日常に使える心理学

会話の中で相手の微妙な表情を見ると「ダメだな」と感じて嫌になります。

浅野さんへの質問

こんにちは。
私は中学生くらいからコミュニケーションで悩んでいます。
話してる最中相手がどう思ってるか気になります。
相手が楽しんでるときはいいですが、微妙な表情の時は私はやっぱり会話がうまくできてないんだなとつくづく感じて嫌になります。
コミュニケーションだけでなく、そもそも人間不信だったり 自己表現が苦手だったり、好き嫌いがハッキリしているので合わない人とは全く話せなかったりします。
なので堅苦しく思われたり、最初は話しかけてくれた人がだんだん離れていったり、仲良くなるのが怖くて誘うことすら躊躇してしまいます。
もちろん相手から誘われることもないです。
こんな私じゃしゃべってても窮屈に感じるだろうし、魅力的だとは思ってくれないだろうなって感じてしまいます。
この話題はカウンセラーさんに何度も打ち明けていますが、なかなか緊張感が抜けなくていつまでたっても会話が苦痛で、独りぼっちです。
なんとか解決していく方法はありますでしょうか

(匿名さん ※原文のまま掲載しています。)

匿名さん、おまたせしました。今日はあなたのご質問にお答えしますね。

コミュニケーションの問題ですね、相手の目が気になる・・・という。

***

今回いただいたような「相手の目が気になる」というケース。

これは暗に「相手にどう思われているのかが気になっていて、自分が何を発信し表現しているのかを見落としている」ということを示している事が多いんですよ。

灯台下暗し、と言うと妙ですが、そんな感じなんです。

意外と自分が自分のことばかり気にしているので、相手は「あなたが何を感じているのかわからない」と警戒していることも多そうです。そんな相手を見てまた警戒する私、という繰り返しのような、ですね。

もちろん相手にどう思われているかが気になる、という部分では、そう意識するだけしんどいし、自分らしくいられないし、コンプレックスを抱えている場合はそこを刺激されるので、切ないお話なんですけどね。

ただ、この話

「自分がどう見られているかばかり気になる」だとか「自分自身の劣等感やコンプレックス」の問題にしてしまうのか。

それとも「相手のことを見ていないかゆえに怖れが強まっていて、実は相手を見てコミュニケーションすることで問題が解決する話」なのか。

そのあたり、個別ケースとして、そして問題の見立てとして切り分けて考えたほうがいい、と僕は考えています。

そもそも多くの方がその程度の差はあれ、「自分がどう見られているか」を気にする部分はあると思うんです。

そして、僕達は思春期あたりになると、多くの人がこの「自分がどう見られているか」を気にしはじめることがあるものです。

ただ、その後の成長プロセスの中で「自分らしさ」を見つけたり、「人との関わりの中で相互に受け容れ合う経験」をしていく中で、自分は自分でいいんだな、自分を嫌っているのは自分か・・・と理解していくものだと思うんですね。

そうは言えども、「こんな自分が嫌だ」と思っている部分が強ければ、なかなか受け容れられないということもありますし、対人関係の中で嫌われた、避けられたと言った経験があれば、どうしても傷つきたくないがゆえに「人の目を気にする」という部分がの凝ってしまうことだってあると思うんです。

それはとてもつらいことでもあり、なかなか変えられない私がいる、とも考えられます。

なので、「自分の内面的な要素(劣等感やコンプレックス)」を実際に癒す・扱っていく、ということもカウンセリングとしては考えられることです。

が、このテーマは「今まで嫌ってきた自分を受け容れるプロセス」でもありますから、人によっては抵抗感が出たり、なかなか受け容れられず葛藤してしまうこともあります。

自分を受け容れることは嫌、だけど、人からどう思われるか警戒してしまうことは辞められない。

自分を嫌い否定したままでこの部分を扱うと、時々にっちもさっちも行かなくなるケースもあるんです。

たしかに人を警戒していれば、現実的には傷つかないのかもしれませんが、人と関わる時に常に警戒心を用いざるを得ず、疲れ果ててしまうことも有り得る話です。

そういった時は、実はあなたが関わりやすい人からでいいので、「自分から人と関わり、心から相手の事を考えて与える、関わる」といった経験をするといいんです。

「なんだ、自分が思っているよりも人は喜んでくれるし、受け容れてくれるな」と感じられ、自信や自己肯定感が高まることもあるんですね。

ここがとりあえずの目標設定になることが、こういったケースでは多いようですね。

意外と、人にどう思われているのか?を考えすぎている時、僕たちは知らず知らずのうちに「自分自身に理想を当てはめている」事が多いものです。

こんな私でないとダメ、こんな私ではダメ、と制限をかけているのです。

が、どうなんでしょう。あなたの好きな人、関わりやすい人との中で、あなたはそんな理想的な自分を見せているのでしょうか。

もしそうではない要素があるなら、意外と人は既にあなたを受け容れてくれているのかもしれません。

人の思い、意識を拒絶していたのは「自分だった」という話、実は意外と多いものです。

あなたの強みはなんでしょう。あなたの良さはなんでしょう。

人からどう思われているかを気にしている時、僕たちは自分の中の良さにあまり価値を見ません。

「もっとすごい人がいるし」「この程度のこと誰でもできるし」・・・

そんな風に、自分の価値を見出さないような思考・発想をしていていることも多いハズ。

だとすれば、初めから「自分の良さなどは受け容れず、私が相手を喜ばせる要素なしに、どこか丸腰で対人関係に向き合っている」のですから、「いったい相手は私のことをどう思うだろうか?」と気にするはずですよね。

ここに隠れた自己否定、まず認めてみる。

今までの自分を否定することなく、それが私なんだよな、と感じてみる。

その上で目的の設定をする。「もっと人と関われるようになりたい」と。(人の目を気にしないようになりたいと思うと、何故かうまくいかないことが多いんです)

そのように、自分自身に対する自己否定を和らげ、「何が足りない・できていないか」よりも、「今の自分にできること」を使って、人と関わり与えていくこと。

そういった経験が、自己否定の罠や自分にかけている制限を外していくメソッドになることもあります。

もちろん完璧を目指す必要はないんです。苦手な人がいてもそれでいいんです。

今の自分ですら否定する必要はないんです。人の目を気にしながらも、必死に自分を守っているのですから。そこに意味もあるんです。

そんな自分をあなたが嫌うのか?どうするのか?

ここがまず最初のあなたの選択になります。

対人関係で悩んでしまうとつい自分に厳しくなりがちですが、まずは自分にダメを出さなくてもいい、というところからゆっくり始めてみるといいのではないでしょうか。

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