夫婦のための心理学

「結婚後、女性として愛されてない」と感じるあなたへ贈る深層心理ガイド

考え込む女性
夫は基本的に優しいし、家族仲も悪くない。安定した毎日を送れているはずなのに…なぜかふと、『私、もう女性としては愛されていないのかもしれない』と感じて、言いようのない寂しさに襲われるんです

カウンセリングの場で、このようなお話を伺うことは少なくありません。

特に、結婚して数年経ち、生活が安定してきた頃に感じやすい、この【シンプル。でも実はちょっと複雑】な感情。

周りから見れば「幸せそう」なのに、なぜか心が満たされない。

「贅沢な悩みかも」と自分を責めてしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。

でも、それは決して贅沢な悩みでも、わがままでもありません。

その寂しさの奥には、あなた自身の心の深い部分からの、とても大切なメッセージが隠されている可能性があります。

この記事では、安定した関係性の中で「女性として愛されていない」と感じてしまうのはなぜなのか?

その深層心理を一緒に紐解き、あなたが自分自身をより深く理解し、心が軽くなるためのヒントを探っていきましょう。

よろしければどうぞ。

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年月と共に、私たちは「妻」「母」「家庭を支える一員」といった役割を自然と身につけていきます。

その役割を大切にし、責任を果たそうとすることは、素晴らしいことです。

しかし、その役割に自分自身が覆われてしまうように感じた時、心はSOSを出すことがあります。

「女性として愛されていない」という感覚は、多くの場合、「今の役割(妻や母)だけが私の全てではない」「役割とは別の、『一人の女性』としての私も、ちゃんと見てほしい、認めてほしい」という、心の奥深くからの叫び。

なぜなら、多くの女性にとって「女性としての自分」〜それは魅力であったり、感受性であったり、誰かと深く繋がりたいという欲求であったりしますが〜は、自分という存在を形作る上で、非常に重要な「コア」となる部分だからです。

社会的な役割とは別に、この核となる部分が大切にされ、承認されていると感じられて初めて、心からの充足感や、生きているという実感を得られるのかもしれません。

「私が消える感覚」? その寂しさの本当の意味

この「女性としてのコア」が満たされない感覚が続くと、どうなるでしょうか。

それは単なる不満を超えて、もっと深いところに影響を及ぼすことがあります。

あたかも自分の一部が失われ、存在そのものが希薄になっていくような、まるで「自分が消えていく」ような感覚。

それに近いものを感じる方もいらっしゃいます。

これは、自己存在理由の根幹が揺さぶられている状態とも言えるでしょう。

当然ながら、こんな感覚は非常につらく、受け入れがたいものです。

だからこそ、私たちは無意識にその感覚に蓋をし、心の奥底にグッと抑圧してしまうことが少なくありません。

「考えないようにしよう」「感じないようにしよう」と。

しかし、感情は抑圧したからといって消えるわけではありません。

それは形を変え、「なんだか分からないけど、寂しい」「満たされない」「夫(彼)は私を大切にしてくれていない気がする」といった、漠然とした違和感として残り続けるのです。

つまり、「女性として愛されていないのでは?」という寂しさの正体は、文字通り「愛の不足」というよりも

「私自身であることが、この関係性の中であまり重要視されていないのではないか」

という、より根源的な悲しみや不安に近いのかもしれません。

「愛の形」は一つじゃない。でも、欲しい「繋がり」は?

ここで、パートナーとの関係性にも目を向けてみましょう。

結婚生活が長くなったり、関係性が安定期に入ったりすると、かつての情熱的な愛情表現が、「日常を共に維持すること」「家族として協力し合うこと」「経済的な安定を提供すること」といった形に変化していくのは、ごく自然なことです。

これもまた、疑いようのない「愛」の一つの形ですよね。

しかし、問題はここからです。

もし、あなたが今、心の底から求めている愛情の形が、そのような「安定」や「協力」といったものだけではなく、「私という存在そのものへの、変わらない関心」「深く、親密な心の繋がり」だとしたら、どうでしょうか?

パートナーが示してくれる「愛の形(例:安定した日常)」と、あなたが受け取りたい「愛の形(例:特別な関心、親密さ)」が異なるとき、心は大きなギャップを感じます。

それは、もはや「愛されていない」という言葉だけでは表現しきれないほどの、「私が私でいられないことへの深い悲しみ」や「本来の自分を失っているような喪失感」に近い感情かもしれません。

 

だから、「もっと私を見てほしい」「もっと愛してほしい」と願う。

そう伝えてみる。

けれど、返ってくる愛の形が、やはり「安定した日常の提供」が中心だったとしたら…?

心の溝は、なかなか埋まらないのかもしれません。

「私が私でなくていい」はずがない。心の解像度を上げる重要性

この「女性として愛されていないのでは?」というテーマは、ご夫婦や恋愛に関するカウンセリングで、本当によく扱わせていただくテーマです。

愛されたい、という気持ちはもちろん根底にあります。

ただ、話を深く伺っていくと、その気持ちが強く刺激される背景には

「この関係性の中では、私が”本来の私”でなくてもいい、と思えてしまうような現実(あるいは思い込み)」

が存在しているケースが、実はとても多いのです。

でも、少し考えてみてください。

あなたが、あなたでなくていいなんて、そんなことがあるでしょうか?

絶対にありえませんよね。

あなたは、他の誰でもない、かけがえのないあなた自身です。

では、「私が私でなくてもいい」かのようなメッセージを発しているのは、一体誰(あるいは何)なのでしょう?

パートナー?社会?

それとも、自分自身の内なる声(過去の経験からくる思い込みや、自己否定的な考え)でしょうか?

この視点に立ち

「今、私は何を感じているのか?」

「本当は何を求めているのか?」

「この現実を、私はどう解釈しているのか?」

そう自分の内側にあるものに丁寧に意識を向けていくこと。

これが、自分自身を見つめる目、すなわち「心の解像度」を上げていくプロセスです。

解像度が上がれば、自分の本当の欲求だけでなく、パートナーが示している(かもしれない)別の形の愛情にも気づけるかもしれません。

そして、どうすればもっと心地よい関係性を築けるのか、具体的な道筋が見えてくるはずです。

まとめ

安定した関係性の中で感じる「女性として愛されていない」という寂しさ。

それは、単なる不満ではなく、あなたの自己存在感の核に関わる、深く、そして切実な心の声です。

時には、自分の一部が失われるような、受け入れがたいほどの感覚を伴うこともあります。

その背景には、役割への埋没、パートナーとの「愛の言語」のすれ違い。

そして何より「私が私であることが重要視されていない」と感じてしまうような、あなた自身の内なる現実認識が隠れているかもしれません。

大切なのは、その寂しさや違和感を否定したり、抑圧したりするのではなく

「なぜ、私は今、こう感じているのだろう?」

そう自分自身の心に深く問いかけ、その「解像度」を上げていくことです。

自分自身の心と丁寧に向き合い続けることで、あなたはきっと、自分らしい心地よさや、パートナーとの新しい関係性を見つけ出すことができるはずです。

もし、一人で向き合うのが難しいと感じたら、いつでも専門家の力を借りてくださいね。

あなたの「心の探求」を、心から応援しています。

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浅野寿和 | 心理カウンセラー
恋愛・夫婦関係・対人関係・性格・生きづらさなど様々なお悩みに心理学でお答え。活動歴16年し、9,000件を超える臨床実績。口癖は「どんなことにも事情があるよね」。名古屋・東京・オンラインでカウンセリングを行う現場主義のカウンセラー。
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