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妊活のプレッシャーから別居を望む夫と関係継続を望む私
先生へ質問させてください。
妊活のプレッシャーに耐えられず、別居したいと言った旦那さんの心理状態についてです。
結婚7年目になる旦那さんから、4ヶ月ほど前に別居したいと言われました。
私たちには子どもはいませんが、いずれ欲しいねと言っていました。ですがなかなか授かれず。
私も35歳を越えており、職場にも私の妊活を考えた人員配置など考慮してもらえたため、作るなら今年がいいなと伝えていました。
ですが、旦那さんもプレッシャーからか上手く出来ないことが続きました。
(元々私たちはレス気味でした。)
別居を言われる少し前から、旦那さんは私のことを避ける素振りを見せ、笑顔がなかったり、素っ気ない態度が続きました。同じ空間にいたくもなかったようで、私がリビングにいると旦那さんは寝室にこもっていました。
そして別居したいと言った理由が
私が子どもが欲しいのに自分が出来ないので申し訳ない
罪悪感しかない
今は子どもが欲しいかもわからない
一緒にいるのがしんどくなった
とのことでした。
私も子どもは欲しいですが、子どもが欲しくて結婚したわけではない。
あなたといたくて結婚したんだ。
子どもが出来なかったなら2人で過ごすのもいいと思うと伝えました。
ですが、旦那さんの気持ちはなかなか変わらないようで、避けられたままです。
旦那さんは自分のコンプレックスを私に投影してるから私を避けるのかなと思うのですが、私と別居したところで根本的な問題は変わらないと思うのです。
旦那さんは周辺で妊娠報告を聞いても素直に喜べないと言っていました。
心の奥ではまだ旦那さんも子どもが欲しいんだと思います。
私は離婚も別居もしたいと思っていません。
どうすれば旦那さんと関係を修復していったらいいかアドバイスをいただきたいです。
ネタ募集ネーム:べーぬさん
べーぬさん、ネタのご協力ありがとうございます。大変おまたせしました。
今日はあなたからいただいたご質問にお答えしますね。
なるほど、ご主人さまが妊活のプレッシャーから別居を望んでおられるのですね。
あなたから引き止めても避けられたまま。おつらい状況ですよね。
では、僕なりの見解をお伝えしたいと思います。よろしければどうぞ。
妊活で男性が感じるプレッシャーについて
まずは一般論的な視点から「妊活で男性が感じるプレッシャー」について、考えてみたいと思います。
そもそも「妊活」とは、「妊娠を望む男女が行う準備」のことですよね。
それは、医学的な治療はもちろん、妊娠に向けた知識を得ること、生活習慣の見直しについて考えることなども含まれます。
なお、一般男性の約20人に1人は不妊の原因が男性側にあるといわれています。
(参考:原因は男性にもある?! 男性不妊治療の今 サワイ健康推進課さま)
また、妊活における負担は、身体的な面だけではない、とも言われていてます。
心の悩みも、見過ごしてはならない大きな問題だと捉えることができますね。
自分の問題でパートナーの望みを叶えられない苦しみ
さて、ここからは僕の経験上のお話になるのですが
妊活で感じる心の負担の多くは
「自分の影響でパートナーの望みを叶えられない苦しみ」
であることが多いと見ています。
男女どちらかに不妊の問題がある場合はもちろん、医学的に問題はないとされていても実際に妊娠まで至らない場合も含みます。
平たく言えば、喜びという結果に至らないことが苦しいのです。
また、妊活で感じる負担の多くは「結婚した後で生じるもの」です。
今まで二人の関係に何ら問題がなかったとしても、妊活を機に
「うまくいかなかったらどうしよう」
と男女ともに考えるようになることも多いもののようです。
だから、急に二人の関係がギクシャクしたり、パートナーの前で今までのように振る舞うことができなくなることが辛いと感じる方もいます。
今までの関係が良かっただけに、コントラストで今が辛く写るのです。
また、お互いに過剰に気を使ったり、自分自身の不安を口にすることができなくなる、といった状態になることも少なくないようです。
このような不安は「子供が授かるかどうかも」という不安でもありますが
「パートナーの望みを叶えてあげられない無力感」を強く刺激する場合も多いんです。
本来は喜びや幸せを実感するためのプロセスで、無力感を感じる。
それはとても辛いことだと僕は思います。
パートナーとの関係を大切にしている人ほど、自分自身を責めたり、無力感を感じやすくなるでしょう。
また、自分自身の無力さを誰にもシェアできない人の場合、更に自分を追い込んだり、パートナーに感情をぶつけてしまう人も出てきます。
それぐらい自分の力だけではどうすることもできない現実が苦しい、ということなのですね。
無力感から自分を責める人もいる
だから、無力感を感じる現実や、いいか悪いか別にして、何もしてあげられないパートナーの前から去りたいと思う人も出てきます。
そこには自分自身の無力感や責任から逃れたいという側面だけではなく、
自分自身が抱えているパートナーへの愛情があるがゆえに葛藤する、という側面もある、と僕は考えています。
例えば、妊活がうまく行かない、という現実を前にすると
妊活がうまくいくように最善を尽くしたい、という気持ちと
妊活がうまく行かないことで感じる不安や悲しみ、という気持ちとの
両面が存在していることが多いものです。
が、実際に妊活がうまく行かない、上手にパートナーと関われないといった現実と向き合い続けてくると、なかなか一人では抱えきれない気持ちを感じることにもなると思うのです。
だから、最善を尽くしたいという気持ちを、自分の中で一旦否定したくなる。
そう思うことがつらくなるから、ですね。
その結果、不安や悲しみ、無力感などから遠ざかるための行動を選択しようとする人もいる、ということなのです。
(ただ、今回の場合は関係をすべて壊したいわけではないから、別居、という選択なのかもしれませんが。)
この場合、パートナーと共に過ごしていきたいという気持ちがあったとしても
パートナーと過ごすことで、不安や悲しみ、無力感を感じてしまうわけですよね。
だから「別に子供ができなくても、あなたと一緒にいたい」と伝えても、相手の気持ちはなかなか動かないのです。
その選択を取るということは
今、感じている無力感などの感情を感じ続けることにも繋がりますし
なにより「パートナーにそんなことを言わせている自分」に失望してしまうからではないでしょうか。
「自分に問題がなければ、パートナーにこんな思いをさせることはなかった」
心の奥底でそう思っているならば
自分を責めるし、罪悪感まみれになっても不思議ではないですよね。
自分を責めるのではなく、お互いに今の気持ちを分かち合うこと
ただ、いくらパートナーへの思いがあるとはいえ
自分を責めても目の前の問題は解決しないことが多いものです。
むしろ気づくべきは
なぜ無力感を感じるのか
パートナーに申し訳ないと思うのか
どうしてここまで自分を責めるのか
その理由にあります。
心のバランスを取るために、自分を責めたり、辛い感情を感じる状況から逃れようとすることは、誰にだって起こること、といえます。
そこで、自分を責めずに、逃げずに向き合うためには
「自分自身が与えたい幸せ・目的」
「真にパートナーに与えたいこと」
などを思い出す必要があるのです。
そしてその目的や、その目的がうまく与えられない葛藤をパートナーと分かち合う勇気を持つことが何より重要だと僕は考えます。
その上で、パートナーと今後どうしていくかを話し合うこと、なのでしょう。
*
が、万が一、自分の問題で妊活がうまくいかないと考えている人がいるとしたら
「問題を抱えて足を引っ張っているのはこちら。
だからきっと相手は自分に失望しているし、怒っているし、自分は許されないだろう」
と考えてしまうことが多いはずなんですね。
ただ、相手がこちらを許しているかどうかは、相手次第なのですよ。
この状態は
「自分が自分を許していない(辛い感情から逃れたいと思う)から、愛するパートナーを自分を責める人に使ってしまう」
という状態なのです。
これが罪悪感や無力感がもたらす、厄介な観念だと言えると思います。
関係修復には「お互いがお互いの味方」になること
さて、最後に僕からべーぬさんへのアドバイスになります。
きっとべーぬさんご自身もおつらい状況だと思います。お子さんのこと、ご主人のこと、一人で抱えるには大きい問題がやってきているのではないでしょうか。
そんなときだからこそ、べーぬさんの支援者を求めたり、心のケアを進めていただくといいのではないか、と僕は思うのです。
例えば
何でも話せる人がいる
気持ちを支えてくれる人がいる
あなたの幸せを一緒に考えてくれる人がいる、としたら。
あなたがご主人の幸せを考えたり、ご主人のお気持ちに寄り添うことも比較的容易になるかと思うんですね。
しかし、あなたが追い込まれていたり、無理を続けてしまうと、あなたは強い意志でご主人と向き合うことになるやもしれません。
すると、その強い意志がご主人のそれとぶつかってしまったときに、大きなハレーションを起こしてしまう可能性も出てくるんですよね。
少なからず僕は
あなたご自身が自分自身の気持ちを楽にして、我慢ではなく、どこか寛容さを発揮できるになることが、ご主人の本音を引き出す鍵になる
と考えます。
少なくともご主人の気持ちがある程度楽になっていくことで、話し合えるようになるのではないか、と思うのですがいかがでしょうか。
もちろんこれは実際にやってみないとわからないことなのですけどね。
パートナーシップの問題は強い気持ちをぶつけ合うのではなく、理解し合うことで解決していく
僕たちは、妊活を含めたパートナーとの問題を抱えると
お互いが「自分自身が辛いからこそ、強い気持ちを持とうとする」傾向があるんです。
それは自分自身の心が揺れることを怖れるから、なんです。
辛いとき、苦しいとき、気持ちが折れそうなときほど、強い気持ちでいないと自分が持たないって感じますからね。
しかし、その強い気持ちを相手にぶつけても、相手はその気持ちを受け止める余裕がないから問題が起きている可能性は否定できないんですよね。
だから、自分自身の愛情や目的を譲る必要はないのですが
二人の幸せのために
「強い気持ちだけで向き合うのではなく、理解し合うこと」
を目指していただくといいと思います。
その前提条件に「自分の気持ちを理解し整える」という部分が重要だと僕が考えます。
↑この記事でも書きましたが
「自分の気持ちを深く理解し整える」ことを通じて「相手を理解していく」
という流れはとても重要です。
もし、自分に強い気持ちしかないのであれば、相手の別れたいという意志も強いだろうと感じやすくなるように
「自分の気持ちが理解できるから、相手の気持に気付ける」のという部分から進めていただけると、と思う次第です。
最後になりますが、べーぬさんとご主人さまとの関係がより良い形になりますよう、僕も心から祈らせていただきますね。
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