現状維持がお好きな彼の話
さて、恋愛&夫婦カウンセリングのお話を伺っていますと、とかく「現状維持が大好きなんだな〜」と思える人(もしくはパートナー)のお話を伺うことがありますよ。
とりあえず現状の関係に問題が見当たらない(と当人が思っている)ので
「そーいうのよってやらなくてよくない?」
「今問題がないのに、いちいち行動しなくて良くない?」
「アレコレ考えるなんて面倒だから、今のままでよくない?」
なんて感覚でパートナーと向き合っているような人ですね。
現状に目に見えた問題がないならば「問題はなし!」と感じている人でもありますね。
このような人を「現状維持くん(さん)」と僕は勝手に名付けて呼んでおります。
この現状維持くんと恋愛をすると、とかく自分の気持ちに気づいてもらえないどころか、「それは君の問題でしょ」「僕はなにかしなきゃいけないとは思ってない」と突っぱねられる事が多く、なかなか切ない恋愛や夫婦生活を過ごすことにもなるようです。
特にそばにいるパートナーの気持ちが華麗にスルーされるという場合も少なくないようで、「私、たしかに彼を好きになったけど、本当にこの人と一緒にいても大丈夫なのかな」と悩まれる方もしばしば。
カウンセリングの中でも結構多くご相談いただく案件の一つなのですね。
現状維持くんの深層心理
さて、この「現状維持くん」の言動に多く見られるパターンについてまとめます。
まず現状維持くんは、今が問題なければ問題はなし!と考えているわけですが、それこそ「防衛」だと見ることができます。
問題を認識しなければ問題はないわけですからね。これは一つの「否認」のようなものなのでしょう。
だから、「自分はそう思わない」という言い分を使って「現状が何かしらの変化をみせる」ことや「自分からなにかにチャレンジする」ということから遠ざかろうとします。
例えば、パートナーから「もっと週末は二人でどこか出かけたりして、楽しんで過ごそうよ」と伝えたとしても「うーん、疲れているから無理」といった反応を見せる感じです。
ね、こんなことが続けばさすがに寂しくなっちゃいますよね・。
実は現状維持くんも「二人の関係がより良くなることを望んでいる」ものなのです。
ただ、人は変化に対して「怖れ」を感じます。今までのカタチ、環境などが変わることをとかく怖れるのです。
つまり、現状維持くんはこの怖れを感じる「感情的なリスク」を取ることを好まないわけです。なかなか実際の行動を伴うことが少ないわけですね。
ただ、それだけで終わってくれたらいいのですが、実は現状維持くんはコントローラー(人や状況をコントロールして自分を変えないようにする)でもあるので、ちょいと厄介な行動に出ることがあります。
それが「引き下げ」なのですね。
恋愛で言えば「パートナーの新しい提案・意見」や、ときには「パートナーの存在の価値」まで引き下げるような言動を使うことがあって、これがなかなか向き合っている側からするとカチーン!とくるわけですなぁ。
例えば、パートナーから「もっと週末は二人でどこか出かけたりして、楽しんで過ごそうよ」と伝えたとしても「出かけるって無意味だよ、そんなことばかりしているから家事が疎かになるんじゃないの、君は」的な反応を見せる感じです。
ね、こんなことが続けばさすがにしんどいですよね。
ここで起きていることは、出かけようというパートナーの提案の価値を下げ、かつ、自分のパートナーの価値まで下げている、ということですよ。
だから現状維持くんもいい気分にはならないわけです。
が、コントローラーの心理ってのは、自分もいい気分にはならないが、人をコントロールしていたほうが怖れを感じるリスクを回避できる、というものですから、まぁついそうなっちゃうんでしょうね。
もちろん、良かれと思って提案している側は、がっかりしちゃうわけですけどね。
ただ、既にお気づきの方もいるかも知れませんが、パートナーシップの中で「引き下げ」を使い続けると、いいことは起こりません。マイナスのことばかり起こります。
つまり、現状維持くんが本来求めている「現状維持」「怖れや不安を感じない関係」の実現が難しくなるのです。
そもそもパートナーの価値を思い切り下げてしまっているわけですから、二人の関係はマイナス方向に振れてしまいます。つまり「現状維持くんの現状維持とは後退である」と言えるのかもしれませんね。
現状維持くんからの脱却を考えるなら
もし、自分自身が「ちょっと現状維持くん傾向ありかも?」と思われるなら、もうちょっと素直に自分の感情を表現する「感情のリスク」を取られるほうがいい結果を導くことが多いですよ。
特に自分の弱さの表現には意識を向けられるといいですよ。
例えば、怖いことは怖い、辛いことは辛い、苦手なことは苦手、好きなものは好き、大切な人には大切だよ、と言っていいんです。
本音を見せると恥ずかしいだとか、「えーオトナなのにそんなことが怖いってダサくない?」とか思われたらどうしようと気にしてしまうかもしれませんが、まぁ気にしなくていいです。
そもそも相手がどう思うかなんてのは相手の自由です。
人が怖がっていたり、困っているときにガチで引き下げてくる人がいるなら、その人こそ「感情のリスクがとれていない(自分が嫌な気分になりたくないので人のことをあれこれ言う)」って場合が少なくないものです。(それがいいかどうか別にして)
成熟したオトナは、人の弱さを見たら理解を示したり、相手の気持ちを察したり、時には手を差し伸べるものじゃないでしょうか。
だから、自分自身も成熟したオトナになる意識を持ってみるといいですよ。そのように振る舞うことなんです、普段から。人に理解されなくてもそう振る舞って見るんです。
すると、たしかに人の価値を引き下げる人もいるかもしれませんが、多くのオトナは責めるどころか、理解を示してくれたり、時には愛してくれたりもします。
自分自身がそんな人間でありたいと思えば、その投影で「同じように思う人もいるんだよな」と感じられるようにもなります。
自分から感情なリスクを取り、自分の弱さを表現できるようになる分だけ、「自分から引き下げておきながら、しかし現状維持を望み、しかし手に入らないので悩む」というパターンから抜け出せますよ。
「現状維持くんがパートナーなんです」という人に向けての話
さて、僕も実際に「私のパートナーが現状維持くんで・・・」といったお話を伺うこともありますよ。
実はこの現状維持くん(現状維持を目指している割に関係が悪化してしまうタイプ)のパターンである「否認」って、結構パートナーさんとしては厄介だと思われるかもしれませんね・
否認、つまり決して認めず受け入れない態度って、「怖れ」などの感情的リスクを取らないためのものですからね。
だから、何でもかんでも「私のせいにされる」なんてことが起きるんですよ。
これが引き下げ、コントロールという事実にもつながるんです。
だから、まぁ正直言いまして、二人で話し合う時間すら持てないとか、あまりに一方的に引き下げばかりされるという場合ですと、僕もちょっとパートナーとの関係自体を見直してみてはどうでしょうか、といったご提案をさせていただくこともあります。
そもそも好きな人や自分が選んだ人に、自分の価値を引き下げられるコト自体、ちょっとしんどい話です。
もちろん現状維持くんにもそうなってしまう事情があるといえるのですが、現実に起きていることがあまりにもしんどいことばかり続くなら、理屈でどうこう考えるより、ご自身の気持ちを見つめていただき、自分の心の健康、幸せなどを優先してもいいのかもしれません。
その上での話。
もしあなたが「私のパートナーが現状維持くんっぽいんだけど、まだ憎めないし、好きで一緒にいたいんです」と思われるならば。
可能な限り「自分の好きという気持ちや愛情の価値を下げないような行動」をとってみてください。
たとえ相手に「そんなの面倒だ」とか、「意味がない」と言われたとしても、あなたには価値があるし、あなたの思いが相手を思い、支え、寄り添う気持ちならば、きっと価値がありますよね。
その価値をしっかり自分で感じられるように、自分の感情を整えていくことをおすすめします。
この自分の価値の部分が感じられなくなると、めっちゃ辛いんです。自分を疑い始めれば止まらなくなっちゃいますからね。
だから、まず自分の気持ちを支えること、癒やすことです。何より優先されることはそれですよ。
しっかり愛情などを表現できるようになると、相手の反応も変わりやすくなるのですが、相手の意見でグラつくと、怖れを感じたくない現状維持くんは頑なに動かない態度を見せるでしょう。
そもそもパートナーシップとは「対等な関係」です。だから、自分自身に胸を張って、しっかり地に足をつけた私でいることを目指してみてください。
ただ、この場合は「私は私でいい」と自分で自分を認める感じよりは、「私が愛したことには意味がある、価値がある」といった感覚のほうに効果が出てくるはずだと僕は考えています。
きっと、いくら否定されても愛情を投げ続けていたのはあなたでしょうから、ね。
もし、パートナーに突っぱねられたあなたの気持ちや愛情があったとしても、その価値もまだまだ失われていないはずだ、と僕は考えていますしね。
それはもう大切な価値あるものですよ。宝物のような気持ちなのです。
だから、自分の気持ち、感覚をゆっくりとでも整えて、もう一度自分を信じられるようになるといいですね。
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