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「私が悪い」という考えから抜け出せない!
みなさんは「私が悪い」という考えから抜け出せず、自分を責め続けてしまった経験はありますか?
例えば
- 彼との関係が悪くなったのはすべて私のせいだとしか思えない。
- うまくいかないことがあると「自分が悪い」と思う傾向が強い。
- 自分の行動に価値なんてない、といつもダメ出しをする。
- 今、幸せではないのは私のせいでしかない。
- 過去のミスや失敗を今もずっと後悔している。
- 自分を支援してくれる人、愛してくれる人に「申し訳なさ」ばかり感じる。
- 人の期待には応えようとして疲れ果ててしまう。
- 人から感謝されても、愛されても「嘘やん」と思って受けとれない。
僕たちには他人を責める(他責)考えと、自責傾向(相手ではなく自分が悪い)と考えてしまうことがあるわけです。
もちろんその考え自体が起きた出来事に対して妥当であるなら、問題ないのでしょう。
ただ、中には、どんなことでも「結局、私が悪い」と感じてしまう人もいるようです。
この「結局、私が悪い」という考えが強くなると、自由に自分の人生を生きられないどころか、毎日が楽しくない、つまらないという状態に陥りやすくなります。
また、恋愛や結婚、仕事、対人関係に対して億劫になることもあれば、人から責められる怖れが強く、完璧主義っぽくなることもあるんですね。
そこで今日は「結局、私が悪い」という発想になぜ至るのか、という部分を解説していきます。
よろしければどうぞ。
いつも「私が悪い」という考えから抜け出せなくなる心理
いつも「私が悪い」という考えから抜け出せなくなる理由は「自らが今までの自分を否定しているから」です。
もう少し詳しく解説すると
「過去の自分を否定することで今の自分を肯定的に捉えようと試みている状態」
と言えばいいでしょうか。
例えば
「昔の私は本当に自分勝手で未熟だったわ。今思うと恥ずかしいし、もうそんなことはしない自分になる。」
この考え方ってとても自然だと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実はこれ、過去の自分を否定し、あまり受け容れていない状態なんですね。
もし、過去の自分を受け容れているとしたら
「昔の私は本当に自分勝手で未熟だった。今思うと恥ずかしいけど、そんな時期も意味があったのだと思うし、未熟だったのも自分。
その当時支えてくれた人いる。心から感謝したい。
そしてこれからは私が、そんな人達を理解する人間になっていきたい。」
という感じになるんですね。
今までの自分を否定している状態とは
では、今までの自分を否定している状態とはどういった状態かについて、簡単に例を示してみます。
- 私は思春期に荒れてロクな人間じゃなかったと思う。
- 過去の私はとても未熟で思い出すだけで恥ずかしい。
- 昔の自分は人のことを何も考えていなかった、本当にダメな人間だった。
- 自分は何も知らないくせに知っ硬ぶりばかりしてきた。浅はかだった。
- 自分は人に迷惑をかけつづけて生きてきてしまった。
- つらい思いをした過去の自分を思い出したくない。
- 過去に大きな喪失体験をした。そんな過去の自分を思い出したくない。
どこか過去のミス、未熟な自分(成長途中の自分)、つらい経験、苦しい経験などを「否定する」「恥ずかしい存在だと扱う」ことによって
「今の自分は昔のようなダメな自分ではない」
と認識したいと思っている状態と言えるでしょうね。
このとき、「過去の自分が間違っていた」「未熟だった」「恥ずかしい存在だ」といった罪悪感、自己否定を選択しているわけです。
今も自分を肯定できているわけではないのです。
だから、今、何が起きても
「自分が間違っているのでは」
「結局、自分のせいなのでは」
「自分自身にそこまでの価値がないのでは」
と感じやすい状態が続いていくのですね。
「私が悪い」という考えから抜け出せなくなりやすい人とは
「私が悪い」という考えから抜け出せなくなりやすい人とは
「過去の未熟な自分から成長したい」「失敗ばかりの自分を変えたい」という、ある意味「成長したい」という前向きな発想をお持ちの方が多いのです。
要は、もっと素晴らしい自分になりたい、自分を成長させていきたいと願っておられるわけですから。
ただ、そもそも「自分自身を責める」「怒りを自分に向ける(他人に怒りを向けない)」傾向が強いのでしょう。
だから、ついつい「過去の自分を悪者のように扱ってしまう」というわけです。
要は「過去の自分にダメ出し」をすれば改善するだろうと考えている感じです。
が、実際は、過去の自分は受け容れて、その上で「どんな自分になりたいか」を考えていくほうが、罪悪感の罠に引っかからないものなのです。
「私が悪い」と感じ続けることで罪悪感が強化される
また、「私が悪い」と長い時間をかけて感じ続けることで、さらに罪悪感が強化されることがあります。
長い間、自分が悪い、昔の自分はダメだったと思い続けることで、いつしか「今の自分もダメでどうしようもない」と感じてしまうようになることもあるわけですよ。
※チリツモ型罪悪感については、次のコラムに詳しく解説がありますので、よろしければご覧くださいね。
自分を成長させ、肯定的に捉えたいが故に、過去の自分を否定し続けた。
この対象は自分の過去だけではなく、過去に関わった人たちや親、家族、環境などへの否定になることもありますね。
これが「今の自分に多大な影響を与えてしまう」とは、なかなか考えないようなんですね。
むしろ、自分を否定しまるで悪者のように扱うことが正しい、と感じてしまうことが少なくないようです。
罪悪感が強化されたことで起きる問題
その結果、「どれだけ努力しても、より良いものを手に入れても自分をなかなか好きになれない」という問題が起きやすいのです。
どれだけステータスを得ても、地位を築き上げても、人から称賛されるような結果を出しても、人から羨ましがられるパートナーシップを得ていても
「・・・で?」
という状態が続きます。
今の自分や、今の自分が手にしているものに価値を感じないのです。
しかし、人前でそんな態度をとっていては、周囲から批判されることになるわけですよ。
なので、人前では喜んだり、自信のあるふりをするのです。
が、その内面では「全く満足していない」「十分だと思えない」「いつも不安」と感じる状態が続くのですね。
よって、人から好意を向けられても「いやいや」とすぐ断ってしまいますし、人から感謝されても素直に喜べない状態が続きます。
もちろんなかなか自信も感じられないことが多くなるのです。
「私が悪い」という考えから抜け出すには
では、「私が悪い」という考えから抜け出す考え方について少しご紹介します。
あえて誤解を恐れず書くならば「今までの自分を受け容れ、許すこと」です。
また、自分が否定しているものが自分以外の対象だったとしたら、それを許すことも含まれますね。
過去の自分を罰する、未熟だと突き放す、嫌う、否定する。
そういったことを続けても、今の自分を肯定できないと理解する必要がある、といえます。
要はですね、ミスは反省するだけでよく、自分を責める必要はない、ということなんです。
それは未熟さも、迷惑をかけた経験も同じです。
そこで感じる、悔しさ、心苦しさ、恥ずかしさを一旦受け止めるには勇気がいります。
が、それをどう今後の自分の生き方や、人に対する理解や優しさに還元するかを考えられるようになればいいのではないでしょうか。
自分を責める傾向がある人ほど丁寧に自分を扱ってください
ただ、真面目な方、自分に厳しい方、怒りや自分の気持ちを表現することに抵抗がある方ほど、自分を否定してしまうことがあるのです。
また、「自分を否定しろ」「自分を甘やかすな」と言われて育った方などは、自分を否定したり責めることが習慣化している場合もありますね。
もちろん「過去の自分を否定する」としても、そうなる事情があるわけです。
だから、もしあなたが「過去の自分を否定する」としても、それが問題だと過剰に捉える必要はないと僕は考えます。
自分を責める傾向がある人ほど丁寧に自分を扱ってくださいね。
特に今日の話は一概に
「結局、自分が悪いと思うなら、過去の自分を受け容れ許せばいい」
と言えるものではないと僕は考えます。
なぜならば、「自分が悪い」と思うことで、本当に辛い記憶や感情を封じ、今を必死に生きている方もいらっしゃるからです。
また、「自分が悪い」と思うことで、誰かを救いたいと願っている方もいるのです。
例えば、家族の中で自分が最悪の存在になれば、他の家族はいい人になる、と考えて、自分のことを否定し続けてきた、なんてケースも存在しますから。
つまり、「結局、私が悪い」という気持ちが消えない事情は人それぞれ。
ただ、一点。
「過去の自分を未熟者扱いや悪者扱いしても、今の自分を真に肯定することは難しい」
その部分だけは知っておいていただけるといいのかな、と思います。
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