Index
「彼・彼女と別れたいのに別れられない」というご相談
でも、心がザワザワしてなかなか別れられないんです。
相手が私を求めてくるとつい応えてしまうこともあって・・・。
自分の意志が弱いのかな、辛いことから逃げているだけかな、と思うこともあります。
でもどうしても別れられない・・・。なぜなんでしょうか。
今日はそんな「別れたくても別れられない心理」についての解説と、別れる準備についてコラムにしていきますね。
よろしければどうぞ。
彼・彼女と別れたいのに別れられない心理
パートナーと「別れたいのに別れられない人」の心理を見つめていくと
「別れないこと」のメリットに安心・安全感を感じている可能性が高い、といえます。
そもそも「別れたくても別れられない」という状態は
「別れたい・そのリスクを取りたい」という、自分自身の幸せを希求する側面と
「別れるリスクを取りたくない」という、(今の)自分自身の心の安全を確保しようとする側面との
いわば「せめぎあい」のようなものだと言えます。
この状態にあるときに
今この時点では確定していない「未来の幸せ」を選択するリスクが大きい、と感じるとするならば
「今の彼や彼女との関係をより良いものにできないか」と考えることもあるでしょう。
それがいいことかどうかなど誰にも語れないことですしね。
このとき、心理学でいうところの「認知バイアス」が影響している事が少なくないものなんですね。
そこで「認知バイアス」について、もう少し詳しくご紹介します。
確証バイアス
僕たちは、自分の信念や考えに合致する情報ばかりを集め、反対の情報は見ようとしない傾向があります。
これを「確証バイアス」と呼び、恋愛や結婚生活でもよく起こります。
例)彼はなんだかんだ優しい人だと思う。確かに彼は私をいつも責めるけど、それだけ真剣に向き合ってくれている証拠だと思う。
→本当に優しい人なら、相手を責めるのではなく受け止めようとするかもしれない。
例)最近、彼女から連絡が少ない、会ってもそっけない。でも、「会いたい」とは言ってくれる。だから嫌われてはないはず・・・?
→「彼女がなぜこの状況で会いたいというのか」の解釈の問題かもしれない。(彼女がフラれ待ちされている可能性もありえるかも?)
自己奉仕バイアス
僕たちは、自分の行動や判断を肯定的に解釈する傾向があります。
これを「自己奉仕バイアス」と呼びます。
例)恋愛関係が良好な理由は自分の影響だと考え、関係が悪化している理由は相手の影響だと考える。
例)彼や彼女が冷たいのはなにか仕事など別の悩みがあるためであって、自分との関係で悩んでいるわけではないと思い込む。
認知的不協和
僕たちは、矛盾する二つの考えを同時に抱え続けることに葛藤やストレスを感じるものなんですよね。
これを「認知的不協和」と呼びます。
例えば、「彼や彼女が好きで一緒にいたい」という気持ちと「でも彼や彼女に冷たくされて辛い」という矛盾する認知を持つと、それがストレスになる、といった感じ。
このように僕たちは心理的な矛盾を解消するために、自分にとって都合の良い考えをもって矛盾を打ち消すとされています。
例)彼や彼女が好きなのに冷たくされている状態があるなら、それは嫌なこと。
そこで「彼や彼女が好き」「彼や彼女が嫌い」という矛盾した気持ちを抱いたとき
その彼や彼女が好きであるならば、その葛藤や矛盾を解消しようと
「私は冷たい相手に対してやりたくないことをやっているんだ」と認識することを避けようとするならば
「私は相手のことを好きだから受け止めてあげているんだ」と無意識に捉えるようになり、犠牲的な行動が止められなくなることがある。
※彼や彼女に冷たくされても「もうしゃーないなぁ♡そこがかわいい!」と、心から相手を受け入れ与えようと思っているなら、そもそも自分の中で矛盾はしていない、ってことですね。
年齢や環境などが影響していることもある
もちろん認知バイアスだけでなく、自分自身、もしくは相手の年齢、経済的な事情、居住地、国籍、家柄など環境的要因なども
「別れないこと」のメリットに安心・安全感を感じさせる要因となることがありますよ。
*
※なお、ここまでの話は、いわゆる「彼や彼女が好き」という「お気持ちの話」ではなく、僕たちが心理的に引き起こすことに関する解説なので、その点は重々ご理解いただいたうえでご覧くださいませm(_ _)m
「別れたいのに別れられない」は孤独や分離を感じているときにも起こる
また、ここまでの話とは別の視点で「別れたくても別れられない」という状態と見つめいくと、次のようなことが言えます。
「別れたいのに別れられない」という気持ち・状態は孤独や分離(私は人と違うという気持ち)を強く感じているときにも起こる。
言い換えるなら
「私は普段から心から信頼できる人や、私のことをよく知ってくれている人がいない」
という自己評価が強いときにも起きるのです。
例えば、彼や彼女以外に、友人や仲間、家族、良くしてくれる異性がいたとしても
自分の中で
「その人達と心からの信頼で繋がっていない」
「私のことをよく知ってくれているわけではない」
という認識があるならば、そこで
「自分とその人達との心はつながっていないという自己評価」
が生じるわけですよ。
(相手は「ココロがつながっている」「よく知り合っている」と思っている可能性もあるわけですが(^^;)
これは、実際に自分のことをよく知ってくれている人がいるかどうか、ではなく
「自己評価である」
という部分がキモなんですよね。
だから、
「誰とも心が繋がっていない状態にならないために、たとえ目の前にいるパートナーとうまく愛し合えなかったとしても、一人ぼっちになったり、何もなくなるよりはマシ」
と思い、別れることができなくなってしまうことがあるようです。(考えようによっては、これも認知バイアスの一つと言えそうですけどね。)
パートナーに対する情や思い入れがあると、より別れづらくなる
また、今までがどのような関係であったとしても
パートナーに対する情や思い入れがあるとより別れづらくなる、といえます。
特に「自分自身が相手を受け入れた」という実感、経験などが強い場合
「自分が愛した相手」を失いたくないと感じやすく、好意的に受け止めようとする場合があるんです。
ただ、実際にこのとき生じている気持ちは
「いろいろあったけど、ここまで相手を愛したり、受け止めた自分を失いたくない」
「自分のそばに愛する人、関わり続けようと思う人がいなくなることが辛い」
といった、「愛するものを失うことへの怖れ」であることが少なくないんです。
多くの人が自分が持つ愛や情、思い入れなどを好んで否定したいとは思わないでしょうし。
誰も愛していない自分や、誰も愛さない人生なんてつまらない、と思うこともあるでしょう。
つまり僕たちは「愛してあげたい人」「自分が相手のお役に立ちたい人」がいるならば、やはりその人失うことが嫌だと感じるものなんです。
そんな状況にあれば、なかなか別れを告げられなくなってしまことも考えられますよね。
誰とも心がつながっていない状態で作るパートナーとは癒着しやすい
また、これはそもそも論になるんですけども
誰とも心がつながっていない状態で作るパートナーとは「癒着」しやすくなります。
※癒着に関する解説は次のコラムにありますので、よろしければご覧ください。
癒着は「誰とも心がつながっていない状態」と同じような感覚をもたらします。
そもそも、心と心がつながるには「お互い別の人間だ」という意識が必要です。
一方、癒着状態は、心と心がくっついているので、感情レベルで
「相手と一体化」
してしまっているんですね。
だから、まるで自分の心の1つのパーツのように感じるパートナーへの依存度が高まりますし、相手のことを「まるで自分のことのように感じやすくなる」んです。
例)相手がイライラしているだけで、まるで自分は否定されているように感じる。
例)相手がしんどそうにしているだけで、まるで自分が相手を苦しめているような感覚を覚える。
だからこそ、「別れたほうが楽だ」と思う人もいるでしょう。
が、実際に癒着していると剥がすことが難しくなるんです。
癒着を剥がすということは、ある意味、自分の心の一部をまるっと失うように感じるもの。
だから、今の関係が苦しくても、それ以上に痛くてつらくて孤独になる「別れ」を選ぶより現状維持でいいか、と感じてしまうことも少なくないわけです。
別れたいのに別れられないの卒業!きちんと別れる方法
では、「パートナーと別れたくても別れられない」という状態から卒業する方法について、いくつかのステップに分けてまとめていきますね。
1:自分の素直な気持ちを冷静に見つめ直す
「今の自分が感じている素直な気持ち」をいい部分・悪い部分両面から丁寧に見つめ直してみましょう。
恋愛や夫婦関係の中では、自分にとって都合の良いことも悪いことも、心地のよい気持ちもそうではない気持ちも感じるもの。
感じることが悪いのではなく、感じるのが普通、ぐらいのスタンスで捉えておくことがおすすめです。
そういった様々な矛盾を感じても「もうしゃーない、私はあの人が好きで全部受け入れているんだから」と思えるなら、それは「愛している」ってことになるんでしょうね。
具体的には
- 自分の気持ちをスマホメモやノートに書き出してみる。
- 今の自分の気持ちをスマホの録音機能を使って思うがまま吹き込んでみる。
それを数日後にまた聞いたり、見つめ直してみる方法があります。
これによって自分の気持ちを少し客観的に受け止めることが可能になるんですね。
大切なことは
- 「自分には幸せを希求する権利がある」ということを念頭に置くこと。
- 安全を求める気持ちが悪いわけではないこと。
- 別れる相手のことを無理に嫌う必要はない、ということ。
- 自分の素直な気持ちに嘘を付く必要はない、ということ。
もちろん、自分の気持ちを一人で受け止めることが難しい場合は、カウンセリングをうまくご活用くださいね。
2:今の自分を知る人を見つける・増やす
別れを決断する際に
「今の自分をを知る人・支援してくれる人を増やす」ということは、とても重要な要素です。
確かに、自分の悩みや考えを誰かに知ってもらおうと思うには、一定の素直さ・成熟さが必要かもしれません。
ただ、今の自分を知っている人がいる、という現実が、心の安定させる効果を持っています。
一人で考え込まず、自分の悩みや考え、気持ちを、信頼できる誰かに相談する、知ってもらう、ということで、全く誰ともつながっていない状態を抜け出すことを考えていくといいんです。
もちろん、カウンセラーもその選択肢の一つといえるかもしれません。
ただし、この話は「自分のことを知ってくれている誰かを作ること」であって、今のパートナーとは別の依存対象を探す、ということではありませんよ。
ここを間違うとまた失望したり、孤独になってしまいがちなので、要注意です。
3:別れる決断は「ある程度気持ちが安定してからでいい」と考えてみる
つらい気持ちを抱え込んでいるとき、自分の気持ちがよくわからないとき
人生における重大な決断をすることには、一定のリスクが伴います。
冷静に判断できなかったり、自分の決断に納得する前に答えを出してしまうことも多々あります。
なので、今、なかなか気持ちが整わないのであれば
別れる決断は「ある程度気持ちが安定してからでいい」と考えてみるのも一つの方法です。
ただ、これは決断を先延ばしにするという意味ではありません。
別れるか別れないかを決めることが前提の話になりますから、自分の気持の整理を進めたり、誰かに相談するというプロセスも大切にしてみてくださいね。
4:別れた後の未来の目的を持つ
ちょっと勇気は必要かもしれませんが
「自分の未来に対する目的意識を持つこと」も大切なことです。
例えば、「幸せな結婚がしたい」「もっと私らしく恋愛したい」「愛し愛される関係を持ちたい」など。
これも「別れたいのに別れられない」というご相談の中でよくある話なのですが
「別れることだけに意識をフォーカスしている」という方って意外と少なくないんです。
これはある意味「自分自身の大切な未来への目的・展望」を考えていない状態だと言えるんです。
むしろ、未来のことを考えると絶望するから考えない、という方も少なくないんです。
だから
「なぜ別れるのか」「何のために別れる選択をするのか」
という目的が明確にならないんです。
5:別れると決めたら、きちんと話し合う
また、別れると決めたら、一方的に別れを告げるのではなく
「別れる理由などをきちんと相手に伝えて、話し合うこと」が大切ですね。
ここでのポイントは次のようになります。
- 自分自身が別れたい理由をきちんと伝えること。
- 相手の意見や反応や遮らずに聞くこと。
- そのうえで、自分の意志をきちんと伝えること。
- 自分自身の感情を完了させる効果がある「パートナーへの感謝」をきちんと伝えること。
特に、パートナーへの感謝を伝えることで自分の気持ちも整理でき、今まで引きずってきた気持ちを完了させやすくなりますからオススメです。
6:元に戻る選択はなくす覚悟を持つ
また、別れると決めたら
「もう一度関係を戻す選択やその含みの要素」は一切入れずに別れましょう。
実は、いくらきちんと別れると決意しても
自分の内面の中で「別れたくない」という気持ちや
「別れる不安を回避したい欲求」は完全に消えているわけではない場合が多いもの。
それぐらい自分の気持ちって、自覚以上に揺れているものなんです。
だからこそ、もう一度彼と会う約束や、時間が立ったら向き合おうと考えてしまうと、一度決めた決意が揺らいでしまうのです。
だから、別れると決めたら、これっきり関係を切る。連絡もしない。
そう決意しましょう。
その後で溢れてくる悲しみなどがあるなら、信頼できる人に聞いてもらったり、カウンセリングなどを上手に使って、気持ちを整理することをおすすめします。
別れたくても別れられない状態は、自分を見つめ直すことで手放していけます
いかがでしたでしょうか。
別れたくても別れられない状態は、自分を見つめ直し、きちんと決断することで手放していけます。
そもそも、別れたくても別れられないのは、自分自身の心のつながりを感じられず
「まだこの人を完全に失うよりはマシ」
と感じているときに起きやすいようです。
しかし、今の関係があまり喜べないものであるならば、それはパートナーを使って自分を責めている状態とも言えなくもないのです。
もし、別れたくても別れられない、とお悩みなら、あなたとパートナーにとっての最善の道を選ぶ意識を持ってみてくださいね。
また、カウンセラーはいわゆる「別れさせ屋」ではないのですが、別れるプロセス(≒未来の幸せを模索するプロセス)のお手伝いてもしています。
もうどうにもならない、と思ったら、誰かとつながる、相談するという選択があってもいいのかもしれませんね。
本当の幸せを見つめる・見つけるカウンセリングが人気!
心理カウンセラー浅野寿和のカウンセリングのご利用方法はこちら。