夫婦のための心理学

夫婦関係と見えざる無力感の影響 ~主人の不倫の末、別居してもうすぐ一年半になります~

浅野先生への質問

不倫の末、主人は家を出て行き途中二カ月程帰宅しましたが別居してもうすぐ一年半になります。子供は大学一年の娘と中三の息子です。
主人は一人で生きていく事を望み、私は主人のしてきた事を理解し受け入れ修復を望み、話をしても堂々めぐりで膠着しております。話が進まないので、先日は子供らに話をして分かってもらうと言って、一方的に話をしにきました。
お母さんとはもう無理やから、この先それぞれ生きていくためにも手当をもらって生きていってもらうしかないと。
息子は何で結婚なんかするねんと怒りその場を去り、娘はただのお金やんと言って怒ってました。
3人に1人は離婚してる時代やからとか、子供達の事は大事やからちゃんとしたいと言えば、娘は今がまともじゃないのに、ちゃんとできるはずがないと、。今の父親不在でさえ世間体的にも嫌がり、もう結婚もしたくないと言い心の傷は相当な感じです。息子は反抗期と重なり、思い通りにならない事があったら暴れる事もありました。
主人の不倫の事は、子供には言うつもりはありませんし、主人の悪口は言うつもりもありません。

私の事が無理と言いますが、どんな事?と聞くと積み重ねやと、、あと、私と不倫相手の方と主人に会いに行って話をしに行った事もあり凄い屈辱を味わい、恥をかいたんやと思います。その時は私は付き人みたいな存在で不倫相手と主人の掛け合いになってました。不倫相手にはご家庭もおありなのに、私にバレても一切引くタイプではありませんでした。主人はあんな事あって、今更無理やろうと言ってました。
主人の父親は女性の方と出ていき離婚をし、子供を作りました。主人は1円もいれなかった父親とは違って、養育費は入れると。主人の父親よりはマシを目指しているように思います。
子供達は主人の父親の事情知っているので、僕はそんなんなりたくないと遺伝を気にもしています。
私はとにかく子供達には主人と同じような苦しみを味わってほしくないし、この連鎖を止めたく主人の事も救いたいと思っています。
ここまで皆が傷付いたのにも意味があり、夫婦修復しか皆の心を救う術はないように思います。
主人は、とにかく俺は絶対この家には帰らないとしかいいません。
家に入れてくれてたお金も減り私の収入足しても生活は難しくなりました。
主人は今までの人付き合いや自由な生活スタイルなど変えたくなく、住む場所も前より良いところに引っ越したみたいです。

子供が主人と同じように苦労しないためにも、私は自分を癒す事しかできないんでしょうか?何か私に言える事できる事はないのでしょうか?

TTさん ※原文のまま掲載します


TTさん、おまたせしました。ネタ募集にご協力ありがとうございます。

今回のご質問、僕もじっくり何度も読ませていただいていたのでお返事するまでに時間がかかってしまいました。

なぜ時間がかかったのかは、このテキスト中に書いてあります。

私はとにかく子供達には主人と同じような苦しみを味わってほしくないし、この連鎖を止めたく主人の事も救いたいと思っています。
ここまで皆が傷付いたのにも意味があり、夫婦修復しか皆の心を救う術はないように思います。

 

これは切ない状況ですし、なかなか前に進むイメージが持ちづらく苦しい状況かもしれませんよね・・・。

その中でもTTさんの家族やお子さんを思う気持ちが本当に伝わってくるような感じですね。

だから、ご主人と同じような苦しみ、もそうですが、「私と同じ苦しみ」も子供さんたちには感じて欲しくない、とも感じませんでしょうか?

それぐらいの思いを持たれるのではないかなぁ・・・と勝手に想像していました。

さて、少し話はそれますが

まず僕の基本的なカウンセリングの指針の話をさせてください、

僕のカウンセリングの目指すものは「クライエント様の幸せ」にあります。

クライエント様のココロが解放され、楽になることはもちろん、その方が「幸せのリーダーシップをとれる状態になること」をヴィジョンとしている部分があります。

今、この状況を変える、苦しい状況を抜け出すという意味合いだけでなく、あなたを通じて人が幸せを感じたり、希望を感じるような状態ができるようなサポートを心がけているんです。

だから、クライエント様が抱えておられる目の前の問題「だけ」に僕の意識が向くわけではないですし、

「なぜこのような問題が起きるのか・今、必要なのか」

という心理的な背景を見つめ、問題を手放し、真に幸せな世界で生きていただけるようなカウンセリングを心がけています。

言い方を変えれば、木を見て森を見ず、にならないように心がけているといいますか。

僕も今まで離婚や別れにまつわるお話をたくさん伺ってきましたが

どうしても問題が起きると「物事を見るフレーム」が狭まってしまいます。

大局的にではなく、限定的に今の問題を見つめてしまうものですし、それが不安や窮屈さを生むんですよね。

この状況を続けると自分が信じられなくなりますし、不安が増幅するだけなんです。

だから、夫婦関係修復にしても、離婚して更にステップアップしたパートナーシップを手に入れていくプロセスであっても、

クライエントさまの幸せはもちろん、あなたの傍にいるといい気分になれる、何か勇気づけられる、そんな私になっていただけるようなサポートを僕はいつも心がけています。

視野を広く持って、自分らしい幸せを自ら選択していく。

それがクライエント様にとってベターな選択となることが多いからですね。

その視点で言えば、必ずしも「離婚=不幸」「復縁=幸せ」とは限らないわけです。

復縁にこだわってまた別れてしまっては同じことですし、再び文句を言い合う辛い関係が幸せとは言い切れませんよね。

しかし、情熱と愛を持って復縁を選び続け、本当にパートナー・家族を愛することができるなら、それは幸せと呼べるかもしれません。

離婚したからと言って、それが常に不幸な選択とも言えないですし、離婚したことが逆に早まった選択になることもあります。

こういった未来への選択に影響するものは

自分自身の「セルフイメージ」「自己価値」です。

自分への評価やイメージが落ちているときの選択は、「これ以上不幸にならない選択」になることが多いものです。今よりも大変な状態にならないように、と考えるわけですよね。

この状態が物事を見るフレームが狭まっている状態です。

この自分の選択に巻き込まれるパートナーさんやご家族のことを考えると・・・あなた以外の人たちはどう感じるでしょうね。

これがなかなか向き合えないパートナーシップの根っこに横たわっている心理状態となっていることも少なくありません。

しかし

自分への評価やイメージが高まっていくと、「よりよい選択を」と望むようになります。

それが結果的に周囲にいい影響を与えますし、自分自身も幸せを実感できるのですね。

だから「自分を見つめて癒やしましょう」というご提案になりますし、言い方を変えれば、転んでも(問題が起きても)ただでは起きないといった視点で僕はお話を伺っています。

その結果、「浅野は蛇のようにしつこい・情熱的」となんてお客様からの声をいただくことになるわけです^^;

ただ僕が情熱的に見つめているのは、「クライエント様の笑顔」なんですよ。

ぶっちゃけそれしか見ていません。

だからといって今のあなたの気持ちを蔑ろにしたいわけでもないんですよ。

そのあたり、僕も10年カウンセリングをさせていただいてきて、いつも悩みながらも「どう向き合わせていただこうか?」と考え続けているところでもあります^^;

***

さて、今回のご質問には「みんなの心を救う」と書いてくださってあります。

お子さんにもご主人のことを伝えるつもりはない、と書いてくださってあります。

その思いは凄いものがあるなぁと僕は思うし、あなたの強さも感じます。

ただ、みんなの心を救う、となると「今のこの状況」が続くことになりがちですね。

このままでいれば、いい悪いは別にして

「夫:悪役・加害者」
「妻:耐える人・被害者」

の構図になってしまうし、お子さんもそこに反応しているように僕には見えます。

このようにご主人さんの動向にばかり意識が向くと、それは「自分ではどうしようもないこと」なので不安、怖れ、執着、コントロール、焦り、葛藤を生み出しますし、自分自身も傷ついてしまいますね。

同時に、どうしようもないことだからこそ「絶望」するわけです。

だから、「今を変えたい」と願うはずなのです。

ご主人さんもきっとその成長体験の中で、そしてパートナーシップの中で、同じような気持ちを感じていたのでしょうか。

もちろんTTさんも必死で頑張っておられたのかもしれませんね。

もしこういった「どうすることもできない」という気持ちがご夫婦の間に横たわっているとすれば、これは「無力感」の影響と考えることができます。

自分には力がない、どうすることもできない

そんな感覚から、自分を責める気持ちも出てくるでしょう。人によっては無力感を感じたくなくて、今の関係を切り離すことも考えるかもしれません。

ご主人さんの言う「積み重ね」という言葉や、「あんなことが会って・・・」という言葉にもそのニュアンスを汲み取ることができますし、「救いたい」というTTさんの思いにも同じような印象を受けるんです。

であれば、この状態を続けることだけは避けたほうがいいことなんだろう、と僕は考えるんですよね。

 

実は「無力感」が横たわっているパートナーシップでは、必ず「相手に自分の意味を感じさせてほしい」という感覚が生まれてきます。

だから自分なりに努力したことも、愛したことも、相手の反応如何でその意味が決まってしまう特徴があるんです。

これが積み重なると、どうして相手は自分のことを見てくれない、愛してくれない、認めてくれないのだろう・・・と感じ始めてすれ違うのです。

ここのは必ずといっていいほど「執着」が生まれます。

見えない「無力感への執着」と、「無力感を感じたくない」という抵抗です。

するとパートナーシップ「どちらが無力感を引き受けるのか」という関係になってしまうので、歓びとは縁遠くなってしまいます。

そこで僕はこう思うのです。

少なくともTTさんにこの無力感がふさわしいのでしょうか?

僕はあなたの素晴らしさも同時に感じるのです。

愛し方云々の話は横においておいて、あなたなりの思いを強く感じるんですね。

ただ今回、僕の回答が遅くなった理由もここにあって、この「無力感」にまつわる話を書いて良いものかどうか考えていたのです。

いただいたご質問を向こう側に、TTさんの本当に純粋な思いを感じたんですよ。

僕としても大切にしたいなと感じる部分ですし、そこまでの思いが持てるあなたの思いの強さもくじきたくない、と考えていたからです。

ただ僕はこう思います。

もしあなたの気持ちが整理できてスッキリできたなら

「一体あなたはどんな未来を望むのでしょうか?」

「私にどんな未来がふさわしいとお感じになるでしょうか?」

もし「ご家族が幸せを感じて生きる」ということが実現するなら

まず「TTさんが自分らしく生きる」ことなんでしょうね。

もちろん今までのあなたが間違っていると考える必要はありませんし、あなたはあなたでいいはずです。

ただし、誰かに合わせて生きるのではなく、が大切です。

自分らしく生きているあなたの姿をお子さんたちは見て、そのあなたの話なら、お子さんたちにいい影響を与えるのではないでしょうか。

これは「自分らしさ」「自分の軸」をしっかり見つめることなんです。相手ではなく、ですね。

救う、という使命感よりは、もう一度「自分自身を見つめる」「もう一度愛する」「家族にどんな自分を見せようか」といったイメージなんでしょうね。

そこに様々なブレイクスルーポイントがあるように僕は思いますよ。

そのためにあなたの気持ちの整理・癒やし、心の支え・・・いろいろなものがあっていいんだろうと僕は思うんです。

その意識を自分に向けて、あなたの愛と繋がっていくこと、そして、そのために今は「誰かのためにではなく、自分のために」という視点を使ってみてください。

その上で出てくる答えが、きっとたくさんの人を笑顔のする選択になろうかと僕は思います。

どうかあなたの人生を大切にしてくださいね。

なにか参考になりましたら幸いです。

カウンセリングを利用する
カウンセリングを受ける

本当の幸せを見つめる・見つけるカウンセリングが人気!
心理カウンセラー浅野寿和のカウンセリングのご利用方法はこちら。

カウンセリングのご案内ご予約可能時間のご案内