日常に使える心理学

共感力が高い人が他人の揉め事に巻き込まれやすい理由を解説する

頭を抱える女性

あなたは、他人の喜びも悲しみも自分のことのように感じてしまうタイプですか?

「私、どうやら他人の揉め事に巻き込まれやすいみたいで・・・」

そんなご相談をいただくことがあるんですね。

これもいわゆる「お察しさん」が持つお悩みの一つ、といいますかね。

実際、お話をじっくり伺っていくと、どうやら「共感力の高さ」ゆえに、揉め事に巻き込まれて消耗してしまうこともあるようですよ。

もちろん共感力が高い事自体は素晴らしいことなんですけどね。

ただ、実際に揉め事に巻き込まれている人に「それだけ優しいってことですよ」「人を思いやる力があるんですよね」といったところで、この生きづらさは解決しねーよ、って場合も少なくないようですよ。

そこで今回は、「共感力が高い人がなぜ他人の揉め事に巻き込まれやすいのか」その心理的な背景を解説しながら、より自分らしく穏やかに生きるためのヒントをご紹介します。

よろしければどうぞ。

共感力が高い人が他人の揉め事に巻き込まれやすい理由

では、共感力が高い人がなぜ他人の揉め事に巻き込まれやすいのか、その理由についていくつかご紹介します。

相手の感情を自分のことのように感じてしまう

共感力が高い人は、相手の感情を自分のことのように深く理解し、共感してしまうため、まるで自分がその状況にいるかのように感じてしまうことがあります。

だから、ついつい「相手のことを放っておけない」と思うことが増えるんですね。

ただ、放っておけないと思う相手が一人だけなら、まだ楽なんですが、同時に複数人登場すると困っちゃうわけですよね。

例えば

友達のAちゃんとBちゃんとか。
取引先と上司、とか。
同僚と後輩、とか。
妻と母、とか。
姑と夫、とか。

このような構図になると、どちらの気持ちも分かるように感じるので、「あーもうどうしたらいいの?」と悩んでしまうことにもなるのです。

誰かの役に立ちたいという強い気持ち

ただ、共感力が高いだけでは他人の揉め事に巻き込まれるとは限らない、というのが僕の見解。

ある意味、自分は自分、他人は他人と思えるなら、そこまで巻き込まれることはないのかもしれません。

ただ、「誰かの役に立ちたいという思いが強く、困っている人がいれば放っておけない」と思う人の場合、つい積極的に関わってしまい、トラブルに巻き込まれてしまうこともあるみたいですね。

もちろん「誰かの役に立ちたいと思う気持ち」自体は素晴らしいものなんですよ。

ただ、少し断ることが苦手だったりすると、つい双方の気持ちを引き受けてしまい、自分のキャパシティを超えてしまうことがあります。

正義感が強い

また、正義感が強く、「それは違うだろ」とか「不公平な状況を見ると我慢できない」というタイプですと、つい他人の揉め事に介入してしまうこともあるようです。

もちろん正義感が強いこと自体、ネガティブに見る必要はありませんよね。

ただ、だからこそ「正しさ」を求めて他人の揉め事に介入するとしたら、実は自分自身も「揉めている状況をコントロールしたい」と思うこともあるのかもしれません。

それが自分自身のイライラやモヤモヤ、ストレスの原因となる、といいますかね。

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共感力が高い人ほど「他人に共感してもらえた経験」が少ない、も理由の一つ

さてさて。

共感力が高い人が他人の揉め事に巻き込まれやすくなる理由、その一つに

「自分自身が他人に共感してもらえた経験が少ないこと」も考えられるんですよ。

こう、僕たちは、自分の体験として「不足していたこと」「辛かったこと」「もらえなかったこと」を、人に対する「優しさや思いに変える」なんてことをするわけです。

例えば、子供の頃、家にお金がなくて悲しい思いをしたから、自分の子供にはお金に困らないような生活をさせる、とか。

学生時代につらい思いをしても、周りは助けてくれなかった。だから私は困っている人を助けてあげたいんだ、とかね。

いいか悪いかは別にして、僕たちは自分の体験の中で「なかった」と思うものを、優しさや思いとして人に与えようとすることがあります。

その思い自体、何ら批判されるべきことではないと僕は思っていますよ。

この考え方を「なかなか共感してもらえなかった共感力が高い人」に当てはめて考えてみると、どんな事が考えられるでしょうね?

そうです。

「自分自身が周囲から共感してもらえなかった悲しみや寂しさ」を知っているからこそ

周囲の人に共感し、分かってあげたいと思うようになる、ということなんです。

言い方を変えれば、揉めてる人、困っている人のことを放っておけないし、気になってしまう。

ただ、繰り返しになりますが、その相手が一人なら楽なんです。

しかし、揉め事のように登場人物が複数になると困っちゃうんですよね。

どちらの言い分も気持ちも分かるように感じるから・・・。

なので、僕がカウンセリング現場で「揉め事に巻き込まれやすい共感力が高い人」とお話を伺うと、

実は昔から「1対1」の対人関係は得意だけど、複数人の関係は苦手だった

とおっしゃってくださる方も少なくないんです。

共感力が高い人は慕われ、アテにされやすいという側面も

また、そもそも共感力が高い人は、人から慕われ、アテにされやすい傾向があります。

言い方を変えれば、相手から「私のことを理解してくれている!」「優しい!」と思われやすいわけですな(^^;

とかく繊細な感性をお持ちの方って、「その相手にとって日常で体験したことのないような共感」を与えていることもしばしば。

これはちょっと難しい話なのですが、要は共感力が高い人、繊細な感性をお持ちの人って、そうではない人の、おおよそ2〜3割深く物事を感じ取ることができるらしい、という話があるんですよ。

だから、共感された相手からしたら「この人に傍にいてほしい」「この人なら味方になってくれる」と思われやすい、といいますかねぇ。

これが揉め事になるとどうなるか、といいますと・・・

揉めている当事者同士から「あなたは私のことをよく理解しているよね」と思われる、ということなんですよね。

んー、なんかその場にいるだけで、困っちゃいませんか?これ。

共感力が高い人が他人の揉め事に巻き込まれても大丈夫だと思えるようになる方法

他人の揉め事に巻き込まれなくなった女性

まぁ、共感力が高い人は、普通に過ごしているだけで人の気持ちを拾いやすいので、できれば、自分と関係のない揉め事からは距離を置ければいいですよね。

しかし、現実を生きていると(仕事や人との関わりの中では)、そうもいってらんねーんだよ!というシーンに出会うこともあるやもしれない(^^;

積極的に他人の揉め事に巻き込まれにいかずとも、何故かそうなってしまうことも有り得る話。

そこで、共感力が高い人が他人の揉め事に巻き込まれても大丈夫だと思えるようになる方法をいくつかご紹介します。

自分の感情と相手の感情を区別する

相手の感情に共感することは素晴らしいこと。

ただ、自分の感情と相手の感情をしっかりと区別することが重要。

いや、まずこの部分が意識できるようになるだけでも随分違います。

共感力が高い人って(僕も自分のことを書いているようで冷や汗が出るのですが)、そもそも、相手の気持ちをあたかも自分の気持のように感じ取る傾向があるわけですよね。

それは、人間理解や危機回避の際にすごく役に立つ傾向がある反面、他人の揉め事、争い事の中では苦しさを感じる理由になり得るんです。

これは一つの癒着状態のようなものにもなるんですよね。

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癒着の心理 〜癒着とはなにか。その手放し方も解説します〜癒着の心理とは 「癒着の心理」とは、私と誰かとの境目がわからなくなってしまい、相手の感じている感情を自分のものと感じていたり、相手を一...

そもそも癒着は一つの依存の形。

だから、必ずしも共感力が高い人が依存的だとは言えません。

が、共感力が高い人って感覚的に、自分の心が「す〜っと相手の側に寄っていく」ような感じを覚えることってないですか???

これがね、体験したことがある人なら分かる感覚だと思うのですけど、日常の中で結構起きるんですよ・・・。

だからこそ、意識的に「自分の感情と相手の感情をしっかりと区別すること」なんです。

やり方としては「相手と自分は別人」と、人がいないところで声に出すことがおすすめ。

思うだけ、ではなく、宣言する、声に出す、という部分がポイント。

実は、そう宣言したときに、「自分の体感覚にどんな変化が起きるかをモニタリングして、それもまた消化する方法」が、僕がご提供しているセッションのひとつなのですが(ネタバレすぎる・・・)

まぁ、この先はカウンセリングの中でお話しすることにしますね・・・。

「気持ちを伝える」と「相手を責める」の境界線「気持ちを伝える」と「相手を責める」の境界線 『彼に、夫に、言いたいことが言えない』 そんなお話を伺わせていただくことは稀ではないん...

無理に解決しようとしすぎない

また、他人の揉め事を無理に問題を解決しようとせず、まずは状況を客観的に見ることが大切なことですよ。

言い方はドライになっちゃいますが、他人の揉め事は他人が解決すること。

なので、そこに入り込んで解決しなきゃ!と思い込まないことも、自分のために大切なことなのです。

なので、若干の心苦しさを感じることもあるやもしれませんが、「できないことはできない」と断ることも大切ですよ。

また、どうしても断ることができない場合は、無理のない範囲で協力することをしっかり言葉で伝えましょう。

自分自身の感じ取れる感情の幅が広いことを自覚する

また、共感力が高い人は、まずそれ自体を理解することも必要かもしれません。

言い換えるなら、「自分自身の感じ取れる感情の幅が広いことを自覚する」ということ。

誰しも自分中心に世界を見ていますから、自分の感じ方と他人の感じ方は同じだろう、と思いやすいものなんですよねー。

僕もねー、それでねー、痛い思いを何度もしてきましたねー(棒読み)

ただ、共感力が高い人、繊細な感性をお持ちの方ってのは、やはりそうではない人の感じ方とは違いますよ。

良き感情も、そうではない感情も、かなり深い部分まで感じ取ってしまいます。

なので、自分の感じ方と、今目の前で揉めている人の感じ方は違う(かもしれない)、と自覚しておいてください。

もし、揉め事の当事者があなたと同じ程度の共感力を持っている場合なら、相手と話せば深く意思疎通できるので、何となく分かるはずですよ。

信頼できる人に相談する

また、あなた自身が悩んだ時は、信頼できる人に相談することで、客観的な意見をもらうこともできますよ。

カウンセリングのご案内心理カウンセラー浅野寿和がご提供するカウンセリングメニューと予約方法のご案内ページです。現在ご提供している「面談カウンセリング」「オンラインカウンセリング」「電話カウンセリング」の詳しい内容と料金、具体的なご予約方法ご案内しております。...

最後に

いかがでしたでしょうか。

共感力が高い人は、人から慕われ、アテにされることが多い一方、揉め事やトラブルに巻き込まれやすいという側面も持ち合わせているのかもしれません。

しかし、自分の特徴を理解し、適切な対処法を知っていれば、トラブルを回避し、より豊かな人間関係を築くことができますよ。

今回の記事がなにか参考になれば幸いです。

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