恋愛の心理学

彼とケンカばかりしてしまう人の心理とその対処法

自身を失った女性

「彼氏とケンカばかりしてしまって悩んでます・・・」

このようなご相談をお受けすることが少なくないんですよね。

自分と彼は違う存在ですから、お互いの価値観も違えば、恋愛観、人生観も違います。

だから、意識ではわかり合おうと思っていても、ついつい対立してしまったり、そこからケンカに発展することも有り得る話。

むしろ、このような状況は、誰しもが経験する可能性のあることではないでしょうか。

ただ、好きで一緒にいる人との間でケンカばかりしまうとしたら悲しいことかもしれませんね。

なによりいつもいつも彼とのケンカが繰り返されると疲れちゃいますよね(^^;

そこで、今日のコラムでは「彼氏とケンカが繰り返されてしまう心理」と、彼とケンカが繰り返されているときの対処法についてご紹介します。

彼とのケンカが繰り返されてしまう心理

ではまず、一般的に考えられる「彼とのケンカが繰り返されてしまう心理」をいくつかご紹介します。

なお、以下ご紹介する原因は、単独で起こるのではなく、複合的に影響している場合もあります。

相手への要求と現実とのギャップを感じている

僕達は多かれ少なかれ、パートナーである彼氏(男性の場合は彼女に対して)のことを理想化してしまうものです。

「彼にはこうあってほしい」「彼はこんな人であってほしい」といった風に。

これは誰しも抱く気持ちなので、これ自体が問題はとは言えないんです。

ただし、相手に求める理想が高すぎたり、相手に求める要求が多すると、現実との間にギャップを感じてしまうわけですね。

ここで「コントラスト効果」と呼ばれる心理効果が作用すると、彼氏の良さや魅力があったとしても、「理想的ではない彼氏の一部」に意識が囚われやすくなり、強い不満を感じやすくなるんですね。

※「コントラスト効果」とは、2つの物事を比較した際に、実際の差よりも大きく感じられる心理学的な現象のことです。対比効果とも呼ばれますね。

その結果、彼氏が自分の理想通りに行動してくれないことや、自分が思う通りの人でないことにがっかりしたり、不平不満や苛立ちを感じてしまうこともありますね。

価値観の相違

生活習慣、恋愛観、将来のビジョンなど、様々な価値観が異なることで、衝突してしまうことがあります。

自分の価値観を押し付けてしまったり、相手の価値観を理解しようとしないことで、ケンカに発展することも。

これは「相手を自分が思うようにコントロールしたい」という気持ちの現れとも言えます。

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コミュニケーションが不足している

本当に伝えたいことが上手く伝わらず、誤解が生じてしまうことがありますね。

相手の気持ちと自分が対立してしまうとき、「なんでわかってくれないんだ!」と思えば思うほど、つい「相手にも相手なりの気持ちや考えがある」という、普段ならできる相手への理解がすっ飛んでしまうことがあるんですよね。

その結果、うまくお互いの本音や真意を伝えることができず、一方的に自分の意見を主張してしまうことでケンカが終わらなくなることがあります。

ストレスの蓄積とその影響

仕事や人間関係など、日常生活でのストレスの影響で、彼氏との関係でイライラや不満をぶつけてしまうこともありますね。

気持ちに余裕があるときなら言わない不満も、気持ちに余裕がないと伝えてしまうこともあるようですよ。

過去の経験の影響

これはカウンセリングなどで扱わせていただくことが多い要素ですが、いわば「過去の恋愛や今までの人生の中で自分自身の心が傷ついた経験」が、現在の恋愛に影を落とすこともあります。

例えば、過去にひどい振られ方をして、それ以降異性を信頼することが難しくなった、とか。

自分自身がコンプレックスを抱いていて、自分は愛されるわけがない、という思い込みが根深く存在している、とか。

そういった心の傷や劣等感などがあると、つい彼氏に対して不安や不満をぶつけたり、彼氏からの愛情を確かめたり、理解を得たくて攻撃的になってしまう場合もありますね。

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彼とケンカばかりしてしまう人の深層心理に迫る

さて、ここからは心理コラムらしく「彼とケンカばかりしてしまう人の深層心理」に迫ってみたいと思います。

実は、彼とケンカばかりしてしまう人の深層心理には「親密になれない」とか「親密さを受け入れられない」といった「親密さ(intimacy)」に関する何らかの心理が作用している可能性があるんですよね。

この話をもう少し詳しく深ぼっていきますね。

恋愛の始まりは「パッション」によって惹きつけられる

そもそも多くの恋愛は「パッション」によって始まります。

ここでのパッションとは情熱という意味合いよりも「性的な魅力」という意味合いになることが多いです。

なので、本当に魅力的な人との恋愛が始まると、とても情熱的になりますし、人によっては燃え上がるような、今まで感じてきたことがないような熱く狂おしい感覚を感じることもあるでしょう。

これは、魅力的な相手に対して感じている感情・感覚でもあり、自分の中の性的なエネルギーを感じている、ということでもあります。

「恋は盲目」なんて言葉がありますけど、この盲目さを作っているものはパッション、と考えることができますね。

この人が運命の人だ!と感じるのも、このパッションによるものと言えます。

もし、ここがうまくいかないとしたら、自分自身の中で、性的な要素に対する抵抗感が強くなっているのかもしれませんね。

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インティマシー(親密さ)が求められる段階でつまづいてしまう

ただ、恋愛関係はパッションだけでなくインティマシー(親密さ)を求められる段階というものがあるんですよ。

よりお互いをよく知り合い、尊重することが求められるというか、それが愛の形の一つ、といいますかね。

かの有名恋愛心理理論である、ロバート・スターンバーグの「愛の三角理論」においても、愛の3要件は「親密さ(インティマシー)」「情熱(パッション)」「責任」である、と言われていますしね。

ただ、「親密さ」って日常的にもよく使われる言葉でもあって、いわゆる「仲が良ければいい」と考える人も少なくないようです。

ただ、ここでの「親密さ」とは、そういった意味合いだけにとどまらないものです。

たとえば

「恋愛関係の中で自分を犠牲にしない」
「相手を変えたり説得しようとしない」
「相手のその人らしさを承認しあう」

こういったものが「親密さ」と呼ばれる言葉の意味になるのです。

しかし、つい恋愛の中で、自分を犠牲にしてしまったり。

ときには、相手に変わってほしいという欲求を抱いたり、実際にコントロールしたり。

なぜかパートナーのあり方だけはやたら批判的に見てしまうことってないでしょうか?

もちろんそうなってしまうには事情があるものですから、いたずらに自分を罰する必要はないと思います。

ただ、親密さ、親密な関係をうまく築けないでいると、どうしても彼とケンカばかりしてしまう(彼女とケンカばかりする人も同じ)ことにもつながるんですよね。

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彼とケンカばかりしてしまうときの対処法

では、どのようにすれば彼氏とケンカばかりしてしまうときにうまく対処できるのでしょうか。

ここでは一般的に考えられることをいくつかご紹介しますね。

自分の気持ちのあり方を理解して受け止める

なぜ私はこんなに怒りや不満を感じるのか?

なぜこんなにも不安を感じるのか?悲しくなるのか?

そういった自分の感情と出会ったら、まずその感情を否定せず、「そう感じているんだ」と受け止めてみる意識を持ってみるといいでしょう。

誰も彼氏などパートナーと積極的にケンカしたい人はいないと思うのです。

が、どうしても自分の気持ちを上手く受け止められないと、強く相手に物を言ってしまったり、相手を批判してしまうようにもなるもの。

なので、まずは相手にぶつけたくなる気持ちを自分なりに受け止めてみる意識を持ってみることがおすすめです。

ただ、やってみようと思ってもうまくできない場合もあると思います。

そんなときは、一旦信頼できる親友や家族に聞いてもらうとか、カウンセラーに相談してみるなどの方法を使うことが効果的である場合もあります。

自分を責める声や追い込む声が強くなっていないかチェックする

つい彼氏とケンカばかりしてしまう人の内面には、実は「自分を責める声・否定する声」が溢れている場合も少なくないんですよ。

自分のことを追い詰めるような、自分を評価しないような、自分の感情や自分のあり方を否定するような観念や意識が強くなれば、誰だって攻撃的になりやすいものなんですね。

だから、何度も彼氏とケンカを繰り返してしまうなら、一度、自分を責めたり否定する声が強くなっていないか、チェックしてみるといいんです。

一つのコツとしては「相手がわかってくれない」「相手が悪い」といった思いが強いときほど、実は自分の中で自己否定や自己攻撃が強まっているんだ、と理解することです。

自分の中で生じている否定や攻撃がなければ、僕達はそこまで他人を強く責めることはないですからね。

つまり、自己否定や自己攻撃などがあればあるほど、身近な人とケンカしやすくなってしまうもの、と理解してみておくといいでしょうね。

相手の気持ちに共感する

ある程度、自分の気持ちを理解したり、受け止めるようになったなら、相手の気持に共感する、という行動を取るといいですね。

共感とは「相手の気持ちに寄り添うこと」です。

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相手の意見を遮らずに最後まで聞き、相手の気持ちを受け止めてみましょう。

ここでのポイントは「相手の気持ちに寄り添うときに、自分の意見や考えまで否定するつもりはない」ということ。

自分の考えや意見を否定すると、つい相手に対してこちらの気持ちを訴えたくなりやすくなります。

ただ、それは共感の中に含まれていることではないのですよ。

相手の気持に寄り添いながら、同時に、こちらの気持ちも大切にしていていいんです。

自分の気持ちを否定している(相手に否定された)と感じる分だけ、相手の気持に寄り添おうという意欲なんて持てなくなりますからね(^^;

また、このように相手の気持に寄り添うことで、ケンカしているときは見えなかった、相手の言動の裏にある気持ちを読み解くことができるようになり、お互いを尊重し合えるようになりやすくなりますよ。

冷静になる時間を設ける

お互いがあまりに感情的になっている時は、一旦冷静になる時間を設けてみる方法もあります。

期間を決めてお互いの時間を作り、その間はそれぞれ自分のあり方を冷静に見つめ直す時間を取ることで、高ぶった感情を整えることができる場合もあると思います。

自分の気持ちを言葉で伝える

少し勇気がいることかもしれませんが、自分の気持ちは率直に伝えてみることです。

その際、「~してほしい」ではなく、「私は~だと嬉しい」というように、相手に要求するのではなく、主語を私にして、自分の気持ちを伝えることが大切です。

自分自身の内面的な要因のケアをする

もし、自分自身の中にパッション、もしくは親密さをうまく抱けない、といった感覚があるなら、その内面的な要因に関してケアをすることも大切なことですね。

例えば、性的なエネルギーに関して抵抗があるとか、恋愛となるとつい犠牲をしてしまう、相手のあり方に批判的になりすぎてしまう、などなど。

もしこのような問題をお感じならば、カウンセリングなどを使って自分を見つめ直して見る方法もおすすめです。

親密さを感じ、自分も相手も尊重できる関係を築ければとても良い気分を感じますし、愛し愛されている実感も得られますからね。

最後に

いかがでしたでしょうか。

彼とのケンカをおさめて関係を良好に保つためには、お互いの意識と行動が必要になることは事実です。

ただ、できるだけ焦らず、少しずつ改善していくことを意識してみてください。

もし、もっと問題解決に向けた具体的なアドバイスが欲しい場合は、カウンセリングをご利用いただくこともご検討いただいてもいいかもしれませんね。

一人で抱え込まずに誰かに相談したい場合は、いつでもカウンセラーにご相談くださいね。

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