彼に「自己犠牲を払えないから不幸にしてしまいそう」と言われました
浅野先生、はじめまして。
いつもブログを拝見しています。
質問させていただきたいことがありましたので、メールさせていただきました。
3ヶ月前に友人の紹介で知り合った男性のことです。5回目のデートの帰りに私の想いを伝えました。
すると彼は
「とりあえず付き合うというのは簡単に出来るけど、ちゃんと中長期的に一緒にいたいと思えたら告白しようと思っていた」と言われ、とりあえず毎週会うというデートをもう少し続けようとなり、その後1ヶ月恋人同士のような関係を続けていました。
すると彼から
「一緒にいて嫌なところもないし、受け入れられないなと思うところもないし、人としてすごく好きだけど、自己犠牲を払えないから不幸にしてしまいそうで、こんな状態だったら私のために離れた方がいいんじゃないか」
と言われてしまいました。
私はそこまで私への気持ちが盛り上がらなかったのかなと解釈したのですが、自己犠牲を払えないから一緒にいるべきじゃないという言葉に引っかかってしまいいます。
私は恋愛に自己犠牲はそんなに伴わないと思うし、自己犠牲すべきでないと思っているのですが、彼は何でこんな気持ちになってしまうのか理解出来ませんでした。
お忙しいところ恐縮ですが、このような彼の心理を教えてください。
よろしくお願い申し上げます。
ネタ募集ネーム:YYさん
YYさん、ネタのご協力ありがとうございますm(_ _)m
では、僕なりの解説編へ。
恋愛と自己犠牲の心理
さて、長くカウンセリングをさせていただいていると「自己犠牲的な恋愛」に関するご相談をいただくことがあります。
どこか自分の幸せや喜びを横において、好きな人のために行動する。
そんな恋愛スタイルをお持ちの方もいらっしゃるのかもしれませんね。
ただ、恋愛に自己犠牲は全く必要ありません。
その理由はたった一つ。
自己犠牲は罪悪感が行動動機になっているからです。
恋愛で自己犠牲を続ければ
あなたは相手のために頑張ることができるかもしれませんが
あなた自身の行動や愛情の価値や、相手から返ってくる感謝や愛情を全く受け取れなくなってしまうのです。
そもそも「自己犠牲」は一見とても美しく見えるものですが
そもそも「犠牲」なのですから
自分が相手からの愛情や支援、支えなどを受け取ってしまったら犠牲ではなくなるのです。
つまり、犠牲は「あなたを愛する人の好意や行動の価値を無に返してしまう行為」なのですね。
だから
絶対に恋愛に自己犠牲は必要ない、むしろやれば関係は悪化する!
と言い切りたいと僕は思います。
ただ、自己犠牲的な愛し方をしようとする方の、純粋な気持ちは大切にしていただきたいな、と思う次第です。
そのお気持ちの大きさは素晴らしいものですよ。
本気で恋愛することを犠牲と感じる人もいる
「一緒にいて嫌なところもないし、受け入れられないなと思うところもないし、人としてすごく好きだけど、自己犠牲を払えないから不幸にしてしまいそうで、こんな状態だったら私のために離れた方がいいんじゃないか」
実は自立的な発想を持っている方の中には
「自分以外の何かを優先すること」を「自己犠牲を払う」と解釈する人がいます。
例えば、プロサッカーの解説の中でこんな言葉が登場することがあるんですよ。
「ハードワークして、チームのために犠牲を払い戦うことが求められる」
これは「自分の意志を横において、チームのためにハードワークする」という意味合いなのでしょう。
この言葉の意味を心理的に解釈するならば
「自らが望んでチームのために自分の役割をまっとうする」ということなので
これは犠牲ではなく「貢献」「献身」と解釈するべきことなのです。
そもそもチームのためにハードワークすることは、自分自身にリターンがない話ではないからです。
繰り返しになりますが「犠牲」とは、全くリターンがない行動のことを意味していているので、貢献や献身とは意味が違うものなのです。
ここはぜひともご理解いただきたい部分です。
この視点を用いて今回のご質問にある
「自己犠牲を払えないから不幸にしてしまいそうで」という言葉を解釈するならば。
これは
「好きな人のことを第一優先で考えることができないから不幸にしてしまいそうで」
と読み替えてみるといいのではないでしょうか。
つまり、この男性は「本気で好きになること」「好きな人を優先すること」を「自己犠牲だと認識している」という可能性がありそうです。
恋愛に自己犠牲は必要だと思う人の心理
繰り返しになりますが、恋愛に自己犠牲は必要ないのです。
自分が犠牲を続ければ、自分も、自分が愛する人が辛い思いをしますからね。
ただ、「恋愛に自己犠牲は必要だと思う人」もいます。
そういった方は「自分より相手が幸せでいるべきだ」という認識を持っているのです。
逆に言えば、「自分が相手より幸せになることがいけないことだ」という観念を持っているわけです。
ただ、この考え方、相手の立場になって考え直してみてください。
逆の立場になれば、この考え方がどれだけ相手の気持ちを傷つけるか、ご理解いただけるのではないでしょうか。
「わたしといても、この人はわたし以上に幸せにならないように努力している」
こんな気持ちを抱えて幸せになれるんでしょうかね?
そんな「自己犠牲が愛だと思う人」の心理状態は「自立」なのです。
自分で考え、自分で決断し、自分なりに良かれと思うことを与えればきっと成功する。
そんな発想にとらわれているのでしょう。
が、この考え方がどれだけ「愛する人の気持ちを蔑ろにしているのか」については、考えて置かれるといいと僕は思います。
これは「悪意なき(無意識の)加害」と呼ばれるものなのです。
なお、一時的な忍耐や相手への献身は、そのベースに「相手を大切に思う気持ち」があるわけですから、そもそも犠牲のような苦しみは感じないのです。
以上、なにか参考にしていただければと思います。
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