浅野さんへ質問
今お付き合いしている彼には過去に一年程お付き合いした恋人が1人いました。
7~8年以上前の高校生~大学生だった頃の話だそうです。
彼には大切にしてもらっているけれど、時折温度差や寂しさを感じることがありました。
そんな時、昔付き合っていた彼女のことが心に残っていると告白されました。
彼からは
「その彼女と今からどうこうなりたいとは思っていないし、遅かれ早かれきっとうまくいかなかった。
ましてや仕事や将来の責任を抱えた今と学生時代の恋愛とでは気持ちを比べることができないことも、思い出が美化されていることもわかっている。
ただ、あの時のような感情の揺らぎをもう感じれない自分がいる。
私のことは人として好きだけど、前の彼女のことを好きでいた自分と今の自分を比較したら、本当に好きと言って良いのかわからなくなるときがある。」
と言われました。
ちなみにその彼女には振られたそうですが理由は聞いておらず、元々身の上話や自分の感情をぶつけたりなど深い話をしたことはなかったのだと言ってました。
とても言いたくなさそうでしたが、私が何か気付いてそうだからと、悩みに悩んで話してくれました。
自分でも自分の気持ちがわからない。きっと自分がおかしい。ごめん。と言われました。
今まで元カノの話なんて全くされたこともなかったのでびっくりしましたが、彼の感情の問題に私は介入できないし、彼が一緒にいたいと言ってくれて、私も彼が好きなら今まで通りの関係で良いんじゃないかと思い、それから今も普通に交際しています。
あれから元カノの話はでることもありませんし、特にトラブルもなく順調ですが、これで良かったのかなぁと心に引っ掛かるものがあります。
何か自分の気持ちの救いになればと、浅野さんのブログにある過去の恋に関する記事や執着や手放しに関する記事をひたすら読みました。
彼にはもう元カノに対する期待はないように感じます。何より時間もすごく経っていますし、話を聞く限り心の痛みがとれないくらい傷付けられた経験ではなかった気もします。
最近では、相手が私じゃなければ彼もこんなに悩まないんじゃないかとか身を引くべきかと悩んでしまいます。
もう手の届く距離にはいない心の中だけの元カノの存在を超えられる日はくるのでしょうか。
彼自身の問題だとはわかるのですが、私はどうすれば良かったのか、どう考えるべきなのか、そして頭では乗り越えようとしている彼に対し私に何かできることがあるのか、浅野さんに教えていただきたいです。
ネタ募集ネーム:たんぽぽさん
たんぽぽさん、おまたせしました。ネタのご協力ありがとうございますm(_ _)m
いや、うん、なんとも切ないお話だなぁと思いながらご質問を読ませていただきました。たんぽぽさんも彼さんもなんとも素敵な方だなと思いつつ。
では、ご質問にお答えします。今回はあまりうんちくを語るよりスパッとお話したほうが良さそうなので、長い回答にはならないかと思います。
それでは本題へ。
「彼の中の元カノ」の意味
今回のご質問でいただいた彼の心のなかにいる元カノの存在。
これって彼とあなたではその意味・解釈が異なってくるように思うんですね。まずここがポイントかなーと思うんです。
いわゆる「彼の記憶と感情との結びつき」と「あなたにとっての元カノさんという存在」では意味合いが変わってきますよね。
「その彼女と今からどうこうなりたいとは思っていないし、遅かれ早かれきっとうまくいかなかった。
ましてや仕事や将来の責任を抱えた今と学生時代の恋愛とでは気持ちを比べることができないことも、思い出が美化されていることもわかっている。
ただ、あの時のような感情の揺らぎをもう感じれない自分がいる。
私のことは人として好きだけど、前の彼女のことを好きでいた自分と今の自分を比較したら、本当に好きと言って良いのかわからなくなるときがある。」
彼の発言を僕なりに解釈するとこんな感じになるでしょうか。
彼が言っているのは「誰かを恋愛関係になり、その中で感じる強い感情(愛おしさ、好き、相手を強く求める気持ちなど)を、昔は感じていたけれど、今はそこまで感じないんだ」ということではないでしょうか。
その自分を彼は疑っているような状態かな、と思うのです。
よく男性が「昔は強く相手を求める気持ちを感じたけど、最近の恋愛ではそこまでの気持ちは感じない。ということは、自分は今のパートナーのことをそれほど好きじゃないんじゃないだろうか」なんて疑問を持つことがあるんですけど、それに似ているかもしれません。
だとすると、彼にとっての元カレは「強い感情を感じた相手」となりますね。
まぁ誰しも忘れられない元恋人がいるものなのかもしれませんけども。(浅野さんはどうなの?とか突っ込まないでね(^^;、というか僕のクライエントさんは突っ込んできそうな気がしますけど・・・・)
ただ、その忘れられない元恋人の記憶って、彼が言うように「思い出は美しすぎて症候群」的な美化された(嫌なことは思い出さない)記憶であることが多いんですよ。
基本、人間の記憶、感情って、嫌なことを忘れるようにできているんです。僕たちの才能の一つは「忘れること」なんですよ。過去の記憶とその時感じた感情を結びつけて残さないようにできているものです。特に悪い記憶を思い出さないようにしているものです。
だから、過去の恋愛はどうしても美化されますし、過去の思い出の中に生きる元恋人を愛しく思うことだってあるし、良い記憶を思い出として残していくんですね。特に女性より男性にその傾向が強くみられます。
ただ、じっくり過去の恋愛で起きたことを思いだすと、「実際いろいろ問題があったし、自分も未熟だったし、タイミングも悪かったし、縁がないといえばそれまでだけど、結局はうまくいかなかった関係だったよな」と思うことも少なくないわけですね。
ここに、彼の「ただ、あの時のような感情の揺らぎをもう感じれない自分がいる」という言葉の意味が隠されているだろうと僕は考えます。
彼は「今も昔の恋愛を今も気にしているということは、自分は未だ過去に生きているのではないだろうか」と感じている可能性は否定できないように僕は思えます。
そして、今の自分の感情が(昔ほど)動いていないことに、ある意味失望していたり、ガッカリしている部分があるのかもしれないですね。もちろん今のパートナーに申し訳ないと思うこともあるでしょう。
だから、きっと彼は心苦しそうにその話をあなたに伝えたのかもしれませんね。
だとすると、彼にとっての元カノとは、「自分が最も恋愛で感情が動いた相手」という意味になります。心理的には、彼にとっての強い恋愛感情と元カノの記憶が結びついているということです。
元カノのことが好きだとか、よりを戻したいという意味ではなく、彼は「あのとき以来、自分の気持ちは動かなくなってしまったんだ」という「彼の弱さ」を示したのではないでしょうか。
*
しかし、あなたにとっての元カノの意味は、彼のそれと全く異なる意味合いになると思います。
そして、ここから先の話はあなたの想像におまかせしますよ。僕がここであれこれ書くのもなんだか違う気がしますのでね。
封印された彼の愛情
彼にはもう元カノに対する期待はないように感じます。何より時間もすごく経っていますし、話を聞く限り心の痛みがとれないくらい傷付けられた経験ではなかった気もします。
最近では、相手が私じゃなければ彼もこんなに悩まないんじゃないかとか身を引くべきかと悩んでしまいます。
もう手の届く距離にはいない心の中だけの元カノの存在を超えられる日はくるのでしょうか。
なるほど。なんだか切ない話ですよね。
ただ、あなたは「その日(The Day)」を呼び込みたいかどうか、で話は変わってきそうですね。
もちろんどちらの答えでも間違いではないんですけどね。
もちろん、あなたをその気にさせよう、けしかけようと思って書いているわけじゃないんです。
ただ、もし僕がカウンセリングとしてこのご相談をお引き受けするなら、おそらくその日を迎える方向でサポートさせてもらうことになると思うんですけどね。
なぜなら、このままだと彼は自分の疑いを超えられずに悩む可能性が高いと思いますし、自分の気持ちがわからないまま未来のことを考え始めてしまう気がするので。
僕の経験上、このようなケースで「待ち」の姿勢を続けると、二人の間に喜びが少なくなって、なんとなく相手に申し訳ないことをしているという罪悪感が増えていきます。
お互いに相手に関わる意欲や積極性が薄れていくので、「自分は相手のために何もできていないのではないか」という強烈な罪悪感を感じやすくなるんです。
だから、今の関係のままでうまくいくと思われるならばそのままでOKですが、お互いの関係をもっと高めたいと思われるなら、ここは何かしらのアクションが求められているかもね、と僕は思っちゃいます。
なぜなら、彼は「どうすれば気持ちが戻るのか(好きや喜びを感じられるのか)がわからなくなっている」と僕は見ているからです。
きっと彼もかつてのような気持ちであなたと向き合いたいと願っているのでしょう。しかしそれがうまくいかないから、彼は悩んでいるのかもしれません。
その理由を考えるなら、こんな事が考えられますよ。
コレはあくまで僕の分析で想像の域を脱しませんが、彼が元カレとの関係を断ち切るときに、自分の中の「女性を愛し求める気持ち」を封印してしまったからだろうと僕は考えます。
感情というものはある特定の感情だけを抑圧することは難しいのです。抑圧するならありとあらゆる感情を抑圧することになるわけです。つまり、彼は相手を求める気持ちを断ち切るために、自分の好きも、喜びも同時に封印した。
そうすれば心の揺れ、感情の動きも感じなくなります。
そういった彼が感じられるのは「この人はいい人だな」とか「彼女といると居心地がいいな」といった感覚になってきますよ。
彼も同じようなこと、あなたに言っていませんでした?
「彼の中の元カノ」は超えるものではない
さて、ここからが本題のようなものです。今までは長い前置きですね。
そもそも「パートナーの心のなかにいる元カノ・元カレ」とは、自分が超えるべきものではないと僕は考えていますし、そうお伝えしています。
つい元カノの存在を「超えるべきもの」と考えてしまうのは、自分が愛されたいと感じたいため、もしくは、自分の中の嫉妬・競争心が湧き出すから、という場合が多いでしょう。
つまり、自分の不安や恐れ、自信のなさから生まれているってことです。これは自分自身の問題ですよね。
こんなときは自分癒やしに取り組んでみたり、少し物事を見る視点を変えてみるといいと思いますよ。
そもそも彼にとっての元カノは、彼が一生懸命に愛した人、です。ちょっとしんどいけど、ここはそう受け止めてみることがポイントですよ。
例えば、彼の「元カノ」という言葉を「仕事」「家族」「大切な仲間」といった言葉に置き換えてみれば、なんとなくその意味が分かってきませんか?
これ、誰も否定できないですよね?だから、あなたがおっしゃるとおり、彼の心の中の「元カノ」の存在は、彼自身の問題なのです。だから無理やり手を突っ込むのは違いますよね。
このようなときほど「相手を大切にする、愛する」ということを思い出せばいいのです。
「相手が大切にしているものまで認め、受け入れること」。
例えば、彼にこう伝えてあげることもできないでしょうか?
「そんなに忘れられないぐらい好きだったんだね。あなたは一生懸命だったんだね。それはすごいことだよ。そこまで一人の人に向き合えたってことじゃない?そんなあなたのことを私は誇りに思うし、これからも大事にしていきたいなって思うよ。」
もし、彼のことを愛すると決めるなら、今までの彼そのものをまるっとあなたが承認してあげることだってできると思いませんか?
あなたが彼に「愛する」感覚を与えていくことって、彼に対する癒やしにもなるし、自分自身も強くなれることではないでしょうか。
たとえ彼の気持ちがすぐに戻ってこなくても、彼が「気持ちを感じられない自分は君を苦しめている」と思っていても、その彼の弱さを愛してあげることが求められているのではないでしょうか。
だから、彼の中の元カノは「超えるべきものではない」と僕はお伝えしているのです。
ここで何もしないと、あなたがおっしゃるように「私じゃないほうが」と考えてしまうことにもつながるでしょう。
ぶっちゃけた話をすれば、ここで出てくる罪悪感は本当にくそったれですよ。
恋愛小説では胸が締め付けられるような切なさを醸し出す要素かもしれませんが、リアルな恋愛では正直いらん!と思うような要素ですわねぇ。
自分にも相手にも愛があるのに、お互いが苦しみ悩むだけ。どんどん自分を罰する気持ちばかり強めて、相手のために何もできない、してはいけない、といった感覚を感じるだけなんです。
そんなモノ、真実であるはずがないでしょう。
必要なのは罪悪感ではなく、あなたの愛。そして彼の中で眠っている愛。
だから、あなた自身が自分の愛情をお認めになり、彼の中にある「人を愛する気持ち」を承認することが求められていると僕は考えています。
ただ、これを実現するためには、肚を据えてパートナーを愛する気持ちと、自分の中で湧き出す不安や疑いに対して対策を講じておく必要があります。
無理に背伸びをして相手の過去を愛そうとしても、不安や愛されたい気持ちを隠したままでいると、なかなかうまく相手に気持ちが伝わらなくなる事が多いんです。
ここでは恐れから行動しないことが超重要です。
だから、僕のカウンセリングでもクライエントさまの不安をどれだけ手放していくか、というサポートがメインになっていきますよね。不安をなかったコトにしても辛いだけなので、不安なら不安を伝えてね、といつも話しています。
また、クライエントさまの価値や魅力をめっちゃ推しますし、「ここだけの話」としていろんな不安や思うことを話していただくようにしています。
*
最後になりますが、そもそもこのご質問をいただいた時点で、あなたは彼のことをまるっと受けとめていませんか?
その自分にぜひ誇りを感じてみてください。
少なくとも僕はあなたの大きさを感じたから、あなたには「彼をまるっと愛する気持ちと言葉」を持っていただきたいと思いましたよ。
確かに彼の愛情の封印を解くことができるのは彼だけです。しかし、その彼をまるっと愛することで、愛を思い出させることができるのはあなただけではないですか。
少なくとも元カノじゃありませんよね?
最後にあなたへ、このブログで何度も出ている言葉を送りたいと思います。
「弱さには罰ではなく(放置するのではなく)、愛することが求められる」
これが全てってことなんですよね。
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