浅野カウンセラーさんへ質問です
相手から、はじめて人生観を左右する過去の辛い経験の話をされました。
しかしLINEだったので真剣な温度感を受け取れておらず、そんな風に考えるからだめなんだよとか、人のせいにするのは見苦しいなど、全く共感せずに言いたいことを言ってしまいました。
相手もその時はちょっとふざけたかんじでうさぎちゃんからいじわる言われた、と返してきたので、じゃあいじわるじゃない人に聞いてもらえば?みたいに返してしまいました。
数日後、その一件で彼の方から好きだったけど私とはもう恋愛はできないと言われてしまいました。
私としてはいまさらですが、彼の話を聞いて、本当にそんなつもりはなかった…という思いが強く、傷つけてしまったことを後悔しています。
一度相手を深く傷つけてしまった場合、修復は可能でしょうか?
今は完全に離れたわけではなく、お友達として会ったりはしてくれます。
謝罪してからは、前みたいに優しく大切に扱ってくれますが、もう恋人にはなれない、嫌いじゃないけど…と言われます。元々感情表現、愛情表現は豊富な人でした。
ネタ募集ネーム:傷心中のうさぎさん
傷心中のうさぎさん、ネタのご協力ありがとうございますm(_ _)m
今日はあなたのご質問にお答えしますね〜。
今回のご質問は「一度相手を深く傷つけてしまった場合、修復は可能でしょうか?」という話ですね。
しかも今回はあなたからきちんと謝罪をされている、という条件があっての話ですね。
承知しました。では、僕からの回答です。よろしければどうぞ。
Index
相手を深く傷つけてしまったという後悔の意味
まず「相手を深く傷つけしまった」という気持ちは辛いものですし、なかなか拭えないものですよね。
いわば「加害者意識」「罪悪感」の話なんですけどね。
毎日人と関わる中で生きていると、こちらに悪意などなかったとしてもつい「しまった!」と後悔してしまうような言動をとってしまうことってありますよね。
悪意はなかった分だけ、相手に申し訳ないと思うし、自分も「なぜあんなことをしてしまったのか?」「どうしてあのとき気づかなかったのか?」と悔やんでしまうもの、といいますか。
実はこのとき「相手を傷つけた自分を受け容れたくない」と感じていることが少なくないんです。
特にこちらに悪意がなかったときほど、そう思いやすくなります。
これは誰にだって起き得ることなのですが、相手を傷つけた自分を受け容れられない分だけ、いわば「こんなはずじゃなかった」と自分を責めてしまうんですよ。
それほどまでに加害者意識や罪悪感と向き合うことは辛いことですし、ついつい避けたくなるものだ、とも言えますね。
ただ、「こんなはずじゃなかった」と自分を責めてしまうなら、本来は相手を傷つけるつもりはなかったということなのでしょうから、そこまで自分を否定する必要もないのかもしれません。
ここでのテーマは「加害者意識」や「罪悪感」とどう向き合うか、なんですね。
傷つけた相手に心からの謝罪をすることの大切さ
今回いただいたご相談には「後悔」という言葉とともに「謝罪」という言葉がしっかりありますね。
傷心中のうさぎさんは、そこをキチンを伝えておられる部分が素晴らしいし大切なことですよね。
あなたに悪気がなかったならば、悔やんでも悔やみきれない気持ちになることもあるかもしれません。
ただ、相手を傷つけたのならば、勇気を持ってきちんと謝罪をすることはとても重要なことです。
パートナーシップなどの関係修復をお考えならば、特に、です。
もちろん過剰に謝る必要はないわけですが、しかし全く謝らないとなると話は別なんですね。
謝罪は「こちらの気持ちを伝え、相手と向き合うこと」に似ています。
こちらに非があるのに謝らないということは、こちらの気持ちを相手に伝えることもできないですし、相手と向き合うこともできずにいる、ということなんです。
だから、自分の非を認め、謝罪できないままでいると関係修復はとても難しいものになることが多いものですよ。(何でもかんでも自分が悪いと思うことではないですよ)
その理由は「自分が相手を傷つけた事実を受け止めないこと感じる罪悪感」と「相手の気持ちを理解する姿勢を見せられない」という部分にあります。
だから、自分自身がきちんと謝罪することができるなら、自分が被害者側となったときにも、きっと人の謝罪も素直に受け取れるし、きちんと謝る人の気持ちも理解できるはずです。
だから、過剰に謝罪を求めることもないでしょう。
ま、逆に、頑なに謝らない人を見ると「なんだよ」って思うのかもしれませんね。
関係修復にはお互いが加害者意識と罪悪感を乗り越える必要がある
今は完全に離れたわけではなく、お友達として会ったりはしてくれます。
謝罪してからは、前みたいに優しく大切に扱ってくれますが、もう恋人にはなれない、嫌いじゃないけど…と言われます。元々感情表現、愛情表現は豊富な人でした。
さて、ご質問を読ませていただくと、あなたはきちんと彼に謝罪されているようですし、彼もその謝罪を受け入れている様子ですよね。
ただ、彼が受けたショックに関しては、未だ残っているようですね。ここが今、ちょっと関係がうまくもとに戻らない理由になっているように僕は思いますよ。
ここをもう少し詳しく解説しますね。
謝罪をすると加害者と被害者が逆転することがある
彼はあなたの言動で傷つき、あなたは謝罪をされた。
このとき、被害者と加害者の立ち位置が逆転することがあるんですよ。
彼は当初被害者だったのですが、あなたの謝罪を受けたとき、「これを受け容れてあなたを許すかどうかの選択をすること」になったのでしょう。
しかし、彼にとって今回受けたショックはすぐに消化できるわけではなかったから、彼はあなたとの関係をもとに戻すという部分まで考えられなかったのかもしれません。
このとき、彼は彼であなたを拒絶しているわけです。
これもまた彼にとって苦しいことではないでしょうか。(彼がそう気づいているかどうかは別にしてね)
傷ついた自分を受け容れ、許すこともまた難しいこと
僕なりに彼の気持ちになって少し想像してみると、こう思うのです。
「彼があなたに大切な話を伝えた。
しかし、あなたから期待した反応が帰ってこなかったことで傷ついた。
そのあなたに対して拒絶的な態度をとった自分がいる。」
さて、彼はその自分を素直にいい自分だと思えるでしょうか。
ここでつい「だって仕方なかったし」「自分だって傷ついたし」と思うこともあるかもしれません。
ただ、そう思う自分は「相手を責めている自分(君の反応のせいで傷ついた)」でもあるんですよね。
つまり、彼もまた「傷ついてしまった自分」を許せないのかもしれないな、と僕は見るのです。
もちろん人が傷つくにはそれなりの事情があるわけで、他人から責められるべきことではないのです。
が、しかし自分が傷つき、その結果相手を拒絶してしまうとなると、自分を許せず、相手を愛せない状態になってしまうことが多いわけですよ。
ここに「自分は人を拒絶しており、許していない」という罪悪感が登場するのです。
*
また、このお二人のやり取りの原点にある「彼があなたに大切な話をしようと思った」という時点で、彼が「自分の話をしてあなたに迷惑なんじゃないだろうか?」と考えていた可能性ってありませんか?
(具体的にどのよう話だったかまで書いていただいていないので、ハッキリとしたことは申し上げられませんが。)
ここにもまた彼が自分を責めてしまう気持ち、あなたに申し訳ないと感じる理由がありそうですよね。
だから、もしかすると彼は「今の自分のままでいたいとは思えない」のかもしれません。
だから、「恋人には戻れない」といっている可能性があるな、と思うのです。
しかし、どうしたら昔のような自分に戻れるのかがよく分からないのかもしれません。
また、あなたとの関係を完全に切ることにも抵抗があるから、お友達のような関係になっているのではないか、とも思うのです。
もし彼があなたともう一度恋人として関わるなら、以前のように彼もスッキリとわだかまりなく関わりたいと思うのではないでしょうか。
このように僕は考えるのですが、さていかがでしょうか。
関係修復に必要な考え方とプロセス
さて、ここからは傷心中のウサギさんのご質問に「関係修復」について具体的にお答えしたいと思います。
まず彼は「あなたとの関係でショックを受けた自分を許せずにいる」と思ってみてください。
あなたは「ショックを与えた自分を許せずにいる」と思ってみてください。
ここでまず変えることができるのは「ショックを与えた自分」となりますよね。相手を変えることは難しいし、自分を変えずに相手を変えようとするとかなりしんどい状態になりますからね。
あなたはきちんと謝罪をされているのですよね。
あなたが相手のことを考えて謝罪されているなら、まずあなたの「傷つけたことの後悔」をそこまでとしてみませんか?
きちんと謝罪をされているなら「もうこれ以上あなたが自分を責めても誰も救われない」と考えてみてくださいね。
あなたが自分を責めれば、彼もまた自分を責める理由を持つことになるのです。
そのために自分の気持ちを整理してみてください。
つい後悔が溢れてきたり、一人で抱えきれない気持ちがあるなら、誰か信頼できる人に話したり、相談してみてみる方法もあります。
人に気持ちを受け止めてもらうことで気持ちを消化できることありますからね。
もちろんこういった加害者意識は自分で受け止める必要があるのですが、そもそも日常の中では自然と自分で受け止めることになるわけですよね。
だから、信頼できる人に話を聞いてもらったり、応援してもらったり、別の視点を学んで物事を見るようにしてみると、気持ちが楽になり、前向きになれることも少なくないですよ。
その後で、相手のことを考え、気持ちを受け止めながら、自分の本当の気持ちを伝えてみてほしいのです。
- 「彼は今、一体何をどう感じているのだろうか。」
- 「彼もきっと苦しい思いを抱えているのではないだろうか。」
自分を責めずに、そう想像してみるんです。
彼がなにか話すなら、きちんと聞いてあげてください。ただただ「うんうん」と丁寧にね。
その上で、自分の気持ちを伝えていきましょう。
- 「私は今、どう思っているのか。」
- 「あのとき、本当はどう答えたかったのか」
- 「あなたが彼のことを本当はどう受け止めたいと思っているのか」
できれば「そんなつもりじゃなかった」という言葉は使わないほうがいいかなー。
「今、自分がどう思っているか」を「私」という主語をつけて伝えてみてくださいね。
もし、彼の前で「本当にごめん」という思いで泣きたい気分になるならば、どうか彼のために泣いてあげてください。
「いろんな意味で苦しい思いをしたんだね」という意味で泣いてあげるほうがいいです。(泣いたほうがいいという話じゃないですよ〜)
ここで「彼を傷つけた私ができることは何もない」と考えてしまうのは自分への罰でしょう。これはまさに関係崩壊につながってしまいます。
何よりあなたの繊細なお気持ちも大切にしながら、ゆっくり痛みと罰の罠から抜け出して、自分を表現してみていただけるといいのではないかと思っています。
もちろん僕でお力になれることがあるなら、いつでもサポートさせてもらいますよ。
特にあなたと彼は親密な関係にあるようですから、自分の気持ちを整理しながらチャレンジしてみることもお考えになってみてはいかがでしょうか。
最後に
大切な人を傷つけることも、大切な人から受けた傷を抱え続けてしまうことも、大切な人との関係を切り離すことになる、と僕は考えています。
表面的には「傷ついた、傷つけられた」という意識を持っていたとしても、お互いの内面では同じ感情を共有している場合が少なくない、ということ、今回の解説でご理解いただけたでしょうか。
だから、加害者、被害者双方に、自分を癒やすこと、受け容れることが重要なのではないでしょうか、というご提案をさせていただいているのです。
本当の幸せを見つめる・見つけるカウンセリングが人気!
心理カウンセラー浅野寿和のカウンセリングのご利用方法はこちら。