恋愛の心理学

彼の強い罪悪感を刺激せずに自分の気持ちを伝える方法はありますか?

浅野さんへの質問

以前「復縁と引き下げの心理」で取り上げていただきありがとうございました。

彼に好かれたいと思うほど彼への疑いが強まる理由今日は復縁と引き下げの心理がテーマ。彼に好かれたいと思えば思うほど彼への疑いが強まっていくという逆説が起きるのは、自分自身の価値が信じられなくなっているから起きることなのです。...

もうこれ以上何もできないと別れを告げられてから、浅野さんの仰るように「彼の気持ちの理解」「彼への感謝」「手放し」をする事が今の私に出来ることだと思い、お別れをしました。
そしてその1ヶ月後「言いすぎて悪かった」と連絡があり元の関係に戻る事になりました。
ですがまた問題が、、

彼は人前に立つ職業なのですが、以前、ファンの方が深夜彼に自由に会いに来れるような活動(ほぼプライベートのような感じで1:1で会える)をしていた事があり、今回もそれに似た活動をするんだと言った事がキッカケでした。

頑張ってね!とは伝えたものの、本当は辛そうな私の様子に気づいた彼が
「僕のやる事全てが気に入らないんでしょ?」「何が原因かは分からないけど仕事の話をするといつも不機嫌になる」と言いました。

「良いファンに対して特別扱いするのは当たり前だよね」というスタンスの彼。
以前、特定のファンを特別扱いしているのがあまりにも辛く、口にしてはいけないと悩んだ末に、本当に辛いんだと何度か伝えましたが、思い切り怒られた末振られた事もありました。
あの頃の我慢していた時の苦しさや怖さが今でも忘れられず、どんなに彼が優しくしてくれてもどこか彼の事を信じきれない、彼の仕事を快く応援出来ていない自分もいます。

・ファンの人と会うことは不安だけれどそれは仕方ない事だと思っている
・もし不安だと漏らしたらきっとまた別れようと言われるのも分かっていたから言えなかった。あなたが好きでこれからも一緒にいたいから。
と自分の気持ちを正直に話しましたが

「何が不安なのか分からない。信用されていないし、不安に思わせてる自分が悪い」
「頑張っているのにそんな風な仕事をしているようにしか見えないなんて自分が情けない」
と言われ、もう私が不安になったり悲しくなる気持ち自体を理解してもらえる事はない、これではただ彼を傷つけるだけだと思い

「不安ではなく嫉妬でした。ごめんなさい」とだけ送りました。その後返信はありません。(不安という言葉が彼の地雷だったのかなと思い嫉妬と言い直しました、、)

普段から沢山の事をしてくれる彼に感謝を伝えたり、与える側にもまわること、笑顔で過ごす事を心掛け、少しずつではありますが自分は大事にされてるとも思えるようになってきていましたが、不安、傷つきやすい性格はまだまだ改善しきれていません。

どうしたら彼の強い罪悪感や無価値感を刺激せずに自分の気持ちをうまく伝えられたのでしょうか?
やはり彼の気持ちを考えれば、不安や悲しい素振りはもう絶対にみせてはいけなかったのでしょうか?

ネタ募集ネーム:まるちゃんさん

まるちゃんさん、再びネタのご協力ありがとうございますm(_ _)m

なるほど、一度手放しをしたら、復縁となったわけですね。ただ、その後で更に問題が起きたということですか。

彼は人前に出る仕事だそうですから、なんとも不安になることも多いのかもしれませんよね。

それでは本題へまいりますが、今日の記事はとにかく最後まで読んでみてくださいね。すると、おそらく僕のお伝えしたいことがおわかりいただけると思いますから。

 

我慢ばかりを重ねた自分を見つめ直して癒やす

今回のご質問で何より切なく響くのは

「やはり彼の気持ちを考えれば、不安や悲しい素振りはもう絶対にみせてはいけなかったのでしょうか?」

というあなたの言葉です。

きっとあなたはたくさんの我慢を重ねてこられたのでしょうね。彼がファンと会っても、何をしても、耐えに耐えてこられたのではないでしょうか。

僕はそう感じています。

この我慢、一時的なものならばいいのですけど、そうでないとあなたの気分の落ち込みや不安を作ることがあります。

だから我慢して頑張って彼に笑顔を向けたり、彼を理解しようと思っても、相手からいい反応が返ってこない場合があるのです。

おそらく多くの人が、自分のなすべきこと、やりたいことで誰かを幸せを与えようとは思うでしょうが、不幸を与えたいとは思わないでしょうからね。

それはきっと彼もあなたも同じなのではないでしょうか。

だとしたら、まず癒やすべきは自分です。

今回のようなケースで、とかく自分を後回しにすることは「心理的な報復」にもなりえます。

自分にはそんな意図が毛頭なくても、我慢ばかりしている自分でいつづけることによって、相手にとっては報復されているような気分になってしまうのです。

だから、彼は

「何が不安なのか分からない。信用されていないし、不安に思わせてる自分が悪い」
「頑張っているのにそんな風な仕事をしているようにしか見えないなんて自分が情けない」

といっているのではないか、と僕は思いますよ。まぁ彼の自己弁護の要素が見えないわけではないですけど、彼が本当にあなたのことを思っているのならば、本音は「本当にどうしていいのかわからない」のかもしれません。

だから、我慢するのではなく、自分の気持ちに素直になって解放することがポイントです。

とはいえ、彼の前で解放できればいいですが、相手が罪悪感を感じている場合はなかなか難しいものです。

少なくとも自分の力だけでぶつかっていくと、相手の価値観と自分の価値観が正面衝突を起こして、どちらがどれだけ傷つけたか、どちらがどれだけ我慢したか、といった想いに駆られてしまいます。

その気持ちを否定しながら向き合うだけでも凄まじい我慢になってしまうんです。

彼が気にすることを言っちゃダメ、彼の気持ちに寄り添わないとダメ・・・そう考えれば考えるほど苦しくなっていくのです。

僕がお伝えしたいことは「その我慢を続けましょう」ではないのですよ。その我慢を手放しいくことで幸せが見えてくるのです。

だから、まずは信頼できる人、話を聞いてくれる人と関わって自分の気持ちを話したり、前向きな気分になれるようなことがあなたの癒しになります。無論カウンセリングもその一つの選択肢ですが、あなたがその気になったときにでも、と思っています。

僕たちカウンセラーはいつもお待ちしています。その時は遠慮なくご活用くださいね。

 

人は「目的・ヴィジョン」に共感してほしい

これはきっと男女問わず同じことなのだろうと思うのですが、人は自分が「なぜ行動しているのか」「なぜ頑張っているのか」を理解してほしいと思う生き物です。

なぜ仕事に打ち込むのか。
なぜ会えないのか。
なぜそこまでのエネルギーを使い頑張るのか。
どんな気持ちで毎日頑張っているのか。

これは承認を求めているのではなく、共感されると嬉しいという話です。

頑張っている自分を褒めてほしいのではなく、同じ方向を見つめていてほしい、自分の目的を理解してもらえるとありがたい、といった気持ちです。

この共感されたい気持ち気持ちやそこにある動機を、僕は「目的」「ヴィジョン」と呼ぶことがあります。(全てが目的やヴィジョンであるとは限りませんが)

人は何かに打ち込んでいるときほど、そこに目的や叶えたい夢、見たい景色を思い描いているもの。これを誰かと分かち合いたい、できれば共感してほしいを思う気持ちは当然感じますし、それこそ大切な大切な気持ちになります。

特に自分が成し遂げたいという目的以上に、いわば「志」「ライフミッション」とも言える、誰かに貢献する意識、誰かの喜びを創造したいという気持ちならば、やはり自分の大切な人にも共有してもらいたいと思うものではないでしょうか。

しかも自分から「共感してほしい」と強要するようなものではないからこそ、大切な人には「できれば分かって欲しい」と願うことも少なくないのかもしれませんね。

そもそも自分の目的、ヴィジョンを人に強要した時点で、それこそ自分勝手な押し付けや判断に成り下がってしまうから、人に共感してほしいけど分かってくれよとは言えないもの、かもしれません。

そんなとき、僕たちは自分を責めることがあるのです。

自分の目的、ヴィジョンはそばにいる人にすら伝わらないようなものなのか、と。

もちろんそれはきっと伝え方の問題や、自分自身の評価による影響もあるものですけど、ついそう思ってしまいがちになるものではないでしょうか。

そしてそれはきっと、あなたも彼も同じなのかもしれませんね。

二人が見ている各々の目的、ヴィジョンはきっと幸せや夢につながっている。けれどそれがまだ平行線で重なっていないのかもしれません。

 

目的とやるべきことの違い

さて、ちょっと話は横にそれますが、今回ご紹介している「目的、ヴィジョン」は、人によって明確に、「持つ人」と「持たない人」とに分かれるものです。

例えば、自分の行動動機を「本当に心から湧き出る目的のために」と感じている人もいれば、とにかく「自分が生きるためにやるべきこと」として捉えている人もいます。

つい自分の評価が下がってしまって、本当は素晴らしい愛のある目的であっても、自ら「つまらないもの」のように扱ってしまう人もいます。

中には、「そんなもの持ったって虚しいだけ、挫折するだけ」と諦めてしまっている人もいるかもしれません。

この違いが目的・ヴィジョンを実感している人と、目的・ヴィジョンを実感していない人の違いを作ります。

どちらも毎日必死に頑張っていることには違いないのですけどね。

 

また、この考え方は「投影」となって、人に映し出されます。

自分の行動動機をどのように認識しているかによって、「他の人の努力や物事の考え方の解釈」が変わってくるのです。

もし、自分が志を高く持って行動しているなら、他の人の行動や考え方に共感し、時には称賛し、そのヴィジョンを理解し応援するでしょう。

もし、自分が生きるがために行動しているなら、人の行動の「必死さ」に共感するでしょう。本当に大変ですね、と思う。けれどその人がどんな目的を持っているかまでは共感できないかもしれません。

もし、自分が自分や物事を諦めてしまっているなら、人の行動に「なぜあんなに頑張るのかがわからない」と疑問を感じるでしょう。分からないから「そんなことして意味あるのかな?」と思っちゃうし、うっかり口走ってしまうこともあるかもしれません。

これらは全て自分の価値観に基づくものなんですよ。

そしてこの考え方は「恋愛感情」においても同じなのです。

自分の恋愛感情の目的が「とても偉大で相手の幸せとつながっている」と感じられているか。

「ただの自分の勝手でわがままかも」と感じているか。

「自分の恋愛感情にそんなに価値がない」と感じているか。

それが投影となって「相手はどこまで私を愛してくれているのか」という実感として跳ね返ってくるのです。

自分の愛情の目的・価値をしっかり感じていれば、相手の愛情の価値・目的もよくよく感じ取れ、しっかり受け取れるものです。

しかし、自分の愛情の目的・価値を見失っていると、相手の愛情の価値や目的を「自分の感覚」で判断して見間違えてしまうことも起こります。

特に我慢を重ねている方ほど、この自分の愛情の目的や価値を見失いがちなんです。

我慢しているからこそ生まれる不安や気分の落ち込みが、自分の素晴らしい愛、目的、ヴィジョンを感じにくくしてしまうんですね。

だから、さらに犠牲的になって我慢して彼のために尽くす人もいれば、自分の愛情や目的などの価値を見失っちゃうので自信を感じられなくなっている人もいます。

それが悪いと誰も言えないけれど、なかなか自分の気分も相手の気分も良くならないので、できれば別の方法を考えたいところかもしれませんね。

 

相手の罪悪感より、自分の我慢を癒やす

ということで最後に

どうしたら彼の強い罪悪感や無価値感を刺激せずに自分の気持ちをうまく伝えられたのでしょうか?
やはり彼の気持ちを考えれば、不安や悲しい素振りはもう絶対にみせてはいけなかったのでしょうか?

このご質問にお答えしましょう。

そもそも彼のことを考えて、不安や悲しみを感じない自分になることがポイントです。我慢しなくていい自分になることを目指す感じです。

もちろんあなたの我慢はきっとあなたなりの誠実さと愛の表現だと僕は感じています。間違っているわけじゃないのです。が、あなたや彼にとってより良い形の愛の表現を目指してもいいのではないでしょうか。

これが「罪悪感や無価値感にまみれた彼にどう伝えたらいいか」に対する僕なりの答えなのです。

あなたが何を見せ、どんな自分を表現し、どんな存在でいるか。

それを通じて彼によい影響を与えていくことです。

ぶっちゃけ、罪悪感まみれの彼とどう関わるか、その答えって一つじゃないし、ケースバイケースですよ。

確かに「言い方次第で角が立つ」などの基本的な考え方はありますけどね。

伝えるべきことは「どれだけ自分が相手のことを大切に思っているか」だけではないですか?

つまり、伝えるといいことはこれだけなんでしょう。

「私はあなたのことを心から愛しているよ」。

 

ただ、相手が罪悪感まみれであれば、何を伝えてもうまくいかないこともあるわけじゃないですか。それは彼の問題なんだけど、まぁどうにも手が出せない感じがすることもあるわけですよね。

この場合は、下手に彼の罪悪感に手を突っ込まないほうがいいですよ。よっぽど彼の気持ちを受け止める覚悟と自信と心の余裕があるなら別ですが、中途半端になっちゃうぐらいなら、最初からやめておいたほうがいいです。

それよりも、まず「私と相手との関係」という範囲の中で「なぜ相手は罪悪感を感じているのか」に注目することです。

その上で、相手とどのように関わることが、より彼を癒やし、罪悪感を手放すことに繋がるか、と考えてみればいいのです。

その答えの一つをご紹介します。

彼の愛する人=「自分」が、我慢を手放し、悲しみを癒やし、不安を手放し、元気で穏やかでいることです。

彼の罪悪感は彼の問題だから、どうしようもないっちゃそうなんです。

ただ、自分と関わる中で、相手が罪悪感や不安、自分を責める気持ちを手放せるような状況を作り出すことは可能なのですよ。これがパートナーシップの素晴らしさなのです。

自分が彼の罪悪感よりも大きな愛になる、そんなイメージですね。

 

ただ、これを実現するためには一つ乗り越えておくべき感情があります。

それが「彼に気持ちが届かないという悲しみ」です。

これを一度受け止めて乗り越えることが求められることが多いんです。

言い換えるならば、「もう彼に愛されないんじゃないの?」「彼とはうまくいかないんじゃないの?」といった不安をどう手放すか、なのです。

自分の中で不安や我慢が募れば、パートナーは罪悪感・無価値感まみれになる可能性があるわけですね。(それでも彼が罪悪感まみれだった場合はもう彼の問題だわね、としか言いようがないのですが。)

だから、まず自分が不安から解放され、我慢を手放して、元気になることです。心からの笑顔を取り戻すことです。私ってすごい愛情があるじゃない、と認めること。

そして、その自分で彼と向き合うことですよ。

 

何より避けたいことは、どれだけ相手のことを思い、優先し、いつも苦しい我慢を続けていたとしても、間違っても自分の我慢や苦しみを相手に理解させようとしない方が良いでしょう。

「私を愛しているなら受け止めてくれるはず」と思いたいところですけど、この方法はうまくはいきません。二人の間に信頼関係があるならいいのですが、特に分かりあえない状態、対立している状態では避けるべき方法です。

なぜならこれは「自分が起こした行動(我慢)の責任を相手に理解させようとしている行為」でもあるのです。

いくらパートナーであっても、引き受ける側は「相手の行動の責任を全て自分が取れ」と言われているように感じるのです。

こうなるとやはり関係はこじれることになるでしょう。

だから、こんなときこそ「急がば回れ」「物事の見方を変えてみる」ことが大切です。

まずは自分が我慢ばかりしないこと、その我慢の理由になっている不安を癒やし、手放すことを考えましょう。

これこそがアカウンタビリティ(感情の責任は自分にある)という考え方そのものなのですね。

 

今日は以上です、なにか参考にしていただければ幸いです。

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