恋愛の心理学

パートナーから「ずっと不満があった」と言われたときの対処法

彼の好意を拒絶する女性

パートナーから「ずっと不満があった」と言われたとき、どうすればいいの?

 ずっと不満があった女性

もしあなたが、彼や彼女・夫や妻との話し合いの中で「ずっと不満があった」と言われたら、さてどんな気分になりますか?

ヤバい!このままじゃ関係がだめになっちゃうかも?と焦りますか?

今更そんなこと言われても。そのときに言ってよ!と思いますか?

ずっと相手に我慢させていたんだ、とショックを受けますか?

今後、二人が共に過ごしていくことに不安を感じますか?

実は「ずっと不満があった」「けれど、ずっと言わずに我慢していたんだ」発言って、言う側も聞く側にとっても、結構なトラブルや、より関係がこじれてしまう理由になることが多いんですよ。

実際のご相談でも「パートナーにそう言われてすごく落ち込んだり、不安になっているんです」というお話を伺うことはとても多いのです。

僕もカウンセリングの中では「あなたのパートナーさんはなぜ、どうして、どのような事情で伝えたのか」にものすごく注目します。

その言動がどのような意味を持つのかも考えます。

それこそ二人の間に起きている気持ちのやり取り、感情の共有、愛情が伝わっているかどうか、そして、今後も関係を維持できるかどうかを決めるものになっていくからですね。

そこで今回はパートナーに「ずっと不満があった」と言われたときの判断とその対処法について考えてみたいと思います。

よろしければどうぞ。

 

パートナーが「ずっと不満があった」と伝える心理とその対処法

さて、まずは彼や彼女、夫や妻が「ずっと不満があった」と伝える事情や理由、そしてその対処法について考えてみましょう。

とりあえず文句だけ言いたい人というケース

いいか悪いか別にして、人には「とりあえず文句を伝える」(とりあえずビールのニュアンスで)という人がいます。

この文句には「自分に興味を持ってもらいたい」という意味が隠れていることが多いです。

心理学では、人に興味を持ってもらうために、あえてポジティブなストロークではなく、ネガティヴなストロークを用いる人がいる、と考えられてます。

どちら方法も相手の興味を引く手段であるからです。

ただ、あまりに自分がより良い存在だと思えていない理由、例えば自己肯定感が低い、罪悪感が強い、自己嫌悪が強いなどの状態にあると「自分からいい言葉・態度を投げかけても、きっと相手は喜ばないだろう」と思いこんでしまうわけです。

かつ、多くの人が「人の役に立ちたい、愛したい」という欲求を持ちますから、その逆の「人の役に立てない・愛せない」ということで自分を責めてしまいベッコリ凹んでしまうんです。

この凹んでしまう状態で感じる感情を回避する方法として使われるのが「とりあえず文句」なのです。

嫌な気分になる理由を相手のせいにしてしまうことが習慣化している可能性もありますね。

そもそも普段から人にいい影響を与えたいと思える人なら、あえて不満というカタチであいてに気持ちを伝えるなんてことはしないのです。

だから、文句を言わせないようにしても、まぁ文句ばかりでてくるでしょう。

相手が(自作自演の問題なのですが)嫌な気分を感じるうちは言い続けるはずなのです。

また、もしあなたのパートナーがいつも文句ばかり言っているのなら、その文句の中身より「どうして文句ばかり言うのか」に気づいたほうが良さそうです。

この場合の文句は確かに表面的には「嫌な気分を感じたくない」という理由を持ちますが、更に深いレベルには「自分に興味を持ってほしい」という気持ちが隠れています。

文句をいう相手が赤の他人ならば、その文句はただの文句なのかもしれません。

ただ、もしパートナーに興味を持ってもらいたくないのに文句を言うなら、それ自体が不自然なことなのです。

文句を言えば相手にネガティヴな興味を持たれてしまうのですから、興味がないのに文句を言う事自体が矛盾していることになります。

いくら「パートナーに嫌いになってほしい」という気持ちからの文句でも、その根っこには「こっちの気持ちに気づいてよ」というメッセージが隠れているものです。

もちろん、文句ばかりいう人と付き合い続けるかどうか、という選択もあろうかと思いますけどね。

 

本当に長い間我慢して不満に耐えていたケース

これはパートナーの中に不満があったとしても、あなたのことを考えて言わずに我慢していたというケース。

特に我慢ばかりしている人、自分を責めがちな人、責任感が強い人、人に言いたいことがなかなか言えない人に多いパターンです。

僕たちはどこかで「できれば言わずに済ませることができれば」と思うことがありますよね。

我慢とは心理的な「防衛」で、我慢している本人が「これだけは感じたくない」と感じている感情を感じないようにするための手段です。

ここでの「感じたくない感情」とは、「愛されない」「愛せない」「頑張れない」「興味を持てない」といった、いわば「愛し愛されることがない私」というイメージから想起される感情が多いでしょう。

そういった辛い感情を感じたくないがゆえに「我慢」しているのです。

たとえそれが苦しい我慢であっても、その苦しさ以上に受け入れたくない、感じたくない感情があるということですね。

だから「苦しいけどできれば我慢して何も言わないほうが自分も怖くないし」と思い、我慢し続ける人も少なくないものです。少なからず僕のカウンセリングの現場ではそのようなタイプの方とたくさん出会います。

しかし、いろんな出来事や不満が積み重なると「もう言わずにはいられない」と思うようになることってないでしょうか。

だから、いつも我慢している人が伝えてくる不満は「それなりの理由」があり、伝えている方もそれなりの覚悟や思いを持って伝えていることが少なくありません。

これで伝わらなかったらもうダメかもしれない(関係を維持できないかもしれない)と思っている可能性も大です。

そんなとき、相手の我慢に気づかず「何も問題がないなら、今のまま過ごしていても大丈夫だろう」と思ってるパートナーがいるなら、不満を伝えている側もショックなのです。

だから、もっと強く伝えなければ分かってもらえないと思い、急に昔のことを引き合いに出し、不満を並べ立てて「もういい加減にしてほしい」「昔からずっと不満だった」と言いはじめるのです。

 

もちろん「我慢して何も言わないことが最善策だったのか」という話もあるのでしょうが、ここで何がいい悪いと争っても関係が余計にこじれるだけかもしれません。

もし、今までパートナーが何も不満を伝えてこなかったのに、急に不満を伝えてくるとか、何度も同じことを伝えてくるなら「もっとこちらのことを見て考えてよ」というサインであることは少なくありません。

それほどまでに私たちにとって「自分が選んだ人に見てもらえない、気づいてもらえない」ことはかなり悲しく切ないできごとなのです。

つまり、我慢を続けていた人が話す「ずっと前から不満があった」という言葉には、「ヘルプメッセージ」という意味が込められている場合が少なくないのです。

「このままじゃあなたのことを(君のことを)受け止めきれる自信がない、今までのように愛せる自信がなくなってしまうよ」というね。

だから、今後もいい関係を培いたいなら、真剣に向き合ったほうが得策だと言えますし、この場合僕も「パートナーと向き合えるところから向き合っていきましょう」とご提案することも少なくないんです。

だからといって、我慢させていたことで自分を責める必要はないんです。

相手にとっては「自分の我慢が相手を責める理由になること」を望まないと思うんですよね。

僕たちの世界には「攻撃は助けを求める声」をいう言葉があるのですが、そもそも人は「いい影響を与えたい」と思うもの。

なのに怒る、不安を言う、過去のことを蒸し換えずとしたら(相手の態度の是非は別として)そう言わざるを得ない事情があ位手にあるということ。

そこに「気づいてほしい」と考えてみるといいでしょう。

 

いい機会だと思って不満を話したケース

実はそこまで不満に思っていなかったのだけど、二人の関係がギクシャクしている今だからこそ、つい「昔のことを話してしまえ」と思っちゃったというケースです。

例えば、「あの時、言われた言葉がずっと気になっていた」「あんなふうに言われたことがショックだった」といった風に。

その当時はそんなに気にもしていなかったのだけど、今の関係があまりいい感じではなく、また、なかなか話し合う機会がなかったから、つい昔のことを切り出して話しはじめる人もいますよ。

この場合、おそらくその記憶や思いは(確かに言われて嫌だったのでしょうが)、昔の時点では大した不満にはなっていなかったケースが少なくないんです。

例えば、恋愛初期にちょっとキツく当たられたことがあって、それが気になっていたとしても、その後の関係が前向きなら、まぁ水に流してしまうようなことってありますよね?

実は今までたいして気にもとめていなかったことでも、ケンカしているときや、不安や不満や言いたいことが溜まっている状態になると、「そういえばあの時もそうだった」と思いはじめる人って少なくないのではないかと思うのです。

実は僕たちはどこかで記憶を勝手に塗り替えてしまう事がある

これは僕自身が学んだことでもあるのですが、「私たちの脳の中での記憶が再生されるとき、なんと、記憶の中身はいったん失われてしまう」というのです。

え?って思いません?

そもそも私たちがなにかをすぐ忘れてしまうことはないですからね。

そんなことあるはずないよ、と思わないでしょうか。

ただ「私たちがなにか思い出すとき、思い出すと同時に、改めて記憶しなおしている」ということがさまざまな研究の中で分かったというのです。

つまり、人が出来事などの記憶を思い出すときとは、録画保存した動画を再生するといったイメージとはまったく違うものだということです。

録画した動画の再生であれば、何度再生しても動画の中身はまったく変わりませんが、私たちの記憶は忘れ、改めて記憶しなおしているならば、そりゃ誤解が生まれても不思議ではありませんよね。

そう考えますと、次のようなことが言えるのではないでしょうか。

「かつて水に流したでぎごと(記憶)」があったとしても、今、パートナーとの間で不満やいざこざがあったとしたら、過去の記憶も、かつてとは違った風に記憶されるし直される可能性がある。

つまり、本来はありもしない気持ち、感情を、なぜか「そうだった」と思うような記憶を持ってしまうことがあるってことなんですよね。

だから、パートナーと揉めるときってなぜか「あのときもこうだった」「あんなふうに言われた」と被害者的な気持ちが湧き上がってきて、「そうだ、私はずっと辛かったんだ」と思い込みはじめる人も少なくないんです。

そう考えると、なかなか僕たちの記憶やそれに伴う感情ってものは、常に事実を正確に認識できているとも限らないし、そこで感情を作ってしまうこともあり得ることだと思うのです。

つまり、昔の話を引き合いに出して「ずっと不満だった」と伝えてくる人がいたとしても、実はそこまでの不満ではないんだけど、話せるいい機会だから言いたくなってしまう人もいるだろうと僕は推測しています。

この場合、カウンセリングの中でもこんな風にお伝えすることがあります。

「相手の言葉には反応したほうがいいですし、相手の不満自体をないがしろにするような態度を取ることは避けておきたいですね。ただ、あなたがそこまで重く捉える言葉ではない話かもしれませんよ。いわゆる「今、言いたいだけ」かもしれませんから。」

「不満に対して無関心な態度を取る」ことはNGですけど、真正面から「ずっと昔からそう思っていたんだ」とショックを受けなくてもいい場合がある、ということです。

ここでは不安にかられるよりも「パートナーは今、なぜそういった事を言いたくなっているのだろうか」と考え、その事情に思いを馳せるほうが得策です。

おそらくなにか理由があるんですよ。

今、思い出したように「ずっと不満だった」と伝える理由がね。

例えば、寂しい、いつも放っておかれていると感じる、もっと関わりたい、実は他に困っていることがある、言いたいことが言い出せないなど、いろいろな理由が考えられそうです。

だからこの場合は、相手の「ずっと不満だった」という言葉で不安になって行動しまうと、余計に関係がこじれやすいわけです。

相手は「君が苦しい思いをするために伝えたわけじゃないのに(こちらに興味を持ってほしかっただけなのに)」と思ってしまいかねないんです。

あぁやっちまった、と思いかねないと言いますかね。

もちろん相手も、あなたにいい意味での興味を持ってもらいたければ、不満ではなくストレートに気持ちを表現すればいいのかもしれませんね。

正直「不満でつながる」というコミュニケーションはそんなに良いものではないので、僕も「ちゃんと自分の気持ちを伝えること」は大切だと思いますよ。

が、なかなかそのように振る舞えない人もいると理解し受け止めてみてもいいかもしれませんね。

むしろ、「ずっと不満があった」という言葉をきっかけに、真摯に相手の気持ちを聞き、自分の素直な好意を伝えていくと、相手の不満をよりよい関係に導くきっかけとして使うこともできますからね。

そう心がけて行動できるといいですね。

 

「ずっと不満があった」という言葉で不安を抱え、悪い推測ばかりしないように!

さて、実際のご相談の中でも「彼(彼女)から、ずっと前から不満があったと言われてすごい不安で、これから一緒に過ごしていく自信を失っちゃいました」というお話を伺います。

ただね。

そういった不安をカウンセラーにリアルタイムで話してくれる方は少ないのですよ。

その不安の中で焦りを感じながらパートナーと向き合い、「なんとかしなきゃ」と思いながら、「パートナーに謝り倒したり」「自分を責める姿をパートナーに見せ続けた」とか、「こちらからも不満や文句を言い返す」などの行動を繰り返して「どうにも関係がこじれて大変です」といった状態になってしまっている場合も少なくないのです。

だから、僕は「ずっと前から不満があった」という言葉で不安を抱えて我慢し続けること自体がリスクだと考えています。

つい、悪い推測ばかりしてしまいがちになりますからね。

少なからずこの状態でいると自分のことしか見えなくなるので、おそらく自分の意見しか言わないし、自分の意見を相手に飲ませようとすることが増えるでしょう、

こうなるとパートナーとの話し合いもうまくいきませんからね。

それでもパートナーに「ずっと不満があった」と言われて不安しか感じない、という方がいらっしゃるなら、まずは「その不安を人に話す」というカタチで、自らの感情の解放や整理をはじめてみましょう。

その上で「相手の文句や不満の意味」をしっかり理解してみましょう。

自分のことばかり考えていても、不安は消えないことが多いですよ。

最後になりますが、そもそも人が伝える「文句」や「不満」、それ自体にそんなに深い意味がないことが多いです。

着目すべきは「相手がそう言いたくなる事情、感情」です。

だから、最も避けたいのは「不満だと言われたから、こちらからも言い返す」ということなのです。

相手の不満の背景にある事情を取り逃すだけでなく、相手を責めてしまうわけですからね。

こうなるとおそらく「不満を言い合ってしまった」という問題意識しか持てなくなって、本当に気づくべきことに気づけなくなってしまいます。

だから昔から「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」というのかもしれません。

もちろん文句ばかり言っていると相手からの信頼を失うので、そういったコミュニケーションばかり続けることも問題なのでしょう。

ただ、もしあなたのパートナーが思い出したように昔のことを引き合いに出して文句を伝えてくるなら、その背景にある感情、感覚、思いにこそ理解すべき意味があると考えてみましょう。

その意味に気づくことこそ、パートナーを上手に愛し、受け止める秘訣なんですよね。

 

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