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心の中に存在する役割が辛い恋愛を作る場合があるんです
さて、今日は役割と恋愛についてのコラムをお届けします。
僕たちの心の中には「役割(役割意識)」というものが存在します。
この役割は、自覚できる場合もありますが、そうではないことも多く、わからないまま過ごすことも少なくないのですけどね。
この役割(意識)が気づかないうちに強まっていることで、なぜか辛い恋愛関係を作ることがあるのですね。
今日はそんな「役割と恋愛心理」の解説です。
以下にご紹介するものは架空のケースですが、一つ具体例を上げてみます。
役割意識が強くなったがゆえに恋愛が辛くなってしまう事例
最近、彼女(妻)といつもケンカばかり重ねています。
ケンカのキッカケはいつも些細なものですが、彼女の言葉にひっかかって言い返したくなってしまうんです。
例えば、最近仕事が忙しくてなかなか彼女と会えなかったんですね。
そんなとき彼女がLineで「もう少し二人の時間を大切にして欲しい」と伝えてきたんです。
きっと彼女は寂しい気持ちなんだと思いますし、彼女がそう言ってくれるのは、彼女も二人の関係を大切にしたいという思いがあるからかもしれません。
ただ、そのLineがどうしても嫌というか、彼女の言葉を素直に受け容れられなくて反論してしまうんです。
それがエスカレートしていつもケンカ。
自分でも分かっています。この程度のことで怒らなくてもいいはずだ、と思います。
ただ、どうしても怒りが湧いてしまうんです。
私だって彼女のことを考えていないわけじゃない。むしろ考えているんです。
そう思うとどうしても怒りが湧いてきてしまうんです。
最近では、怒ることに疲れてしまって、彼女との関係自体を解消したほうが楽になれるんじゃないかとさえ思うんです。
こんな状態ですけど、もし彼女との関係をよりよい方向に進めるためにできることがあったら、と考えてご相談した次第です。
今日のコラムはこの事例を使って解説していきますね。
ただ、その話を進める前に、まず「役割」について少し解説しておきたいと思います。
役割とは何か
ここでの「役割」とは
「こうあるべきという姿に自分をおき、その役割が持つ規則や法則通りに生きること」
を意味します。
人それぞれで「私はこうあるべきだ」と考えることってありますよね。
例えば
- 親としての役割
- 夫としての役割
- 妻としての役割
- 部下としての役割
- 上司としての役割など。
役割が示す姿に自分をおき、義務感と役割意識を持ちながら過ごす人も少なくないでしょう。
よって、役割から「自分は夫としてこうすべきだ」「妻として私はこうすべきだ」と、ある規則にそって生きるようになるわけです。
その役割意識が、ある意味緩いルールで縛られているならば、そこまで苦しくないわけですけど
まるで自分を縛り付けるようなものになっていると、かなり大きなストレスを感じる理由となります。
僕たちの世界では、わたしたちの人生プロセスで最もストレスフルになると言われている
「期待」と同等、場合によってはそれ以上のストレスを感じることがある
なんて表現することもあるぐらいなんですよね。
役割意識が強すぎて燃え尽きる、というケースも存在していますしね。
※「期待の心理」「成長プロセスとストレスフルな時期」などについては次の記事で解説していますので、よろしければご覧くださいませ。
役割が強くなると本来の自分が引っ込む
ちなみに役割のような「こうあるべき」という思い、その心理の裏には
「こうであってはいけない」という気持ちが隠れているのです。
この「こうであってはいけない」という気持ちは、役割をになっている自分ではなく、本来の自分に向きます。
つまり、役割が強まっている状態とは
「本来の自分」をどこかで批判し、役割を担うことによって自分の何かしらの正しさ、正当性、意味、価値などを証明しようとしている
と考えることができます。
役割が強くなると本来の自分が引っ込むわけですね。
よって、役割を一度担うと、なかなか降りられなくなってしまうのです。
役割から降りようとするたびに
「自分はなにか大切なものを失ってしまうのではないか」
「自分の価値が意味などが無くなってしまうのではないか」
「本来の自分に戻ったらマズイのではないか、悪いところがバレるのではないか」
と恐れてしまうからですね。
「役割」が辛い恋愛を作り出す理由
「役割」が辛い恋愛を作り出す理由はシンプルです。
その人が自分が担っている役割を自覚しているか否か別にして
「自分自身が担っている役割が、何らかの形できちんと担えていないと感じるとネガティブな感情を感じやすくなる」
ということなんです。
それはまるで、役割から降りようとするときに感じる
「自分はなにか大切なものを失ってしまうのではないか」
「自分の価値が意味などが無くなってしまうのではないか」
という恐れを感じていることに似ている、と言えるんです。
うーん、この書き方だけだと分かりにくいので、今回の事例を使って解説します。
役割を担っていると、相手の意見がダメ出しに聞こえる
以下は今回の事例の抜粋です。
彼女がLineで「もう少し二人の時間を大切にして欲しい」と伝えてきたんです。
きっと彼女は寂しい気持ちなんだと思いますし、彼女がそう言ってくれるのは、彼女も二人の関係を大切にしたいという思いがあるからかもしれません。
ただ、そのLineがどうしても嫌というか、彼女の言葉を素直に受け容れられなくて反論してしまうんです。
こういった反応をする人の中には(あくまで可能性の一つですが)
「ヒーロー・ヒロインの役割」を担っている人が少なくないんですよね。
ヒーロー・ヒロインの役割とは
「自分自身が輝く存在、明るい存在、希望になることで誰かの役に立とうとするという役割」。
平たく言えば「できる自分であり続けることで人の役に立とうとする」わけです。
だから、ヒーロー・ヒロインの「役割」を担っていることで
他人の意見や要求がダメ出しに聞こえることがあるわけです。
事例にある「もっと二人のことを考えて欲しい」という彼女の気持ちは、まぁ恋愛関係であるならば感じていて妥当なものだと僕は思うのです。
そして、その彼女の言葉は、彼の思考や意識には「彼女なりの真摯な気持ち」として届いているようなのです。
が、彼の心には「要求、もしくは今の自分のあり方に対するダメ出し」にように届いているようなんです。
いわば彼女の声が、彼の役割「できる自分であり続ける」を否定しているのです。
「役割」が辛い恋愛を作り出しているときの対処法を考える
僕たちはヒーロー・ヒロインの役割以外にも
「いい人」「問題を作る人」「調整役」「和ませる人」「相手を癒す人」「相手に尽くす(殉教する)人」などなど
気づかないところで様々な役割を担うことがあります。
そんな「役割」が良い方向に作用している時は、自覚できるような問題はなかなか起きません。
が、実際に辛い恋愛を作り出しているなどの問題があるときは、その対処法を考える必要が出てくるかと思います。
役割で行動していることに気づく
もし、役割が問題を作り出しているなら
まず自分自身が「役割を担っていること」に気づく必要がありますね。
じゃないと、手のつけようがないですから。
ただ、役割意識が強まっているときほど、自分の役割を自覚できないものなんですよ。
なぜなら、役割は「誰かの役に立つという目的を備えている」からです。
だから、なかなか役割を担っていること自体を客観的に捉えることが難しく
「それこそ自分の価値だ」「自分の行動は正しいし、相手のためになっているはず」
と信じてやまないのです。
逆に、自分が相手の役に立とうとしているのに、相手がそれを理解しない、といった思いを抱くことが多いと思います。
ただ、これこそが「役割に気づいていない状態」なんです。
だから、善悪判断は横において、少し自分を客観視してみるといいのです。
例えば、自分の考え、言動などをノートなどに書き記してみて、時間をおいて眺めてみる、とか。
もし自分と同じ考えや言動を友人がしていたら、と例えてみるとか。
そのように自分を少し俯瞰して眺めて理解してみるといいんですね。
役割を理解されても降りられなければ問題を繰り返す、と理解してみる
役割意識から出てくる問題は、そもそも「誰かのために」という思いを伴います。
だから、今の自分の不満や不安、葛藤などを誰かに理解されることには大変な価値がありますが
「自分自身が役割を担い続けている限り、同じ葛藤や問題は繰り返す可能性が高い」
ということでもあります。
これはパターン化するということであり、なぜかいつも同じ現実を迎えてしまう(限界を感じる)ということでもあるんです。
だから、「役割から降りることの意味」をどこかで理解できると、更に問題を解決しやすくなると言えますね。
「役割に価値がある」と思い込みすぎていないかチェックする
その上で、「自分が担っている役割に価値がある」と思い込みすぎていないかチェックしてみるといいでしょう。
例えば、今回の事例(恋愛や夫婦関係)ならば
「ヒーロー・ヒロインの役割を担っている自分がパートナーから愛されている」
なんて風に思いこんでいないかチェックしてみるといいんです。
まぁ人にはさまざまな恋愛観がありまして、中には「相手が役割を担ってくれることに恋をする」という現実的な要素と恋愛する人もいますよ。
が、そういった人ばかりじゃないんです。
とかく恋愛や夫婦関係を、人と人とのつながり、信頼、絆、愛として捉えている人ほど
「パートナーがきちんと役割を担っているかどうかではなく、自分で選んだ人を大切にしている」
と考えたほうがいいです、ハイ。
「役割を担っていない自分に価値がない」という誤解を解く
「自分が担っている役割に価値がある」と思いこむ人ほど
「役割を担っていない自分に価値がない」と思い込みやすいのですが
それもちょっとした誤解だと僕は思うのです。
つまり、「役割を担っていない自分に価値がない」という誤解を解く必要があるのです。
そうではなく、一度自分をこう見つめてみてください。
「役割という、時に自分が追い詰められてしまうリスクを背負ってでも、役に立ちたい、笑顔にしたい人がいる」
そう思い続けているのは一体誰なんでしょうね?
この問いにきちんと答えていただけるなら、きっと答えは出ると思うのです。
これはただのお節介ですが(^^;
その答えは「あなた自身」のはずです。
それぐらい本来の自分の価値を見つめることができますか?
相手云々考える前に、まず受け取るべきは自分本来の価値なんだろう。
そう僕は思うのですよ。
最後に
とかく役割意識がもたらす恋愛や夫婦の問題は揉めやすい性質があります。
なぜなら、お互いがお互いのことを考えている可能性が高いから、です。
そもそもは大変に価値のある思いが通じ合わないことが問題を作る、というわけです。
なんとも切ない話です。
ただ、そのような内面的な事情が理解できないと、どうしても自分を責めたり、別れたくなることもあると思うのです。
だから、あなたがもしより良い関係を望むなら、今回のコラムを参考にしていただいたり、カウンセリングなどでじっくり自分を見つめていただいてもいいのではないでしょうか。
このコラムが皆さんの幸せにお役立ていただければ幸甚です。
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