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「別れを選択する方がいい関係」とは何だろう
「今の彼と別れを選択する方がいいのかどうか迷っています。
今の彼とは別れたほうがいいような気がしているんです。でも、実際に別れることを考えると決断できずにいます」。
浅野さんならどうお考えになりますか。浅野さんの考えが知りたくて」。
このようなご質問を受けることは稀ではないんです。
ただ、僕から「別れるべき」とか、「別れない方がいい」などと言うことは、ほぼほぼないのですけれどね。
別れるか、続けるかはご自身の決断。
その決断をしやすく、また、後悔の少ない決断をしていただくために、一緒に考え、そのお気持ちを支えさせてもらうことが僕の仕事なのです。
もし、僕から「距離をおいてみては」とお伝えするのは、あまりに深く傷つけあう関係であったり、深刻な被害が伴っている場合ぐらいでしょうか。
ただ、もし心の面から考えた「別れを選択する方がいい関係があるとしたら」といった話をしないわけでもないんです。
なので今日はそんな話を簡単にコラムにまとめます。
よろしければどうぞ。
「別れを選択する方がいい関係」があるとしたら
もし、「別れを選択する方がいい関係」があるとしたら、それは
「すでに関係を継続させる目的が失われている状態である場合」
と僕はお伝えします。
ちょっと難しい話なんですが、パートナーシップであれ、何らかの組織であれ
本来掲げた目的が達成された状態
もしくは、本来掲げた目的が達成されないことが確定した状態
となっているならば、関係を解消した方がいいこともあるわけです。
もちろん、目的を再設定し、お互い(組織の中にいる人々)の合意形成がなされるなら存続、ということもあり得ると思うんですけどね。
要は、目的が達成された(達成されないことが確定した)集団というものを維持する新しい理由と合意形成がないならば、関係を解消したほうが前向きだと考えます。
逆に、新しい目的も合意形成もないまま形としてだけ関係を維持することは、ある意味しがみつきや浸り込みになってしまう恐れが出てくる、とも考えます、
この、しがみつきや浸りこみは、自分自身や全体の幸せを阻害する要因になることが多いので、まぁ手放したほうが良いよね、という話になりやすいんです。
ただまぁこの話は、説明しても難しい話なので、もう少しわかりやすく具体例を使ってお伝えしますね。
二人の間に情熱が失われてしまった関係、という事例
二人の間に情熱が失われてしまった関係。
例えば、もはやケンカも言い争いもなく、淡々と事務連絡だけを行うような関係や、
お互いが相手に期待も要求もせす、ただ一緒にいるという形だけが残っている関係が、それに当たると思うんですけどね。
ただ、今の関係が冷めきっている、としても、例えば昔の幸せだった時の記憶を頼りに関係を維持することだけを目的にしていたり。
お互いの目的が完全に食い違ってしまっていることが分かっているのに、関係を解消することに抵抗を感じているから(お互いに情だけは残っているから)、関係を維持することだけ続けていたり。
このような場合って、いいか悪いか別にして
過去の記憶に浸り込んでいないと関係を維持できなくなっていたり
そもそも二人が一緒にいる目的がなくなっている状態だ、とも言えなくもないんです。
だから、二人が関係を維持する新しい目的が設定できるならいいのですけど、そうでなければ、二人が二人でいる目的がなくなっちゃっている以上、無意味感がつきまとってしまうんです。
もし、別れることが正しい、ではなく
別れるということが妥当かもね、と考えられる関係があるとしたら、このような関係なのかもしれません。
もちろん別れない選択がダメってことではなく。
もし別れることに価値がある関係があるとしたら、という仮定の話なんですけども。
目的が失われた組織を維持する理由はどこにある?
例えば、ご近所の自治会で「地域のお祭り復活委員会」を、数人のメンバーの合意を得た上で形成したとしましょうね。
これは、長い間休眠状態だった地域のお祭りを復活させるために活動する組織、です。
で、活動の成果が実って地域のお祭が復活し、開催されるようになったとしましょう。
さて、「地域のお祭り復活委員会」は存続する目的を有しているでしょうか?
おそらく、その委員会の目的がお祭り復活であるならば、そこで目的達成されたわけで、その時点で組織は解散することが妥当なんでしょうね。
もし、地域のお祭を維持、保全していくならば、復活委員会のままではなく、維持保全する組織を新たに形成し、そこで再度合意形成を行うべきなんでしょう。
目的を書き換えることなく、新たな目的の合意形成をするわけでもなく、すでに目的を失った組織を「せっかく作ったんだから」という思いだけで維持しておく必要性ってないと思いません?
言い換えるなら、目的を失った関係性や組織を維持しても、それは「しがみつき」にしかならないのではないか、ということなんです。
まぁ一つの執着ですよね。
そもそも別れとは一つの選択肢で、後ろ向きな選択だとは限らない
そもそも別れとは一つの選択で、後ろ向きな選択だとは限らないものです。
別れたから悲しい、辛い、ということはあり得るでしょうが、その選択が十分に検討されたものであるならば、それもまた尊重されるべき選択なのではないでしょうか。
だから、僕としては「別れはたしかに辛いけれど、ネガディブなものとは限らない」と考えていますし、クライエント様にもそうお伝えすることが多いです。
むしろ、目的を失った、合意形成すらできない関係性を維持することのほうが苦しいのではないか、と考えることが多いです。
ただ、そう考えていたとしても、別れるか、別れないかは、そのご本人のご決断なのです。
他人がとやかく別れるべき、と言える話ではないと僕は考えています。
とはいえ、クライエント様から
「浅野さんに別れることを応援して欲しい」
と言われた場合は、別れる方向のそっと背中を押すことがないわけじゃないんですけどね。
そう考えると、別れるか否かを決めるおおよその基準はあれど
別れるべき、別れないほうがいいと断定する材料はどこにもない、と僕は考えます。
だからこそ、悩ましいし、葛藤するし、別れた後で後悔しそうで怖いわけですけど(^^;
ただ、目的を失った関係を蘇らせるなら、再度目的に関する合意形成が必要になるわけでして。
それが難しいならば、別れという選択を視野に入れることもありなのではないか、とは思います。
簡単ですけど、よく質問をいただく話だったので、今日はコラムにまとめてみました。
このコラムが皆さんの前向きな選択の一助となることを祈るばかりです。
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