恋愛の心理学

愛されても一緒にいられない 〜無力感を押し付け合う関係になっていないだろうか~

考え込む女性

いくら愛されてもこれ以上一緒にいられない・・・

パートナーシップの中で感じると切なく辛い感情。

それが「無力感」。

この感情を感じつづけることで、

「いくら好きでも、これ以上一緒にいられなくなる・・・」

なんてことはザラにおきます。

「自分はパートナーのために必死で頑張ってきただけなんです。

しかし、パートナーは『一緒にいると辛い・・・』と言い始めました。

今では『もう別れたい、一緒にはいられない』とまで。

一体何がどうなってしまったのでしょう。何が間違っていたのでしょう。」

パートナーを全く否定しているつもりはないのに、なぜかパートナーが苦しみだしてしまう。

もしこのような状況が訪れたなら、

「無力感」と「悪意なきマウンティング」についてよーく見つめてみることをオススメしたいのです。

うっかり悪意なきマウンティングをしちゃうタイプとは

「仕方ないなぁ、もう全部私に任せて。あなたより私の方がうまくできるから、何もしなくていい。」
「君は僕の言うとおりにしていたらいい。傷つく必要もないし頑張る必要もないんだよ。」

これ、良かれと思ってパートナーを支え助けようとする情熱的な男性・女性がいらっしゃいます。

もちろんパートナーを愛し、支えようとすることに何ら問題は無いような気がします、よね?

ただ、この思いもあまりに行き過ぎてしまうとそばにいるパートナーは

「私は(僕は)何もさせてもらえない、愛させてもらえない」

そう感じはじめることがあるわけです。

まるでパートナーを籠の中の鳥状態にしてしまうわけですね。

もちろん、相手を支えようとしている本人に悪気はないし、素直に「相手のために」と願っているだけでしょう。

ただパートナーのことを思い、パートナーのために行動しているだけなのでしょう。

しかしこの愛し方が長く続くと、パートナーは無力感の海に叩き落とされ、自分の存在価値を見失ってしまうことも有り得る話なんですね。

無力感を押し付け合う関係になっていないだろうか?

このような関係性で注目すべきは「無力感」という感情の在り処です。

人の役に立ちたい、相手の支えになりたい、人を助けたい。

そんな思いが強い人ほど実は、

自分が無力感を感じることを極端に避ける事が多いのです。

まさに「心理パターン」となっていることも多いのですよ。

無力感を感じるぐらいなら、行動する・働く・頑張る・愛する・耐える・・・・

無力感を感じないためなら苦労もいとわない、なんて方だっていらっしゃいます。

それぐらい

「人の役にたてない、相手の支えになれない、人を助けられない」

そう感じたくないのです。

ゆえに、無力感を感じる役割をパートナーに担わせてしまうのです。

むしろ、パートナーが素晴らしいとつい逃げたくなったり、競争してしまうわけです。

「大丈夫、私がいるからね。全部支えてあげるから。」

一見すると愛のように見えるのですが、これが悪意なきマウンティングになるわけです。

実は相手のためを願っていながら、その行動の目的は自分自身に向かっていた、というわけですね。

すると、無力感を感じている側は

「何もできない自分がダメなのかな。もっとしっかりして、相手の力を借りなくてもいいようにならないと・・・」

そう思い始めます。

「あなたを支えてあげるから」という思いを拒絶し始めるのですね。

それもこれも無力感を感じ続けることに耐えかねるから、なのです。

しかし、支えたいと願う側は「愛情を拒絶された」と感じるでしょう。

ここでこちらに無力感がやってくるのですが、これを受け入れたくはないわけです。

だからより強く「良かれと思ってパートナーと関わり、支えよう」としはじめます。

時には、パートナーシップや物事の主導権を握っていないと自分の意味がなくなるような気がしてしまので、パートナーに自分に従うように求めることもありえます。

もちろんパートナーはそれをまた不快に感じます。

どこか無力感から抜け出すことができず、自分の気持ちを理解しようとしない相手にうんざりし始めることもあるでしょう。

 

これ、表面的には「愛情のやり取り」をしているように見えるのですが

実は「無力感」のやり取りをしているわけです。

もちろん感情のやり取りなんてものは目には見えないので、なかなか意識できないことなのかもしれません。

しかし、どちらに意味があり、どちらが無力かを感じ続ける関係って、やはり長くは続かないですよね・・・。

お互いに相手を認め合う関係を目指してみる

本当は互いに相手を思いやる気持ちがある。

しかし、あまりに無力感を嫌うがゆえに壊れてしまう関係。

もしそんな状態のパートナーシップがあるならば

「何ができるかどうかは別にして、互いに相手を尊重し認め合う」

ことをオススメしたいのです。

そのために

努力、ステータス、愛情の大きさ・・・

そういった「自分の価値を証明するものへの執着」を手放してみてください。

それらがなくともパートナーはあなたを愛しているのかもしれません。

もし、二人が愛し合うつもりでそばにいるのなら

「自分に何ができるかを証明する」より

「二人がお互いを認めあう」ことに意味があるのだと理解してみてほしいのです。

つい無力感を押し付けあってしまう関係には

「何もできない自分への強い嫌悪感」が存在しています。

ただ、自分自身に何もできない部分があるからこそ、パートナーはあなたのために存在する意味が出てくるわけですよね。

だとしたら

自分の弱さを認めてパートナーに差し出し、愛してもらうことが求められていて

自分の弱さ、無力さを必死に否定することが求められているわけではないのです。

もし自分自身が自分の弱さを認め、受け入れ、OKを出し。

「無力な自分は愛されない」という幻想を打ち破り。

そんな自分をもパートナーは愛してくれているのだという事実を理解できたなら。

無力感を嫌い押し付け合う関係は、本当にお互いを愛し合う関係へと変化するはずです。

あなたが相手の弱さを見て愛するように。

相手もあなたの弱さを見て愛してくれる。

そう理解できることこそ、本当の信頼といえるのではないでしょうか。

ABOUT ME
浅野 寿和
カウンセリングサービス所属心理カウンセラー。名古屋を中心に東京・大阪・福岡で〜旅人のように〜カウンセリング・セミナーを開催。心理学は現実で使えてなんぼ、がポリシー。
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