夫婦のための心理学

「馴化」と「関係を壊してしまう怖れ」で葛藤する男性心理

考え込む男性

「馴化」と「関係を壊してしまう怖れ」の狭間で葛藤する男性の気持ち

馴化と関係を壊してしまう怖れで葛藤する男性

パートナーシップのご相談を伺う中で

「馴化(慣れた関係)と関係を壊す怖れの狭間で葛藤する男性の気持ち」

に関するお話を伺うことがあるんですね。

いきなりナンノコッチャ?って話だと思うのですが、しかしパートナーシップを良好な方向に持っていくためには避けて通れない話、といいますか。

例えば、夫が浮気した、私が浮気した、パートナーとの関係がこじれてしまった、なんてご相談を伺うとき

男性側の気持ちとして

「今の関係に慣れてしまって刺激を感じなくなっている(その分安定しているってことなんでしょうけど)」

と同時に

「今の関係を壊してしまうことへの怖れ・不安を感じている」

なんて状況が見え隠れすることがあるんです。

まぁ相手のことはお構いなし、自分の欲求に従って浮気した、なんて話の場合は別なんでしょうけどね。

このような葛藤を抱えている男性ほど、自分の気持ちが定まらなくなってしまうこともあるようです。

だから、今の関係に積極的に向き合う気持ちを持てずにいたり。

本来関係をぶっ壊すつもりなんてないのに自分も相手も傷つけるような言動に出てしまうことがある、といいますか。

なんとも悩ましい心の状態があるというわけです。

今日はそんな「恋愛と馴化」と「関係を壊してしまう怖れ」の話をコラムにします。

よろしければどうぞ。

馴化とは

まずは「馴化(じゅんか)」について触れておきます。

「馴化」とは心理学における概念の一つで、いわば「慣れ」のことをいいます。

「ある刺激がくり返し提示されることによって、その刺激に対する反応が徐々に見られなくなっていく現象」という意味ですね。

また、馴化は

特に報酬(自分にとってのメリットみたいなものとご理解ください)をもたらすわけでもなく、しかし嫌悪刺激をもたらすわけでもない(害ではない)中立的な刺激に対して生じやすい

なんて言われているんですよね。

また、馴化は、人間が環境の変化に対応するために生まれたもの、とも言われていて、完全に消去するのは難しいとも言われています。

まぁ誰しも慣れて飽きる、ということはあると思うんですよ。

例えば僕の場合、何十時間も聴き込んだ音楽に慣れてしまって興味を抱けず、しばらく時間を置くとまた興味を持って聞けるようになる、なんてことを頻繁に経験しています。

恋愛・夫婦関係と馴化

ただ、ですよ。

この馴化が恋愛や夫婦関係上で起きる、と考えてみるとどうでしょう。

恋愛関係や夫婦関係とは、一人の人と関わり続ける関係。

どうやったって馴化は避けられない、とも言えるんです。

だからこそ、ちょっとばかり悩ましい問題を抱える理由にすらなるわけです。

例えば、恋愛や夫婦関係と馴化という切り口で見つめてみると

「夫や妻に慣れてしまって魅力を感じなくなる」とかね(^^;

「慣れているからこそ、相手の愛情や好意を向けられても鈍感になる」とかね(^^;

「毎日すごい感謝を感じたり、大きなメリットを実感できる、というわけでもなく(今の関係の価値はどこかで知っていたとしても、です)、しかし実際に害になっているわけでもない関係の中で馴化は起きやすい」とかね(^^;

そんなことが言えるのかもしれません。

これを倦怠期といってしまえばそれまでかもしれませんが、心の面で見つめると慣れが起きている、と言えるわけです。

冷静に考えてみると、結構怖ろしい話を僕もしれっと書いているわけなんですが(^^;

まぁそういったことも起こりうるということなんですね。

「関係を壊してしまう怖れ」を感じやすい男性の気持ち

さて、ここからは少し視点を変えた話をお届けしますよ。

一般的に女性の皆さんのカウンセリングをさせていただいていると

「今の恋愛・夫婦関係がよりよく素晴らしいものになってほしい」

というお気持ちを強く感じていらっしゃる方が多いな、という実感が僕にはあります。

一方、男性の皆さんとお話させていただくと

「今の恋愛・夫婦関係がぶっ壊れないことを最優先に考えている」

という方が少なくありません。

つまり

「どうすれば関係が良くなるでしょうか?」というご質問をいただいたとしても

男女でその意味が違うことがある、ってことなんです。

例えば、女性の皆さんは、その言葉通りのお気持ちを僕に伝えてくださるのですが

男性の皆さんの中には

「関係が良くなる=関係が維持できる・壊れない」

という意味で僕に伝えてくださっている方も少なくないのです。

この方向性の違いは、いわば「積極的に関わること・愛し合うこと」に対するモチベーションの違いを生むと僕は思うのです。

「今の関係が素晴らしいものになる」ということを考えれば、相手と積極的に関わり、愛情などの気持ちを伝えていくことが必要になります。

しかし、「今の関係が壊れないこと」を考えるならば、リスクを回避し、問題があれば解決する、という方向性を模索するようになるだろう、と思うのです。

人によっては「下手に関わらないほうが失敗はないし、関係を壊すリスクを回避できる」と考えてしまう人もいるでしょう。

もちろん全ての人がそう考える、という話ではないのですけどね。

「馴化」と「関係を壊すことへの怖れ」で葛藤する男性の気持ち

ここまでの話をまとめると、こんなことが言えるんです。

「今の関係に慣れていて、いいか悪いか別にして刺激を感じなくなっている。

しかし、今の関係をぶっ壊すことは嫌なので、なんとか回避したいと思っている。」

そんな男性がいても不思議ではないのかな、という話。

ええ、分かります、分かります。

「私がどれだけあなたや二人の関係、家族のために頑張って来たか分かってないのか!」

なんてお気持ちがあっても不思議ではないですし、もし必要であればカウンセリングでお聞きいたしますよm(_ _)m

ただね、多くの男性が悪気を持って「関係をぶっ壊すことが嫌だ」と感じているわけではないんです。

関係を壊さないことに、自分なりの誠意を込める男性も少なくないんですよ。

逆に言えば、男性は「関係を壊すような行動を取ることを怖れる」のです。

だから、どれだけ今の関係に慣れを感じていても、浮気など関係を壊すような行動を取らない男性もたくさんいらっしゃいます。

が、その男性なりの誠意をパートナーに理解されていないと感じると、ちょっと展開が変わってくることもあるんですよねぇ。

ヒントは

そもそも男性と女性では「どうすれば関係が良くなるでしょうか?」という質問の意味が違う

って部分にあります。

もちろんこの話をどう解釈するかは皆さんの自由なんですけどね。

扉を開けるイメージ
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「馴化」と「関係を壊すことへの怖れ」で葛藤する男性とどう向き合うか

最後に、このような男性とどう向き合うといいのか、について考えてみます。

まず、馴化(慣れ)については、まぁ避けられないこと、とまず考えてみることなんでしょう。

そもそも長く恋愛関係や夫婦であるならば

「お互いに慣れる」

わけでして、ここはまさにお互いさま、という部分だと思います。

ただ、長く共に過ごすことは、慣れ、だけでなくて

実は「絆」や「信頼」も強くなっているはずなんですよね。

一見デメリットのように思える慣れは

二人のキャリア・絆・信頼を構築する時間によって生じた、とも言えるんです。

たとえ、今、二人の関係がこじれていても、今まで共に過ごした時間が関係を守る作用をもたらしてくれることも多々あります。

だから、

「普段から、絆や信頼を実感できるような発想や行動を持つことは、より深い親密な関係をつくる一つの方法」

になるんですよね。

例えば

「私達、出会ったころより、なんでも言い合えているよね」
「今までお互いがお互いを信頼して、ここまでやってきたよね」
「なんだかんだムカつくことはあるけど、相手のことをよく知っているのは私だし、私のことをよく知っているのは相手だよね」

そんな部分をしみじみ思い返してみたり、話し合ってみるのもアリ、ですよ。

また、慣れに関しては、環境の変化が有効に働く場合も多いですよ

だから

いつも出かけないところに旅行に向かったり
いつも行かないお店で二人で食事したり

特に、最近は全くしていなかったおしゃれな装いで出かける、なんて行動がオススメですね。

「関係を壊すことへの怖れ」を抱えている男性との向き合い方

また「関係を壊すことへの怖れ」を抱えている男性をほうっておくと、あまり良いことは起きないと思います。

誰しも自分の気持ち、特に相手に向けられている気持ちを蔑ろにされると腹が立ませんか?

だから、例えば

「私は幸せになることを考えているけれど、あの人は関係をぶっ壊さないことを考えているんだ。

カウンセラーに説明されてもよくわかんないから共感できないし、そもそもよく意味分かんないけど(^^;

それがあの人なりの誠実さかもね」

と信頼して

「いつもありがとね」と伝えてみる

なんて方法がありますね。

相手の意図を理解した感謝と、相手の意図を理解していない感謝では、相手に伝わる感覚が変わってくるんですよ。

また、女性のみなさんが感じやすい「幸せになる」という考え方も、説明してあげるといいと思います。

ただ、多くの場合、関係をぶっ壊したくないと考える男性の反応は

「ふーん」とか

「そこまでしなくてもよくね?」となる可能性大なので(^^;

心の中で「こいつなんやねん!」と思ってOKなので、怒りや不満はぶつけず流しておきましょうね。

むしろそこで怒りや不満を感じることにも意味がある、といいますか(^^;

しばらく何度も話していると、何となくあなたの意図を理解し始める人もいると思いますよ。

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