夫婦のための心理学

夫から離婚したいと言われ関係修復中。夫の変化の理由が知りたいです。

背を向けて喧嘩する男女

浅野先生への質問

こんにちは!男性心理の理解のためブログ拝見しております。
いつも見る側だった私ですが、このたび夫婦関係に問題があり質問させていただきます。

1ヶ月前に夫から離婚したいと言われ、2週間前に転勤が決まり別居したいと言われ、最近はまだどうなるか分からないと言われました。

離婚したい理由は「幸せにできない。望むことを叶えてやれない。他に良い人がいる。俺の問題で俺が悪い」とのこと。

振り返れば、日頃から夫に甘えて要求意見ばかり押し付けていたことや、熱量が合わないまま妊活を進めようとしてきた自分に気付きました。

そんな私に対し「俺の気持ちは考えてくれない、理解してくれない」と夫は感じたのだと思います。
一人になったほうが楽、苦しんだり悩みたくないという印象を強く受けました。

また、今まで受け入れてきてくれた優しさや愛情を当たり前だと見過ごし有難く受け取れていなかったことや、夫に幸せにしてもらおうと他人軸になっている自分にも気付きました。

これ機に自分について向き合うことができたので、夫にもたれ掛かるのではなく自分軸に変わろうと意識改革中です。

何でも夫婦だからとセットで考えていましたが、個々の存在で考えも違うと思えるようになり、適度な距離や思いやりを持って接することができるようになってきました。

離婚を言われた当初は意思は固いとばかりにハッキリ別れたいと言葉にされていましたが、私が変わろうとしている姿勢を感じ取ったようで、次第に今は一人になりたいから別居したいと言われるようになりました。
最近は転勤前で忙しくかなりナーバスに感じられたので、一段と思いやりや気遣いを心掛けていたところ、別居という言葉も、まだどうなるか分からない、に変わっていました。

最初に比べてだいぶ曖昧な物言いになりましたが、これは何か心情の変化があったのでしょうか?

先生もよくおっしゃっていますが、相手の気持ちを変えることは出来ないですし、まずは自分が変わることが一番なのは理解しています。
が!物言いの変化に、少しは私の変化が響いたのかなと期待してしまう自分もいます…(気を緩めている場合じゃないですよね)

転勤先には着いて行けそうなので別居は一旦免れそうですが、大切な夫を失わないために心情理解をし、お互いが幸せになれるよう考えるためのヒントにしたいです!

ネタ募集ネーム:みまろさん

みまろさん、お待たせしましたm(_ _)m

ネタのご協力ありがとうございます。今日はあなたのご質問にお答えしますね。

今回はご主人さまとの関係についてのご質問ですね。

ご質問拝見しましたが、冷静にご質問を書いてくださっていますが、大変だったのではないでしょうか。

今、あなたが本当に頑張っておられるのではないかと感じております。

 

さて、今回のご質問は

「みまろさんがご主人に幸せにしてもらおうと思っていたご自分に気付いき、考えて取り組んできたら、ご主人の言動に変化が出てきた。それはどういった心境の変化なのか。」

ですね。

あと、「夫の変化に若干期待してしまう部分もある」と書いていただいていますね。

では、僕なりにお答えしたいと思います。よろしければどうぞ。

見えない心の距離と気づかない癒着

さて、今回のご質問を読ませていただいて、僕が妙に気になる部分があります。

それが「夫婦間における心理的距離」。

そのあたりの話を少し解説しつつまとめてみますね。

また、今まで受け入れてきてくれた優しさや愛情を当たり前だと見過ごし有難く受け取れていなかったことや、夫に幸せにしてもらおうと他人軸になっている自分にも気付きました。

これ機に自分について向き合うことができたので、夫にもたれ掛かるのではなく自分軸に変わろうと意識改革中です。

何でも夫婦だからとセットで考えていましたが、個々の存在で考えも違うと思えるようになり、適度な距離や思いやりを持って接することができるようになってきました。

素晴らしいですよね、このお話。

かなり意識されて状況を変化させようと頑張られてきたのですよね。

だとすると、この記述から見えるのは「今までは癒着に近いような心の距離の問題が存在していた可能性」を示すと思うのですよ。

癒着とは

癒着とは「心と心が接着剤でくっついているような状態」です。

いわば自分の感情と相手の感情の境界線が分からなくなるのですね。

例えば、自分の顔の近くに手を近づけると手のシワが見えませんよね。

同じように、相手との心理的距離が近すぎると、自分のことも相手のこともよく見えないわけです。

そもそも癒着は怖れや罪悪感によって引き起こされることが多いものです。

要は、自分ひとりでは不安、やっていけない、誰かとぴったりくっついていたい、といった気持ちが強いことが理由になります。

だから、ぴったりくっついているときに安心感を感じるんですよね。

ただ、これは自立した人間としての感覚で向き合っている状態ではなく、どこか親子のような感覚を抱えている状態でもあるんです。

だからこそ、癒着している関係であればあるほど、反発するときはかなり強く相手を突き放すことになります。

ぴったりくっついているわけだから、それを剥がすにはそれなりのパワー(拒絶)が必要になるんですよね。

例えば、母がとても過干渉であると「超うざい」と思えてしまうことが典型例。

心理的にあまりに近い距離にある相手のことを強く突き放したくなるのです。

ときには怒りや相手への否定的な気持ちを伴うことも多く、「何だアイツは」「もう口も聞きたくない」と思うこともしばしば起こります。

それゆえに、そもそもパートナーシップが、またその中でのケンカがかなりウエット(沼化)する場合も少なくないんですね。

癒着を引き剥がしたくなって「別れたい」と言い始める人もいる

この考え方を使うと、ご主人が「幸せにできない。望むことを叶えてやれない。」と伝える気持ちがなんとなく見えてこないでしょうか。

癒着を引き剥がしたくなって「別れたい」と言い始める人もいるわけです。

いわば「大人同士の距離感がいい。だから君とは無理だ」と感じる人がいても不思議ではない、ということです。

もしかするとご主人は今まであなたが望む距離感に合わせていた、とも考えられなくもないんですよね。

ただ、みまろさんが自分と向き合われ、与える意識を持ったことで、その見えない心の距離感が変わった可能性があります。(ここが本当に素晴らしいんです!)

与えることは癒着を解消していく一つの方法なので、そこがうまく作用しているのかもしれませんね。

逆に言えば「何でも夫婦だからとセットで考えていましたが」という言葉に、相手との近い距離感が潜んでいたのかもしれません。

ただ、「夫婦はニコイチ」という考え方自体は間違っていないんですよ。

その中身、感情や意識の違いが、お互いを尊重できる関係と、「もう無理」と思えちゃうような関係の違いを作るとも言えます。

ちなみにこれは余談ですけどね。

カウンセリングやセミナーの中でこの話をすると

「相手に依存しちゃいけないんだ」

と解釈される方が少なからずいらっしゃるのです。

たしかにそうお考えになる方のお気持ちも分からなくはないのです。

ただ、パートナーシップに依存の要素は必要です。

相手の気持ちを受け取ることなしに良い関係にはなりえません。

問題は「癒着的距離で相手と向き合い続けていること」だと考えていただくといいでしょうね。

実際にパートナーとの関係が良くない状態であるなら、この問題は解決しておきたいことなのでしょうね。

夫の気持ちに変化が生じた理由を考える

最初に比べてだいぶ曖昧な物言いになりましたが、これは何か心情の変化があったのでしょうか?

うーん、そうですねぇ。

ぶっちゃけた話、僕から実際にお話したことがないご主人の気持ちまで突っ込んで書けないな、と思っています。

真実はご主人さまの中にありますからね。

ただ、いわゆる癒着的な心理的距離が解消されると、息苦しさやイライラ、相手への反発心を持つ必要がなくなることがあるのですよ。

だから、相手に反発する必要がなくなった分だけ、言動が柔らかくなることも十分に有り得る話です。

が、ここで注意しておきたいのが「相手に反発した側(離婚を切り出した側)の気持ちの変化」です。

今後は、相手への反発したことに対する反省が始まる可能性が高いんです。

 

いくら夫婦でも親子でも心の距離感なんてものは目に見えません。

目に見えないからこそ「二人の関係の中で何が変わったのか」を明確に理解できないのです。

ただ、今までとは違う、今までのように居心地が悪いわけではない、と感じるだけなので。

こうなると、癒着的距離を解消したくて反発した側にとっては「反発する理由の一部」がなくなるわけです。

すると「相手に辛辣なことを伝えた自分」が残るんですよ。

いわば、愛のない自分、相手を傷つけた自分が残るんです。

これ、結構きっつい話なんですよね。

特に、今まで二人の関係をなんとかいい形にしようと頑張ってこられた方ほど、自分を責めます。

今までの関係が苦しいから反発したのに、状況が変わることで「自分が悪い」と感じて、別に意味で苦しくなるという状況ができあがるんですね。

このあたりのお互いの気持ちの変化、展開は、ちょっと意識しておかれることをおすすめします。

なぜなら、今までのように相手に優しく接していても、なぜか反発される可能性があるからです。

以前の相手は、癒着的な心理的距離感が嫌で反発していたのです。

が、今後は「相手を傷つけた罪悪感」によって反発してくる可能性があると言いますかね。

この違いを理解していないと、相手の気持がよく分からなくなることも少なくないでしょう。

期待は癒着を再現する材料にもなる

が!物言いの変化に、少しは私の変化が響いたのかなと期待してしまう自分もいます…(気を緩めている場合じゃないですよね)

まぁ期待しちゃいますよね、ついつい。

そのお気持ちも個人的には分からなくもないんです。

確かにみまろさんがご主人に良い影響を与えたのは違いないことなんでしょうね。それこそあなたのご努力だと思いますし、本当に素晴らしいと思います。

やっぱり頑張っている分だけ、早く結果やご褒美を期待したくなりますからね。

が、ここでの期待は癒着関係に戻る材料になることもあるんですよね(^^;

相手に変わってほしい、相手の変化がほしいとばかり思うとき、実はあまり自分を信頼していないことが多いのです。

実際に相手との関係をより良くしていきたいと願い、そのために努力しているのは自分です。

だから、自分をもっと信頼してアテにしてもいいわけですよ、理屈上は。

しかし、なかなかすぐに結果が出ない状況似中にいると、ついつい「相手に変わってほしい」と思ってしまうこともあるのではないでしょうか。

だから、ここは自分に立ち返ることも重要なことなんです。

愛しているのは私。

相手のことを大切にしたいと心から願っているのは私。

そう思えるからこそ、自分の決意、行動、意識をしっかり認識して受け止めることができるといいますかね。

そういう意味でも、僕たちの世界では「期待は失望の母」と呼ばれているわけなのです。

もっともっと変化を目指し、関係改善を図っているご自身を大切に扱ってみてもいいのかもしれませんね。

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