ほぼ30代からの”仕事に活かせる”心理学

「べき思考」を手放す方法 〜頑張っても満たされないあなたへ〜

頭を抱える女性
私はいつも「こうするべき」という考えが強いようで、人一倍頑張っているつもりですけど、いつも疲れてしまったり、満たされない気持ちを感じています。

よく「こうするべき、という考え方を緩めましょう」と聞くのですが、それが本当にむずかしいと感じてしまいます。

こうするべきという考えが浮かぶと、そうとしか思えないといいますか。

どうしていつもこう感じるのかの理由がわからないんです。

僕たちは、社会や周囲からの期待を感じたり、過去の経験の影響などから、無意識のうちに「べき思考」に囚われてしまうことがあります。

この「べき思考」は、自分自身を苦しめ、本来の力を発揮することを妨げることもあるものなのですよね。

そこで本コラムでは「べき思考」の正体から、その手放し方までを詳しく解説していきます。

「べき思考」とは?

「べき思考」とは、「こうすべき」という固定観念にとらわれてしまう考えグセ、思考パターンです。認知の歪みの一つとも言われますね。

この思考は、自分自身や周囲の人々に対して向けられることが多く、以下のような特徴があります。

  • 絶対的な基準を設けてしまう
  • 柔軟な考え方ができない
  • 自分自身を責めてしまう
  • 周囲の人々を批判してしまう

「べき思考」がもたらす問題

「べき思考」が強くなると、以下のような問題を引き起こす可能性があります。

ストレスや不安の増加

べき思考ガ強くなると、目標を達成できなかったり、周囲の期待に応えられなかったりする場合、自分自身を責めるパターンに陥りやすくなります。

例えば、「目標を達成できなかったら自分はダメだ」という自己否定を伴う思考は、「自分はダメな人間だ」という思い込みを強化し、強いストレスを感じさせてしまいます 。

また、自己否定を伴う思考が、将来や現状に対する不安を作り出すこともあるわけですね。

自信の喪失

「べき思考」は、自分自身を理想の基準と比較し、足りない部分を責める思考なのですね。

目標を達成できない、周囲の期待に応えられないと、

「自分は能力が足りない」「周囲に迷惑をかけてしまった」「もっと努力すればよかった」

「自分はダメだ」「何もできない」と自己否定に陥りやすくなります。

このような自己否定の思考は、自信を喪失の理由となるのです。

対人関係(恋愛・夫婦関係)の悪化

べき思考が強くなると、自分や周囲の人々に対して、「こうあるべき」という理想像を描きがちです。

しかし、実際の人間は理想通りに行動するわけではないですよね。

すると、期待と現実のギャップが生じやすいのです。

例えば、「パートナーはいつも優しく思いやりのある態度で接してくれるべき」というべき思考を持っていると、パートナーが少し冷たい態度を取っただけ

「どうしてそんな態度なの?」
「私のことを愛していないの?」

といった不満や怒りを抱えやすくなるわけですね。

結果、それがパートナーへの不信感や愛情の減退に繋がってしまうことがあるのです。

「べき思考」とイントロジェクション

また、「べき思考」は自分自身の思考の癖なのですが、それが生じる背景も存在します。

特に「イントロジェクション(取り入れ)」という視点は、自分自身の「べき思考」を見つめるうえで有効な視点となります。

イントロジェクションとは

「イントロジェクション」とは、自分のものではない規範、態度、行動や考え方をあたかも自分のもののように思い込む、という心理的過程のことです。

あなたの内面ではなく、外側にある何かしらの価値基準を、そのまま「丸飲み」すること、を意味します。

考え事をする女性
イントロジェクション 〜「こうするべき」と考えやすく、人一倍頑張っても満たされない気持ちになる人へ〜 私はいつも「こうするべき」という考えが強いようで、人一倍頑張っているつもりですけど、いつも疲れてしまったり、満たされない気持ちをかか...

例としては

「子供が親の価値観をそのまま飲み込む」
「大好きな彼の価値観をいつの間にか受け入れて彼色に染まる」

といったものがあります。

特に「いい子・いい人」と呼ばれる人や、「いい子でいなければ愛されない・評価されない」と思いこんでいる人に見られる現象でもありますね。

「いい子・いい人」「愛される私」という周囲からの評価を維持しようとして、自分の外側(社会)にある価値観や基準を無批判に飲み込んでいるような状態です。

この何が問題になりやすいかと言うと「周囲の価値観について全く批判的に考えることなく飲み込む」という部分です。

そして、その価値観を消化できずにいるという状態に陥ることです。

どんなことも自分なりに消化できていればいいんですけど、うまく消化できないと、様々な葛藤や問題が生じることがあるんですよね。

具体例

恋愛での例

「私は彼女(妻)なんだから、彼(夫)の傍にずっといなきゃいけないし、相手が苦しんでいるならその気持ちをわかってあげなければならない」

→実は自分の母親がべき思考が強い人だったので、それを取り込んだ。

仕事での例

「私は今の仕事で〇〇というポジションをいただいているのだから、誰よりも仕事をしなければならないし、弱音を吐いてはならない」

→自分の父親がべき思考が強い人だったので、それを取り込んだ

このようなべき思考が存在する場合、これは自分自身がかつて、誰かから学んだ思考であると考えたほうがいい場合がありますね。

平たく言えば、自分の生育環境の中にべき思考が強い他者がいた可能性がある、ということです。

もちろん、自分自身でもいつ取り込んだのか明確に思い出せることはないでしょう。

しかし、いつの間にか「べき思考」が身についている。

特に、いい子・いい人、愛されたい気持ちが強い人ほど、他人の価値観を取り込んで、他者との関係性を安定させようとすることが多いものなんですよね。

「べき思考」を手放すための具体的な方法

「べき思考」は、強くなると様々な問題 を引き起こすものもあります。

しかし、いくつかの方法を実践することで「べき思考」を手放し、より自由で生きがいのある人生を送ることが可能です 。

以下、べき思考を手放すための具体的な方法をいくつかご紹介します。

1.「べき思考」に気づく

べき思考に気づくことこそ、手放しへの第一歩です。

特に、当たり前のように取り込まれたべき思考の場合、そもそも今の自分の思考がべき思考であると自覚することが難しい場合もあるものなんですよ。

べき思考に気づくためには、以下の質問を自分自身に問いかけてみましょう。

  • 自分は今、どのような「べき思考」 にとらわれているだろう?
  • その思考は、本当に自分にとって必要なのだろうか?
  • その思考を手放したら、どうなるだろう?

この質問に答えていくことで、自分自身の「べき思考」の正体をより深く理解することができるでしょう。

2.「べき思考」の根拠を考える(検証する)

「べき思考」には、必ず何らかの根拠があると考えてみることです。

その根拠が論理的かどうか、妥当かどうかを考え、検証してみる方法も有効です。

具体的には、以下の質問を自分自身に問いかけてみましょう 。

  • この「べき思考」の根拠ってなんだろう?
  • その根拠は、本当に正しいのだろうか?
  • その根拠に基づいて、本当にそうするべきなのだろうか?

根拠が論理的でない場合、妥当でない場合は、その「べき思考」を手放すことを検討していくといいでしょうね。

3.「べき思考」を「選択肢」に置き換えてみる

僕たちが普段思うこと、思い浮かべる思考って全て絶対的なものではないのです。

つまり、「べき思考」も絶対的なものではない、ということなんですよ。

つまり、自分自身のべき思考を、あくまで一つの選択肢だと考えることで「べき」を手放すことが可能になることもあるんですね。

具体的には、以下のように考えてみましょう。

  •  こうするべきではなく 、「こうすることもできるよね」と考える
  •  こうしなければならないではなく、「こうしたい」と考える
  •  こうしなければいけないではなく、「こう選んだ」と考える

4.自分自身を大切にして自分を表現する

「べき思考」が強くなると、自分自身を否定したり、攻撃することが増えがちです。

もし、「べき思考」が強くなってしまって、自分を大切にできていないと思うなら、今こそ自分を大切にする方向に進んでいきましょう。

そんなみなさんにお伝えしたいことはたった一つ。

あなたが自分らしく振る舞っても、人を傷つけないし、不快にすることはないですよ。

人は「あなたがどういう人か知ることで安心する」ことの方が多いもの。

だから、自分を大切にする意味で、自分を表現していくと、べき思考を手放しやすくなります。

逆に、なかなか手放せないときは、まだ「こうあるべきと思っている方が愛される」という意識が強いときなのかもしれません。

そんなときは自分自身の考えや気持ちのあり方を否定しないであげてください。

その上で、自分はどんな風になりたいのか?を考えてみるといいでしょう。

特にこうあるべきと思っていたほうが愛されるという気持ちが強いときは、あなたの信頼できる人に「自分が思うことを素直に話してみる」なんてことも効果的です。

もちろんカウンセリングもおすすめですよ。

いいかどうかではなく、私がそう感じるということを表現する時間を作ってみることです。

とにかく「私が何を感じているか」と向き合うことがおすすめですね。

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