば、その男性の言葉↓
①彼の言葉で、私が彼に信じてもらえてないと思ってしまうのは大袈裟だ
②悪意はない
③悲しくなって帰るとなると仕事のスタンスが彼とは違う。近くにいれば対話はあったはずなのに、私が離れることを選んだから対話ができない。
これがいかに(その男性として)あなたと争いたくないと思っているか、が見えてきます。
その気持ちが伝わらないので強く伝えてくる。心外だ、そんなつもりはない!と言いたげな雰囲気でね。
その言葉を聞いて、ふうこさんが「1番私を責めたい印象を受けました」とお感じになるのでしょう。
「彼は私を責めている」と感じるんですよね。
でも、男性は「責めてない・キレてな〜い(俺をキレさせたら大したもんですよby長州力)」のように伝えてくる。
けれど、その姿は怒っているようにしか思えないから、辛いし、自分が責められているように感じるわけですよね?
もしそうだとしたら、この男性はあなたを責めたいわけじゃありません、きっと。責めているような口調を使っていますが、それは怒りを使った防衛です。彼は怒っているのではなく(表面上は怒っているのですが(^^;)、あなたに本当の気持ちが伝わらないことが悲しいのです。
かつ、ついケンカになる(自分も相手を責めてしまう)ことで、自分を責めており、良いものだとは思えないのです。
だから、自分を隠すように黙り込み始める。これが「彼が心を閉ざしてバリアを張っている状態」なのです。
まずはそのように理解してみてはいかがでしょうか?と僕はご提案したいのです。
そうでない限り取り付く島がないといいますか、「彼が怒っているから私が気を使わないと・我慢しないと」としか思えず、まぁお互いの感情が乱れに乱れてしまうのです。
「でも、彼って本当は私を責めたいんでしょ?」という思いは正解なのか?
しかし、ふうこさんは彼から責められているように感じるわけですよね。
「でも、彼って本当は私を責めたいんでしょ?」「私が悪いって言いたいんでしょ?」なんて思われたのではないかなーと、僕は想像していたりもします(違ってたらすみません)。
まぁ、この手のご相談をいただくと
「どうして彼は(夫は)私の気持ちを確かめないで、怒ったり勝手に判断するんでしょう!信じられない!どうして男はいつもこうなんですかぁ!ヽ(`Д´)ノプンプン」
なんてお話を伺うことも稀ではありません。
かつ、そんなみなさんに「そうですよね、本当に申し訳ない」と土下座して謝りたい気分になってしまう僕がいるわけですが(あくまでネタでございますよ)この怒りや沈黙って、あてつけのようにしか思えないから、かなり嫌だし、ムカつくし、気まずさも感じますよね。
また、彼に怖さを感じ、近寄りがたいような感じにもなるでしょうし、「私の気持ちを見ていないのね」と思えば思うほど、怒れるし、悲しくもなるかもしれません。
実はその感覚って「ある意味正解」なのです。
あなたの感じている感情は、表面的にかなり筋が通った感情だと言えます。
実はこの「黙る・バリアを張るタイプの男性」って、女性に怒っている側面があります(^^;
この「怒り」という感情が「バリア」だと思っていただけるといいでしょうか。
かつ、「怒り」は「人と離れつながらない」ように作用する感情なので、怒りを向けられると相手に跳ね除けられているような感覚を感じることがありますよ。
ただ、この状態の男性に「あなた怒ってるよね!私を責めたいんだよね!」と問い詰めても「そんなことはない!心外だ!」と反論してくる確率が超絶高いので止めておきましょうね〜。
相手の真意はまた別のところにある、なんてことも多いので、このようなときはいい意味で「戦略的」になるといいよね、なんて僕は思っております。
つまり、「ケンカのあとで黙り込んじゃう人はいわゆる自己嫌悪モードに突入しており、自分を許せなくなってしまっていることが多い」でしょう。
だから、強引に正面突破すると被弾する、と言いますかね(^^;
なぜなら、このような男性はガチで怒っているのではなく「依存」を示しているだけだからです。
罪悪感を依存の一形態だと理解してみると
僕が見る限りではありますが、どうやらこの男性はあなたに
「オレは対立するつもりはなかったことを理解して欲しい」
「オレは今、普段通りの自分でいられず、罪悪感を感じていて自分が嫌いだからそっとしておいてほしいけど、でもオレのことをネガティヴに見てほしくない。真意は違うのだから」
なんて風に思っている可能性があるように思います。
ここで登場する罪悪感とは「依存心」の一部を意味します。
このような罪悪感は「誰かに許してもらわないと自分のことを許せません」というカタチのものなので、依存心と解釈できるということですね。
すなわち、僕たちは「自分のことが許せないんです」と思うことがあるのですが、それは「自分では許せないから誰かに許してもらわないと無理」と感じていることを意味します。
※「自分で自分が許せないってこと=ダメ」ではありませんよ。
このような「なかなか自分を許せない人」ほど「平和主義者」になる傾向があります。
例えば、この手の人は「自分が誰かを責めたり、助けられなかったり、負かしたり、争ってしまうこと」で罪悪感を感じたとき、なかなかその罪悪感から逃れることができないわけです。
一度罪悪感を感じると、その感情にとらわれて「自分を許すことができない」と感じている。
だから「だったらそもそも争わないようにすればいい」と考えるようになるといいますかね。まぁこれも一つの補償行為(埋め合わせの行為)といえはそうなります。
だから、平和主義者さんに「あなたは優しいですね」「穏やかでいい人ですね」と伝えても、「そんなことないですよ(きっぱり)」と反論されること請け合いです。
「オレは(私は)冷たいし、甘えているし、自分のことをよく思われたいだけで、いい人間じゃないよ〜」と言うでしょう。
そんな人ほど、内心「ごめんね。そもそも争いたくなんてなかった」と思ってる。
しかし、「君に嫌なことを言い、ケンカしたオレのことなんて愛してもらえないよね」と思ってる。
だから、「でも嫌わんとって〜」と相手にお願いするしかないのです。
が、そのお願いも「自分から許してなんて言えねぇよ」と罪悪感の罠(自分は許されるわけがない)にハマっているから、もう「黙るしかねぇ」となるわけです。
ねぇ、そんな人に「私に言いたいことがあったら言って」「私のどこが悪かったの?」なんて言えば「逆効果になる」って思いません?
むしろ、妙な深読みされて「それってオレのこと責めたいの?」「オレが迷惑なのか、オレが悪いのか」なんて思われる可能性もかなり高いわけですよ。
だから、相手は普段の自分に戻れる気持ちになるまで「黙り、バリアを張っているんだな」と認識し、「お疲れさまでーす(敬礼)」とか「もう、私があんたのことを嫌うわけないじゃんよ〜」なんてスタンスで生暖かく見守っているほうが得策、というわけでございます♡
これが「戦略的」な視点ですね。
こちらがしっかり地に足をつけて冷静に対処するほうが、まぁいい結果が出そうですね。
二人の感情をしっかり切り分けて状況を見つめましょう
彼はいったい、何を伝えたいのでしょうか。
仕事のスタンスが違うから直せ?それとも一緒に仕事ができない?
文章の最後には呆れているという一言もあり、それも含めてどう受け止めていいのかまったくわからないのです。
ホント、そう思いますよね。そうお感じになるだろうなと思います。
ただ、それはあなたの主観でもありますよね。
いい悪いという話ではなく、今のあなたはそう感じる、という意味です。
彼の真意はそうではないから、あなたが理解できないような、何いってんだ?というような言葉を伝えてきているのだと思います。
こういったときは、少し俯瞰して状態を眺めてみるといいと思いますし、できれば(ちょっとだけ難しいですが)お互いの感情について切り分けて考えてみるといいですよ。
「あなたが感じていること」はそれとして扱う。
「相手が感じていること」はそれとして扱う。
自分の感じ方・思い込みで相手の意見を丸呑みにしないことがおすすめです。
最後にお伝えできることがあるとすれば、「人は自分の真意をうまく伝えられないとき(思いが届かないとき)に、がっかりする。がっかりする気持ちがあるから怒るし、相手に不満を伝える」のです。
それぐらい人は人の役に立ちたいし、役に立てない自分が嫌なのです。そう思われることを避けたいのです。
それはきっと彼もあなたも同じではないでしょうか。
だから、まぁ「相手の言い分を一旦受け止めておくこと」はコミュニケーション上有効な手段ですが、彼が本当に伝えたいことはそうじゃない可能性がありそうですね。
そこが腑に落ちると、随分とケンカのあとの「あなたの気分・スタンス」が変わってくるのではないでしょうか。
そう理解しても気持ちが追いついてこないなら、これはきっとあなたの「怒り」「攻撃」に対する反応が影響しているので、「どうして私はそう感じるのだろう」と自分を見つめていってもいいかもしれませんね。
以上、なにか参考になりましたら幸いです。
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