そんなご相談を伺うことがありますね。
男性の皆さんからは
「女性を好きになると、いつも相手の気持ちを信じられずに傷つけてしまい、関係がダメになってしまうんです」
なんてお声を伺うこともあります。
例えば
疑う必要がない場面でパートナーを疑うような発言を繰り返したり。
相手の気持ちは離れていないのに、離れていくような気がして、相手を傷つけるような言葉を伝えたり。
相手の好意を信じたくとも、どうしても信じきれず、相手を突き放してしまったり。
確かに彼や彼女のことを信頼できないでいると、関係は悪くなるかもしれません。
が、彼・彼女のことが好き、信頼できないと悩まれている方にとって、このお悩みは深刻なもの。
多くの場合、相手を傷つけたり別れた後でひどい後悔に襲われる場合が多いようですしね。
ただ、彼や彼女が信頼できない、と悩むには理由がありますし
ここを乗り越えると深い関係性を築くチャンスが訪れることも多いですよ。
そこで今日は「彼や彼女のことが好きなのに信頼できない心理」と、その対策について解説します。
よろしければどうぞ。
Index
彼・彼女のことが好きなのに信頼できない理由とその心理
彼・彼女のことが好きなのに信頼できない理由の一つに
「パートナーの心とつながることが怖い」
という反応が考えられるんです。
これは一つの防衛とも言えるんです。
言い換えるなら、自分自身の心の安全確保(危機回避)の反応と考えることができるんですね。
「心がつながる」という言葉はちょっと曖昧な表現なので、あえて別の言い方をするならば
「お互いがお互いをよく知り合う」「お互いが相手のすべてを受け入れ合う」
ということに近いでしょう。
自分の気持ち、自分の身に起きたこと、自分なりの考え、愛情、そして相手への信頼・・・
そういった自分の気持ちが相手に伝わる、相手に知られる
そして、相手が向けてくれている同じような気持ちを知る
そういったことが怖い、と感じている様子、とも言えるかもしれません。
つまり、何らかの事情で
「自分と相手との気持ちや想いを繋いだあとで、痛いを思いをするのではないか、悪いことが起きるのではないか」
という推測がある場合に起きること、と言えるんです。
だから、心をつなげることをしない
つまり、相手のことを信じないし、自分は自分と言う態度を崩さない。
ときには、こちらを信頼しようとするパートナーを突き放すことだってあるでしょう。
これは、心理的な自立(いかに傷つかないかを考えながら生きる)という態度なんです。
※心理的な自立に関する解説は次の記事にありますので、よろしければご覧になってくださいね。
この「いかに傷つかないか」という部分がキモで、なかなか手放し難い部分で、悩まれる方が多いようです。
彼・彼女のことが好きなのに信頼できない、という状態が示すこと
ただ、このお悩みってある意味矛盾している部分があると思いませんか?
「彼・彼女のことが好きなのに信頼できない」のです。
つまり、彼や彼女のことを好き、恋い慕う気持ちはあるのです。
が、その恋い慕う人の気持ちを信じることができない、わけですよね。
そう考えると、実は相手のことが好き、という状態と、相手を信頼する、という気持ちが一致しているわけじゃない、ということになります。
相手のことが好き、だけど、信じていない。
つまり、このお悩みを抱える方にとって
「好き」という感情は「信頼」とつながるわけではなく
むしろ相手を疑う、傷つける、突き放す、ということとつながることになる。
そんなある意味切なく矛盾した心の状態を示している、と僕は考えるのです。
そして多く、ここに伴う心理として代表的なものが「親密感や愛し合うことへの怖れ・禁止の心理」なのです。
要は、好きな人がいたとしても、そもそも「人と親密になることを怖れている・禁止する」という状態なので、どうやっても相手の愛情や信頼を受け止めることができないのです。
だから、このようなお悩みを抱える方ほど
「好きな人、近しい人、恋い慕う人から順番に傷つけ、そこまで好きではない人のことは大切にできる」
という非常に矛盾した状態を抱える場合が多いんですね。
※「親密感や愛し合うことへの怖れ・禁止の心理」に関する解説は次の記事にありますので、よろしければご覧になってくださいね。
彼や彼女を信頼できない理由は悪い予感だけではない
つまり、彼や彼女のことが好きなのに信頼できなくなるきっかけは、「傷つきそうだ、といった悪い予感」だけだとは言い切れないんです。
逆に、「自分にとっていいことが起きるかもしれない」
という想定がある場合にも生じることなんです。
例えば、パートナーにすごく愛される、大切にしてもらえる、という場合でも、心をつなぐことを怖れる場合がある、ということです。
むしろ、パートナーとの間で良いことが起きることで苦しんでしまう人もいるのです。
その理由は、次のとおりなんですよ。
心がつながらないことで生じる罪悪感もある
恋愛や夫婦関係など、自ら相手をパートナーとして選び、信頼するべき関係の中で、
自らが相手との心のつながりを拒絶したくなっているとしたら
それは相手に対して不誠実なこと、という認識が生じても不思議ではないわけですよね。
だから、心をつなぐことを怖れることで
パートナーに対して申し訳ない気持ち、いわば罪悪感が湧き出すことも考えられます。
とはいえ、なかなかこの罪悪感自体を自覚できないこともあるんですけどね。
ちなみに、そういった罪悪感を抱く人ほど、パートナーに対して
「今はちょっと一人にしてほしい」
「私は恋愛や結婚に向いていない気がする(恋愛や結婚をしたい気持ちはあるけど)」
「パートナーのことはとてもいい人だと思うけど、好きになれない(好きになっちゃいけない気がする)」
「相手のために何もできていないような気がする」
「私はパートナーにとって必要な存在なのだろうか」
といった思いを抱きやすくなる、とも言えるんですね。
ま、放っておくとなかなか厄介なマインドだとも言えそうです。
彼・彼女のことが好きなのに信頼できない事情を探る
では、どうしてパートナーのことが好きなのに信頼できなくなっちゃうのか、という部分について考えていきたいわけですが
絶対にそうだとは言い切れないにせよ、多くの場合
「母親との心のつながり」
が、うまく持てなかったという部分に、その事情を見出すことができるといえます。
僕たちの情緒が安定するには、一定の
「誰かが私のことを知っている、理解してくれている、寄り添ってくれている」
といった感覚がある場合が多いわけです。
というか、そこがめちゃくちゃ大事なんですよ。
人がそばにいても、自分のことを知らず、理解もなく、寄り添ってくれない状況で情緒が安定する、とは考えにくいわけです。(無関心だからバレずに安心、はあるかもしれないけど。)
そして、この
「誰かが私のことを知っている、理解してくれている、寄り添ってくれている」
という心のつながりを最初に持つ相手が母親なんですよね。
もし、母親との心のつながりがうまく持てないとしたら
それが悪いことだとは言えないのですが
人との心のつながりの持ち方がよくわからなくなったり
自分の気持ちの面倒は自分で見るしかなくなる、って感じになることが多いんです。
心のつながりではなく責任だけでパートナーとつながろうとする
すると、大人になってから
「人をアテにしない」「人がそばにいる意味なんてよくわからん」
という思いを抱く人がいても不思議ではないんです。
ただ、僕たちの心のなかには、人を愛したいだとか、好きな人から愛されたいという欲求もあるわけですし、これは消えるようなものではないんです。
すると、ちょっと困っちゃうんですよね。
どうやって好きな人との関係を持てばいいんだろうか?と悩む人もいれば
どうやって好きな人と関わっていけばいいのか?と考え込んでしまう人もいるかもしれません。
ただ、もし、心のつながりに関してよくわからないのであれば
相手との責任関係・契約関係のような概念を使って、つながろうとする人が出てきても不思議ではないんです。
つまり、心のつながり、愛し合うことよりも、責任を果たす、約束を守る、といった部分だけでパートナーと愛し合おうとする、という感じ。
だから、自分から相手に対する責任を果たすことはできても
相手が自分に対して果たしてくれている責任に感謝することはできても
相手の気持ちが自分に届く感覚や
こちらの気持ちが相手を喜ばせている感覚などを捉えることができない場合もあるようですよ。
ときには
「パートナーは私のことをめっちゃ好きでいてくれているんだけど、その気持ちを受け入れられない(受け入れようとすると心がざわつく)」
なんてこともあるようです。
実際は、相手の気持ちが見えないからパートナーを信じられなくなる
ただ、もっともっとシンプルに考えてみると
自分と人と心をつなげたくなくなるのは
相手の気持ちがよくわからないし、見えないから。
僕はよく「人の気持ちをすべて理解することは無理」と言っていますけど
それは「自分がわかったつもりにならないための自戒を込めた言葉」でもありましてね。
人の気持ちをすべて理解することはできなくても、一定レベル感じ取ることはできるんです。
それは相手と関わり、よく知り合うことで実現できるのです。
ただ、心をつなげることが怖いと感じれば、相手の気持ちに興味を持つことはありません。
つまり、相手の気持ちが見えないまま、わからないままなのです。
よって、その分からない相手の気持ちに、否定的な意味合いのラベルを貼るようになるのです。
そうすれば、わからないという恐怖からも逃れられますし、こちらがうっかり信じて傷ついたり、痛い思いをすることはなくなるからです。
ただ、同時に、人の気持ちを知ろうとはしなくなるし、自分自身は孤独感を抱えることになります。
この孤独を解消するために責任の概念で繋がっても、なんだか孤独は消えない。
たとえ自分がパートナーに愛されていても
素晴らしい何かをパートナーに与えていたとしても
なかなか自信が持てずにいたり、自分はこれでいいと思えないことも少なくないようですね。
彼・彼女を好きだからこそ、信じられるようになる方法
もし、パートナーのことが好きなのに信じられない、ということでお悩みであるならば
パートナーのことを愛し、信じられるようになるプロセスを歩むといいのではないだろうか、と僕は考えます。
彼・彼女のことを好きなのに信じられない自分を理解する
まずは、今の自分が
「彼・彼女のことを好きなのに信じられない状態なのかもしれない」
と理解し、受け止めてみることです。
その自分を否定的に見るのではなく、自分はそこで困っているのかもしれない、と認識してみることです。
なにより、好きな人を信じられず悩んでいるのは自分自身。
誰よりも辛いのは自分自身ではないでしょうか。
だから、その今の自分を見つけて、丁寧に扱うこともまた大切なことなのです。
人の気持ちを受け止めたり、こちらから感謝の気持を伝える習慣をつける
もし、好きな人を信頼したいと願われるならば
「人の気持ちを受け止めたり、こちらから感謝の気持を伝える習慣をつける」ことがものすごくおすすめです。
この話、あえて一言でまとめれば
「人との心のつながりがもたらす効果が何となくじわっと分かる」
みたいな体験があるといい、ってことなんですよね。
これはパートナーに限ったことではないんですけど
- 相手に自分の気持ちが理解される安心感
- 相手の気持ちを受け止めることができた、という自信
- 誰かが私を思ってくれていることを素直に受け入れることができた、という自信
- 私の気持ち(愛や好意)が相手に届いているという実感
こういった感覚が、例えば近しい人や仲間など、他人との間で得られるとしたら
なんとなく
「人と心がつながっている感じ」というものが
これまた最初はぼんやりと、なんとなく程度から理解しやすくなる、といえます。
だから、自分にとって近しい人、良くしてくれる人、信頼できる人に対して
相手の気持ちを受け止めたり、こちらから感謝の気持を伝える習慣をつけるといいです。
ちょっとした相手の気遣いに対しても
自分で意識して、相手の気持がありがたいな、とか、相手の気持が嬉しいな、と思う習慣をつけることです。
(カウンセリングのセッションであれば、このような体験をイメージワークなどで体験していただくこともあるわけです)
例えば、このような体験が学びとなって
自分自身が人に気持ちに対する興味が持てるようになっていくことで
「この人(パートナー)と心をつなげても大丈夫だ」
と感じやすくなることがポイントですよね。
この感覚が幸せな恋愛やパートナーシップを作る大きな要素でもあるのです。
逆に言えば、この感覚がなんとなくわかってくることで
自分が幸せを実感できない恋愛も遠ざけることが可能になる、ともいえるんですよ。
最後に
最後になりますが
責任の概念で相手とつながる関係とが悪い、というわけじゃないんですよ。
むしろ、それはあっていいことであり、責任がゼロではまずいわけです。
また、自分自身が好きな人と心でつながれないことが悪い、とお伝えしたいわけじゃありません。
それは悪いことではなく、ちょっと切ないことかもしれない、とお伝えしたいだけなんです。
その結果、好きな人ができて恋愛関係になったとしても、なんだか虚しいと感じてしまいやすくなったり。
普段から、人との心のつながりが薄かったために、パートナーができた途端にこちらが不安になったり、ものすごく依存したくなってしまったり、感情的になって爆発してしまったり、なんてことも起こり得る話なんです。
その結果、好きな人とはいつも喧嘩ばかり、とか、それが嫌だから、パートナーに私に無関心な人ばかり選ぶ、なんてことも起こり得る話なんですよね。
それぐらい僕たちにとって心のつながりを持つことが大きな意味を持つ、ということが伝わればいいなぁ、と願いながら、今日のコラムを終えたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
本当の幸せを見つめる・見つけるカウンセリングが人気!
心理カウンセラー浅野寿和のカウンセリングのご利用方法はこちら。