これはいわゆる「人の幸せが素直に喜べない問題」といえるでしょうか。
僕たちは、人の幸せを喜びたいと理解しているけれど、実際に人の幸せを目の当たりにすると、素直に喜べないことがありますね。
だから、自分をちっぽけに感じたり、なんか最悪だなぁ、と思っちゃうこともあるようです。
ときには人の不幸を「ざまぁ!」と思っちゃうこともあると思うんです。
ただ、こういった問題は対処の仕方を知れば卒業することもできますし、場合によっては
「私ってなかなかいい人やん」
と思えるようにもなります。
この体験を学びやさらなる成長につなげることも可能なんですね。
では、今日のコラムもよろしければご覧くださいませ。
人の幸せが喜べない心理
人の幸せが喜べない心理状態とは
「他者の成功や幸せの価値を素直に認められない状態」といえます。
つまり、あなたの深層心理は「他人の幸せには価値があり、承認するにふさわしいものだ」と感じているのです。
しかし、何らかの理由で、人の幸せの価値を素直に認めることに心理的な抵抗を感じているのでしょう。
そう感じる理由として考えられる心理をいくつかご紹介します。
劣等感の影響
他人の幸せが、自分の現状とのコントラストを作り、劣等感を刺激する場合があります。
人の価値はその存在によって証明されるもの。
ですが、僕たちは時として、社会的なステータス、物理的・経済的な豊かさ、見た目、家柄、社会的地位などに価値を見出すことがありますよね。
このような部分に劣等感を抱いている場合、人の幸せを素直に喜びたくないと感じることがあります。
嫉妬心の影響
人の幸せが、自分の欲求不満や未達成の願望を刺激し、嫉妬心を生み出すことがあります。
そもそも嫉妬とは
「自分が心を込めて大切にしてきたものが、誰かの影響によって失われる(た)と感じているときに感じる感情」
と解釈できるのですよ。
つまり、嫉妬心の影響で人の幸せを素直に喜べない状態があるとしたら、人の幸せに接したことで
「まずい、このままでは私の願望や幸せが叶わなくなってしまうのではないか」
という妙な焦りや危機感を感じていて、それが人の幸せを嫉妬する形となって現れているのかもしれません。
他者との比較が強い
常に自分と相手を比較する意識が強い人ほど、人の幸せが自分の不幸に感じられることがあります。
これは、ある意味で幸せを相対的な価値観で捉えている人によく見られることです。
もちろん、人が幸せになったからといって、自分の幸せになれないとは限りません。
しかし、普段から自分と他人を比較して自分の価値や安心感を感じようとするる癖を持っている人は、つい幸せを相対的な価値観で捉えてしまうのですよね。
その結果、素直に人の幸せが喜べなくなることもあるわけですね。
理想主義の傾向がある
いわゆる理想主義者も人の幸せを喜べない傾向を見せることがありますね。
理想主義者とは、どんなことであっても「自分が思う理想こそ最高のもの」と感じています。
だから、他人の幸せも自分が思う理想の形出ない場合、そこに価値や意味を感じないのです。
もちろんそこで相手の喜びに寄り添い、相手の幸せを承認することもできるのです。
が、どこか心のなかで「他人の幸せの形が自分が理想と形ではない」というだけで、他人の幸せに興味関心を抱くことができなくなってしまうのです。
結果、人の幸せに素直に共感し、喜ぶことができなくなることがあります。
孤独感を抱えている
周囲の人との心のつながりを深く感じられず、孤独感が心の奥底にある場合、人の幸せを素直に喜べないことがあります。
概ね、一般的な成功や幸せというものは、他者と分かち合われていることが多いものなんですよね。
結婚などならば、パートナーや家族と。
仕事の成功ならば、支援者や家族、ビジネスパートナーなどと言った具合に。
しかし、孤独感を感じ、人と心がつながっている感覚がうまく感じ取れていないと、人の幸せだけでなく、幸せな人が感じているであろう「人との心のつながり」と「今の自分のあり方」にギャップを感じてしまうのです。
その結果、人の幸せを見ると、自分とは縁遠いものだと感じてしまい、素直に喜べなくなるのです。
人の幸せを知ってショックを受けている
また、人の幸せを知ってショックを受けることもあると思います。
例えば、ずっと片思いをしていた異性と友達が恋愛関係となった、とか。
同僚が自分より先に出世した、独立した、成功した、とか、
このようなとき、僕たちは一時的に自信を失うことがあります。
同時に、「自分の欠点、不足感、悪い部分に意識が向きやすくなる」のです。
すると、自分の欠点や不足感などと、他者の幸せとの間にあるコントラストが劣等感などを刺激して、人の幸せを素直に喜べなくなることもあるのです。
人の幸せが喜べなくなる人の特徴
このように考えていくと「人の幸せが喜べない人」にもいくつかの特徴があると言えそうです。
幸せを相対的な価値観で捉えている
繰り返しになりますけれど、幸せを相対的な価値観で捉えている人がそれにあたります。
いわば「誰かが幸せになるから自分が不幸になる」「自分が幸せになると誰かが不幸になる」といった考え方を持っている人です。
もちろん「自分の好きな人が他の人と結婚した」「友達が好きだった人と付き合うことになった」といった状態であれば、それも妥当な考え方なのかもしれません。
しかし、他人が幸せになることと自分が幸せになることは両立可能なことなのですよね。
自分の欠点ばかり意識してしまいがち
また、「自分の欠点や悪い部分ばかりに意識が向いている人」も人の幸せを素直に喜べなくなる場合がありますね。
自分の欠点や悪い部分ばかりに意識が向くということは、それだけ自分をアテにできておらず、なんとか自分を守らないと危険だ、と感じている証なのかもしれません。
ただ、このような意識が強くなると、人の幸せを見た途端に
「こんなに自分は一生懸命頑張ってきたのに、なんで幸せになれないのか」
といったショックを感じやすくなります。
なぜなら、自分の欠点などを探したり、大変にシビアな目で自分の問題点を探りつづけたこともまた、自分なりに幸せになりたいと思った結果だから。
だから、自分を否定的に見つめてしまうことがダメって話ではなく、そこにもまた事情がある、という話なんですよ。
ただ、あまりに自分の欠点ばかり見つめていると、自分を良い存在だとか、アテになる存在と感じ取れなくなるので、どうしても幸せになれるかどうか不安を感じやすくなるのです。
その結果、人の幸せを素直に喜べなくなってしまうこともあるようですよ。
いつも孤独を感じていたり、一人で行動することが多い
また、いつも孤独を感じる生き方や、一人で行動することが多い人も同じかもしれません。
繰り返しになりますが、概ね、一般的な成功や幸せというものは、他者と分かち合われていることが多いものなんですよね。
しかし、何事も一人で考え行動することが多く、人との深い心のつながりを持てない人ほど、どうしても人の幸せと自分の今のあり方にギャップを感じてしまうのです。
それは人に頼るとか、人に寂しさをわかってもらうといったレベルでは解消できないような、「誰とも心のつながりを感じられていない状態」となっている場合もあります。
人の幸せを素直に喜べないのは一時的に失った自信の影響という場合もある
人の幸せを知り、何かしらのショックを受けて一時的にであっても自信を失うことは、誰にでも起こり得ることかな、と思います。
そして、ショックを受けたからと言って、そもそもの自信や自尊感情がなくなってしまうわけではないんです。
ただ、このとき自分自身の本当の価値や自信を失っているわけではありません。
要は人の幸せを知ったショックから「一時的に自信を失った状態」になっていることもあります。
むしろ、ここで失った自信は
ショックを受けたことで人の幸せを喜んであげたいのにうまく喜べない自分への否定感
とも言えるんですよね。
だから、自分自身の気持ちを整えていけば、また人の幸せを喜べるようになることも多いですよ。
これまた(辛いことではありますが)「しゃーない」ということになるんです。
人の幸せが喜べないときの対処法
では、人の幸せが喜べないときに対処法について、いくつかお伝えしたいと思うのです。
一つ一つ項目に分けて書いていきますので、よろしければご覧くださいね。
人の幸せを知ってショックを受けることもあると気づく
いいか悪いかは別にして、僕たちは「人の幸せを知ってショックを受けること」がありますし、人の幸せを知ることで受けるショックって結構無視できないものなんですよ。
だから「私は人の幸せを知ったことでショックを受けているんだよな」と気づくことは大切です。
そこを無視して
「アイツのせいでめっちゃ嫌な気分になる」といった他罰的な発想や
「もう自分が嫌になる」といった自罰的な発想を持つことは避けたいところ。
そうしたところで、自分自身のショックが消えるわけではありませんからね。
幸せに対する価値観を見つめ直してみる
また、自分自身の幸せに対する価値観、認知を見つめ直してみる方法もあります。
例えば、人の幸せに接したり、それを見たときに
- 自分自身が危機感や焦る気持ちを感じやすくないか?
- 人が幸せになることで自分の幸せになる可能性が減ったと感じていないか?
- 自分が幸せになることに漠然とした申し訳無さ(自分が幸せになると人が不幸になるのでは?)を感じていないか?
このあたりをチェックしてみてもいいでしょうね。
もし、そう感じているならば、そのあたりの認知や理解を修正したいところです。
できれば「他人の幸せと自分の幸せは両立するもの」というように。
でないと、幸せを誰とも分かち合えなくなってしまうと思いませんか?
「人の幸せが喜べない自分が本当の自分だ」と誤解しない
確かに人の幸せを素直に喜べないと辛いと思われる方もいるかもしれません。
ただ、本当にあなたは人の幸せを喜びたくないと思う人なのでしょうか?
そもそも僕達はなぜ「人の幸せが素直に喜べないことで悩む」のでしょうか?
それは「自分自身が誰よりも幸せでありたい」という気持ちによって生じることもあると思います。
ただ、僕達には「人を愛したい」という欲求があります。これは欲求なので消えることはないのです。
人の幸せが素直に喜べないことが問題になるのは、「本当は人の幸せを喜びたいから」という側面もあると考えられます。
つまり、人の幸せを喜べないと悩む自分は、意外といい人、愛ある人なのかもしれませんね!
だから、本来の自分と、人の幸せを素直に喜べない自分をごっちゃにしすぎないことことも大切なことなんですよ。
もし、人の幸せを喜べないなら、その自分に対して、理解の目を向けることも大切なことかもしれませんね。
ここ、あなたの自尊感情を高めるための重要なポイントにもなるんです。
人の幸せにはとりあえず「おめでとう」と言っておく
また、人に幸せに接したときは、ちょっとしんどくても「おめでとう」と伝えておくほうが自分の心に良い影響がもたらされることが多いですよ。
なぜなら、僕達には人の幸せを喜びたいという欲求があるからです。
それを自分なりにでいいので満たしてあげることで、良い気分を感じられたり、自分を肯定的に捉えやすくなりうものです。
もちろんこれは「人としてそうするべき」という話ではなく、一つの自分癒やしのための視点です。
また、人に幸せを(たとえ悔しくても)素直に認めて喜ぶことで、自分自身の心のキャパシティや心の器が広がっていきます。
そうなることで、人からの信頼や、人との心のつながりを得やすくなることもあるようですよ。
最後に
いかがでしたでしょうか。
人の幸せで喜べない理由はさまざま考えることができます。
そんな自分の気持ちを丁寧に見つめていくことで、抜け出せることもあるようですよ。
あなたが「人の幸せを喜びたい」と素直に思えたとき、どんな自分を感じられるか?
そのあたりを見つめながら取り組んでいただけるといいのかな、と思います。
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