夫婦のための心理学

弱音が吐けない男性に現役カウンセラーから伝えたい話

弱音が吐けない男性たち

弱音が吐けない男性

強がる、自分をよく見せる、我慢する、耐える、耐え忍ぶ、悩みを墓場まで持っていく・・・。

自立された男性はとにかく弱音が吐けないものなのでしょうね。

もちろん男性自身も「強くありたい」と思うものでしょう。

まだまだ現代でも「男性は強くあれ」と要求されることが多いものです。

だから、弱音が吐けない、自分の気持ちに気づけない男性も少なくないのでしょう。

どこか自律神経優位となり、体も心も緊張状態が続く。

その結果、自身の心の健康を損なったり。

人の気持ちに敏感になれず、対人関係や恋愛・夫婦間で意思疎通が難しくなる男性も増えてしまうのかもしれません。

 

僕たちカウンセラーの世界では、よくこんな話をします。

「自分自身の心の感度が落ちてしまうと、人の気持ちがわからなくなる」

個人差はあれど、自分の心の感度は人を理解したり、自分自身の心の状態に気づくために重要な要素なのです。

男性は話す弱音は消費財のように使われる

さて、実は男性が口にする弱音にも、いくつかの種類があるようです。

僕がカウンセリングの現場でよく出会う弱音は「消費財のような弱音」。

例えば、愚痴に代表されるものですが、実はこれ「弱音」ではないのです。

不満をいくら口にしても、なかなか気持ちの整理はつかないでしょう。

弱音とは、例えば「苦悩」や「自分自身が努力してもできない・頑張れないと感じる気持ち」です。

ひとり思い悩み、誰にも触れさせたくもない気持ち。

しかし、自分ではどうにも解決できないような劣等感、無力感、罪悪感などなど。

競争の強い男性の社会では決して見せてはならぬ、あの気持ちです。

長くカウンセリングの現場にいると、ヒシヒシ感じます。

男性は誰にも言えない弱音を、自分自身で認める方法すら持っていないのではないか、と。

一度でも認めてしまえば、「男として恥だ、駄目だ」といった競争心から降りられない人も少なくないのではないでしょうか。

しかし、自分の弱音を認め、人に話すことでのみ「受けられる支援・援助がある」ということも事実なのです。

男性の苦悩はときに女性の愛の力によって整うことがある

さて、ここで少し視点を変えて男女関係と男の弱音について考えてみたいと思います。

恋愛や夫婦にまつわるカウンセリングを多数お受けしている僕は、いつも感じることがあります。

「多くのパートナーをお持ちの女性は、愛する男性の苦悩を受けとめようと待っている人が多いものだ」と。

しかし、多くの強くありたい男性にとって「最も重い苦悩を女性に明け渡すこと」など、まぁ考えられませんよね。

心の中で罪悪感と劣等感が渦巻いて、そう簡単に明け渡すことが出来ないものかもしれません。

人によっては「それだけはできない」「男として絶対にやってはいけないこと」と認識されている場愛もあるのではないでしょうか。

だからこそ、そばにいるパートナーの女性が

「自分の苦悩を受け入れる準備がある」だなんて、発想にもないのかもしれません。

ただ、多くの女性はそんな思いを持って、男性の傍に寄り添っているようです。

また、男性が弱音を吐けないことも理解して、ただ何も言わず見守っている女性もいらっしゃるようです。

もちろんそのような女性もまた不安を抱えている場合もあるのですけれど。

男性の苦悩を明け渡されることは、女性にとっての誉れ

そういえばある人が僕にこんな話をしてくれたことを思い出します。

その方は年配の女性なのですが、次の言葉を強い語調でおっしゃったのです。

「連れ添っている男性の苦悩を明け渡されることは、女性にとって最高の誉れだ」と。

その当時の僕は、この言葉の意味をうまく解釈できずにいたのです。

「そんなに男に嫌がらせのようなことをしたいのか」
「そんなに男を尻にひきたいのか」

恥ずかしながらそんな感想を持った自分を覚えているのです。

ただ、長い間カウンセリングという現場にいて、また自分自身も家庭を持つ身となったとき

その言葉の意味がほんとうの意味で理解できた気がしたのです。

そして驚いたのです。

「女性の懐の深さというもの」にですよ。

男性が苦しみつづけている苦悩や弱音を愛する気持ちを持っているだなんて、かつての僕には考えつかないことだったのです。

同時に「女性というものをわかっているつもりになっていた自分」を恥じたものです。

だから、そろそろ男性のみなさんは

女性を守るべきもの(弱いもの)としてのみ見てしまう、そんな「競争心」から降りてみてみいいのかもしれませんね。

弱音がなかなか吐けない男性のみなさんへ

さて、男性のみなさん。

あなたがもし誰にも言えない弱音、苦悩を抱えているとしたら。

まずは、あなた自身に一度言い聞かせてみるといいですよ。

「お前、辛いなら辛いと感じていいんだぞ」と。
「よく頑張って生きてるじゃないか」と。

自分の今の気持ちを素直に認めるには勇気が必要かもしれません。

しかし、気持ちというものは「認める」ことで消化できるものでもあるのです。

なかったことにしても、ただそこにあり続けるだけですから。

丁寧に自分の気持ちを認めていただければな、と思います。

 

そして、もしあなたの側にパートナーとして選んだ女性がいるならば。

その人を心から信じてみてはどうでしょうか。

もちろん、無理に信じろとはいいません。

でも、私達男性が「女性を守る存在」なのであれば、

あなたの弱音を、あなたの弱さを優しく愛することこそ、彼女たちの愛なのかもしれません。

あなたは、自分の弱さを見せられるぐらい、愛する女性を信頼できるでしょうか?

 

とはいえ、女性の皆さん。

だからといって「早く弱音や本音、見せないさいよ!」と迫らないであげて下さいね(笑)

男性にとってあなたに苦悩を見せられないには理由があるんです。

そしてそこにはプライドもあれば、自らの苦悩を見せないという、女性に捧げたい愛情もあるんですよ。

できれば、愚痴程度の消費財で済ませて、女性に迷惑をかけずになんとか踏ん張れれば、という男心もあるのです。

男性がこうやって踏ん張っている時、その全ての想いはパートナーであるあなたに、きっと向かっているはずですからね。

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