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「自分の手で相手を幸せにしたい」と心から願う人たち
「僕の力不足もあって、彼女のことを幸せにしてあげることができないんです。本当の無責任だと思うんですけど、彼女と別れたほうがいいと思うんです。」
どこか激しい苦悩をにじませるようなお声からはじまる「彼女と別れたほうがいいのだろうか」という男性の葛藤を伺うことがあります。
辛さ、痛み、苦悩、迷い・・・様々な感情を抱えながら、しかし今のままではいられないから、望まないけれど、しかし別れを考える人もいらっしゃるのかもしれません。
いや、もうなんとも切ないお話です。
しかし、このようなお話を伺うと、僕は「あなたは愛のある方ですよね」と思うんですよ。
だってねぇ、このようなご相談の裏側には、常に「相手のことを思う気持ち」がありますよね。
迷って、苦しんで、葛藤して、頑張って、でもなぜか自分が思い描くように進まない現実を前にして悩まれているわけですけど、その根っこには「愛」があるよなぁ、って僕は思うんです。
ただ、確かにこの状態においては、この「愛」って部分が曲者っちゃー曲者で。
とかく「自分の手で(チカラで・努力で)相手を幸せにしたい」と思う愛ある方ほど、「うまく愛せない」「自分なりの愛し方を貫いてもそれが伝わらない」現実を前にすると、自分を責めてしまうようなのです。
決して相手を愛する気持ちが悪いわけではないんですけどね。
しかし僕たちには自尊感情ってものがあって、「誰かの喜びになりたい」と思うからこそ、そうなれない自分を責めてしまうし、ちっぽけに扱ってしまうものなんですよ。
その状態に耐えきれなくなれば、おそらく「別れ」を考えることになるだろうな、と思うのです。
そして、別れを選択した自分にも罰を与えていく(恋愛から遠ざかる・自分一人で生きていこうと覚悟する)方もいらっしゃるのかもしれません。
どこまでも好きな人を愛し続ける人たち
「私は彼のことを心から幸せにしてあげたいって思っていたんです。なのに・・・」
そんな悲痛なお声から始まる「どうしたら今の気持ちが楽になって、また次に逢えるようになるんでしょうか」というご相談を伺うこともあります。
これもまためちゃめちゃ切ないお話です。
僕もお話を伺いながら、その方の気持ちを思うとなんとも胸がかきむしられるような思いを感じることがありますよ。
しかし伺っている話の内容の殆どは、「愛したい」って気持ちなんです。
相手に苦しんでほしくない、傷ついてほしくない、私が選んだ人だから相手にも楽になってもらいたい。
今の彼にとって、私がいることが苦しみになるなら、確かに身を引いたほうがいいのかもしれない。でも私はそんなつもりでそばににいたんじゃない。
どうしたら私の思いが伝わるのか?
もしこの関係を諦めるとしたら、どうしたら気持ちの整理ができるのか?
「これからどうしたらいいんですか、私。何が間違っていたんですか?」
そんなお声を伺うたびに、その本気度といいますか、愛の大きさを実感せざるを得ないのです。
辛いよね、ホント。
でも、辛いけど、あなたの愛情は本物ではないでしょうか。
そうお伝えしています。
今すぐ、僕のこの言葉は受け止めていただけないかもしれないけど、それでいいって思っています。
そして、僕のカウンセリングに起こしいただいている限りは、何度何度もそう信じさせていただこうと思っています。
覚悟を決めた自分の気持ちを翻すことへの抵抗感と深い悲しみ
このようなお話を伺うと、いつも思います。
「自分が一度覚悟した気持ちを翻すことに抵抗感を感じるものだ」と。
誰かに心惹かれ、「私はこの人を愛する」と決めるとき、その気持ちって決して「曲げられない決意」になることって多いと思うんですよ。
そして、その決意を持ち続けている自分を誇らしく思うものかもしれません。
僕たちの心理でいうところの「コミットメント」。肚をくくる、ということですからね。
しかし、そのコミットメントを自分で手放さなきゃいけない(苦しくて手放したい)と思うとき、やはりそんな自分を肯定的に捉えられず、自分のことを恥じてしまうこともあるのかもしれません。
自分の覚悟なんてものはそんなにちっぽけだったのか、と自分を責めることがあるかもしれませんよね。
まるで自分は自分に嘘をつき、愛する人にも嘘をついた、といった罪悪感を感じる瞬間、といいますか。
だから、覚悟を決めた自分にこだわりたくなるし、本当に愛することをやめたくないのでしょう。
そして、愛することをやめる決断をした自分を責め続けることにもなるのでしょう。
それこそ「自尊感情」があるからこそ、そう思うものなのだろうと僕は思うのです。
愛する覚悟を手放した自分ですら愛せるように
これは本当に微妙な表現になると思うのですが、僕は「愛する覚悟を貫くこと」も「愛せないという事実を受け入れること」も、どちらの偉大な選択だと思っています。
そもそも愛することより、愛すると決めた人を愛せないこと、愛を止めることのほうがキツイものだと思います。
なぜなら、自分には誰かを喜ばせるチカラがないのだ、と一度受け入れることになるわけですから。
それは嫌だし、そんなことのために今まで頑張ってきたわけじゃないって思わないでしょうか。
だから、自分から愛せないということも、もう愛さないと決めることも、パートナーに「もう愛してくれるな」と言われることも、それを相手の伝える側も、とにかくキツいし、傷つきます。
その苦しみは確かに、誰にもわからないものといいますか、分かってもらおうとしてもなかなか伝わらないものかもしれません。
あまりのキツさに、元カレ、元カノ、過去の結婚生活を忘れられずにいたり、時には執着したり、自分を罰し続ける材料にしてしまうこともあるでしょう。
僕はそれこそ「致し方のないこと」だと思うのです。しかし、なかなかそうは思えないものなのかもしれないな、とも僕なりに理解しているつもりです。
ただ、カウンセリングのお越しになるってことは(このブログを読んでくださっているってことは)きっとあなたはもう一度「愛する人の喜び」になりたいって願われているんじゃないでしょうか。
そんな思いを感じるとき、僕はクライエント様にこうお伝えするのです。
「愛する覚悟を手放した自分ですら愛せるようになってみませんか」と。
そしてこうもお伝えします。
「あなたが愛すると覚悟した人を、あなたの罰のシンボルにしつづけることは手放しませんか。誰もあなたの罰になるために出会ったわけではない、と思いませんか」と。
「そうなれるものなんでしょうか?」と聞かれることは多いんですけど、あなたが諦めなきゃなれますし、そのサポートは全力で行います、とお伝えしています。
そして次のようにお伝えすることもありますよ。
「一度でも愛する覚悟を決めた自分。その自分は大変に尊い存在です。
だから、その自分にこだわりたくなる気持ちも分かります。
しかし、今だけでいいので、こう考えてみて欲しいのです。
あなたが誰かを愛する覚悟を持つように、またあなたと出会う人も愛する覚悟を持つことができる人もいる、と。
あなたの周りにいるすべての人がそうだとは言いませんよ。
が、あなたの周りにいる仲間、友人、家族の中には、あなたがこだわりたくなるような気持ちを、そのままあなたに向けている人もいるのではないでしょうか。
つまり、あなたと同じような気持ちでいる人はいるはずってことです。
もちろんあなたは「愛を選択し続けることができなかった自分」に失望するのかもしれない。その気持は痛いほど伝わってきますよ。
しかし、その失望したあなたを愛し続けようとする覚悟を持った人だっていると僕は思うのです。
だから一人ぼっちになっちゃいけません。たった一人で覚悟のない自分を嘆く必要もありません。
今、必要なのは「受け取ること」じゃないでしょうか。
きっとあなたのそばにいる人達は、あなたを「覚悟のない人間だ」とは思っていないでしょう。
本当に愛することを知る人は「あなたに覚悟があったから苦しんでいる」と理解するはず。
だから、まず自分の身近な人の中で、あなたの気持ちを受け止めてくれる人がいるなら、勇気はいるけど話してみてもいいと思いますよ。
そして、あなたが思うほど、あなたはヤワじゃないですよ。
そしてあなたが思うほど、あなたの覚悟は弱くない。
そこまでの覚悟ができるあなたがヤワなはずがない。
でも、今はきっとそう思えないんじゃないでしょうか。
だから、今は自分を見つめて、気持ちを楽にしながら、しかしゆっくりと自分の愛の強さを受け取りましょう。
自分にこう言ってあげてみてほしいのです。
『私の愛情とその覚悟は本物だったよ』と。
むしろ、誰にも偽物だったなんて言わせちゃいけない!ぐらいに僕は思うんです。
そして、これ以上自分を許さない態度を取るのではなく、あなたの覚悟をあなたの「強さ」に変えていきませんか。
そのために必要なことはたった一つ。
今までのあなたの足跡をあなたが認めること。
愛し抜けなかった自分を嘆くよりも偉大なことがあるとしたら、あなたの過去に「覚悟を持って愛そうとした自分」がいたことをもう一度認めることですよ。
物事結果が全てといいますし、それも間違っちゃいないのでしょうが、心を癒やし、自分をもう一度信じるときには、結果って意外と邪魔になることも多いんです。
大事なことは、自分に言い訳せず、あなたが自分の覚悟や努力を何一つ無駄にしないことなんですよ。」
もし、あなたが誰かを愛し抜けなかったという後悔があるなら、ぜひ同じように自分に語りかけてあげてくださいね。
そして誰かと自分を比較せず、自分のこととして考えながら、自分を大切にしてみてください。
そして、それでも自分を許せないって思うなら、どうしてこうなったのという後悔が湧き出すなら、僕と一度話してみてもらってもいいかもしれませんよ。
時間はかかるかもしれませんが、いつかきっとあなたは自分を認められるようになるはずですから。
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