こんにちは、心理カウンセラーの浅野寿和です。
「人に頼るのが、どうしても苦手…」
「『手伝おうか?』と言われても、つい『大丈夫です!』と強がってしまう」
「弱音を吐いたり、甘えたりするなんて、自分にはできない…」
あなたは、そんな風に感じていませんか?
周りからは「しっかり者」「自立している人」と見られているかもしれません。
でも、本当は一人で抱え込んでパンクしそうだったり、誰かに頼りたいのにそれができなくて、孤独感や大きな不安を感じていたりしませんか?
特に、人のために尽くすことが多く、辛いこともぐっと耐えてしまう「愛深き忍耐女子」タイプのあなたは、この「頼れない、甘えられない」という悩みを強く抱えているかもしれません。
なぜ、私たちはこんなにも人に頼ることが難しく、甘えることに抵抗を感じてしまうのでしょうか?
実は、その背景には、「自分しか頼れない」という強い思い込み(あるいは強迫観念)と、「でも、そんな自分に自信がない」という自己不信が絡み合った、非常に苦しい「心のワナ」が潜んでいることが少なくありません。
今日は、この「自分しか頼れない × 自己不信」というワナの正体と、それがなぜ「頼れない・甘えられない」苦しみを生むのか、そして、どうすればそのワナから抜け出し、もっと楽に、安心して人と繋がれるようになるのか、その「抜け出し方」について、具体的にお話ししていきたいと思います。
よろしければどうぞ。
あなたもハマってない?「自分しか頼れない×自己不信」のワナとは
まず、この「ワナ」がどのように成り立っているのか、その構造を見ていきましょう。
それは、大きく分けて二つの要素が、互いを強化し合う形で存在しています。
1. 「自分しか頼れない」という信念:生き抜くための鎧
人に頼れない、という感覚は、多くの場合、過去の経験から学んだ「生き抜くための知恵」でした。
これはいわゆる「自立」の問題と呼ばれるものです。

例えば、頼ろうとした人に受け止めてもらえなかった、期待を裏切られた。
あるいは、幼少期から「あなたがしっかりしなさい」「我慢しなさい」と言われ続け、自分の弱さや本音を表現することが許されず、一人で耐え忍ぶことでしか自分の居場所を確保できなかった、という経験を持つ愛深き忍耐女子さんも少なくありません。
そんな経験を通して、「人に頼るのは迷惑だ」「期待するだけ無駄だ」「弱さを見せたら受け入れてもらえない」「自分のことは自分でやるしかない」という信念が、まるで自分を守るための固い鎧のように形成されていったのかもしれません。
この信念を持つあなたは、実際に問題解決能力が高く、責任感も強く、周りを支える力も持っていることが多いでしょう。
しかし、この鎧が厚くなりすぎると、他者との間に壁を作り、健全な相互依存(頼り、頼られる関係)を難しくします。
2. 「でも、そんな自分に自信がない」という自己不信:鎧の下の脆さ
問題は、その「頼りにすべき自分自身」に対して、心の底から「大丈夫だ」と思えていないことです。
「自分しか頼れない」と決めているにも関わらず
- 「いつか限界が来るんじゃないか…」
- 「本当は自分なんて大したことないのに…」
- 「失敗したら、もう立ち直れないかもしれない…」
といった自己不信や自己否定感を抱えている。
特に「愛深き忍耐女子」の場合、自分の価値を「どれだけ人の役に立てるか」「どれだけ我慢できるか」で測ってしまう傾向があり、「何もしていない素の自分」には価値がない、と感じやすいのです。

なぜこれが「ワナ」なのか?
「自分しか頼れない」という信念は、助けを求めることを禁じます。
一方で「自分を信じられない」という感覚は、一人で立つことを恐ろしくさせます。
頼るべき対象が「不確かな自分」しかいないのに、外部に助けを求めることもできない。
この八方塞がりな状況が、絶え間ない不安とプレッシャーを生み出し続けるのです。
これが「自分しか頼れない × 自己不信」のワナの正体です。
そして、この不安から逃れるために、さらに頑なに「頼らない」という鎧を厚くしたり、逆に不安すぎて不健全な関係にしがみついたり…という悪循環に陥ってしまうのです。
このワナが仕掛ける「うまくいかない」現実
この「自分しか頼れない×自己不信」のワナに囚われていると、人生の様々な場面で「うまくいかない」と感じる現実を引き寄せやすくなります。
恋愛・夫婦関係・対人関係への影響
- 深い繋がりが作れない: 弱さや本音を見せ合えないため、関係が表面的なものに留まりがち。相手は「壁を感じる」「心を開いてくれていない」と感じることも。
- 一人で抱え込み、不満が溜まる: 頼れないので何でも自分で背負い込み、疲弊する。そして「なぜ私ばかり…」と不満や怒りが溜まるが、それも直接伝えられない。
- 相手を遠ざける/コントロールする: 自分の不安から、無意識に相手を遠ざけたり、逆に相手を過剰にコントロールしようとして、関係性を不安定にする。
- 共依存的な関係: 「頼りない自分」を補うために、過剰に尽くしたり、逆に支配的な相手を選んだりするなど、不健全な共依存関係に陥りやすい。
- 不健全な関係への固執: 「こんな私でも一緒にいてくれる」という思いから、大切にされない関係でも離れられない。( paradox)
- 孤独感: パートナーや友人がいても、心の深い部分では「誰も分かってくれない」「結局ひとりだ」という孤独感を抱えやすい。
仕事・日常生活への影響
- 燃え尽き(バーンアウト): 助けを求めず仕事を抱え込み、限界を超えて頑張り続けて、心身ともに疲弊する。
- 成長の停滞: 人に教えてもらう、フィードバックをもらう、協力するといった、成長に必要な他者との関わりを避けてしまうため、スキルアップやキャリアアップが停滞することがある。
- 過剰なストレス: 常に自分で完璧にこなそうとするため、プレッシャーが大きく、ストレスを溜め込みやすい。ミスをした時の落ち込みも激しくなりがち。
- 「いい人」でいることへの疲弊: 断れずに引き受け続け、「いい人」の仮面の下で不満や疲れを溜め込む。
ワナにはまっている限り、どんなに頑張っても、どこか満たされず、苦しい状況が続いてしまうのです。
「頼れない・甘えられない」ワナから抜け出すための5つのステップ

では、どうすればこの「自分しか頼れない×自己不信」のワナから抜け出し、もっと楽に、そして安心して人と関われるようになるのでしょうか?
その「抜け出し方」のヒントを、5つのステップでお伝えします。
ステップ1:ワナに気づき、自己慈悲を向ける
まずは、「自分は『自分しか頼れないのに、自信がない』というワナにはまっているのかもしれない」と気づくことが第一歩です。
そして、そんな自分を責めるのではなく、「そうならざるを得なかったんだね」「今まで一人でよく頑張ってきたね」と、自分自身に慈しみの気持ち(自己慈悲)を向けてあげてください。
ステップ2:「頼れる自分」も「頑張った自分」も承認する
自信がない部分だけでなく、あなたが実際に持っている強さ、乗り越えてきたこと、人のために尽くしてきた優しさや頑張りを、意識的に見つけ、承認すること。
特に「愛深き忍耐女子」のみなさんは、自分の頑張りを当たり前だと思わず、ちゃんと認めてあげてください。
これが「頼るに値する自分」への信頼を育む土台になります。

ステップ3:「弱さ」や「不完全さ」を再定義する
「頼る=弱い」「甘える=ダメ」という思い込みに気づき、それをいい意味で疑ってみましょう。
弱さや不完全さは、人間なら誰にでもある自然なこと。
そして、それを他者と分かち合うことは、実は「強さ」であり、「繋がり」を生む力でもある、と捉え直してみることです。
難しく考えず「とりあえずそう意識する」という習慣をつけてみてください。
すると、「完璧じゃなくても大丈夫」という許可も自分に出しやすくなります。

ステップ4:小さな「頼る・委ねる」体験を積み重ねる
これが具体的な行動練習です。
いきなり大きなことではなく、「これ、お願いできますか?」「5分だけ話を聞いてもらえますか?」など、リスクの少ない、安全な状況で、小さな「頼る」「委ねる」「助けを求める」という体験を意識的に増やしていきます。
「頼っても大丈夫だった」「受け止めてもらえた」という経験が、少しずつ怖さを和らげ、行動パターンを変えていきます。
ステップ5:心の「解像度」を上げ続ける
なぜ頼るのが怖いのか?
どんな時に特に自己不信が強まるのか?
自分の感情や思考のパターン、その背景にあるものを、客観的に観察し、理解を深めていく(心の解像度を上げる)こと。
なぜワナにはまったのかが分かれば、抜け出すための具体的な道筋も見えやすくなります。
そして、これより深く癒やすならば、やはり親子関係や生育環境の影響、そこで作られた「人に頼ってはいけない」「弱みを見せてはいけない」といった強い思い込みや、愛着のパターンなどを見つめていくことにもなります。
これはカウンセリングなどで安全な形でじっくり扱うテーマですね。

まとめ
「人に頼れない、甘えられない」という苦しみの多くは、「自分しか頼れない」という孤独な鎧と、「でも、そんな自分が信じられない」という深い自己不信が絡み合った「心のワナ」から生じています。
特に、人のために尽くし、自分の辛さを耐え忍んできた「愛深き忍耐女子」のあなたは、このワナにはまりやすいかもしれません。
でも、そのワナから抜け出す道は必ずあります。
それは、強がるのをやめ、弱さや不完全さも含めた「ありのままの自分」を受け入れること。
そして、自分への慈しみと信頼を育てながら、小さな勇気を出して、他者との間に「頼り、頼られる」健全な繋がりを築いていく練習を始めることです。
あなたが、一人で抱え込んできた重荷を下ろし、心からの安心感と、人との温かい繋がりの中で、「自分らしい幸せ」を感じられるようになることを、僕は心から願っています。
そのための力は、必ずあなたの中に眠っています。
あなたのペースで、自分自身と、そして周りの世界との、新しい関係性を築いてみませんか?
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