「私、職場の人たちから避けられてるようで・・・」
これ、意外と多くカウンセリングで伺うご相談なのです。
この問題を放置しておくと、人によっては「仕事を辞めるかどうか」という問題になることもあるほど、つらい気持ちを伴いやすいことでもありますね。
そこで今日は「人から避けられてる?」と思いやすい人の心理についてコラムにしてみます。
よろしければどうぞ。
Index
職場の人に避けられてると感じる心理とその理由
もし、あなたが職場の人に避けられているように感じたり
周囲の人が自分と積極的に関わろうとしてこない、といった状態があるなら
「職場の人があなたに対して何かしらの警戒心を抱いている」
そう考えてみるといいでしょう。
そしてあなた自身も「職場の人に対して警戒心を抱いている」ことが多いでしょう。
つまり、「お互いに警戒心を抱いている」という場合が少なくないんですね。
お互いがお互いに警戒心を抱き、関わることを怖れている状態だからこそ
どこかギクシャクとしたような
どこか職場の人の気持ちが離れているような、お互いに距離を感じるような状態になることが少なくないんです。
人は「分からないものを怖れて避ける」という心理
さて、もしあなたが職場の人から避けられていると感じるとしたら
「職場の人はあなたのことがよく分からなくて、怖れを感じている」
そんな可能性も考えられるんですね。
この話、もう少し詳しくご紹介しますね。
人は「分からないものを怖れ、そして興味を持つ」
心の鉄板法則に、次のようなものがあります。
「人は分からないものに怖れを感じる」
同時に、「人は分からないことに強い興味を持つ」のです。
僕たちは「よく分からない人」がそばにいると怖れを感じやすくなります。
これは「よく分からない人がいる」だけでなく、「どう関わったらいいかわからない人」という場合もありますよ。
そう考えると、もし、あなたが普段から自分を隠したいと思っているとしたら、
そもそもあなたは避けられやすい人になってしまっているかもしれません。
実際のご相談でも
「私、職場で孤立しやすいんです」というお話をうかがうことがありますよ。
もちろん「それはおつらいですね」とお話を伺わせていただくのです。
が、よくお話をうかがうと、あまりに自分のことを話していないので、周りに警戒されていただけ、というケースがかなり多いです。
それでも「避けられている」ではなく「私が嫌われたんだ」と思うなら
こう考えてみるといいでしょう。
「あなたのことをよく分からない人が、あなたを本当の意味で否定し嫌うことは相当に難しい」
ただ、どうして周囲があなたに警戒心を抱くのか、については少し考えておく必要がありそうです。
これは「あなた自身が周囲に与えている影響力(相手に与えている印象)」に理由がある場合もあるからですね。
実際に職場で避けられやすい人の特徴
では、どんな人が職場で避けられやすい、と考えられるのでしょうか。
正直なところ、職場でどんな人が避けられやすいかについては、職場の文化・風土、会社の方針や特色など、環境的要因の影響を受ける部分も大いにあると思います。
また、人は好き嫌いで物事を判断するので、個人個人で避けたくなる人は異なるもので、なかなか一般化してお伝えすることは難しいのです。
ここでは、「私達の心の成長度合いを4つに区分したモデル」を用いて解説してみたいと思います。
【私達の心の成長度合い・4区分】
- 依存:常に自分のことしか考えられない状態です。
- いい人:普段は社会などのルールを守って生きている「いい子ちゃん・普通の人」です。ただ、あわよくば「自分勝手に振る舞いたい」という欲求が残っている状態です。
- 自立:自己の信念そって生きることができる大人です。
ただ、自分と異なる価値観に対しては攻撃的な姿勢を見せるという面があります。 - 成熟:いわば「I’m OK! You’re OK!」というマインドとの持ち主。自分と相手、自分と社会など、お互いを尊重し、その価値を認められる成熟さを持っています。よって、どんな人でも理解しますし、相手のことを闇雲に批判せず尊重します。
いくつかの特徴を挙げますので、自分自身に当てはまる点がないかチェックしてみてください。
1:考え方が自己中心的・利己的
これは「1:依存」のパターンです。
考え方が自己中心的で、周囲の人の都合を考えず、自分の都合中心で行動する人は避けられやすいです。
例えば、理不尽に他人を怒る、すぐ被害者ぶる、一方的に不満をぶつけたり、相手に作為を求める人などは、やはり職場で嫌われます。
また、相手のプライベートなことや内面的なことを配慮なく指摘する人も同じです
例えば、「あなたってこういう性格だから損してるよね」という発言など。
このような人は周囲からすると「こちらに依存してくる」「配慮や気配りがない」と感じますからね。
もちろん人間ですから、自分中心に物事を考えることはあって普通のことです。
しかし、自分の行動が周囲にどのように影響するかを考えず、自分にとっての「得か、損か」「楽しいか、楽しくないか」ばかり優先しているとしたら、周囲の人は「あなたと対等な関係になれない」と感じるので、避けるようになるやもしれません。
2:影で悪口を言う
これは「2:いい人」にみられるパターンです。
普段は何ら問題のないいい人なのですが、「いい人でいなきゃ」という思いが強いぶんだけ、心の影の部分に「悪い自分」を隠している人がいるわけです。
この悪い自分をこっそり表現したくなるとき、つい影で人の悪口を言いたくなるのですよね。
ただ、人の悪口をいう人に積極的に近づきたいわけじゃないので、避けられるようになるわけですよね。
悪口を聞く側もネガティブな気持ちになりますし、「自分も陰でこんなふうに言われているのかも」とあなたのことを信じられなくなってしまうかもしれません。
3:周囲から話しかけられたときの反応が少ない
これは「2:いい人」にみられるパターンです。
普段は何ら問題のないいい人なのですが、「いい人でいなきゃ」という思いが強いぶんだけ、「失敗したくない気持ち」が強くなっている人がいます。
これは職場の対人関係でも同じで、職場の人ともめたくない、関係を悪化させたくないと思い、職場の人と積極的に関わろうとしなかったり、相手から話しかけられたときにあまり反応しない人がいます。
これは一つの心理的な防衛、安全確保行動とも言えるのですが、それが裏目に出てしまうことがあるのですね。
例えば、目を合わせず話したり、挨拶も小声でしか答えなかったり、相手に話しかけられても答えなかったり。
僕たちは、自分からのアプローチに反応してくれない人には、積極的に近づきたいとは思いませんから、避けられるようになるわけですよね。
4:自分の正しさに対するこだわりが強い
これは「3:自立」にみられるパターンです。
例えば、職場の中で、誰もが反論できない正論を振りかざし、少しでも異を唱えられると、相手が根負けするまで持論を展開したり、「それは間違っている!こちらが正しい!」と語り続ける人がいます。
このようなタイプは、正直「話し合いにならないな」と思われやすい、という点で避けられやすいです。
話し合いとは「お互いの意見を尊重しながらより良い結論を導くもの」なのでね。
自分は「この考え方が正しい!」と思っているのかもしれません。
そのお気持ちも分からなくはないのです。
ただ、自分の正しさがあるように、相手にも正しさがあることに気付く必要がありそうですね。
5:上から目線・相手をマウントするような言動をとる
これは「3:自立」にみられるパターンです。
人との競争心が隠しきれない自立タイプの人は、悪気がないとしても、つい言動が「上から目線」「人を見下している」ようになりがちです。
(「自分の立場を利用して偉そうな態度をとる人」もいますけどね。)
ただ、この上から目線の問題は、多くの場合、「本人にはまったく悪意がない」「言い方の問題」というケースが多いものなんですよ。
ですが、自分自身の競争心などの心理状態に気付けないと、言い方の修正が難しいんですよね。
だから、周囲の人になんとなく避けられてしまうこともあるようです。
6:成熟した考え方、価値観を持っている
これは「4:成熟」のパターンです。
このタイプの人は、職場の中でもお互いを尊重し、その価値を認められる成熟さを持っています。
よって、どんな人でも理解しますし、相手のことを闇雲に批判せず尊重できるのです。
が、こればっかりはどうしようもないことなのですが、その素晴らしさが周囲の嫉妬や劣等感を刺激してしまうと、職場の中で避けられる場合があります。
「あなたは調子に乗っている・あなたが間違っている」なんて否定的な言動を受けてしまうこともしばしばあるようです。
この場合は、自分自身のあり方を変えるよりは
今の環境を変えたり、自分の気持ちを整えたり誰かに相談するなど気持ちの安定をはかる方法もありますよ
と僕からご提案することもありますね。
「私、避けられてる?」がもたらす本当の問題は「人間関係の悪化」
さて、今回扱っている
「私、避けられている?」
という不安がもたらすものは、ただつらい気持ちになることだけではありません。
いわば「徐々に人間関係が悪化すること」が本当に厄介な問題なのです。
では、どうして人間関係が悪化してしまうのでしょうか?
心理的に見ると「人が怖いものを避ける」「お互いに警戒する」ということだけで人間関係まで悪化することは稀だと言えます。
人間関係が悪化する理由は「他人の価値を引き下げる心理」が強力に作用することにあります。
他人の価値を引き下げる心理とは
他人の価値を引き下げる心理とは
「自分自身の内面で、他人の価値を貶めることによって安心感を得ようとする」という心の動きです。
この心理は「内面的なコントロールの心理」とも解釈できますね。
このような方法で他人の価値を下げようとするならば、他人を認め、褒め、仲良くしていてはダメなのです。
他人を嫌い、他人の欠点を見て、バカにする必要が出てくるのです(^^;
その影響で「人間関係が次第に悪化していく」というわけですね。
少なくとも、自分が他人を嫌い、バカにするのでどんどん関わりづらくなるのです。
何故、引き下げの心理が作用するのか?
実は「私、避けられてる?」と感じやすい環境では「怖れ」を感じやすいのです。
先程書きましたけど、「避けられる」とはお互いに警戒している状態なのですから。
すると、人はこの「怖れ」を回避したいと思うようになるのです。
このとき「あれ?私、なんでこんなに怖がっているんだろう?」と自分の感情に興味を持てるなら、他人の価値を引き下げなくても済むのです。
が、このような「自分の感情に責任を持つ態度」を取れる人ばかりではないのです。
多くの場合、怖れを回避するために
周囲の人の欠点を見たり、性格が悪いと断定したり(根本的な帰属の誤りといいます)
ときにはまるで悪人のように見ては、他人の価値を下げて安心感を得ようとするのです。
平たく言えば「私を避けるだなんて、あんたたちオトナじゃねーよ、最低だよ」と思いたくなるわけですねー。
ね、揉めそうでしょ?いや、揉めないわけがないですよね(^^;
非常にめんどくさい話ですが、しかしこれが現実なのです。
ただ、こうなってしまう心理的背景を見ると
そこに「相手がわからないという怖れ」の影響が見えてくることもあるのです。
「私、職場の人に避けられてる?」というお悩みを解決する方法
「避けられる」と「嫌われる」は常に一致するとは限らないと理解する
よく「避けられているということは、私が嫌われているの?」とすぐ思い込む人がいます。
確かに嫌われる可能性も否定できないのですが
心理的に考えてみると、多くの「私、嫌われてるのかな?」という不安は
「自分が自分を嫌っているから起こる投影(自分の自己嫌悪を相手に映し出している)」
であることが少なくないものです。
※投影に関する詳しい解説は以下のページに記載していますので参考になさってくださいね。
もし「私、避けられてる?」という悩みを解決することを考えるなら
「アカウンタビリティ」という心理学の概念を理解するといいでしょう。
「アカウンタビリティ」とは
「今、自分が感じている感情は、誰かに感じさせられたものではなく、自分が感じている(自分の反応)だと理解すること」
を言います。
「あれ?私、避けられているかも?」と感じ、怖くなるとしたら、そこで「怖れを感じているのは自分」なんです。
確かに怖れを感じやすい環境であることには違いがないのですが、周りが怖れを感じさせているわけではないのです。
そう考えることで、恐れから逃げようと闇雲に「自分が嫌われているんだ」と思い込んだり、「他人の価値を引き下げる気持ち」を修正することができるのです。
だから、「避けられている」と感じる本当の理由にたどり着きやすくなるのです。
自分の気持ち・考えを丁寧に表現する
「自分の考えや気持ちを相手を否定することなく、自分の気持ち・考えとして伝える習慣」を身につけてみてください。
また、自分がわかりやすくなれば、相手も「こちらを警戒していないのね」と感じることができるので、徐々に普通に接するようになることが多いです。
つまり、分からないという怖れが作り出す妙な幻想を打ち破る、その勇気を持つことです。
人を褒める・人の価値を承認する
これは「人の価値を見る」「相手を褒める」といった行動ですね。
先に書いたように、怖れの影響で他人の価値を引き下げてしまうと問題は肥大化します。
ならば、その逆の行動を取れば、問題は収束していくことになるのです。
例えば
素晴らしい!素敵!お幸せに!
そう思える分だけ、自分の怖れや罪悪感がなくなるのです。
だから、「避けられてる?」と感じるからといって、嫌われていると感じてしまうのは行き過ぎという場合も少なくないんです。
だとしたら、ここで起きていることは
嫌われた、ではなく、避けられた、と解釈して、その理由について考えていくほうが前向きな選択になると思いますよ。
職場の人から避けられてると思うとつらいもの。だから早めに手を打ちましょう
いかがでしたでしょうか?
最後になりますが、いくらこの問題が起きる事情がわかったとはいえ
「人から避けられている」と思うことは、つらいものですよね。
こういったつらい気持ちを感じて悩んでしまうなら、まずその気持ちを誰かに話すことから始めてみてほしいんですね。
一人で辛い気持ちを抱えていることで不安や辛い気持ちが大きくなると、また別の意味での問題を作ったり、自分への不信感を強めたり、対人関係をこじらせる理由になります。
*
また、もし「あなたが周りに嫌味や暴言を伝え続けていた」とか「なにか問題を起こし続けて多大な迷惑をかけた」といった話なら、今日の内容は当てはまらないかもしれません。
その場合は自分の言動や態度を改めたり、謝罪が必要になることが多いです。
ただ、僕のもとに相談に来てくださる方の多くは、そういう方ではありませんからね。
この記事の内容があなたの毎日にお役立ていただければ幸いです。
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