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パートナーの愛を受け取れない理由について考える
僕たちはパートナーに「愛されたい」と思いながら
しかし、実際は愛を受け取れない、もしくは愛されることから逃げたくなる場合があるんですよね。
まぁ自分から拒んでしまうといいますか。
こちらからパートナーのために与えたり、頑張ることはできたとしても
相手に愛されると急に不安になったり、嫌な気分がする、というご相談はたしかに少なくないものです。
では、その理由はどこにあるのでしょうか、が、今日のコラムの本題。
よろしければお付き合いください。
例えばこんなケース
私は彼に愛されたいと願っていながら、実際に愛されても喜べず、むしろ逃げたくなってしまいます。
今の彼は私のことをとても大切にしてくれていて、すごく愛されていると思います。
彼も私を喜ばせようと一生懸命で、言葉でも愛していると伝えてくれています。
しかし、私はそんな彼といると、幸せを感じると同時に孤独と感じてしまいます。
愛し愛される関係ってなんでしょうか。
彼の愛を受け取る、幸せであることを受け取れないのはなぜなのでしょうか。
パートナーの愛を受けとれない理由
さて、まず結論から書いていきましょうか。
パートナーの愛を受け取れない理由は「自己概念」にあることが多いんですよ。
「私は愛されるにふさわしくない」という自己概念ですね。
自分はそこまで愛される存在ではない。
そんなに素晴らしい価値があるわけではない。
このように感じていると、パートナーが猛烈に愛してくれることに違和感を感じたり、その愛情を押し返したくなったり、切りたくなっていきます。
愛されてはいけないと思う人にとって、愛されることは罪、と認識されるわけですよ。
だから「私はもっと頑張らないといけない」「私は受け取らずに(人に頼らずに)頑張らないといけない」と感じていくわけですね。
※ちなみに「私は愛されるにふさわしい」と思う人は、人からの愛を拒絶することが罪、のように感じるようになるものですよ。
愛されたい欲求と自己概念について
ただ、この話はちょっと理解しづらいものかもしれませんね。
なぜなら、僕たちは常に「愛されたい」という欲求を持っていますし、この欲求はなくなるようなものではありません。
また、そもそも自己概念には「願望」も含まれます。
つまり、自分が自分を認識するときに「私は愛されたい願望を持つ人間」という概念も存在するのです。
だからこそ、意識では「ものすごく愛してほしい」と考えているものです。
つまり、パートナーに愛されるまでは「愛されたい」と思っている。
しかし、実際にパートナーが自分を愛してくれる状況ができると、急に「愛してくれるなモード」が発動するんですよね。
だから、そのご本人も悩んでしまうわけです。
ちなみに、実際のカウンセリングでもセミナーでも、こういったお話をさせていただくと
「私は愛されたいと思っています。愛されるにふさわしくないなんて思っていませんよ」
とお答えになる方が多いんです。
ただ、そもそも僕たちの顕在意識って氷山の一角にすぎず、潜在意識下の領域のほうが圧倒的に大きいんです。
だから、顕在意識で以下に「愛されたい」と願っていても、潜在意識下が逆を認識しているなら、愛されたいけれど愛を受け取れない、といった状態になるものなんですよね。
愛することで自分を支える人の心理
なお、深層心理では「愛されるにふさわしくない」と感じているとしても
一般的に「いい人」「社会性を持った人」ほど
仕事や対人関係などで与え続けている事が多いんです。
僕たちは「愛することで自分を支えること」もできるのですよ。
だから、日常の中では、深層心理の自己概念とは異なった、どちらかというと良い評価を受けていることが多いってことです。
例えば
あなたは努力家だね、熱心だね、誠実だね、責任感があるね・・・
そういった評価の中にいるので、まさか自分が「愛されるにふさわしくない」という自己概念を抱えているとは気づけないことも多いんです。
ただ、このタイプの方ほど
- 実際に愛されると逃げたくなる、受け止めたくなくなる
- いつも疲れている(疲れやすい・物事を楽しめない・やる気がなかなかわかない)
といった状態なっていることが多いようですね。
その理由は、自分を自分だけで支え続けているから。
周囲のサポート・愛や支援を受け取っていないから、というケースは非常に多いです。
そもそも「自分自身を愛することで支えている人(自立的な人)」ほど
周囲のサポートなどを受け取ること自体に違和感や苦手意識があり
「それが私のデフォルトとして生きている人」も多いので
「受け取っていないこと」自体に疑問にすら感じません。
恋愛でいうならば、相手を受け入れ愛することを軸に、自分から何かを求めることは少ないともいえます。
人によっては「求めたら嫌われそう」と思い込んでいる人もいますし、相手のために与える喜びで自分を支え続けている人もいるわけです。
パートナーに愛されることで自分自身が崩れるように感じる
ただ、自分から与えても与えても
うまくいかない仕事、恋愛、夫婦関係と出会ってしまうと
途端に自信を失い、自分らしさを見失い、自分の価値を感じられなくなってしまう人も少なくありません。
もちろんそんな自分ほど隠そうとするわけですし、普段は平然とした態度を取るわけです。
が、実際は自分にとっての危機(心の面での)がやってきていることも少なくありません。
平たく言えば
「与えること=私の価値」という自分自身を支えていた価値観が
パートナーに愛されることで崩れてしまうように感じることがあるわけです。
このとき、実は普段は全く意識されていないような
「私は愛されるにふさわしくないという自己概念」
が浮き上がってくるような感覚がすることがあります。
ただ、その感覚は受け入れたくないからこそ
愛されることから逃げたくなり、拒んでしまう、ということが起きる場合もあります。
例えば、「本当に愛されているの?と思う」「彼の愛は本物なの?と疑ってしまう」などがその一例です。
これは一つの
「アイデンティティ・クライシスを起こさないための反応だ」
とも言えそうなんですよ。
※このあたりの話は自尊感情にまつわることでもありますので、よろしければこちらのコラムもご覧くださいね。
愛を受け取れない状態とは、自己概念を変えたくないという反応でもある
だから、今の自分自身が崩れないように
人からの愛を拒み、与え続けている人も少なくないのです(これを補償行為と呼びます)。
そして、この「愛されるにふさわしくない」という自己概念が生むポッカリと空いた心の空白のようなものを、自分の努力、もしくは人からの愛情によって埋めようとするわけですね。
が、実際はその深層心理で「愛されるにふさわしくない」と感じているからこそ
人の愛情は受け取らずかわしますし、自分の愛情や努力も
「これでは足りないのではないか」と疑ってばかりなのです。
だから、パートナーには自分の思いを受け取って欲しいと強く思うようになり
愛されることが苦痛だと感じることも増えていくのです。
この状態を「愛を受け取れない状態」と呼んでもいいと思いますよ。
ね、自分が頑張ればきっとうまくいくはずだ(自立)と思っている様子、感じ取れますよね?
つまり、愛が受け取れないという反応は、自立的な人が見せる反応です。
依存的なマインドから生じることはありません。
愛を受け取れない人ほど、相手のために喜ぼうとする(与えようとする)
また、愛を受け取れない人は
自分自身の事情で他人の愛を受け取ることができないので、受け取るべき状況でも与えようとします。
例えば
「相手がこれだけ与えてくれているのだから、私は喜ぶべきだよね」
なんてふうに考えるのです。
「喜ぶべきと考えているのは彼のため」という意識から抜け出せないのです。
彼に自分自身を委ね、任せ、愛を享受するのではなく、相手に合わせるように与えにいく。
つまり、この状態が意味するものは
「あなたが喜ぶことですら相手のため」なのです。
自分のために喜ぶことができない、というわけです。
じゃ、それはなぜなんだ、と考えていくと
「私は愛されるべきではない」という自己概念とぶつかる可能性も否定できないんです。
それぐらい、自分は愛されてはいけない、と思っている、という感じ。
「私は、自分のために喜んではいけない、満たされてはいけない、愛されてはいけない」
そんな自己概念や観念が影響しているんですよ。
だとしたら・・・さてはて、この自己概念はどこからうまれているのか?
どうしてこの自己概念が必要なのか。
そのあたりの自分の気持ち、内面的な部分にアプローチして見つめていくことが「受け取れる私」になる道だと言えますね。
パートナーの愛を受け取るには「私は愛されるにふさわしい」という自己概念を取り戻すこと
つまり、パートナーの愛を受け取るには
「私は愛されるにふさわしい」
という自己概念を取り戻すことが求められる場合も少なくありません。
が、なかなかそう思えない、という実感もあると思います。
どこかで愛される自分を信じながら、しかし愛されると拒みたくなる。
そんな反応を見せるのも自立的な人の特徴でもありますからね。
ただ、僕たちは生まれたときから「愛されるにふさわしくない」と感じていたわけじゃないはずです。
今までの人生の中で、何らかの事情があって
「愛されるにふさわしくない」と感じていたほうが、自分にとってメリットがあるだろう、と推測した経験などがある場合が少なくありません。
例えば
- 親に愛してもらいたいと思ったけれど、いつも期待しても失望ばかりが続き、それがあまりに辛いので「自分は愛されないんだ」と認識するようになった。
- 大きな挫折や親の機体を失望に変えた経験がきっかけで、「自分は愛されないんだ」と認識するようになった。
- 家庭の経済状態や夫婦仲が良くなくて、親に求める気持ちを持っている自分が嫌で「自分は愛されない」と思いこむことで、自分の欲求にふたをするようになった
などなど。
だから
今まで一人で頑張って生きてきた中で抱えた、様々な自分(感情)を理解したり、受容していきながら
丁寧に自分というものの受け止め方をより楽にしていくことができるなら
いわゆる受け取れない状態は徐々に変化していきます。
その自分の内面の変容に伴って、自分の現実も変わっていくんです。
最後に
今の自分の現実は、今の自分の自己概念にリンクしたものになることが多いです。
これは何もパートナーシップに限ったことではなく、今の収入、仕事内容、対人関係、日常の環境、全て同じです。
だから、もし今以上の幸せを享受しようとお考えならば
自分を見つめながら、受容しながら
「愛されるにふさわしい自分」を感じられるようになること、なんでしょう。
もし、あなたが自分をどれだけ肯定したとしても、現実の変化が伴わないなら
それはまだ自己概念が変わっていないか
自分自身が遠慮して受け取らないこと(与え続けること・自分が苦労すること)が善と感じているのかもしれません。
そんなときは
「自分も相手も幸せにする選択肢ってなんだろう?」と考えてみると良いんですよ。
今までの自分が間違っていると考えず、自分も相手も、自分と関わる人全てが笑顔になれるような選択肢ってどこにあるんだろう?と。
そこに「自分だけ受け取らない」という選択肢はないはず、なのです。
そして、もっと受け取れる私になりたい!というお話なら、自己概念を扱うことによって変化は起きるよ、とお伝えしておきたいと思います。
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