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パートナーへの怒りが湧く理由を自己概念から考えてみる
「夫(妻)のことがめっちゃ腹立つ!」
「パートナーからめっちゃ腹立つ!って言われた!こっちのほうが腹立ってるし!」
などという、いわば
「恋人やパートナーへの怒りを感じる(腹が立ってしょうがない)」ってご相談があるとしましょう。
そのようなお話の中には
「そりゃ腹立つって思いますよねぇ」といった、いわば怒りを感じることが妥当だってケースもあれば
「その怒りって、もしかするとあなた自身の感情が要因かも?」といった、怒りを感じることが妥当ではないとはいいませんけど、パートナーに対して怒りを向けたところで何も解決しないケースも存在するんですね。
今回のコラムは後者のケースについて考えてみたものになります。
もちろん、何でもかんでも怒りの要因を自分自身の問題とくっつけて考えるのも、どうしたものかねぇ、と僕は思うのですよ。
が、実際に、自分自身が抱えた怒りが、自分自身の隠していた感情の影響だった場合は、そうも言ってらんないわけでして。
まぁちょっと難しい話なのですが、よろしければどうぞ。
パートナーへの怒りが湧く理由とそれが示す自己概念について解説する
さて、パートナーへの怒りが示す心理について考えていきますね。
まず、どうしてパートナーに対して怒りが向くのか、とざっくり考えていくと
- 自分自身の満たされていない気持ちの影響(要は不満感ですね)
- 自分自身がパートナーにとって十分ではないと感じている結果(自分はだめじゃんってやつです)
- 自分は一切悪くないぜ、という否認の結果(自分の非や弱さを認めることが怖すぎる人)
- パートナーに理解されていない、大切にされていないと感じることから生じる悲しみ
- 自分の与えているものが相手の幸せに繋がっていないと感じる無力感
- 実は相手に上手に依存できないので、甘えるときに怒ってしまう
- パートナーに愛されることで、過去の愛されなかった辛さが蘇ってしまい、パートナーを突き放したくなる
- 実は与える自信がないと感じている自分を隠すため
- パートナーがいるのに心のつながりが感じられず孤独を感じている場合
などなど、まぁ様々なことが考えられるわけです。
よって
「どうしてパートナーに怒っちゃうんでしょう」
というご相談をいただいたとしても、僕からのご回答はご相談者さまによって異なる、というわけでございます。
ただ、どんな理由にせよ「パートナーへの怒り」は
パートナーに怒りを向ける事情の中に
自己概念(自分はこんな人)というものが隠れている
と言えるんですよね。
言い換えるなら
パートナーに対して怒りを向けることで、心のなかで隠したい(否定したい)自分(の在り方)から逃れようとしている
みたいなものです。
自分は優しくないよな、と思ってる夫のケース
例えば
自分は(他の男性に比べて)マメでもないし優しくないよな
と思ってる夫のケースを考えてみましょう。
もし、夫婦関係や家族に問題が起きたとき、その夫は
「自分が優しくないことで家族や夫婦関係に問題が生じているんじゃないか」
といった発想を持つことは十分に考えられるんです。
つまり、夫は「自分は優しくない」という自己概念を持っている、ということを示す場合があるわけです。
ただ、それは「自分は妻や家族にとって毒だ」と認識することとほぼ同じなんですよね。
(実際に、妻や家族が毒だと思っているかどうかは別にしてね)
だから、「俺に気持ちも知らねぇで」とか「誰が食わせてると思ってやがんだ」と、怒りを妻や家族に向けることがあるのです。
その結果、妻や家族に
「うちの夫って最低」「父ちゃんは怒りんぼで嫌い」
と思わせることになる。
つまり、いいか悪いか別にして、パートナーや家族に怒りを向けることで
「俺は優しくないと感じている夫の自己概念を証明することに成功する」
なんて感じなんです。
それは「俺って優しくないよな」という自己概念、いわば自己否定に気持ちから生じている場合が多いんです。
夫自身が、そんな自分のあり方を受け入れられないので、つい怒っちゃうんですよね。
ただまぁ、僕の視点では・・・
「俺って優しくないよな」と悩んじゃう人って、本当はやさしい人だと思うんですけどね。
少しでも寂しいと夫にキレる妻のケース
例えば
自分は(他の女性に比べて)男性に放っておかれちゃう存在だ
といった不安を抱えていた妻のケースを考えてみましょう。
もし、夫婦関係や家族に問題が起きたとき、その妻は
「自分はきっと放っておかれる、見捨てられる、夫に他の女に走られるんじゃないか」
といった発想を持つことは十分に考えられるんです。
つまり、妻は「自分は女性として、妻として、十分ではない」という自己概念を持っている、ということを示す場合があるわけです。
ただ、それは「私は夫や家族にとって不十分な存在だ」と認識することとほぼ同じなんですよね。
(実際に、夫や家族が不十分だと思っているかどうかは別にしてね)
だから、少しでも寂しいと夫に切れたり、感情をぶつけたり、どうせ浮気してんでしょと、怒りを夫に向けることがあるのです。
その結果、夫や家族に
「妻にはホトホト手を焼いたし、もう無理だわ、俺では」「ママはいつも感情的で嫌だ」
と思わせることになる。
つまり、いいか悪いか別にして、パートナーや家族に怒りを向けることで
「私は不十分な存在だと感じている妻の自己概念を証明することに成功する」
なんて感じなんです。
それは「私は不十分だ」という自己概念、いわば自己否定に気持ちから生じている場合が多いんです。
妻自身が、そんな自分のあり方を受け入れられないので、つい怒っちゃうんですよね。
ただまぁ、僕の視点では・・・
「私は不十分だ」と悩んじゃう人って、本当に大切な人を慈しみたい人だと思うんですけどね。
セックスレスで悩む妻(夫)のケース
例えば
セックスレスで悩み、いつもケンカを繰り返している妻(夫)がいる
としましょう。
もし、夫婦の営みに関して問題が起きたとき、その夫婦は
「パートナーのことを上手に愛せない自分や、夫婦なのに相手を求めない自分はいけない存在ではないか」
といった発想を持つことは十分に考えられるんです。
つまり、「自分はいけない存在だ」という自己概念を持っている、ということを示す場合があるわけです。
ただ、それは「そもそもセックス自体への概念を作るもの」であることも少なくないんです。
つまり、「セックスってものはいけないもの、汚いもの、タブーなもの」という認識が隠れている可能性がある。
その認識の奥には
「自分自身の性的な部分(性欲を持つ自分)って、めちゃくちゃ汚いのではないか」
といった自己概念が存在することもなくはない、って感じなんです。
(実際に、相手がこちらを汚いと感じているかどうかは別にしてね)
だから
パートナーに求められるとすごく嫌な気分がするので、ついつい怒っちゃうとか。
パートナーに求められないことで、「自分はやっぱり汚い存在なんだ」と感じてパートナーに切れてしまう
なんて状態になることもあるんですよね。
これも一つの性的な部分の自己概念を示すもの、とも言えるんですよね。
つまり、自分自身が性的な欲求に対してどのように向き合っているのか、がポイントになることが少なくないのです。
が、なかなか人に相談しようと思えることでもないので、手がつけられずにいる場合も少なくないようですよ。
パートナーへの怒りと同時に、自己概念に着目するという問題解決方法もある
実際のカウンセリングなどでは
「どうしてパートナーに怒っちゃうんでしょうね」
という行動や感情にも着目するのですが
同時に、そこにある「自己概念」に着目することも少なくないんです。
どうしてそんな自己概念が形成されていて、なぜそれを抱え続けているのか。
まぁそんな深い深い、その方にとって重要な事情に関して、僕もすぐに扱わせていただくわけではないんですけども。
ただ、自己概念に着目する、という視点を持つことで
パートナーのあり方や、自分自身の今までのあり方を全て否定することなく
問題解決の糸口が見つかる場合もあるわけです。
「自分が気づかないところで感じている(ときには当たり前のように感じている)自分のあり方、イメージを見つめ直す。」
それはまさに心について扱うことを示している、と僕は思うのです。
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