浅野さんへの質問です。
“隠したい彼”と”知りたい私”の対立について、お伺いさせてください。
彼とは16年前に出逢い、彼の音信不通と再会を繰り返し、長いスパンで二人なりの絆を深めてきました。
彼は、県内外を飛び回るハードワーカーでストイックな自立男子です。滅多に会えない日々で寂しさや不安もありましたが、会えなくて辛いのは彼も同じで、あとは私の心の持ち方次第でした。以前は、寂しい気持ちを全面に出してしまい、私への罪悪感で苦しめてしまったと思うので。大事に思ってくれる気持ちを受けとることで、彼にも安心してもらいたいと思うようになりました。
この1年は特に、我慢しすぎず、気を遣いすぎず、お互いを思いやりながら言いたいことは言えるようになり、相互に理解が深まった実感がありました。
一方で、年齢的にも、これまでの経緯も踏まえて、そろそろ形としてのケジメを求めるようになりました。しかし、彼からの返答は「今は考えられない」でした。
私は、基本的に隠し事への罪悪感が強く、相手にもオープンな心を求めてしまうところがあります。大切な人なら、どんな過去も事情も、知った上で理解を寄せ受け入れたいのです。でも、彼は違います。ある事情について、私にだけは知られたくないと口を閉ざします。過去のしがらみや痛みを伴う経験、今尚解決できていない事情の全てを無理に聞き出すことは、彼の傷を抉るような思いにもなります。
それでも、彼の闇を知って、二人のこれからを一緒に考えたいと願ってしまうのです。
もう、嘘を続けるのは終わりにして欲しいと伝えました。つい、追求するような態度になってしまい、拒絶されました。
「人を想うって、そういうことじゃないだろ」と。彼を理解したい一心でしたが、彼にとっては知りたがりの興味本意だったようです。
打ち明けてくれたら楽になれるはずと思っていたのは自分の思い上がりで、嘘を重ねるしかない程の深い闇もあるのだと思い知りました。
人それぞれ、大小のトラウマや隠したい自分を持っているもの‥。
“隠したい、言えない”彼を、閉ざされた心の一部はそのままに、あるがままの彼を受け入れるには、どうすればよいのでしょうか。
隠し通すことでしか守れない彼の怖れとは、どんな心理が考えられますでしょうか。
(匿名さま ※原文のまま掲載しています。)
匿名さん、お待たせしました。今日はあなたのご質問をコラムにさせていただきます。
自立男性の閉ざされた心のお話ですね、了解しました。
私は、基本的に隠し事への罪悪感が強く、相手にもオープンな心を求めてしまうところがあります。大切な人なら、どんな過去も事情も、知った上で理解を寄せ受け入れたいのです。
でも、彼は違います。ある事情について、私にだけは知られたくないと口を閉ざします。過去のしがらみや痛みを伴う経験、今尚解決できていない事情の全てを無理に聞き出すことは、彼の傷を抉るような思いにもなります。
それでも、彼の闇を知って、二人のこれからを一緒に考えたいと願ってしまうのです。
あなたがすべてを受け入れたいと願えることって、それがニーズでないのなら、僕は本当に凄いことだと思いますよ。
後で解説しますが、もちろん様々な心理の影響は考えられるとは思うんですが、全てを受け入れたいという気持ちって、あなたの「強さ」とも言えると思うんですよね。
しかし、彼はどうにもあなたにだけは知られたくない「弱さ」がある。
どうやらあなたの強さの前に、彼の弱さは絶対的な弱さになってしまうようですね。それを彼は恐れているのかもしれないですね。
だから「人を想うってそういうことじゃないだろ」とお話しになっているような印象を僕は受けました。
弱さって、いわゆる不全感や欠点だけでなく、痛み、も弱さになり得ると思うんです。触れられるだけで痛い、という感覚。
もちろんその弱さを解放すればココロは楽になるんですが、まぁそうは言ってもこの発想は心理の世界の話であって、一般的には弱さや痛みは抱えるもの、隠すものと認識されるでしょうしね。
どこか全ては自分次第で生きている。
いわゆる自立、とはそういうことですよね。
ただ、そうは言っても、傍にいる人が私を信頼し心の中を見せてくれない、となれば、不安だし切ない話になってしまいますよね。
打ち明けてくれたら楽になれるはずと思っていたのは自分の思い上がりで、嘘を重ねるしかない程の深い闇もあるのだと思い知りました。
んーこの一文は深いなぁ・・・と思います。
自分の気持ちを優先して相手を愛することが、いつも相手のことを考えていること、につながるわけじゃない。
相手の思うように愛することも愛ですね。
ただ、今までの私をのことを 、思い上がり・・・と思われるのか、
それともあなたの純粋さだと解釈するのか。
あなたにも切ない思い、必死な思いはなかっただろうか・・・
そう考えると、あなたなりのベストを尽くし彼を受け容れよう、愛そうとしたあなたを、否定することはないような・・・そんな風に僕は感じています。
ただ、彼もそれは同じで、彼なりに必死できているのだろうと僕は感じるのです。
***
さて、ここからはガラッと話を変えます。
コレは心理独特の物事の味方なのですけども。
彼のようにストイックで自立している男性は、その内面で「いつかは彼女もオレの生き方を理解してくれるはず」とか「彼女のわがままは一過性のものであり、そのうち、オレが彼女を理解し愛しているように、彼女も理解し愛してくれるはず」と考えていることが多いようです。
だから「想うってそういうことじゃないだろ」と、つながる。
しかし、男性がストイックに自立して生きていると、傍にいる女性の「愛したい願望」「助けたい願望」「分かって欲しい願望」がどんどん増幅します。
女性の方がその男性の傍にいる意味、を考え始めるのかもしれません。
ただ、女性の意識レベルでは「いつも私が寂しい思いばかり・・」と想うようになりますから、彼とどうにか関わりたくなるわけです。
僕はあなたのこの愛情を、あなたの強さとあえて表現しましたが、逆に言えば「彼の生き方によってあなたがそうならざるを得ない状況になっている」という風にも解釈できるのです。
どこかで、彼はあなたの心理に多大な影響を与えているのは自分、いう自覚がないのかもしれません。
もちろんアカウンタビリティの概念、自己責任の原則で言えば、「あなたが愛した人が彼だった」になります。だから何が正しくて間違っている、という話ではありませんよね。
しかし、彼は自分にも、そしてあなたにも、何も変化を求めず生きるでしょう。
むしろ、彼は自分の人生で起きることの多くを受け入れてしまうようですね。それは、あなたとの今の関係性も、そして彼の身に起きていることがどれだけ苦く切ないものであってもです。
そんな彼の行動で、あなたがもし傷つくのであれば、彼を受け止め愛することが難しくなるかもしれませんね。
“隠したい、言えない”彼を、閉ざされた心の一部はそのままに、あるがままの彼を受け入れるには、どうすればよいのでしょうか。
それは「彼を変えよう」「助けようとしないこと」なんでしょうね。
彼の生き方を承認することです。凄いね、といった風に。
そしてどんな状況でも生き残ろうとしている彼の生き様を、あなたが傍で見守ってあげるということのように僕は思います。
それぐらい愛せるか、というお話なのかもしれません。
もちろん何が正しい、ということは無いと思うんですよ、こういったお話って。
ただ、自立的な男性ほど「自分が良かれと思ってしていることを相手にされると、愛情を感じる」ことが多いようですよ。
例えば、相手のことを思い願ってプレゼントを与えるように。
彼にはあなたに願い想ってほしいことがあるのかもしれませんね。
ただ、あなたの時間はあなたのものです。
それはぜひ大切に、そしてあなたのために使ってくださいね。
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