日常に使える心理学

「お察しさん」の生きづらさ 〜察する能力が高い人の中にある相反する気持ち〜

自己肯定感を感じようとしている女性

仕事も毎日の生活もストレスを感じて楽しくなくて困っています。

私は5歳の子どもを持つ母です。夫は会社員。

特段毎日に不満があるわけじゃないのですが、些細なことでストレスを感じています。

あまり大きな声では言えないのですが、私は昔から、勉強でも仕事も「非効率と思うことはやりたくない」と思ってしまいます。

仕事でも「私だったらこうするのに」と思うことが多く、それがストレスになりやすいです。

かといって、子どもが家の中を散らかしていると、散らかるたびも片付けないと気が済まなくて、正直疲れてしまいます。

家の中が散らかっていても「なんで夫は気にしないのだろう?」とイライラしてしまうことも少なくないんです。

ただ、夫は大らかな人なので、細かいことをあまり気にせず、その分助かっているなとも思っています。

夫の性格が私に安心感を与えてくれているとも思っていて、イライラしても私から細かく口を出さずにしています。

自分でも、自分の気持ちは矛盾しているなと思います。

ただ、この矛盾が続く理由がわからずにいます。

どのように自分の気持ちと折り合いをつけていけば、気持ちを穏やかにして毎日を過ごせるようになっていくでしょうか?

今日は「このようなコラムを書いてちょーだい!」というリクエストを直接いただきました。

今回の直接リクエストいただいた話を僕なりに要約すると

  • 「非効率なことが嫌で気になる」のに「非効率なこと(何度も片付ける)を率先して受け入れている」
  • 「ご主人が細かいことを気にしないことにイライラ」しつつ「感謝もしている」

「なんでこんなに私の気持ちが矛盾しているのだ!」と思われるわけですね。

それが続くことで自分自身の気持ちが疲れてしまう、というお話。

なるほどなーと思います、ホント。

実はですね、今回いただいたリクエストにあるような「相反する気持ちや性格、観念、価値観が自分の中に共存してる人っていらっしゃる」のですよ。

そんな自分のあり方を理解して受け入れていくと、楽になるかもなぁと思うので、今日はその話をご紹介していきますね。

察する能力が高い人(お察しさん)が抱える「相反する気持ち」問題

世の中には、いわゆる「物事を察する能力」というものが飛び抜けて高いタイプの方がいます。

要は「その方の特性の影響で、人や物事を観察する能力が高い」ということなんですよね。

こういった方々を僕は個人的に「お察しさん」と呼ばせていただいております。

一説によると、お察しさんは「感覚受容器から得た情報を、脳内で超高速で処理し続けているためにこうなる」なんて言われているそうですね。

さて、この「お察しさん」、すなわち「察する能力が高い人」のお話をカウンセリングで伺いますと

「相反する気持ちや価値観を常に抱えていらっしゃる様子」

を感じ取ることが僕はありますね。

かつ、その相反する気持ちや価値観は、いわば「本当のことを隠すために使われている」というわけでも、明らかに矛盾しているものではなく、その方の中で両立して存在している、というわけです。

だから、自分自身でもすごく混乱してしまうことがあるといいますか、自己矛盾を感じて自分を押さえつけてしまう人もいらっしゃるようですよ。

例えば、

  • ナイーブな性格。なのに、ものすごく厳格なところがある。
  • めちゃめちゃ敏感。なのに、すごく鈍感な部分がある。
  • 人とワイワイと協調することが好き。なのに、他者に対してものすごい競争心を持っている。
  • 普段はすごく優しく懐深い。なのに、ものすごくアグレッシブで批判的な自分がいる。
  • ものすごく欲深く野心を持っている。なのに、現実では奉仕の精神で動いている。

こんな感じです。

もちろんどんな人の中にも多少なりとも相反する気持ちが湧くことがありますよ。

好きな人だからこそ憎さが湧き出す、とかね。

ただ、明らかに相反する気持ちや価値観を持っている自分が存在するとしたら、そりゃ混乱してしまうわけですよね。

自分でもそんな自分の受け止め方がよくわからなくなってしまい、自分って何者?自分ってめちゃくちゃめんどくさい・・・と思ってしまう部分があるといいますかね。

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察する能力が高いので様々なことに気づいてしまう

また、察する能力が高いので様々なことに気づいてしまう人は、周囲の人が気づかない部分にまで意識が届くんですよね。

だからこそ、物事に対して根っこから解決したい、という思考が強い場合がありますね。

ある意味でゼロサム思考(白黒思考)が強いといいますか。

なので、気づいたことは解決しないと気がすまない!と思いやすい傾向があるんです。

もちろん、気づく能力が高いわけですから「同じ失敗を繰り返したくない」と思う傾向が強いです。

ただ、様々なことに気づくということは、ある意味才能でもありながら、様々な物事に対して逡巡する時間が長くなる、ということにもつながります。

だから、実は「こうすればいいと分かっていることでも、様々なことに気づいてしまって、考えすぎて手が付けられない」という状態になりやすくもあります。

その一方で、お察しさんの察する能力はとても高いので、「何がに没頭し始めると、とことん突き詰める」なんて傾向を持ちます。

このあたりの特徴を今回のご相談にあてはめてみると

「仕事の中で周囲の人があまり気にしていない非効率さに気づいてしまう。しかし、家の片付けは非効率と思いながらも片付けないと気がすまない」

「夫の気づかなさにイライラする。けれど、そのおおらかさには心から感謝している」

これ、すべて本当の気持ちなんだと思うんです、僕はね。

嘘偽り無く、本当にそうお感じなんだと思うんです。

だからこそ、自分の気持ちが忙しい。そして、自分の中でも一貫性が取れないので、自分操縦術を見失ってしまって、ストレスを抱え込みやすいのかもしれません。

かつ、日常の中では、平然とした自分でいなきゃいけませんし、周りと合わせなきゃいけない部分もあるから、まぁまぁ疲れやすいですよね。

それ以上に、お察しさんがキャッチする様々な気づきを、周囲と分かち合えない、うまく意思疎通できない状況が続くだけでも孤立感や孤独感を感じやすくなるやもしれません。

察する能力が高い人(お察しさん)の上手な自分操縦術

では、お察しさんがどうすれば心穏やかに過ごせるようになるのかについて、いくつかご提案しますね。

自分の気持ちを書き出しながら、自分を認めましょう

自分が何を感じ、何を考えているのか理解するために、日記や紙に自分の思っていることを書き出して見る方法はおすすめです。

紙やノートだけじゃなく、スマホのメモでもOKですよ。

とにかく自分が思っていることを吐き出して、それを客観的な視点から眺めてみることです。

「今、自分が何を感じているのかを書き出す」ということで、客観的に自分を見つめることができるんですよね。

そのようにして自分のことを理解していくこと。

ここでは「自分を否定せずに認める」ということがポイントです。

「それでいいのだよ」とね。

自分の感じ方が問題じゃないのだという理解を深める

お察しさんにとって、「自分の感じ方が生きづらさを作っているわけじゃない」と認めてあげることはとても大切なことなんです。

例えば、人よりも様々なことに気づいてしまうとしたら、それだけで疲れやすくなりますよね。

かつ、その気付きを周囲の人とうまく意思疎通できずにいれば、それもまた寂しさや悲しさを感じる理由にもなるでしょう。

また、いろんなことを察しながらも、周囲に溶け込もうと平然ととした自分でいようとすることもストレスです。

「普通の人は一般的にはこう考えるし、こうするよね」と思うだけでも、なんだか自分を否定しちゃうような感じになるのではないでしょうか?

そんな感じ方をする自分自身が「毎日頑張りすぎるから苦しくなっているんだよね」という理解をして、自分自身で認めることができれば、自分自身を少しづつうまく受け止めることもできるのではないでしょうか?

ただ、この自分を理解していく上で参考になる人や価値観、つまりリファレンス先が自分の身近にない、ということも事実のようですよ。

そんなときは、一つの選択肢としてカウンセリングなどをご利用いただいてもいいのかもしれませんね。

頑張りすぎない。たまにはゆる~く過ごしていてOK

また、お察しさんの能力を仕事や日常生活の中で使いながら過ごすと、やはり情緒的な消耗感も強くなりやすいと僕は思いますよ。

なので、気分の良い人悪い日の差や、やる気のある日とない日の差が激しくもなりやすいんです。

そんな自分のあり方を理解して、頑張りすぎない、たまにゆる〜く過ごすことも大切なことではないでしょうか。

あれこれ気づいてしまうお察しさんは、日々いろんなことを考え、感じながら生きていて、脳が超高速回転している部分があるようです。

そんな自分のあり方を受け止めて、頑張りすぎない自分を許してあげることができれば、より穏やかに過ごすことができるのではないでしょうか。

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