恋愛の心理学

別れの決断を鈍らせる心理 ~感情の整理がつかないと決断が怖くなる~

別れも一つの選択。ただ、決断には気持ちの整理が必要なことも。

今日のコラムは別れについて。

このブログでは、親密感やパートナーとの絆についてコラムにすることが多いのですが、別れる・離れるということが常にネガティヴかというと、そうとも限らないわけですよね。

別れることで次のステップに進む、なんてケースもあります。

実際に、離婚を決断したことで更に素晴らしいパートナーと出会えたというケース、何度もサポートさせてもらっています。

ただ、別れるにも「感情の整理」が必要な場合もあり、別れの決断を鈍らせる心理というものも存在するわけです。

今日はそのあたりの話をば。よろしければお付き合いください。

別れを決断できない理由が「感情」にあるとしたら

今回のコラムで扱うケースは「今のパートナーとなんとか別れたいんだけど、相手が納得してくれません」というケースとは少し違います。

例えば、パートナーとのトラブル(浮気、不倫など)があって、もう一緒にいても辛いだけ、気持ちが削れていくだけだと分かっていても、なんだか別れるとなると「未来に新しいパートナーと出会えるだろうか」「経済的な理由などで別れることが怖くて別れられない」「親はきっと望んでいないだろうな」と考えてしまい、今の燃え尽きた関係を続けるしかない、と感じている場合を想定します。

特に、何度も繰り返されるパートナーの浮気の問題や、夫婦関係が凍りついたように冷めている場合などは、もう関係を継続していく事自体が難しいし、苦しいと感じる場合もありそうです。

実際にそういったご相談をいただくことも少なくないですよ。

しかし、実際別れるとなると、さまざまなリスクが伴うので躊躇してしまうことも多いのかな、とカウンセリングの現場にいますと感じます。

こうなると、今も辛い、未来にも不安がある、と感じ、まるで首が回らないような状態になることも少なくないものです。

これは本当に苦しいんですよね。

さまざまなご相談を伺うと、たしかに「まだパートナーと向き合う余地があるケース(むしろ向き合ってこなかったから問題が起きているケース)」もあって、この場合はもう一度パートナーと向き合うことで未来が開ける場合も少なくありません。

ただ、中には、何度も何度もパートナーの浮気を許して、何度も家族や二人の関係を再構築しようと努力されてきた方や、辛い感情を何度も押し殺しながら、子供さんや家族を壊さないようにと奮闘されてきた方もいらっしゃるわけです。

そのように今まで頑張ってこられた方ほど、カウンセリングの場ですら、気丈に振る舞われる方も少なくありません。まるで自分は傷ついていないし、傷ついていたとしても辛くないような、平気ですよ、と言わんばかりの振る舞いをされる方も少なくないんです。

こういった状態になると「今までの自分の気持ちの整理、怖くてできなくなること」も多いんですね。

今まで踏ん張ってきた、突っ張ってきな気持ちを緩めると、不安や怖れ、悲しみなどがドバっと出てくるから、自分が保てなくなる、と予感されている方も少なくないんです。

だから、今までの自分でいられるように、気丈に振る舞われるし、泣くとしたら一人でこっそり、という方も少なくないよなぁ、と僕は感じています。

ただ、ここまで感情を我慢し続けて、整理やケアをせずにいると

・自分自身を保つためにエネルギーを使い続けるので無気力状態になりやすかったり
・いつの間にか不安や怖れが募って未来に希望を感じられなくなったり
・自分自身の可能性を信じられなくなることも多いようです。

その結果、「自分がどうしたいのか」が分からなくなってしまって、更に未来に対して不安ばかり感じるようにうなることもあるんですよね。

傷ついた、というより、何度も愛そうとした私の存在

多く、「今までも頑張ってきたけれど、別れたいけど決断が難しい」というご相談を伺うと、ある一つのことが見えてきます。

それが「傷ついた、以上に、何度も家族を守ろうとし、関係を修復しようとし、愛そうとしてきた私」の存在です。

ご相談をいただくと「私の愛し方、頑張り方が正しかったのでしょうか、何が間違っていたのでしょうか」というご質問をいただきます。

そのお声はとても切なく響きますよ、本当に。

ただ、ここではその答え自体にはあまり意味がなくて。

むしろ、「何度も何度もパートナーのために、家族のために、と、自分の存在価値や愛情の価値が削れても立ち上がってきた私の存在」に、どれほどの意味があるのか、を考えていくほうがいいと僕は思っているんです。

例えば、何度もパートナーに浮気をされたケースなら、「浮気をされた方にも理由がある」と考えて、自分自身の未熟さを訂正しようと頑張っておられる方にも出会います。

うまく関係を維持できない私に問題がある、と思われている感じですね。

その考え方自体、自己責任原則に則っていると思うんです、僕も。

ただね、何度も何度も自分の愛情や存在の価値を見失いながら、それでも頑張り続けてきた自分の内面には、やっぱり辛い気持ちが山程眠っているでしょうし、なにより「もう一度向き合いたい」という自分の意志、思いを誰にも気づいてもらえない悲しみもあるでしょう。

特にパートナーとの問題は繊細なものなので、なかなか人に本音を話せないことも多いでしょう?

だから、つい誰にも私の本当の思いが気づかれず、自分でも大切にできないまま、何度も傷つく経験を重ねることもあると思うんです。

そして、それがどれだけ苦しくて、生きているのが嫌になるようなことか、と僕は想像するんですよ。

「私の思いは本当に誰にも伝わらないのではないか」

ここで感じるちっぽけさは、自分自身が別れる決断を大きく鈍らせます。

自分自身も無価値感~自分に価値がないという感覚~を持ち始めますし、なにより自分を信頼できなくなってしまいやすい。

その中で別れたあとの生活や、未来のことについて考えるなら、不安しか出てこなくなっても不思議ではないと思うんですよ。

そもそも失うべきではない自分の価値も感じられなくなってしまうかもしれません。

このような自分自身が「今まで抱えてきた辛い感情や痛み」が、別れの決断を鈍らせている場合って多いのですが、実際、そう感じている方は稀なのです。

むしろ「別れられない私、勇気がない私に問題がある」とお考えになっている方がとても多い。

きっと他の自立した女性ならすぐに決断して、自分の人生を生きるのだろうけど、私には無理。

そうおっしゃる方もとても多いのですよ。

ただ、繰り返しになりますが、僕はこう考えます。

今までの経験で繰り返し削られるような思いを体験した、自分の愛情や価値。この感覚を整理しないまま前に進むってものすごく怖いことだろう、と。

今、別れや自分の人生を生きることを決められないにも、きっと理由があるだろう。

なにより本気で今までのパートナーとの関係や、家族のことを考えていたなら、その分だけ傷つくことも多いはず。

つまり、自分が本気だったから、本当に大切にしたい関係や家族があったから、今、別れられないし、未来を怖れることのほうが多いのではないか、と。

まず自分自身を見つめ直すこと

それほどまでに「自分の愛情が伝わらないということ」は辛いことですよね。

しかし、そんな自分の内面の声は「自分だからダメなのだ」と、自分を追いつめ、疑うようなものになっていることが多いんです。

この声を聞きながら、かつ、自分の愛情の価値を見失いながら、前に進むことって相当に怖い。いや、誰だって怖いでしょ?それはある意味仕方のないことだ、と僕は感じることが多いですよ。

こんなときこそ、まず自分自身を見つめ直すことが必要なんだと思うんです。

自分が決断できないこと以上に考えてみてほしいことは

「あなたはどれだけの愛をパートナーや家族に注いできましたか」ということ。

愛さなければ傷つくことはないはず。思いがなければ自信を失うこともないはず。

本当に自分がパートナーのために、家族のためにと自分を奮い立たせてきたプロセスを、もう一度丁寧に見つめてみてほしいのです。

もちろん見つめ直せば痛みを伴うことがあることも、僕なりに分かっているつもりです。そんな簡単に触れられたくもないし、理解されたくもないほどの思いがそこにあると思いますよ。

そこに触れたら、自分がダメになってしまうような感覚になることもあると思うんです。

今まで何度も別れのプロセスのサポートもさせていただきましたけど、ガチでパートナーと向き合った人ほど、「自分自身がどれだけ真剣にパートナーと向き合ってきたか」を見つめること自体が、本当に苦しいプロセスになるものです。

ただ、その苦しさや痛みこそ、あなたが必死に頑張った証なら、痛みのままにはしておけないと思いませんか?

まずは、今の気持ちから丁寧に丁寧に癒していくこと。一つ一つ気持ちを紡いで解放していくこと。

このようにゆっくりとでも自分を見つめて、痛みを手放せたなら、きっとまた本来の私に戻っていける事が多いんですよ。

本当の自分には、ちゃんと誰かを愛せる力が残っていますから。

そんな自分を信じてみてはいかがでしょう。

そう考えると、今、決断できないなら、自信が感じられなかったり、未来に不安しか感じないなら、それだけ自分の手当が必要だというサインではないでしょうか。

ABOUT ME
浅野 寿和
カウンセリングサービス所属心理カウンセラー。名古屋を中心に東京・大阪・福岡で〜旅人のように〜カウンセリング・セミナーを開催。心理学は現実で使えてなんぼ、がポリシー。
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