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彼を褒めてもおだててもダメ。彼の態度は頑として変わらない。
ご相談の中に「どれだけ彼を(夫を)褒めても効果がありません」というものがあります。
場合によっては「彼(夫)は、私が何をしてもいつも無反応でそっけない。口先だけのありがとうなんてもういらないんですよ!もう、イライラする!どんどん私に怒りが溜まってきています!!!」なんてお話を伺うことがあります。
そんな方に「彼に(ご主人に)言えずにいる気持ちってありますか?どんな気持ちでしょうか」と、あえて火に油を注がせていただくと(繊細かつ丁寧にね♡)
「いったい私はどうすればいいの?あなたは私に何を求めているの?あーなんだかイライラしてきた!私は一生懸命頑張ってるのに!どうして彼はあーいう態度なの!私の気持ちなんて全く分かってない!どうして私だけいつも辛い思いをしなきゃいけないのよ?!」
そんな気持ちの小爆発から大爆発まで起こされる方がいらっしゃるわけでございます。
そのお気持ち、僕は大切なものだよなぁ、といつも思うんです。
この怒りは他人から「怒っちゃダメ」と言われるようなものではなく、間違いなく「相手のことを考えた気持ちの結果」なのだろうと思うのです。
だからこそ否定されるべきことではなく、むしろその情熱こそ評価されるべきことだよなぁ、と思うんですよ。
なので、そういったお話を伺わせていただくたびに、どうかご自分のことや、ご自分の気持ちを否定せず大切にしてほしいなぁと思っているところなのです。
きっとあなたの気持ちはとても大きい。じゃなきゃ、ちっとも受け取らない彼を褒めないし、彼のことを考えないはずですよね。
褒めてもおだててもダメ。彼の態度は頑として変わらない理由
さて、ここからは褒めてもおだててもダメ。自分の意見を曲げず頑として態度を変えない彼の心理的な側面をまとめてみますね。
このようなタイプの男性(女性もあてはまることもありますが)ってどこかで「どうせ俺の望みなんて満たされることはないんだ」と考えている節があるようなんですね。
心理学の言葉を使って書くと、自分の欲求が満たされないことに対する失望を回避するために「自分のニーズが満たされるなんてはじめから思っていない」ということ。
だから「期待しない」のです、何事にも。
愛されるとか、認められるとか、褒められるとか、自分の行動が誰かに喜ばれるとか、そういった「良い期待」をしなくなるんです。
だから、褒めてもおだてても相手の態度は変わらないのです。
ここでいう「はじめから」というのは「昔から」と言い換えてもいいかもしれません。
つまり、この手のタイプの人は、誰かに気持ちを受け止めてもらったという経験がなかった、もしくは、あったけれどそれ自体を自らの意思で否定している傾向があるのです。
言い換えるなら、どこかで自分が生きてきたプロセスで自分の望みが叶えられたという成功体験や、自分のことを本当に大切にしてもらったという経験が少ないのかもしれません。
例えば、学業でもスポーツでも仕事でも人間関係でもそう。
自分が周囲に認められただとか、自分なりに努力した結果が誰かの喜びになっていた、などの経験や感覚があるかないか、という話なのです。
このような経験があまりない場合、「まぁ何をやったって自分の気持ちなんて誰も考えないしなー」と思い始めるのです。もう誰かに自分への理解を期待して失望しないために。
これも一つのハートブレイク(傷心)なんです。
褒めてもおだてても変わらない人の心理的背景
人は成長してきたプロセスで「頑張れば成功する」だとか「ちゃんと自分は周囲に認められている」といった自分に対する肯定的な感覚を十分感じることができると、その後の人生で「自分の思いや望みって自分次第で満たされる」だとか「自分はなんてラッキーなんだろう」といった意識を持ちやすくなるんです。
しかし逆に「頑張ったけど無理だった」「努力の割には周囲から認められないし報われない」と感じることが多くなればなるだけ「自分の望みなんて叶うはずがないし、頑張っただけの報酬なんてやってこない」といった意識を持つようになるんですね。
もちろんこれがいいかどうかというお話ではありません。
ただ、ここでお伝えしたいことは一つ。
この「人に理解を求めたり期待しないこと」が「彼が自立する」ときのモチベーションになっていたということなのです。
言い換えるなら「ポジティヴな感覚を持って自立したのか」「それともネガティヴな感覚を持って自立したのか」の違いなのです。
そのような人が自立するモチベーションは「もう誰もあてにしない」「自分は一人で頑張らないといけないだ」といった感じになり、どこか自分の依存心や承認欲求(誰かに認められたい気持ち)を抑えつけていくわけです。
だから、人に認められたい気持ちは当然のことながら抑えつけられ、自分の努力や結果に関して興味を持つことを禁止し、周囲からの評価に動じないよう何事にも無関心になっていく傾向が強くなるんですよね。
そんな彼が唯一信じられるものは「自分の中にある正しさ」。彼なりの信念だけが彼を支えていくことになるんです。ケンカって自分と相手との正しさの争いみたいなものですから。
そしてそこには何事においても「きっと自分の気持ちが満たされる」という信頼はあまりないのかもしれませんね。
だから、恋愛の中でも「彼女に期待しない」「愛し愛される事になんて意味がない」と思いながら過ごしていくことになる。
できれば、難なく人生が終わればいいし、趣味や好きなことに没頭していればそれが幸せなんじゃないの、ぐらい思っている可能性がありそうです。
そのような状態にある彼に「褒める」という手法を使っても上手くいくとは限らないわけです。
ん?えぇ、はい。分かっています。
「そんな何にも期待しない彼がどうして恋愛関係を持つのか」「そんな彼が彼女を作り、人と寄り添っていきたいと願うこと自体に矛盾があるのではないか」という話ですよね。
彼が彼女と恋愛関係になろうとした理由はおそらくこれです。
人はやっぱりどれだけ人に期待しないようにしても、人肌の温かさを求めるし、理解してくれる人、寄り添ってくれる人を求める「欲求」が消えないからです。
そして「自分が誰かの役に立ちたい」という気持ちも欲求なので消えないんです。
そもそも僕たちの欲求は消えないんです。ないと困るものなので。
どれだけ人に期待しないようにしても、人を求める欲求も役に立ちたい欲求も消えないんです。
だから、彼は恋愛や人と関わることをどこかで望むわけです。
・・・そうですそうです、勘のいい方はもうおわかりですね。
人に期待しない、失望しないようにしている彼が、彼女を上手に褒めたり、認めるだけの心の余裕を持っているでしょうか。
いいか悪いかは別にして、きっとその余裕はないことが多いのです。
彼が人を褒める経験もあまり積んでいないはずです。この圧倒的な経験不足が「彼女を上手に褒められないし、褒められてもどう反応したらいいかわからない」という部分につながります。
これは「もらったものをお返しできない」という罪悪感が刺激される状況です。
彼は人に褒められたり、認められた経験が薄かったのかもしれませんが、その分だけ自分も人を褒め、認めた経験が少なく、彼女にどう接すれば喜んでもらえるのかを知らない可能性があります。
だから、受け取らないのです。
だから、彼を表面的に褒めたり、どこか遠慮して褒めるだけでは「今更何を言ってるの?」「俺の何が分かるっていうの?」と弾き飛ばされてしまうことも少なくないわけです。
かといって、このままでは2人の関係が悪くなるばかりだからと、あなたが彼の意見に彼に合わせてばかりでは、今度はあなたが苦しくなり、幸せではなくなっていくかもしれません。
これを心理学では「犠牲」なんて言葉を使いますけど、なかなかしんどい状況になりますよね。
褒めてもおだててもダメな彼とどう接したらいいの?
では、このような彼との関係を前向きにするにはどうしたらいいのでしょう。
まず、よく考えてみて欲しいんです。
元々、何を言ってもダメというタイプの男性は「成功体験が少なかったり」や「自己評価が少し低い」という状態にあることが多いものです。
かつ、自分から相手にいい影響を与える自信もあまりないことが多いです。
だとすれば、どうして彼はあなたのことを選んだのでしょうね。
どうして彼はあなたをパートナーとして見たのでしょう。
普通はリスクが高いので恋愛関係にまで踏み込んでこないはずの彼が、あなたと恋愛関係になったのは、おそらくあなたがとても魅力的だったからでしょう。(女性に甘えたい男子は除く)
たまにこの手の男性は「他に僕のこと受け容れてくれる女性がいなかったから、君と付き合った」といった神をも怖れぬ、もとい消去法的な発言をされることがありますが、それは「期待しないように生きている彼独特の言い回し」であることが多いです。
本当は「好き」なんです。「一緒にいたいと思った」のです。
でも、そのあなたに何を返せばいいのかが明確ではないんです。
できることは穏やかに一緒にいることだけ、なのかもしれない。
だから、褒められても反応が薄いんです。返せないものは受け取ろうとしないのです。
このように彼のことを少し理解してみてください。
すると「誰も自分を見てくれてはいない」と感じている彼のことが少し見えてこないでしょうか。
だからこそ、あなたがこの手の男性と長くお付き合いされたいならば「反応が薄くても褒めていたほうがいい」ですし、「私はあなたを選んだし、受け容れているのよ」といったことを伝えてみていただきたいんですよね。
これが彼にできないことであり、彼にとっての学びのような経験になるでしょう。
「そういえばいいんだ」「僕は君を選んでいると言えればいいのか」と学ぶのです。
すぐに反応できなくても、意外とじっくり学んでいる人も少なくなくて、実際のカウンセリングでも「浅野さん!彼が!急に!彼が!彼が!私を褒めたんですぅ!びっくりです!」なんてお声を伺うこともあるのです。
このとき、まるで出産シーンを見たような感動があるのですけどねぇ。
まぁ、そのときは突然やってくるようで、その方も全く期待していなかったそうですよ。だから驚いたというか、もうすぐに僕に報告したくなったそうです。ありがたい話です。
だから、なによりそばにいるあなたが、愛したり受け容れた彼の一部を彼に教えてあげて欲しいんですね。これが本当の意味での承認ではないかな、と僕は思うんですよ。
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「私が褒めてもおだてても反応しないなんて嫌がらせだし、どうせ私のことなんて愛してないんだわ!」というお気持ちもわからんでもないのですが、もし彼がうまく返せないから黙っているとしたら、文句をいうたびに大惨事に近づいてしまいますよね。
だから、あなた自身の気持ちを整えながら、彼のことを理解しながら、なにより「あなたは彼にとって大切な人なんだ」ということを念頭に置きながら、ぜひ関わってみてほしいと思っています。
今回は以上です。皆さんの参考になれば幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。
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