私はいつも「こうするべき」という考えが強いようで、人一倍頑張っているつもりですけど、いつも疲れてしまったり、満たされない気持ちをかかえてしまいます。
よく「自分好きになってあげましょう」という言葉をよく聞くのですが、それが本当にむずかしいと感じてしまいます。
自分のことを評価してあげられないし、好きになることができないんです。
また、いつも人が凄く見えて、自分はできていないと感じやすいです。
それは自分に自信がないからだということは分かっているんですが、どうしていつもこう感じるのかの理由がわからないんです。
さて、このようなご相談をいただくと、その方の中で「周囲の人の価値観の丸呑みのようなことが起きているのかもしれない」と思うことがあるんですよね。
そこで今日は「自分の外側の価値観を丸呑みしてしまう」ということについてコラムにしてみます。
よろしければお付き合いください。
Index
「〇〇すべき」という考えが強く、人一倍頑張っても満たされない気持ちになりやす人の特徴を考える
では、まず「〇〇すべき」という考えが強く、人一倍頑張っても満たされない気持ちになりやすい人の特徴について考えてみます。
今回はキーワードとして「イントロジェクション」という言葉を用いてみます。
イントロジェクションとは
「イントロジェクション」とは、あなたの内面ではなく、外側にある何かしらの価値基準を、そのまま「丸飲み」すること、を意味します。
簡単な例えで言えば、子供が親の価値観をそのまま飲み込んじゃう、ということでもあります。
特に周囲から「いい子」と言われて育った人、または「いい子でいなければ」と頑張ってこられた人に見られる現象でもあり、自ら「いい子」という周囲からの評価を維持しようとして、自分の外側(社会)にある価値観や基準を無批判に飲み込んでいるような状態です。
この何が問題になりやすいかと言うと「飲み込んでいるのは自分(の意思)である」ということ。
それもどこか「周囲の価値観について全く批判的に考えることなく」です。
そして、その価値観を消化できずにいるという状態に陥ることです。
どんなことも自分なりに消化できていればいいんですけど、うまく消化できないと、様々な葛藤や問題が生じることがあるんですよね。
具体例
例えば恋愛でいえばこんなケースが該当すると言えます。
「私は彼女(妻)なんだから、彼(夫)の傍にずっといなきゃいけないし、相手が苦しんでいるならその気持ちをわかってあげなければならない」
また、お仕事で言えばこんな感じ。
「私は今の仕事で〇〇というポジションをいただいているのだから、誰よりも仕事をしなければならないし、弱音を吐いてはならない」
子育て中のお母さんの場合ならこんな感じ。
「私はこの子の母親なんだから、しっかり愛してあげなければならない(なのに努力しておうまく愛せないことがある。)」
誰にそう言われたのかは明確に思い出せないけれど、しかしそう感じていることが続いている、マイスタンダートである、といった感じです。
もちろんこの思い自体を自分なりに消化できていて、どこか納得できていれば問題にならないのでしょう。
ただ、これが「いい子・いい人に代表される周囲の価値観を維持すること」が自分の内面の目的になっていると、おそらく「べき思考」に近いものになるはずですし、そこから降りられなくなってしまい、いつしか燃え尽きてしまうことも有り得ることかな、と僕は見ています。
それっていい人に思われたいだけじゃないの?という疑問
「えー、それってプライドが高いってことじゃない?」「いい人だと思われたいだけなんじゃないの?」なんてお声が聞こえてきそうですけど、実は、この手の感覚でお悩みの方ご自身も同じようにおっしゃる方が少なくないんですよ。
ただ、もしいい人だと思われたいだけなら、ここまで苦しみを抱えて生きていくでしょうか?と僕は疑問を投げかけたいと思うわけですよ。
むしろ上手にいい人を演じていく人のほうが多くないでしょうか?
確かに、自ら「いい子」という周囲からの評価を維持しようとして、自分の外側(社会)にある価値観や基準を無批判に飲み込んでいるとしたら、それが自分の中で起きていることであり、その責任は自分にあるといえます。
ただ、もし「いい人であるべき」と思うことですら自分でなぜなのかよく分からないけれど、しかしそうするべきだと感じるとしたら、毎日の中で苦しみを感じる機会が増えるのではないか、と思うわけです。
なにより、自分の生き方を自分の意志で決められないとしたら、これは本当に疲れ果ててしまうでしょうし、自分がよくわからなくなってしまっても不思議ではない、とも思うのです。
なぜイントロジェクションが起きるのかについて考えてみる
少し想像してみてください。
もし、自分が外側の価値観を丸呑みするとしたら、それはあなたにとってどんなことが対象になると思います?
僕の個人的な感想を書けば「自分にとってさほど重要ではないこと・興味のないこと」かもしれません(^^;
自分にとって優先順位が低いことに時間を使う余裕はないので、手っ取り早く外側の価値観を取り入れよう、と思うかもしれません。
が、この場合、僕は特段いい人だと思われていたいわけではないんですよね。むしろ「なんやねんお前、もうちょっと考えろよ」と言われかねないといいますか。(更に「そこまで時間も興味もねぇし」といいそうな自分がいますけどね)
そう考えると、どうやら「なにか物事に興味がない」という理由で外側の価値観を丸呑みして苦しむことってのはあまりないのかもしれませんね。
だとしたら、どうして自分の意志で外側の価値観を飲み込んで苦しんでしまうのでしょう。
これはあくまで一つの考え方ですが、ここでは「積極性」というキーワードが浮かんできそうです。
つまり「自分が積極的に何かしらの物事に関与する」ということに対して「悪いことだ」「誰かに迷惑をかけることだ」といった思いをいだきやすい人ほど、外側の価値観を丸呑みして、それに従うような観念を持つようになるのではないか、と考えることはできないだろうか、と思うのです。
そもそも与えるということ、自分からなにかに関与するということは、「自分がまるまるしてあげられたらうれしいな」という形になっているものです。
しかし、そう思うこと(積極的になにかに関与すること)が「ダメ」と感じているならば、自分の興味のあること、いいと思うことを表現できなくなるはずです。
むしろそれで罰を受ける、と感じてしまう人がいても不思議ではないんですよね。それぐらい人のことを怖がっている、とも言えますし。
だとすると、これは罪悪感だとか、自分に対する自分の捉え方がテーマになっているのではないか、と考えることができそうなのです。
そもそも「いつも自分以外の人にとってのいい人であり続ける」という考え自体、自分が自分らしくいてはいけない、と感じていること近いと思いません?
だとしたら、「〇〇するべき」と感じてしまうことも、自分らしさであるわけではないのでしょうから、「〇〇したい」「〇〇してあげたい」と感じることも少ないのではないでしょうか。
自分の感覚、意見、感性を大切にする時間を作ってみよう
仮にこの問題を「積極性」というキーワードで見つめていくならば、何かしら「自ら積極的に行動することへの許可を出す」ということが解決の鍵になることが少なくないと僕は思います。
もちろん「どうして丸呑みしてしまうのか」という部分も含めてね。
つまり、もっとあなた自身を、そしてあなたの感覚、意見、感性を大切にしていいってことです。
いいものはいい、嫌なものは嫌。興味のあることに自ら関わり、そうではないことはちょっと遠ざけてみる。
わがままに思うかもしれませんが、例えばプライベートな時間をそのように過ごしてみるなんて方法をご提案することも実際にありますしね。
まぁ今はコロナの影響もあるので難しいかもしれませんが、以前は「あなたが行きたいって思ったところに行ってもいいんですよ」とお伝えしていた時期もあります。
が、実際、このようにお伝えすると「確かにそういったことは体験してみたいです。でも、実際は仕事がありますし」「子供がいますし」といったお声が返ってくることがとても多いんです。
もちろんそうお感じになること自体、否定する必要はないことです。が、きっとこれが慢性的に起きていることではないでしょうか。
例えば、周囲に合わせすぎて生きているな、と思うなら、自分のしたいこと、自分のペースで物事を進める時間を作ってみていいのですが、「でも家事がありますし」とお考えになったりしませんか?
また、この手のお悩みをお持ちの方ほど、自分が他人の価値観を取り入れているのだけれど、意識としては「相手がそれを求めている」といった風に感じる人も少なくないわけです。
が、ここは「自分が取り入れていたんだな」と理解することもおすすめです。
相手の意見にYESかNOかを決めるのも自分なんです。このように自分で選択しているんだという意識を持つことって自分を取り戻す意味ではかなり重要なことなんですよ。
ということで、そんなみなさんにお伝えしたいことはたった一つ。
あなたが自分らしく振る舞っても、人を傷つけないし不快にすることはないですよ。
子供時代は人と違うだけで「変だよ」と言われる環境がありましたけど、おとなになればなるほど違いを受け入れるだけの成熟さを持っている人も少なくないものですよ。
むしろ人は「あなたがどういう人か知ることで安心する」ことの方が多いはずなんです。なぜなら人はわからないものを警戒し、怖れを感じますからね。(※もちろん他者を意図的に傷つけることを推奨しているわけじゃありませんよ。)
特に、べき思考が強い人や、他人の話したことをそのまんま鵜呑みにしてしまう傾向がある方ほど、自分の気持ち・思いをチェックして、日記などに表現するなんてことを取り組んでみてもいいかもしれません。
ときには信頼できる人に自分が思うことを話してみるなんてことも効果的です。いいかどうかではなく、私がそう感じるということを表現する時間を作ってみることです。
とにかく「私が何を感じているか」と向き合うことがおすすめですかね。
本当の幸せを見つめる・見つけるカウンセリングが人気!
心理カウンセラー浅野寿和のカウンセリングのご利用方法はこちら。