夫婦のための心理学

パートナーと向き合えないときほど「心地よさを感じる選択を探してね」という話。

喧嘩する男女

さて、「パートナーとどう関わったらいいか分からない・うまく向き合えない」というお話はたくさん伺います。

例えば、パートナーと長い間話ができていない、とか。

相手から別れを告げられて現在交渉中、とか。

このとき、僕からお伝えするご提案は、確かに個々のケースによって異なります。

クライエントさま、そのお相手さまの様子や状況を見てお伝えすることですからね。

ただ、基本的なラインとしては

「自分が心地よいことを選び続けてみてくださいね」

とお話することがあります。

これは、恋愛のお悩みでもご夫婦のご相談でも、お仕事のことでも同じなのです。

逆に「自分が心地よくない選択」をしたとしても、それが二人のためにならないことが多いのです。

そこで今日は「本当に心地よいことを選ぶこと」の大切さについて、少しコラムにまとめておきたいと思います。

パートナーと向き合えず不安が募る人ほど、心地よさを忘れている?

もしあなたが何かしらの理由で「パートナーとどう関わったらいいか分からない」と感じるなら

あなた自身が

「心地よいと感じられる選択以外のこと」

に意識が向いているときなのかもしれませんね。

例えば、

「上手に向き合えないパートナーにどう関わったらいいだろう」とばかり考えていたり。

「別れたくないから、相手の気持ちをどうにか変えられないか」と考えていたり。

「相手の気持ちが離れていかないように自分が無理をしよう」と考えていたり。

「私は向き合っているのに、相手が向き合ってくれない」という思いが強くなっていたり。

具体的には

「別れたくないのに「別れてもいいよ」と言ってしまった(勢いで・・・)」

「相手に結婚などのプレッシャーをかけたら関係が悪くなりそうだから、自分の本音ををごまかして伝えた」

「私の想いが相手の負担や迷惑になっているような気がして、自分から身を引いている(相手と関わらないようにしている)」

「相手のことを心から大切に想っているのだけれど、相手の心配ばかりしてしまう(その結果自分が不安ばかり感じることになる)」

「相手が向き合ってくれないから、相手が向き合ってくれるようになるには?とばかり考えて、相手をコントロールしてしまう」

こんな状態にあるのかもしれません。

これが「自分が心地よいと感じる選択以外のこと」そのものなのです。

このとき、自分が心地よくないわけですから、その自分の選択を肯定することも難しくなるわけです。

パートナーと向き合うということはどういうことかを改めて考えてみる

では、「パートナーと向き合う」ということはどういうことかを改めて考えてみましょう。

例えば

相手と真摯に向き合う。
嘘偽りない気持ちで向き合う。
相手への愛情をちゃんと表現する。
相手の愛情もちゃんと受け止める。

一般的にはこのようなイメージがぴったり来るのかな、と思います。

これらは全て「自分が心地よさを感じる状態」なんですよね。

また、「自分が心地よさを感じさせてもらえている状態」ではないのです。

言い換えるなら

「自分の心が動き、整うような行動を取ること」が「パートナーと向き合うこと」ということになるんです。

いくらパートナーとの関係が悪くなっていたとしても、そこで取るべき行動は

「嫌われないため」「別れないため」「不安を拭うため」

そういった行動ではないはず、とお伝えしたいわけです。

具体例

例えば

あなたがパートナーから別れを告げられて交渉中だとしましょう。

このとき、別れたくないがゆえに、自分の気持ちを偽ったり、相手に嫌われないように振る舞うとしたら。

このときのパートナーは「あなたを傷つけ、苦しめる人」になっているわけです。

その前提で行動している、ということなんですね。

この前提が覆らない限り、お互いにそばにいても苦しいだけのはずなのです。

いわば「自分も相手も相手を苦しめる人」になっているならば、いくら交渉しても気持ちは前向きにならず、関係を取り戻せても愛しきれない違和感のようなものが残る場合が少なくないんです。

そのために自分自身が心地よさを感じる行動について、ある程度探るといいますか、自分の感情や反応をしっかり見て整えることは必要だ僕はと思います。

逆に、無理にパートナーと向き合って本意ではない行動を示すことほど、後悔することはないのではないかとも思うのです。

「頑張った分だけ報われる」に欠けている言葉

ただ、僕達が多く幸せについて考える時、どうしても拭い去れない観念があるのです。

それが「頑張った分だけ報われる」。

確かに頑張った分だけ報われることはあるのでしょう。

しかし、自分が心地よくない行動を取り続け、それについて頑張ったところで、恋愛や夫婦関係の質が向上するかと聞かれると、僕は疑問をいだいてしまうのです。

むしろ、それはお互いにとっての不幸のはじまりではないか、とさえ思います。

つまり、頑張った分だけ報われる、という言葉には、欠けている言葉があると思うのです。

それこそが「お互いが心地よさを感じる目的で」という部分。

逆に言えば「お互いが心地よさを感じない目的で頑張る」としたら、これは報われる結果になるでしょうか、ということなんですね。

心地よくパートナーと向き合うこととはどういうことか

では、「自分が心地よくパートナーと向き合うこと」とはどういうことなのでしょうか。

一言で言えば、「愛する」ということであり、「自分の中の相手に心から与えたいという気持ちに従うこと」だと僕は思うのです

これは「相手のことが好き」という気持ちのことを指しているのではありません。

好きという感情は素晴らしいものですが、好きだからこそ苦しい、切ない、辛い、ムカつくということも十分あり得るわけですよね。

それこそ「好き」という気持ちは自分の気持ちという範疇を超えないものなのです。

一方、「心から相手を愛する」という気持ちは、相手に向かい、相手の状態をまるっと受け止めて丁寧に扱うようなイメージで作用します。

この気持ちは、自分から発され、相手に届けるような状態になるわけです。

この「相手に届く(届ける)」という部分が心地よさを感じるポイントそのものだと僕は考えています。

逆に言えば、いくら好きでもその気持ちが相手に届いていない(届けていない)ならば、本当の意味での心地よさはあまり感じないだろうということです。

「相手を愛する」ということをちゃんと届けている自分であるとき、僕たちはとても心地よい気分を感じるわけです。

また、「好きを伝えること」と、「愛する気持ちを伝えること」は、ちょっと意味が違うぞ、とも言えるのですよね。

好きを伝えるということは、時として「相手に自分の気持ちを理解してもらう」という意味になるのです。

しかし、愛することは、自分の気持ちを表現するだけでなく、相手の有り様を愛する、理解する、認める、ということにつながるのです。

具体例での解説

例えば、「相手から別れを切り出されて現在交渉中」という状況があったとして。

ここで「私はあなたのことが好き!」と強く伝えても、それは自分の意志を表明しているに過ぎません。

だから、相手も同じように自分の意志「別れたいと思う」を伝えるのでしょう。

また、別れは避けたいから、「本当は結婚したいけど、でも今はそこまで望んでないよ」と、相手にプレッシャーをかけないように気遣う人もいるかもしれません。

確かにそういった気持ちが悪いわけじゃないと思うんです。

が、このとき、相手は「あなたの本当の望みを否定する理由」になってしまうんですね。

だから「そう言ってもらえるのは嬉しいけど、それじゃ僕が君に負担をかけているだけ、我慢をさせているだけじゃないか」と思われかねず、状況が好転しないケースも少なくないのです。

これらは「自分が心地よいと感じられる選択と取っていない」から起きることではないか、と僕は思うのです。

逆に、「別れたい」と悩んでいる相手に

例えば「そこまで私達のことを真剣に考えてくれていたんだね」ぐらい伝えられるとしたらどうでしょう。

よくあるご相談の中に、彼から「僕よりもいい人がいるよ」と言われてショックを受けたなんてお話を伺うことがあります。

このとき、あなたが「彼」という人を、自分を傷つける人にするのか。

それとも、「彼」は私(たち)のことを考えてくれた人、とするのか。

この違いで、次の展開も変わってくるとは思いませんか?

そして、何より自分自身が「好きな人」を傷つける人と認識しながら、心地よさを感じることは難しいと思いませんか?

だからこそ、僕は「あなたが心地よいと感じることを選んでみるといいですよ」とお伝えしているのです。

そして、その心地よさを選べる私になることが大切じゃないでしょうか、とお伝えしているのです。

本当に伝えたいこと、伝えて心地よさを感じることを見つけることが大切です

だから僕は、ご相談いただくクライエントさまに

「まずは自分の気持ちをじっくり見つめて、大切にしてください」

とお願いしています。

「あなたが本当に伝えたいこと、伝えて心地よさを感じることを見つけることが大切ですよ」

ともお伝えしています。

しかし僕たちは、どこかで自分の価値を認めていないことがあり

自分が相手を愛すること、それを通じて心地よさを感じることを、イケナイコトだと感じているのです。

例えば、相手が別れたい思い、それによって自分の前で苦しんでいるなら、同じように苦しまなきゃいけないと思う人もいるでしょう。

相手が「もう愛せない」と悩んでいるときに、「私がそんな思いをさせたんだ」と自分をシバき続けている人もいるでしょう。

そのお気持ちもわかるのですが、しかし、それこそ心地よさを感じる選択ではないと思いませんか?

「自分が心から与えたいこと・行動したいこと」とは

「自分が心地よさを感じること」であって、無理をすることではないはずです。

相手に無理をさせたり、自分が無理をすることではないはずです。

そんなことをするために一緒になりたいわけじゃないでしょう?

もちろん自分が多少の無理をすることが、相手のためになる状況なら仕方がないのでしょう。

が、いつもお互いに無理をして心地よさを感じない状況を続けて、関係が向上することはありえないだろうと僕は思うのです。

だから、ぜひ考えてみてほしいのです。

「私は最愛の人に、どんな自分を見せたいのだろう」

「愛する人に、どんな気持ちを届けたいのだろうか」と。

それによってあなたの気持ちが開放され、嘘偽りのない素晴らしい自分を感じることができるなら、それこそが「心地よい選択」なのだろうと僕は思うのです。

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