日常に使える心理学

自分から「幸せを手放してしまいそうになる」のはなぜ?

バツマークを作る女性

自分から「幸せを手放してしまいそうになる」理由

「幸せになることは怖いことだ」

僕が学ぶ心理学の中でよく語られることですね。

幸せになることが怖いから、いけないことだと感じるから

自分自身が幸せを壊してしまったり、手放してしまうことも起こり得ることなんですよ。

ただこの話、聞いているだけではよくわかんないものなんですね。

多くの人が「幸せになりたい」と思っているからです。

幸せになる願望って誰もが持つもの、ともいえそうですよね。

ではなぜ

「宝くじで高額当選する」と、一生の運を使い果たした、これから悪いことが起きるんじゃないか?と感じるのでしょう。

気になる人と仲良くなれそうなのに、あえて冷たくする人が出てくるのでしょう。

友達や仲間がほしいのに、自分はいい・・・と距離を置く人がいるのでしょう。

そもそも「幸せすぎて怖い」という表現があるのでしょう。

実は幸せになることが怖い、と感じているからこそ、自ら幸せを手放したり、時には壊してしまう人もいるんですよね。

もし幸せはなくなるものだとしたら・・・

「幸せはいつかなくなってしまうものだ」

もし、自分がそう感じているとしたら、どんな気分になるでしょうか。

どこか今ある幸せをゆったりと感じ、味わい、感謝することよりも

「どうせいつか無くなってしまうのだから・・・」と惰性で行動したり、今を大切にしないようになるかもしれませんよね。

今ある幸せを大切にしない可能性は高くなりそうですよ。

それは

  • 今の仕事の価値を見ないことかもしれません。
  • 今の収入(お金)を大切にせず使いすぎちゃうことかもしれません。
  • 今の家族やパートナーを魅力的に感じ、素晴らしいと感じないことかもしれません。
  • 今の自分自身も大切にしないかもしれません。
  • 努力して手に入れた仕事、資格にすぐ意味を感じなくなるかもしれません。
  • せっかく念願かなって手に入れたモノに価値を見いだせなくなるかもしれません。
  • 人にお祝いしてもらっても喜べないかもしれません。
  • 人間関係も一時的なものだと感じ、その関係を大切にしないかもしれません。

本当は欲しい幸せであっても「どうせいつかなくなるのであれば・・・」と感じていれば

そもそも幸せにならないことで安心する人がいても不思議ではないわけです。

  • 友だちに出かけようと誘われても、めんどくさく感じ、ノーという(けどホントは寂しがり)。
  • パーティーなどの人の多い場所に出かけるとやたら居心地が悪いから避ける。
  • フレンドリーに接してくる人が超苦手で拒絶したくなる。
  • わざわざ人に誤解されたり、自分が不利になるような言動を続けてしまう。
  • パートナーに冷たく当たる、相手の欠点ばかり見つめては指摘してしまう。
  • 本当にやるべきことを行わず、無駄に時間を使ってしまう。
  • どこか簡単に幸せになれそうにない人をパートナーに選んでしまう。
  • 誰かに成功のチャンスの機会を与えられても、それを断ってしまう。

こういった事例は、根っこで幸せにならないことで安心している人にみられるパターンです。

もちろんそうなってしまうには事情があるんですが、どこか無意識的に行動してしまうので「悩み」になってしまうことも多いですね。

しかしまぁ幸せになることが怖いと感じているならば、怖いことは避けますよね。

だから「怖くない安全な生き方」を選ぼうと思うなら、それはそれで理にかなったことなのかもしれません。

が、幸せを感じられるか?というと、そうではないから切ないわけですし

幸せがやってきてしまうと困ってしまうことになるんですね・・・。

幸せと辛さの間で・・・

ただ、幸せになることが怖いといっても、その事情はいろいろありそうですよ。

例えば、幸せと辛い出来事がセットになって記憶されていると、幸せは怖いものだと思うようになりますね。

「幸せの絶頂で失恋を経験した」ケースはその典型でしょう。

本当に好きで全く今の幸せを疑っていなかったにもかかわらず、急に別れがやってきたなら、もう何を信じたら良いかわからなくなりますよね。

それ以後、幸せになることよりも、幸せを疑い、傷つくことを怖れてしまっても不思議ではありません。

こういった怖れは、友達関係の中のトラブルでも経験するかもしれませんね。

今まで信頼していた仲間に裏切られた、仲間はずれにされた経験があれば、もう一度仲間を信じることが怖くなり、仲間との親密感から遠ざかる人もいるでしょう。

特に「辛い気持ちを表現できなかった人」ほど、そうなりがちかな~と僕は思いますね。

誰にも相談せず一人で抱え込むタイプほど、自分だけで自分を守ることを考えますから。

また、自分で自分を守ろうと考えているうちに

「自分はどうしてこんなにつらいのか?」

その理由を人それぞれ考えるのだと思うのです。

自分の〇〇がダメだから?
こんな容姿だから?
そもそも人に好かれないから?などなど

いろいろな理由を探し出しては、「だから幸せになれない」と思いこむようになることもありそう。

また「家庭環境」の影響も考えられますよね。

子供時代の僕たちにとって家族や両親は幸せや安心感を感じられる場所。

しかしその場所が何らかの事情で不安や怖れで満ちているとしたら、幸せを感じられませんよね。

例えば両親が金銭的なことでいつも苦労していたとしましょう。

すると子供にとってお金は幸せや安心をつくるものではなく、恐れや苦しみを作るものだと認識されるかもしれません。

両親が仕事やご近所の対人関係で悩んでいたとしましょう。

すると、子供にとって、仕事や人は脅威だと感じるようになっても不思議ではありません。

自分の両親・家族から笑顔が消えた、その理由。

子供にとってはやはり脅威になりやすいものです。

同時に、その環境の中で、「自分だけが幸せであることが許せない」と思う人もでてきます。

まぁ、両親のことは気にせず生きていく子供さんもいますけど

特に母親(両親)との癒着が色濃く残っていると「自分だけが幸せになってはいけない」と感じてしまうこともあるのですよね。

そんな子供さんにとって幸せはタブーになりますし、両親を放っておけない気持ちが溢れたり、自分だけが幸せになることに罪悪感を感じるようになるものなんです。

このタイプの子供さんは「助けたい症候群」になる可能性が高くて、人は助けるけど自分は苦しい、幸せを享受できない状態になることも少なくないわけです。

もちろん幸せを怖れる心理やその理由は人それぞれ様々、なんですけどね。

自らの心と行動を整えていく

幸せを恐れ、手放してしまう状態。

そこには無価値感・罪悪感が影響しています。

「自分は幸せになる価値がないのではないか」
「自分が幸せになるって罪なのではないか」

そう感じるので、ついつい幸せを恐れ、時には自ら手放し壊してしまうことにもつながるのですよね。

でも本当は幸せになっていいんです。

幸せにならないことで怖れを回避しようとする方法を

幸せを感じることに置き換えていければいいですよね。

この場合、まず「自らの意識の切り替え」は必要になることが多いんですよ。

今までの自分のやり方を変えてみるか、といった風に。

幸せは「感じるもの」なので、日々「幸せを感じられる習慣」を取り入れていくといい感じ。

例えば、感謝。

日常の中で「ありがとう」という言葉を使うように意識したり、仲間がいること、パートナーがいることに感謝してみたり、誰かの幸せを願ってみたり。

幸せや気分の良さを感じるものを日常の中に取り入れていくといいですね。

例えば、貢献意識。

誰かのために、という思いで与えてみることもいいでしょう。

心から愛を与えると自分自身が癒されますものね。誰かの幸せで喜びを感じられるぐらい想いを強くできると幸せですよ、ホント。

ポイントは自分がいい気分を感じられる行動に切り替えること。

だから役割意識や義務感で行動すると、できるけどいい気分にならないこともしばしば。

そんなときほど「なぜ与えているのに役割や義務感が出てくるのだろう?」と自分自身の心理パターンを見つめ直してもいいのかもしれませんね。

そのあたりはカウンセリングやセミナーがお役に立てるところです。

ちなみに・・・ここで作用している無価値感・罪悪感。

正直いいまして、手強いですよ。

どこか「きっと幸せを諦めたほうが傷つかないよ的な声」をバンバン感じさせてもくるので、想像している以上に手強い。

どうせ私なんて・・・と感じていたほうがまだしっくりきちゃったりするのでね。

それが僕の臨床経験での実感です。

だから、うまくできるかどうかに過剰にこだわる必要もないのかな、と思うこともありますよ。

ただ、続けることが大切ですよね。

もし自分から幸せを手放したり、壊さないようにしたいなら

「自分を変える」と決めて、その上で焦らずじっくり取り組むことなんですよね。

ABOUT ME
浅野 寿和
カウンセリングサービス所属心理カウンセラー。名古屋を中心に東京・大阪・福岡で〜旅人のように〜カウンセリング・セミナーを開催。心理学は現実で使えてなんぼ、がポリシー。
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